新臨床静脈学
定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
- B5判 520ページ オールカラー,イラスト120点,写真450点
- 2019年10月18日刊行
- ISBN978-4-7583-1961-4
序文
発刊にあたって
本書の元祖である『臨床静脈学』(中山書店,1993年)は,「日本の静脈学の父」ともいうべき故阪口周吉先生と長く友人だった故平井正文先生,それと現在も元気な戦友ともよぶべき小谷野憲一先生ら三人による著作である。
阪口先生は「日の当たらぬ静脈疾患を等閑に付してよいものではない」という故杉江三郎北大教授らの言葉を引用している。そして「静脈学を学ばんとする人たちの道しるべたれ」と発刊の言葉に述べている。また,内容が基礎に力が入りすぎたので,2版では訂正してほしいとも述べている。しかしながら,この初版本には「日本静脈学会」の名前はない。
今回この「日本静脈学会」の名を入れることについては当初,企画・編集にあたった人たちに微妙な思い違いがあったようである。しかし,初代理事長(会長)阪口周吉先生,二代目理事長 星野俊一先生がお亡くなりになり,お二人の遺志を継ぐ形で『臨床静脈学』を日本静脈学会の名のもとに発刊することに意志統一がなされ,ここに誕生することに至ったわけで,おめでたい限りである。
ここで振り返って,現在の静脈学,静脈の臨床をみると『臨床静脈学』(1993年)の時代から25年以上が過ぎて,大きく様変わりしている。
日本静脈学会の活動や周辺の動きから,時代が大きく動こうとしていることがわかる。1981年学会(研究会)発足時,参加者は30人程度であったことを覚えているが,いまや学会員も学会参加者もどんどん増えて1,000人を超えている。発表会場も16〜17回までは1〜2会場,18回から3会場,現在39回では6会場となっている。驚くべき伸びである。われわれの挨拶にも弾みが感じられる。2009年の第29回総会では「静脈学は,まだまだ不明なところが多い分野ではないかと思っている。しかし,動脈をやればやるほど静脈のことが知りたくなるし,静脈にのめり込むとなかなか抜け出られないという『竜宮城』みたいなところがある分野だと思っている」と述べた。そして,下肢静脈瘤の治療選択肢についていえば,ストリッピングから,液体硬化療法に端を発してフォーム硬化療法へ,また2011年以降レーザーやラジオ波による血管内治療へと保険採用を期に変遷してきた。すると全国に下肢静脈瘤中心の診療部門やクリニックがたくさんでき,研究する道,診療する道,収入を得られる道として独立した道が開けてきた。そしてついに,2014年の沖縄での学会では「静脈讃歌」(日本静脈学会HP 参照)を発表するに至った。これは,これまでの影の部分からの脱却を意味する。そして,「静脈を制する者は,血管を制する」と静脈への注目度を声高に叫んだのである。
いまや,動脈の卒業生が,静脈学に入ったり,動脈・静脈の両刀使いがいたり,もちろん「オタク」とよばれる一筋縄がいたりと,「力をもった静脈人層」が誕生してきたといえる。
