治療戦略に役立つ
臨床医・病理医のための
乳腺病理の見かた・考え方
定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
- B5判 204ページ オールカラー,イラスト15点,写真270点
- 2022年10月28日刊行
- ISBN978-4-7583-1817-4
電子版
序文
推薦文
乳腺外科医として30年余り経過したが,病理診断と画像診断は今でも苦手である。推薦文の依頼を受けた際も何かの手違いかと思ったが,編者である増田慎三先生と堀井理絵先生の素晴らしい企画案を拝見して,これまでにない切り口で病理学を見つめ直す画期的な著書であることが判明した。
まずは構成をご覧いただきたい。乳癌取扱い規約のような解説書ではなく,臨床医と病理医の立場から日常診療の中でときに迷う診断方法や病理所見について各領域の専門家が解説を行なっている。病理医のみならず,乳腺外科医,腫瘍内科医,形成外科医とさまざまな領域のエキスパートが執筆に加わっている。臨床に直結する病理サイドの課題について無駄なく単刀直入にかつ丁寧に説明されている。従って,本書を病理カンファレンスに持参いただくと乳腺病理への理解と興味がさらに深まるものと拝察する。
癌診療について分子生物学的アプローチなくして語ることができない時代である。特に乳癌では多遺伝子アッセイ,パネル検査,コンパニオン診断など適切な乳癌診療を考えるうえで,腫瘍組織あるいは患者血液からの遺伝子情報は必須である。しかし,癌の微小環境を推測するには,生検組織あるいは切除標本から病態を理解することがきわめて重要である。なぜ,ルミナルタイプは晩期再発しやすいのか? なぜ,乳癌は免疫原性が低いのか? ITCは本当に転移能に乏しいのか? 癌全体から俯瞰すると乳癌は予後良好な癌腫であるが,最新の病理学の考え方を身につけることは乳癌診療を向上させるうえで欠かせない。以上,乳癌診療に携わる全ての方の参考書となることを心から期待して本書をここに推薦いたします。
2022年10月
杏林大学医学部 乳腺外科学 井本 滋
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乳腺病理診断に関わる解説の書である『治療戦略に役立つ 臨床医・病理医のための乳腺病理の見かた・考え方』が名古屋大学大学院医学系研究科 乳腺・内分泌外科学 教授 増田慎三先生と埼玉県立がんセンター 病理診断科 副部長 堀井理絵先生の編集の下でメジカルビュー社から出版された。内容は,病理診断に関わる総論,良性疾患の診断,悪性疾患の診断,Biology評価,そして多遺伝子アッセイ・がんゲノム医療に至る基本的事項から最新の情報までの乳腺病理に関わるトピックスをもれなく網羅している。いずれも最新の知見を取り入れた豊富な内容が63名の専門家の先生によってわかりやすく書かれており,乳腺病理について治療や画像診断と関連させながら深く理解できる内容となっている。
本書で際立った特徴は乳腺病理に関わる診断や検査の実際が詳しく解説されているだけでなく,臨床医目線でもそれらの診断,検査の意義が分かりやすく説明されていることである。病理の専門書はどうしてもマクロ,ミクロの病理形態像とそれらの病理所見に対する解説が中心となるため,病理専門の以外の方々にはどうしても取りつきにくいイメージとなりがちである。本書ではそのような印象をさまざまな工夫で解消している。特に臨床医と病理医が交互に同一のトピックスに対してそれぞれ独自に解説をしてくださっているので,臨床,病理の双方向から自然に幅広い情報を得られるようになっている。文章もガイドライン風のクエスチョン形式を多く取り入れ,説明も平易な箇条書きにされているので,内容の要点を掴みやすく,飽きることなく読み進められる。
