作業療法学 ゴールド・マスター・テキスト

身体障害作業療法学(改訂第2版)

改訂第2版

身体障害作業療法学(改訂第2版)

■編集 長﨑 重信

定価 5,940円(税込) (本体5,400円+税)
  • B5判  512ページ  2色,イラスト300点,写真200点
  • 2015年9月11日刊行
  • ISBN978-4-7583-1673-6

改訂に当たり,さらにわかりやすくなった講義用テキスト!! 臨床への橋渡しとしても活用できる!

本シリーズは,作業療法学について知識のない学生さんでもわかりやすいように,読みやすく解説した作業療法学専門分野の講義用テキストである。
今回,改訂第2版では,「全体像」のページを見直し,本文の流れとよりシンクロさせ,全体像の中のイラストにも解説を盛り込んで理解しやすいように工夫した。また,国試関連のポイントも押さえられるよう「Point!」を新設し,さらに「用語アラカルト」「Case Study」「MEMO」については初版よりもさらに多く盛り込み充実させ,学生さんの理解の助けとした。「まとめのチェック」も各項目間のバラツキを是正し,全体的に統一感をもたせた。
本書『身体障害作業療法学』については,対象となる疾患の基礎から実践的な治療アプローチまで解説。解剖学や生理学などの基礎医学系の知識は,専門科目の流れの中で取捨選択して拾っているので,これまでの復習として知識の強化に役立てられる。卒業後の臨床を見越した知識だけに留まらない実践的な内容も含んでいる。
脳血管障害や脊髄損傷から終末期医療まで,臨床を念頭に置いた構成立てで,養成校での座学,臨床実習はもちろん,作業療法士として医療現場でいかに活躍の場を広げ,信頼を得られるかというところまで踏み込んで解説した,欲張りな講義用テキストである。

■シリーズ監修
長﨑重信


序文

第2版の編集の序

 5年前に「作業療法とは何かと悩んでいる学生の方が多いかと思います。」と書きましたが,この教科書を読もうとしている学生の皆さんはどうでしょうか? 
 私が作業療法士になった30年前は治療技術がないと何もできないと,若い人がこぞって技能研修会に参加したものです。治療技術は必要ですが,そこに留まって,対象者の生活に思いを寄せることができなかったように思います。作業療法教育の内容が変化してきたことが,最近の学生の作業療法への理解にも変化をもたらしているように思えます。最近,臨床実習を終えた学生が「患者様の生活に関わる作業療法士の仕事を選んで本当によかった」と話してくれました。臨床実習指導者の指導もあったのですが,機能訓練に終始せず,患者のこれからの生活について家族や仕事など総合的に考えていて,よい作業療法士になるだろうなと感心しました。
 身体障害の作業療法は何をしているのか比較的わかりやすいと思います。そうは言ってみても,理学療法と比較して,まだまだわかりにくいものとなっています。
 私から見ても「身体障害の作業療法では治療技術が全面に出てしまい,治療・訓練に固執して,その先にあるものが見えていない」と感じることが,まだ多くみられるように思います。このようななか,2013年に日本作業療法士協会が「生活行為向上マネジメント」の普及を始めています。これは対象者の主体性を大切にして,その人が望む生活に戻れるように,リハビリテーション・スタッフと対象者が協力して目標を達成しようというものです。
 身体障害分野で働く作業療法士には高い治療技術により,可能な限り機能回復を助けることが求められます。さらに機能の再獲得が困難な状況になった対象者に対して,補完的なアプローチや代償的なアプローチを用いて,対象者が生活者として地域で暮らせるように指導・援助しなければなりません。高齢者,難病患者,がん患者のように身体機能が低下していく対象者に対しても,残された時間のなかで自分らしく生きられるように援助することが作業療法士には求められ,関わる機会も増してきています。
 今回,この教科書では脳血管障害,脊髄損傷,手外科,熱傷,心臓疾患,呼吸器疾患,関節リウマチ,神経難病,ターミナル・ケアに加え,廃用症候群を加筆してもらいました。各疾患については急性期,回復期,維持期での作業療法士の関わりと,対象者が社会生活に戻るまでの援助方法の流れを示しています。地域における作業療法士の関わりについては「地域作業療法学」を参照することで,病院・施設から地域生活への流れについて理解を深めてほしいと思います。
 この教科書の執筆には,長年の臨床経験と最先端の知識を有し,作業療法教育の現場を知っている方々にお願いしました。
 学生の皆さんのみならず,臨床の先生方にも使っていただけたらと思います。