機器とりわけ超音波機器は,素晴らしい発展を遂げている。閉塞と逆流という基本だけでなく,方向,速度,動きなどにも目が向くようになった。さらに機能検査にも新しさが加わり,CVT(血管診療技師)は1,200人を越えて血管に興味をもつ医療従事者がわれわれを取り囲んでいる。弾性ストッキングなどを考える圧迫学も興味の対象になりつつあり,教育を受けた弾性ストッキングコンダクターは全国に何千人と従事しているのである。動脈にはない慢性静脈疾患にも,フットケア要員としてまめに取り組み,喜びを覚える人達も多い。一方,災害対策の一環として日本静脈学会は,CVTともグループをつくり,いわゆるエコノミークラス症候群の早期発見,啓発に努めてきた。いくつかの表彰状が残されている。いまや,二重三重にいろいろな人々に囲まれて,日本静脈学会は息づいているのである。
多くの人が本書の完成のために取り組んでくれたが,まさしく日進月歩の科学,医療の世界である。次の版までが長くあることを祈るとともに,できあがってきた人々の集団の輪がさらなる高みを目指していくことを願っている。
令和元(2019)年8月
日本静脈学会 理事長
岩井武尚
--------------------------------
編集にあたって
最近の科学技術の進歩は著しいスピードで発展している。もちろん医学に関しても,さまざまな情報が報告され,「治療成績の集積」,「治療法や検査方法の確立と開発」などが発展の礎となっている。
「静脈」とは,各臓器や組織から心臓へ血液を流す血管であり,放熱や血液貯留といった役割をもっている。当然ではあるが,重要な臓器である。静脈に関しても太古より疾患や治療法が知られており,人類は静脈疾患と共生してきた。近年になり,この静脈についてもさまざまな研究が行われ,その知見を元に「静脈学/phlebology」が世界で発展してきた。日本でも多くの医学者が研究され,1978年には杉江三郎先生らの著書『静脈疾患・その病態と治療』(医学書院)でまとめられ,1981年には日本静脈疾患研究会(1989年に日本静脈学会に発展)が静岡県で開催され,“日本の静脈学”が産声をあげた。その後も多くの研究が行われ,1993年には故阪口周吉先生らが『臨床静脈学』(中山書店)を執筆され,そのなかで「静脈学phlebologyという範囲は本来相当に広いものと解せられる」と述べられている。
「静脈学」は多岐にわたって研鑽が行われ,論文発表や学会発表で多くの知見を得ることができ,われわれは日々の診療にも大いに活用できている。しかし,医師だけではなく多職種の医療従事者が静脈疾患の診療に関わることが多くなっている。さらに,検査装置や治療器具の開発には医工連携が必要であり,領域を超えた科学者の知識は不可欠である。
本書は,静脈学を理解して静脈疾患における診断や治療の指標となることを目標として出版した。そして,本書を基礎として“最新の静脈学”をさらに発展していただきたいと切に願う。
出版にあたっては,日本静脈学会,編集者,執筆者,出版社のご尽力が結集して成し遂げられました。関係各位のみなさまには心より敬意を表したいと思います。
令和元(2019)年8月
日本静脈学会『新臨床静脈学』編集委員長
福田幾夫
本書の元祖である『臨床静脈学』(中山書店,1993年)は,「日本の静脈学の父」ともいうべき故阪口周吉先生と長く友人だった故平井正文先生,それと現在も元気な戦友ともよぶべき小谷野憲一先生ら三人による著作である。