さらに,病理画像以外のさまざまな図表が適切な説明と共に示されている点も内容の理解を深めるのに役立つと思われる。折に触れて挿入されているコラムは筆者の先生の臨床経験に基づいたもので深い薀蓄に富んでいる。このように本書はさまざまな工夫をこらして,難しいといわれる乳腺病理診断について臨床的事項と関連させながらわかりやすく解説することに見事に成功している。乳癌の病理診断,バイオマーカー診断に興味をお持ちの方には座右の書として活用していただきたく,また,乳癌診療に興味をお持ちの幅広い読者の方にも広く読んでいただきたい好書である。本書を企画され出版されたメジカルビュー社の編集部各位に心からの敬意を表したい。
2022年10月
防衛医科大学校 病態病理学 津田 均
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序文
癌の分子生物学的な特徴に基づいた予後予測と治療効果予測は,適切な治療戦略を策定するために不可欠です。その特徴は病理形態やバイオマーカー発現として表現され,病理組織検体を用いて検索されます。すなわち,病理は癌診療の基盤です。病理医が必要十分な診断情報を臨床医に提供するためには臨床の概略を理解しておく必要があり,また,臨床医が病理診断を適切に活用するためには病理の基本を身につけておく必要があります。そのうえで病理医と臨床医が双方向にコミュニケーションすることが肝要です。
本書には,新規薬剤の開発など進歩が目覚ましい乳癌診療において,病理医と臨床医が治療戦略を考えるために必要な最新情報を掲載しました。60名を超える乳癌診療のエキスパートの先生方に,さまざまな問題について,病理と臨床両方の視点から解説いただきました。いずれも多数の臨床経験と知識に裏打ちされた示唆に富んだ内容です。この場を借りて,ご執筆いただきました先生方に御礼申し上げます。また,大きな図表を数多く掲載し,本文を簡潔な箇条書きにすることで,分かりやすく読みやすい書籍を目指しました。乳癌取扱い規約第18版,乳癌診療ガイドライン2022年版,WHO分類第5版との整合性も図りました。難しいといわれる乳腺病理診断を,臨床と関連付けながら,ストレスなく正確に理解できるよう配慮しました。
杏林大学医学部 乳腺外科学 井本 滋先生,防衛医科大学校 病態病理学 津田 均先生には,目次や原稿の内容から本書作成の意図をお汲み取りいただき,推薦のお言葉をいただきました。深く御礼申し上げます。
また,本書の上梓に当たっては,私どものアイディアを書籍にするべく奔走してくださったメジカルビュー社編集部 加賀智子様,丁寧で確実な編集作業を根気強く続けてくださった同社 坂口もも子様に深く感謝いたします。
本書は,病理医と臨床医が協働して乳癌診療を行う際の一助になり得る一冊だと自負しています。これから専門医を目指す若い先生から,乳癌診療に従事するベテランの先生方まで幅広く,そして乳腺診療を支えるメディカルスタッフの方々にとってもさまざまなkey wordの理解と整理に,一人でも多くの方に活用いただければ幸いです。
2022年10月
名古屋大学大学院医学系研究科 乳腺・内分泌外科学 増田慎三
埼玉県立がんセンター 病理診断科 堀井理絵
乳腺外科医として30年余り経過したが,病理診断と画像診断は今でも苦手である。推薦文の依頼を受けた際も何かの手違いかと思ったが,編者である増田慎三先生と堀井理絵先生の素晴らしい企画案を拝見して,これまでにない切り口で病理学を見つめ直す画期的な著書であることが判明した。
まずは構成をご覧いただきたい。乳癌取扱い規約のような解説書ではなく,臨床医と病理医の立場から日常診療の中でときに迷う診断方法や病理所見について各領域の専門家が解説を行なっている。病理医のみならず,乳腺外科医,腫瘍内科医,形成外科医とさまざまな領域のエキスパートが執筆に加わっている。臨床に直結する病理サイドの課題について無駄なく単刀直入にかつ丁寧に説明されている。従って,本書を病理カンファレンスに持参いただくと乳腺病理への理解と興味がさらに深まるものと拝察する。
癌診療について分子生物学的アプローチなくして語ることができない時代である。特に乳癌では多遺伝子アッセイ,パネル検査,コンパニオン診断など適切な乳癌診療を考えるうえで,腫瘍組織あるいは患者血液からの遺伝子情報は必須である。しかし,癌の微小環境を推測するには,生検組織あるいは切除標本から病態を理解することがきわめて重要である。なぜ,ルミナルタイプは晩期再発しやすいのか? なぜ,乳癌は免疫原性が低いのか? ITCは本当に転移能に乏しいのか? 癌全体から俯瞰すると乳癌は予後良好な癌腫であるが,最新の病理学の考え方を身につけることは乳癌診療を向上させるうえで欠かせない。以上,乳癌診療に携わる全ての方の参考書となることを心から期待して本書をここに推薦いたします。
2022年10月
杏林大学医学部 乳腺外科学 井本 滋
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乳腺病理診断に関わる解説の書である『治療戦略に役立つ 臨床医・病理医のための乳腺病理の見かた・考え方』が名古屋大学大学院医学系研究科 乳腺・内分泌外科学 教授 増田慎三先生と埼玉県立がんセンター 病理診断科 副部長 堀井理絵先生の編集の下でメジカルビュー社から出版された。内容は,病理診断に関わる総論,良性疾患の診断,悪性疾患の診断,Biology評価,そして多遺伝子アッセイ・がんゲノム医療に至る基本的事項から最新の情報までの乳腺病理に関わるトピックスをもれなく網羅している。いずれも最新の知見を取り入れた豊富な内容が63名の専門家の先生によってわかりやすく書かれており,乳腺病理について治療や画像診断と関連させながら深く理解できる内容となっている。
本書で際立った特徴は乳腺病理に関わる診断や検査の実際が詳しく解説されているだけでなく,臨床医目線でもそれらの診断,検査の意義が分かりやすく説明されていることである。病理の専門書はどうしてもマクロ,ミクロの病理形態像とそれらの病理所見に対する解説が中心となるため,病理専門の以外の方々にはどうしても取りつきにくいイメージとなりがちである。本書ではそのような印象をさまざまな工夫で解消している。特に臨床医と病理医が交互に同一のトピックスに対してそれぞれ独自に解説をしてくださっているので,臨床,病理の双方向から自然に幅広い情報を得られるようになっている。文章もガイドライン風のクエスチョン形式を多く取り入れ,説明も平易な箇条書きにされているので,内容の要点を掴みやすく,飽きることなく読み進められる。
さらに,病理画像以外のさまざまな図表が適切な説明と共に示されている点も内容の理解を深めるのに役立つと思われる。折に触れて挿入されているコラムは筆者の先生の臨床経験に基づいたもので深い薀蓄に富んでいる。このように本書はさまざまな工夫をこらして,難しいといわれる乳腺病理診断について臨床的事項と関連させながらわかりやすく解説することに見事に成功している。乳癌の病理診断,バイオマーカー診断に興味をお持ちの方には座右の書として活用していただきたく,また,乳癌診療に興味をお持ちの幅広い読者の方にも広く読んでいただきたい好書である。本書を企画され出版されたメジカルビュー社の編集部各位に心からの敬意を表したい。
2022年10月
防衛医科大学校 病態病理学 津田 均
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序文
癌の分子生物学的な特徴に基づいた予後予測と治療効果予測は,適切な治療戦略を策定するために不可欠です。その特徴は病理形態やバイオマーカー発現として表現され,病理組織検体を用いて検索されます。すなわち,病理は癌診療の基盤です。病理医が必要十分な診断情報を臨床医に提供するためには臨床の概略を理解しておく必要があり,また,臨床医が病理診断を適切に活用するためには病理の基本を身につけておく必要があります。そのうえで病理医と臨床医が双方向にコミュニケーションすることが肝要です。