阪口先生は「日の当たらぬ静脈疾患を等閑に付してよいものではない」という故杉江三郎北大教授らの言葉を引用している。そして「静脈学を学ばんとする人たちの道しるべたれ」と発刊の言葉に述べている。また,内容が基礎に力が入りすぎたので,2版では訂正してほしいとも述べている。しかしながら,この初版本には「日本静脈学会」の名前はない。
今回この「日本静脈学会」の名を入れることについては当初,企画・編集にあたった人たちに微妙な思い違いがあったようである。しかし,初代理事長(会長)阪口周吉先生,二代目理事長 星野俊一先生がお亡くなりになり,お二人の遺志を継ぐ形で『臨床静脈学』を日本静脈学会の名のもとに発刊することに意志統一がなされ,ここに誕生することに至ったわけで,おめでたい限りである。
ここで振り返って,現在の静脈学,静脈の臨床をみると『臨床静脈学』(1993年)の時代から25年以上が過ぎて,大きく様変わりしている。
日本静脈学会の活動や周辺の動きから,時代が大きく動こうとしていることがわかる。1981年学会(研究会)発足時,参加者は30人程度であったことを覚えているが,いまや学会員も学会参加者もどんどん増えて1,000人を超えている。発表会場も16〜17回までは1〜2会場,18回から3会場,現在39回では6会場となっている。驚くべき伸びである。われわれの挨拶にも弾みが感じられる。2009年の第29回総会では「静脈学は,まだまだ不明なところが多い分野ではないかと思っている。しかし,動脈をやればやるほど静脈のことが知りたくなるし,静脈にのめり込むとなかなか抜け出られないという『竜宮城』みたいなところがある分野だと思っている」と述べた。そして,下肢静脈瘤の治療選択肢についていえば,ストリッピングから,液体硬化療法に端を発してフォーム硬化療法へ,また2011年以降レーザーやラジオ波による血管内治療へと保険採用を期に変遷してきた。すると全国に下肢静脈瘤中心の診療部門やクリニックがたくさんでき,研究する道,診療する道,収入を得られる道として独立した道が開けてきた。そしてついに,2014年の沖縄での学会では「静脈讃歌」(日本静脈学会HP 参照)を発表するに至った。これは,これまでの影の部分からの脱却を意味する。そして,「静脈を制する者は,血管を制する」と静脈への注目度を声高に叫んだのである。
いまや,動脈の卒業生が,静脈学に入ったり,動脈・静脈の両刀使いがいたり,もちろん「オタク」とよばれる一筋縄がいたりと,「力をもった静脈人層」が誕生してきたといえる。
機器とりわけ超音波機器は,素晴らしい発展を遂げている。閉塞と逆流という基本だけでなく,方向,速度,動きなどにも目が向くようになった。さらに機能検査にも新しさが加わり,CVT(血管診療技師)は1,200人を越えて血管に興味をもつ医療従事者がわれわれを取り囲んでいる。弾性ストッキングなどを考える圧迫学も興味の対象になりつつあり,教育を受けた弾性ストッキングコンダクターは全国に何千人と従事しているのである。動脈にはない慢性静脈疾患にも,フットケア要員としてまめに取り組み,喜びを覚える人達も多い。一方,災害対策の一環として日本静脈学会は,CVTともグループをつくり,いわゆるエコノミークラス症候群の早期発見,啓発に努めてきた。いくつかの表彰状が残されている。いまや,二重三重にいろいろな人々に囲まれて,日本静脈学会は息づいているのである。
多くの人が本書の完成のために取り組んでくれたが,まさしく日進月歩の科学,医療の世界である。次の版までが長くあることを祈るとともに,できあがってきた人々の集団の輪がさらなる高みを目指していくことを願っている。