本書には,新規薬剤の開発など進歩が目覚ましい乳癌診療において,病理医と臨床医が治療戦略を考えるために必要な最新情報を掲載しました。60名を超える乳癌診療のエキスパートの先生方に,さまざまな問題について,病理と臨床両方の視点から解説いただきました。いずれも多数の臨床経験と知識に裏打ちされた示唆に富んだ内容です。この場を借りて,ご執筆いただきました先生方に御礼申し上げます。また,大きな図表を数多く掲載し,本文を簡潔な箇条書きにすることで,分かりやすく読みやすい書籍を目指しました。乳癌取扱い規約第18版,乳癌診療ガイドライン2022年版,WHO分類第5版との整合性も図りました。難しいといわれる乳腺病理診断を,臨床と関連付けながら,ストレスなく正確に理解できるよう配慮しました。
杏林大学医学部 乳腺外科学 井本 滋先生,防衛医科大学校 病態病理学 津田 均先生には,目次や原稿の内容から本書作成の意図をお汲み取りいただき,推薦のお言葉をいただきました。深く御礼申し上げます。
また,本書の上梓に当たっては,私どものアイディアを書籍にするべく奔走してくださったメジカルビュー社編集部 加賀智子様,丁寧で確実な編集作業を根気強く続けてくださった同社 坂口もも子様に深く感謝いたします。
本書は,病理医と臨床医が協働して乳癌診療を行う際の一助になり得る一冊だと自負しています。これから専門医を目指す若い先生から,乳癌診療に従事するベテランの先生方まで幅広く,そして乳腺診療を支えるメディカルスタッフの方々にとってもさまざまなkey wordの理解と整理に,一人でも多くの方に活用いただければ幸いです。
2022年10月
名古屋大学大学院医学系研究科 乳腺・内分泌外科学 増田慎三
埼玉県立がんセンター 病理診断科 堀井理絵
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目次
I 総論
1 乳腺画像診断のポイント 〜基本的な診断の流れ,良性・悪性の鑑別〜 [森田孝子]
2 乳頭異常分泌症の診断〜早期癌の発見動機 [窪田智行]
3 細胞診/針生検/吸引式組織生検の適応と工夫 [亀井桂太郎]
【コラム】針生検や穿刺吸引細胞診による癌細胞の播種について [堀井理絵]
4 穿刺吸引細胞診,針生検標本の病理診断 [木脇圭一]
【スペシャルメッセージ】正確な病理診断のために臨床医が心がけること [高橋將人]
5 病理検体の取り扱い(針生検検体,手術検体) [鹿股直樹,牛草 健]
6 病理診断報告書の読み方 [野嵜 史,増田しのぶ]
【コラム】癌のマッピングの有用性 [水谷麻紀子]
【スペシャルメッセージ】病理所見がいかに臨床に役立っているか,患者さんとのコミュニケーションで得た経験 [坂東裕子]
II 良性疾患の診断
1 線維腺腫と葉状腫瘍 [片山彩香]
【コラム】線維腺腫と葉状腫瘍〜臨床上の鑑別,手術適応について [玉城研太朗]
2 乳管内乳頭腫 [三原勇太郎,山口 倫]
【コラム】乳管内乳頭腫〜臨床上の癌との鑑別,手術適応について,切除方法の工夫 [石飛真人]
3 嚢胞,腺症および関連病変大 [森昌子]
4 良性上皮増殖性病変および異型上皮内病変 [村田有也]
5 腺腫(管状腺腫,授乳性腺腫,乳管腺腫,乳頭部腺腫) [森谷鈴子]
III 悪性疾患の診断
1 非浸潤性乳管癌/非浸潤性小葉癌 [広田由子]
【コラム】低リスクDCIS に対する手術省略の可能性 [神林智寿子]
2 微小浸潤癌 [原田 大]
3 浸潤性乳管癌 [大迫 智]
4 浸潤性小葉癌および乳管- 小葉混合癌 [唐 小燕]
【コラム】浸潤性小葉癌の臨床上の特徴 [安立弥生]
5 特殊型の浸潤性乳癌 〜 ER 陽性HER2 陰性乳癌の頻度が高いタイプ(管状癌,篩状癌,粘液癌) [前田一郎]
【コラム】ER 陽性HER2 陰性例の頻度が高い特殊型の浸潤性乳癌の臨床上の特徴 [井口雅史]
6 特殊型の浸潤性乳癌〜TNBC の頻度が高いタイプ(化生癌,アポクリン癌,髄様癌,腺様嚢胞癌,分泌癌) [西村理恵子]
【コラム】TNBC 〜臨床医の視点から [中山紗由香,増田紘子]
IV Biology評価
1 浸潤径と組織学的波及度,脈管侵襲 [武井寛幸]
【コラム】浸潤性乳癌において評価すべき病理組織所見 [堀井理絵]
2 病理学的グレード分類(組織学的グレード分類,核グレード分類) [飛田 陽]