令和元(2019)年8月
日本静脈学会 理事長
岩井武尚
--------------------------------
編集にあたって
最近の科学技術の進歩は著しいスピードで発展している。もちろん医学に関しても,さまざまな情報が報告され,「治療成績の集積」,「治療法や検査方法の確立と開発」などが発展の礎となっている。
「静脈」とは,各臓器や組織から心臓へ血液を流す血管であり,放熱や血液貯留といった役割をもっている。当然ではあるが,重要な臓器である。静脈に関しても太古より疾患や治療法が知られており,人類は静脈疾患と共生してきた。近年になり,この静脈についてもさまざまな研究が行われ,その知見を元に「静脈学/phlebology」が世界で発展してきた。日本でも多くの医学者が研究され,1978年には杉江三郎先生らの著書『静脈疾患・その病態と治療』(医学書院)でまとめられ,1981年には日本静脈疾患研究会(1989年に日本静脈学会に発展)が静岡県で開催され,“日本の静脈学”が産声をあげた。その後も多くの研究が行われ,1993年には故阪口周吉先生らが『臨床静脈学』(中山書店)を執筆され,そのなかで「静脈学phlebologyという範囲は本来相当に広いものと解せられる」と述べられている。
「静脈学」は多岐にわたって研鑽が行われ,論文発表や学会発表で多くの知見を得ることができ,われわれは日々の診療にも大いに活用できている。しかし,医師だけではなく多職種の医療従事者が静脈疾患の診療に関わることが多くなっている。さらに,検査装置や治療器具の開発には医工連携が必要であり,領域を超えた科学者の知識は不可欠である。
本書は,静脈学を理解して静脈疾患における診断や治療の指標となることを目標として出版した。そして,本書を基礎として“最新の静脈学”をさらに発展していただきたいと切に願う。
出版にあたっては,日本静脈学会,編集者,執筆者,出版社のご尽力が結集して成し遂げられました。関係各位のみなさまには心より敬意を表したいと思います。
令和元(2019)年8月
日本静脈学会『新臨床静脈学』編集委員長
福田幾夫
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目次
■総 論
Ⅰ章 正常を知る 〔編集〕 佐戸川弘之
1.静脈とリンパ管の発生と解剖
A.静脈の発生と解剖
①静脈の発生と解剖(肺動脈と静脈) 呂 彩子
②肺動脈と大静脈,深部静脈,表在静脈(伏在静脈を含む),穿通枝静脈の組織 山下 篤・浅田祐士郎
③静脈壁,静脈弁,vasa vasorum 高瀬信弥
④特殊な静脈(腸管静脈や門脈など) 前川和也・浅田祐士郎
B.リンパの解剖と組織―リンパ管の構造 大谷 修
2.生理
A.静脈の機能生理
①静脈機能生理(弁,トーヌス,筋ポンプ) 小川智弘
②静脈を理解するうえで必要なリンパの機能生理 松原 忍
③右心系と肺循環の機能生理 田邉信宏
B.血栓・止血・凝固線溶について
①血栓と止血の機序 和田英夫
②凝固と線溶 朝倉英策
Ⅱ章 診察法―理学所見の取り方 〔編集〕 小川智弘
1.問診 栗原伸久
2.視診 栗原伸久
3.触診 細井 温
4.打診 細井 温
5.聴診 細井 温
Ⅲ章 検査法(検体,画像) 〔編集〕 佐戸川弘之
1.検体検査 和田英夫・宮田敏行
2.生理機能検査
A.空気容積脈波(APG),脈波法 白石恭史
B.近赤外線分光法 八巻 隆
3.画像検査
A.静脈エコー,心エコー 山本哲也
B.CT 岸田勇人・市橋成夫・吉川公彦
C.MRI 岡田卓也・京谷勉輔・宮崎亜樹・村上卓道
D.静脈造影 田島廣之・竹ノ下尚子・金城忠志
E.肺血流シンチグラフィ 穴井 洋
F.リンパ浮腫診療におけるリンパシンチグラフィ(LS)とSPECT-CT LSの役割 矢吹雄一郎・前川二郎
G.MRIによるリンパ管の診断 ―MR lymphangiography およびMR thoracic ductography 曽我茂義・大西文夫・三鍋俊春・新本 弘
H.IVUS,血管内視鏡 星野祐二
I.ICG脈管造影の応用 海野直樹
Ⅳ章 圧迫療法の基礎と臨床応用 〔編集〕 孟 真
1.圧迫療法の生理学と物理学 孟 真・松原 忍
2.圧迫療法の種類と特徴 松原 忍
3.静脈血栓予防における臨床応用 池田正孝・宋 智亨・冨田尚裕
4.下肢静脈瘤における臨床応用 佐久田 斉
5.リンパ浮腫の治療における臨床応用 小川佳宏
6.浮腫・慢性静脈不全症における臨床応用 孟 真・島袋伸洋
7.静脈性潰瘍における臨床応用 孟 真・島袋伸洋
[コラム①]「 弾性ストッキング・コンダクター」について 八杉 巧
[コラム②] 弾性着衣の効果・機能を評価するには 保田知生
Ⅴ章 静脈疾患に用いられる抗血栓療法 〔編集〕 山田典一
1.抗凝固薬の薬理機序と特徴 家子正裕
2.血栓溶解療法の薬理機序と特徴 松井秀介・浦野哲盟
3.抗血小板療法の薬理機序と特徴 後藤信哉
■各 論
Ⅵ章 下肢静脈瘤の病態と治療 〔編集〕 小川智弘
1.下肢静脈瘤の病態と疫学
A.下肢静脈瘤の定義 小櫃由樹生
B.病態生理と臨床症状
①下肢静脈瘤の病態 小櫃由樹生
②うっ滞性皮膚病変の病態 伊藤孝明
C.下肢静脈瘤の臨床分類 諸國眞太郎
D.診断 白石恭史
E.病理 筑後孝章
F.疫学 東 信良
2.一次性下肢静脈瘤の治療
A.外科的治療
①伏在静脈に対する治療と成績
ⅰ)ストリッピング手術 小窪正樹
ⅱ)レーザー焼灼術,その他新しい治療の紹介 広川雅之
ⅲ)高周波焼灼術 杉山 悟
ⅳ)高位結紮手術 坂田雅宏
ⅴ)本幹硬化療法 戸島雅宏
②不全穿通枝に対する治療と成績(二次性のものも含む)
ⅰ)直接結紮切離 草川 均
ⅱ)Linton手術 春田直樹
ⅲ)SEPS 春田直樹・草川 均
ⅳ)PAPs 春田直樹
ⅴ)エコーガイド下硬化療法 草川 均
③静脈瘤自体に対する治療
ⅰ)静脈瘤切除(ambulatory phlebectomyなど) 山本 崇
ⅱ)硬化療法 久米博子
ⅲ)レーザー外照射 岩田博英
④下肢静脈瘤手術の麻酔法と周術期管理
ⅰ)病院での入院手術 武田亮二
ⅱ)クリニックでの日帰り手術(TLAを中心に) 小田勝志
ⅲ)クリニックでの日帰り手術(TLAの補助的選択肢) 草川 均
B.保存的治療
①術後の圧迫療法 岩田博英
②薬物療法(漢方薬を含めて) 森末 淳
3.特殊な静脈瘤の治療,複雑な下肢静脈瘤と治療
A.陰部静脈瘤 菅野範英
B.拍動性の静脈瘤 杉山 悟
C.再発性静脈瘤の治療 田淵 篤・松本康久
D.一次性下肢静脈瘤に対する低侵襲外科的治療法―ASVALとCHIVA 小川智弘
E.血栓症と下肢静脈瘤治療について 白杉 望