【コラム】臨床医からみた乳癌の予後因子,効果予測因子の多様化 [角舎学行]
3 ER / PgR [本間尚子]
【コラム】ER / PgR 判定の臨床的意義 [原 文堅]
4 HER2 [堀井理絵]
【コラム】HER2 の免疫組織化学法 まれな染色パターンについて [堀井理絵]
5 抗HER2 療法 [下井辰徳]
6 Ki67 [ 坂谷貴司]
7 Ki67の臨床的意義 [徳田恵美,佐治重衡]
8 腫瘍浸潤リンパ球(TIL) [清水亜衣]
【コラム】腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の臨床的意義 [宮下 穣]
9 PD-L1 [森谷卓也,佐貫史明]
10 免疫チェックポイント阻害薬 [吉波哲大]
11 乳房部分切除術と乳頭乳輪温存乳房全切除術の断端診断 [大井恭代]
【コラム】温存乳房照射の個別化〜省略の可能性 [大住省三]
【コラム】断端陰性の完全切除を目指した乳房部分切除術 〜術中迅速病理診断の位置づけ [増田慎三]
【コラム】乳房再建術の最新情報 [神戸未来]
12 術前薬物療法の組織学的効果判定 [森 清]
【コラム】 pCR / Grade 2bの臨床的意義( JBCRG試験などから) [髙田正泰 ]
13 リンパ節転移の評価 [桂田由佳]
【コラム】腋窩リンパ節マネージメントの変遷 [柴田雅央]
14 遠隔転移巣の確定診断とBiology 評価 [小塚祐司]
【コラム】治療経過でBiology が変化した場合の治療は [尾崎由記範]
V 多遺伝子アッセイ・がんゲノム医療
1 遺伝子検査用組織の選択と準備 [杉野弘和,吉田正行]
2 多遺伝子アッセイ
Oncotype DX,MammaPrint/ BluePrint,Prosigna(PAM50-ROR),Curebest 95GC Breast [綱島 亮,直居靖人]
3 癌遺伝子パネル検査 [多田 寛,石田孝宣]
【スペシャルメッセージ】若手専門医が描く乳腺診療の将来展望 〜 escalation,de-escalation,個別化〜 [田中希世]
【スペシャルメッセージ】若手専門医が描く乳腺診療の将来展望 〜 escalation,de-escalation,個別化〜 [塚部昌美]
1 乳腺画像診断のポイント 〜基本的な診断の流れ,良性・悪性の鑑別〜 [森田孝子]
2 乳頭異常分泌症の診断〜早期癌の発見動機 [窪田智行]
3 細胞診/針生検/吸引式組織生検の適応と工夫 [亀井桂太郎]
【コラム】針生検や穿刺吸引細胞診による癌細胞の播種について [堀井理絵]
4 穿刺吸引細胞診,針生検標本の病理診断 [木脇圭一]
【スペシャルメッセージ】正確な病理診断のために臨床医が心がけること [高橋將人]
5 病理検体の取り扱い(針生検検体,手術検体) [鹿股直樹,牛草 健]
6 病理診断報告書の読み方 [野嵜 史,増田しのぶ]
【コラム】癌のマッピングの有用性 [水谷麻紀子]
【スペシャルメッセージ】病理所見がいかに臨床に役立っているか,患者さんとのコミュニケーションで得た経験 [坂東裕子]
II 良性疾患の診断
1 線維腺腫と葉状腫瘍 [片山彩香]
【コラム】線維腺腫と葉状腫瘍〜臨床上の鑑別,手術適応について [玉城研太朗]
2 乳管内乳頭腫 [三原勇太郎,山口 倫]
【コラム】乳管内乳頭腫〜臨床上の癌との鑑別,手術適応について,切除方法の工夫 [石飛真人]
3 嚢胞,腺症および関連病変大 [森昌子]
4 良性上皮増殖性病変および異型上皮内病変 [村田有也]
5 腺腫(管状腺腫,授乳性腺腫,乳管腺腫,乳頭部腺腫) [森谷鈴子]
III 悪性疾患の診断
1 非浸潤性乳管癌/非浸潤性小葉癌 [広田由子]
【コラム】低リスクDCIS に対する手術省略の可能性 [神林智寿子]
2 微小浸潤癌 [原田 大]
3 浸潤性乳管癌 [大迫 智]
4 浸潤性小葉癌および乳管- 小葉混合癌 [唐 小燕]
【コラム】浸潤性小葉癌の臨床上の特徴 [安立弥生]
5 特殊型の浸潤性乳癌 〜 ER 陽性HER2 陰性乳癌の頻度が高いタイプ(管状癌,篩状癌,粘液癌) [前田一郎]