4.うっ滞性皮膚病変の治療 菰田拓之
[コラム③]下肢静脈疾患に対するQOL評価 武田亮二
Ⅶ章 静脈血栓症に関連する疾患 〔編集〕 山田典一
1. 静脈血栓塞栓症の疫学,危険因子,定義,分類(ガイドラインの紹介を含めて) 荻原義人
2.静脈血栓症
A.深部静脈血栓症
①病態[有痛性青股腫(静脈壊死を含む),有痛性白股腫など] 石橋宏之
②病理―急性DVTと慢性DVT 呂 彩子
③診断と鑑別診断
ⅰ)診断 孟 真・島袋伸洋
ⅱ)DVTの診断において知っておきたい疾患
a.浮腫性疾患(リンパ浮腫,心原性,腎性,その他の浮腫) 松尾 汎
b.丹毒,蜂窩織炎と壊死性筋膜炎 新原寛之
c.慢性動脈血栓症と遊走性静脈炎,その他 岩井武尚
④治療
ⅰ)抗血栓療法 山本 剛
ⅱ)下大静脈フィルター(合併症含む:フィルター破損・医原性血栓症など) 小泉 淳
ⅲ)血管内治療 山田典一
ⅳ)外科的血栓摘除術 佐戸川弘之
ⅴ)弾性着衣 佐久田 斉
⑤予防―抗凝固薬による予防 山本尚人
⑥慢性期合併症―血栓後症候群 星野祐二
B.急性肺血栓塞栓症
①病態―肺血栓塞栓症の病態(肺塞栓症と肺梗塞) 辻 明宏
②病理 魏 峻洸・浅田祐士郎
③診断 佐藤 徹
④治療
ⅰ)抗血栓療法 山本 剛
ⅱ)急性肺血栓塞栓症に対するPCPS 福田幾夫・後藤 武
ⅲ)血管内治療 山田典一
ⅳ)急性肺血栓塞栓症に対する外科的治療(肺塞栓摘除術) 福田幾夫
ⅴ)慢性血栓塞栓症 杉村宏一郎・青木竜男・下川宏明
C.表在静脈血栓 松原 忍
D.カテーテルによる静脈血栓症 山下友子
E.Paget-Schroetter症候群 廣岡茂樹
[コラム④]トラネキサム酸は血栓症に禁忌か? 朝倉英策
[コラム⑤]遺伝性血栓性素因は静脈血栓塞栓症(VTE)リスクにどの程度注意したらよいのか? 欠乏症の種類によってリスクは異なるのか? 森下英理子
[コラム⑥] 女性ホルモン療法と血栓 春田祥治
[コラム⑦] 静脈血栓症を誘発する医薬品(がん治療関連血栓症) 向井幹夫
Ⅷ章 まれな静脈疾患 〔編集〕 孟 真
1.ISSVA分類と静脈奇形 大須賀慶悟・東原大樹・富山憲幸
2.動静脈奇形・動静脈瘻 大須賀慶悟・東原大樹・富山憲幸
3.Klippel-Trenaunay症候群 太田 敬
4.静脈性血管瘤(venous aneurysm) 橋山直樹
5.上大静脈症候群 小栗知世
6.Budd-Chiari症候群 稲福 斉・國吉幸男
7.Nutcracker症候群 小畑貴司・星野祐二・谷口 哲
8.骨盤静脈うっ滞症候群・卵巣静脈瘤 戸島雅宏
9.膝窩静脈捕捉症候群(popliteal vein entrapment syndrome) 岩井武尚
Ⅸ章 災害と静脈疾患 〔編集〕 福田幾夫
1.災害における静脈血栓塞栓症 榛沢和彦
2.まとめ 福田幾夫
Ⅰ章 正常を知る 〔編集〕 佐戸川弘之
1.静脈とリンパ管の発生と解剖
A.静脈の発生と解剖
①静脈の発生と解剖(肺動脈と静脈) 呂 彩子
②肺動脈と大静脈,深部静脈,表在静脈(伏在静脈を含む),穿通枝静脈の組織 山下 篤・浅田祐士郎
③静脈壁,静脈弁,vasa vasorum 高瀬信弥
④特殊な静脈(腸管静脈や門脈など) 前川和也・浅田祐士郎
B.リンパの解剖と組織―リンパ管の構造 大谷 修
2.生理
A.静脈の機能生理
①静脈機能生理(弁,トーヌス,筋ポンプ) 小川智弘
②静脈を理解するうえで必要なリンパの機能生理 松原 忍
③右心系と肺循環の機能生理 田邉信宏
B.血栓・止血・凝固線溶について
①血栓と止血の機序 和田英夫
②凝固と線溶 朝倉英策
Ⅱ章 診察法―理学所見の取り方 〔編集〕 小川智弘
1.問診 栗原伸久
2.視診 栗原伸久
3.触診 細井 温
4.打診 細井 温
5.聴診 細井 温
Ⅲ章 検査法(検体,画像) 〔編集〕 佐戸川弘之
1.検体検査 和田英夫・宮田敏行
2.生理機能検査
A.空気容積脈波(APG),脈波法 白石恭史
B.近赤外線分光法 八巻 隆
3.画像検査
A.静脈エコー,心エコー 山本哲也
B.CT 岸田勇人・市橋成夫・吉川公彦
C.MRI 岡田卓也・京谷勉輔・宮崎亜樹・村上卓道
D.静脈造影 田島廣之・竹ノ下尚子・金城忠志
E.肺血流シンチグラフィ 穴井 洋
F.リンパ浮腫診療におけるリンパシンチグラフィ(LS)とSPECT-CT LSの役割 矢吹雄一郎・前川二郎
G.MRIによるリンパ管の診断 ―MR lymphangiography およびMR thoracic ductography 曽我茂義・大西文夫・三鍋俊春・新本 弘
H.IVUS,血管内視鏡 星野祐二
I.ICG脈管造影の応用 海野直樹
Ⅳ章 圧迫療法の基礎と臨床応用 〔編集〕 孟 真
1.圧迫療法の生理学と物理学 孟 真・松原 忍
2.圧迫療法の種類と特徴 松原 忍
3.静脈血栓予防における臨床応用 池田正孝・宋 智亨・冨田尚裕
4.下肢静脈瘤における臨床応用 佐久田 斉
5.リンパ浮腫の治療における臨床応用 小川佳宏
6.浮腫・慢性静脈不全症における臨床応用 孟 真・島袋伸洋
7.静脈性潰瘍における臨床応用 孟 真・島袋伸洋
[コラム①]「 弾性ストッキング・コンダクター」について 八杉 巧
[コラム②] 弾性着衣の効果・機能を評価するには 保田知生
Ⅴ章 静脈疾患に用いられる抗血栓療法 〔編集〕 山田典一
1.抗凝固薬の薬理機序と特徴 家子正裕
2.血栓溶解療法の薬理機序と特徴 松井秀介・浦野哲盟
3.抗血小板療法の薬理機序と特徴 後藤信哉
■各 論
Ⅵ章 下肢静脈瘤の病態と治療 〔編集〕 小川智弘
1.下肢静脈瘤の病態と疫学
A.下肢静脈瘤の定義 小櫃由樹生
B.病態生理と臨床症状
①下肢静脈瘤の病態 小櫃由樹生
②うっ滞性皮膚病変の病態 伊藤孝明
C.下肢静脈瘤の臨床分類 諸國眞太郎
D.診断 白石恭史
E.病理 筑後孝章
F.疫学 東 信良
2.一次性下肢静脈瘤の治療
A.外科的治療
①伏在静脈に対する治療と成績
ⅰ)ストリッピング手術 小窪正樹
ⅱ)レーザー焼灼術,その他新しい治療の紹介 広川雅之
ⅲ)高周波焼灼術 杉山 悟
ⅳ)高位結紮手術 坂田雅宏
ⅴ)本幹硬化療法 戸島雅宏
②不全穿通枝に対する治療と成績(二次性のものも含む)
ⅰ)直接結紮切離 草川 均
ⅱ)Linton手術 春田直樹
ⅲ)SEPS 春田直樹・草川 均
ⅳ)PAPs 春田直樹
ⅴ)エコーガイド下硬化療法 草川 均
③静脈瘤自体に対する治療
ⅰ)静脈瘤切除(ambulatory phlebectomyなど) 山本 崇
ⅱ)硬化療法 久米博子
ⅲ)レーザー外照射 岩田博英
④下肢静脈瘤手術の麻酔法と周術期管理
ⅰ)病院での入院手術 武田亮二
ⅱ)クリニックでの日帰り手術(TLAを中心に) 小田勝志
ⅲ)クリニックでの日帰り手術(TLAの補助的選択肢) 草川 均