【コラム】ER 陽性HER2 陰性例の頻度が高い特殊型の浸潤性乳癌の臨床上の特徴 [井口雅史]
6 特殊型の浸潤性乳癌〜TNBC の頻度が高いタイプ(化生癌,アポクリン癌,髄様癌,腺様嚢胞癌,分泌癌) [西村理恵子]
【コラム】TNBC 〜臨床医の視点から [中山紗由香,増田紘子]
IV Biology評価
1 浸潤径と組織学的波及度,脈管侵襲 [武井寛幸]
【コラム】浸潤性乳癌において評価すべき病理組織所見 [堀井理絵]
2 病理学的グレード分類(組織学的グレード分類,核グレード分類) [飛田 陽]
【コラム】臨床医からみた乳癌の予後因子,効果予測因子の多様化 [角舎学行]
3 ER / PgR [本間尚子]
【コラム】ER / PgR 判定の臨床的意義 [原 文堅]
4 HER2 [堀井理絵]
【コラム】HER2 の免疫組織化学法 まれな染色パターンについて [堀井理絵]
5 抗HER2 療法 [下井辰徳]
6 Ki67 [ 坂谷貴司]
7 Ki67の臨床的意義 [徳田恵美,佐治重衡]
8 腫瘍浸潤リンパ球(TIL) [清水亜衣]
【コラム】腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の臨床的意義 [宮下 穣]
9 PD-L1 [森谷卓也,佐貫史明]
10 免疫チェックポイント阻害薬 [吉波哲大]
11 乳房部分切除術と乳頭乳輪温存乳房全切除術の断端診断 [大井恭代]
【コラム】温存乳房照射の個別化〜省略の可能性 [大住省三]
【コラム】断端陰性の完全切除を目指した乳房部分切除術 〜術中迅速病理診断の位置づけ [増田慎三]
【コラム】乳房再建術の最新情報 [神戸未来]
12 術前薬物療法の組織学的効果判定 [森 清]
【コラム】 pCR / Grade 2bの臨床的意義( JBCRG試験などから) [髙田正泰 ]
13 リンパ節転移の評価 [桂田由佳]
【コラム】腋窩リンパ節マネージメントの変遷 [柴田雅央]
14 遠隔転移巣の確定診断とBiology 評価 [小塚祐司]
【コラム】治療経過でBiology が変化した場合の治療は [尾崎由記範]
V 多遺伝子アッセイ・がんゲノム医療
1 遺伝子検査用組織の選択と準備 [杉野弘和,吉田正行]
2 多遺伝子アッセイ
Oncotype DX,MammaPrint/ BluePrint,Prosigna(PAM50-ROR),Curebest 95GC Breast [綱島 亮,直居靖人]
3 癌遺伝子パネル検査 [多田 寛,石田孝宣]
【スペシャルメッセージ】若手専門医が描く乳腺診療の将来展望 〜 escalation,de-escalation,個別化〜 [田中希世]
【スペシャルメッセージ】若手専門医が描く乳腺診療の将来展望 〜 escalation,de-escalation,個別化〜 [塚部昌美]
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薬剤選択の根拠である病理診断がわかる臨床医になれる! 治療戦略がわかる病理医になれる!
乳癌の治療薬の開発は目覚しく,治療効果の高い薬剤が次々に臨床で使われるようになっているが,一方で5つのサブタイプそれぞれに治療効果の高い薬剤は異なる。そのため,効果的な治療薬を選択するうえで病理診断はたいへん重要な役割を担っている。安心できる医療を提供するためには,臨床医と病理医が“治療戦略”という同じ方向を向いて病理像を見て/考えることが必須である。
本書では,検査の組合せや病理像に治療戦略を併記して臨床医と病理医の双方の視点から,相互に理解を深められるように重要なポイントをコンパクトに解説する。HER2免疫染色などの古典的な検査方法はもちろんのこと,生検のしかた,病理標本の作成などの「実は知らなかった!」ような基本的な知識から,免疫チェックポイント阻害薬のPD-L1,癌ゲノム医療などの新しい治療法まで豊富に紹介。検査から治療まで,乳腺病理の全貌を理解できる一冊。