B.保存的治療
①術後の圧迫療法 岩田博英
②薬物療法(漢方薬を含めて) 森末 淳
3.特殊な静脈瘤の治療,複雑な下肢静脈瘤と治療
A.陰部静脈瘤 菅野範英
B.拍動性の静脈瘤 杉山 悟
C.再発性静脈瘤の治療 田淵 篤・松本康久
D.一次性下肢静脈瘤に対する低侵襲外科的治療法―ASVALとCHIVA 小川智弘
E.血栓症と下肢静脈瘤治療について 白杉 望
4.うっ滞性皮膚病変の治療 菰田拓之
[コラム③]下肢静脈疾患に対するQOL評価 武田亮二
Ⅶ章 静脈血栓症に関連する疾患 〔編集〕 山田典一
1. 静脈血栓塞栓症の疫学,危険因子,定義,分類(ガイドラインの紹介を含めて) 荻原義人
2.静脈血栓症
A.深部静脈血栓症
①病態[有痛性青股腫(静脈壊死を含む),有痛性白股腫など] 石橋宏之
②病理―急性DVTと慢性DVT 呂 彩子
③診断と鑑別診断
ⅰ)診断 孟 真・島袋伸洋
ⅱ)DVTの診断において知っておきたい疾患
a.浮腫性疾患(リンパ浮腫,心原性,腎性,その他の浮腫) 松尾 汎
b.丹毒,蜂窩織炎と壊死性筋膜炎 新原寛之
c.慢性動脈血栓症と遊走性静脈炎,その他 岩井武尚
④治療
ⅰ)抗血栓療法 山本 剛
ⅱ)下大静脈フィルター(合併症含む:フィルター破損・医原性血栓症など) 小泉 淳
ⅲ)血管内治療 山田典一
ⅳ)外科的血栓摘除術 佐戸川弘之
ⅴ)弾性着衣 佐久田 斉
⑤予防―抗凝固薬による予防 山本尚人
⑥慢性期合併症―血栓後症候群 星野祐二
B.急性肺血栓塞栓症
①病態―肺血栓塞栓症の病態(肺塞栓症と肺梗塞) 辻 明宏
②病理 魏 峻洸・浅田祐士郎
③診断 佐藤 徹
④治療
ⅰ)抗血栓療法 山本 剛
ⅱ)急性肺血栓塞栓症に対するPCPS 福田幾夫・後藤 武
ⅲ)血管内治療 山田典一
ⅳ)急性肺血栓塞栓症に対する外科的治療(肺塞栓摘除術) 福田幾夫
ⅴ)慢性血栓塞栓症 杉村宏一郎・青木竜男・下川宏明
C.表在静脈血栓 松原 忍
D.カテーテルによる静脈血栓症 山下友子
E.Paget-Schroetter症候群 廣岡茂樹
[コラム④]トラネキサム酸は血栓症に禁忌か? 朝倉英策
[コラム⑤]遺伝性血栓性素因は静脈血栓塞栓症(VTE)リスクにどの程度注意したらよいのか? 欠乏症の種類によってリスクは異なるのか? 森下英理子
[コラム⑥] 女性ホルモン療法と血栓 春田祥治
[コラム⑦] 静脈血栓症を誘発する医薬品(がん治療関連血栓症) 向井幹夫
Ⅷ章 まれな静脈疾患 〔編集〕 孟 真
1.ISSVA分類と静脈奇形 大須賀慶悟・東原大樹・富山憲幸
2.動静脈奇形・動静脈瘻 大須賀慶悟・東原大樹・富山憲幸
3.Klippel-Trenaunay症候群 太田 敬
4.静脈性血管瘤(venous aneurysm) 橋山直樹
5.上大静脈症候群 小栗知世
6.Budd-Chiari症候群 稲福 斉・國吉幸男
7.Nutcracker症候群 小畑貴司・星野祐二・谷口 哲
8.骨盤静脈うっ滞症候群・卵巣静脈瘤 戸島雅宏
9.膝窩静脈捕捉症候群(popliteal vein entrapment syndrome) 岩井武尚
Ⅸ章 災害と静脈疾患 〔編集〕 福田幾夫
1.災害における静脈血栓塞栓症 榛沢和彦
2.まとめ 福田幾夫
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