2015年8月
文京学院大学
長﨑重信
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目次

0 Introduction

1 身体障害における作業療法
 1 身体障害に対して作業療法は何ができるか?
 2 作業療法が本来もっている機能はこんなものなのだろうか?

1 治療学概論

1 身体障害作業療法の歴史・理論の変遷
 1 身体障害作業療法の歴史
 2 作業療法の身体障害への広がり
 3 身体障害作業療法にみられる治療理論
 まとめのチェック
2 評価から治療,そして地域へつなぐ
 1 作業療法士と対象者の出会い
 2 出会いで配慮すること
 3 面接は観察の始まり
 4 治療を始める前に
 5 評価から治療そして地域へ
 まとめのチェック
3 身体障害における治療・援助
 1 作業療法的介入の原理
 2 作業療法の介入の形態
 3 作業遂行の連続性概念と治療理論の関係
 4 関節可動域運動
 5 筋力増強訓練
 6 協調性訓練
 7 Brunnstromアプローチ
 8 Bobath法
 9 PNF
 まとめのチェック
4 作業療法で用いられる支援技術
 1 物理的な環境調整への支援
 2 社会福祉面からの支援
 3 職業復帰への支援
 まとめのチェック
5 日常生活活動(ADL)の指導
 1 日常生活活動(ADL)の評価
 2 ADLの指導
 まとめのチェック
6 福祉用具と環境改善
 1 福祉用具とは?
 2 福祉用具の提示
 3 住環境の整備
 まとめのチェック
7 地域生活への支援
 1 地域生活を支えるためには
 まとめのチェック

2 疾患別作業療法(中枢神経系)

1 脳血管障害
 1 脳血管障害とは?
 2 脳血管障害の症候とは?
 3 脳血管障害の医学的治療とは?
 4 脳血管障害のリハビリテーションとは?
 5 脳血管障害の作業療法評価とは?
 6 脳血管障害の作業療法
 まとめのチェック
2 頭部外傷(traumatic brain injury:TBI)
 1 頭部外傷とは?
 2 頭部外傷の評価
 3 頭部外傷の臨床像
 まとめのチェック

3 疾患別作業療法(整形外科系)

1 脊髄損傷(頸髄損傷)(spinal cord injury:SCI)
 1 脊髄損傷と作業療法士の関わり
 2 機能レベルの理解と活動レベル向上に向けた作業療法
 3 ADLの移乗移動手段
 4 ADLのセルフケア
 5 活動レベル向上のための工夫,自助具や福祉機器
 6 高位頸損者の環境制御とコミュニケーション
 7 社会参加:IL(自立生活)と性
 まとめのチェック
2 頸椎症性脊髄症
 1 頸椎症性脊髄症って何?
 2 頸部の構造はどうなっているの?
 3 頸椎症性脊髄症にはどのような特徴があるの?
 4 頸椎症性脊髄症の治療には何があるの?
 5 ADLで避けたい動作は?
 まとめのチェック
3 手の骨折
 1  手の骨折とは?
 2 代表的な手の骨折と合併症
 3 骨の修復方法
 4 骨折後の治癒過程(病期)
 5 仮骨形成と骨癒合
 6 骨癒合期間の相違
 7 変形治癒(変形癒合)
 8 骨修復後のハンドリハ
 9 拘縮の病態とスプリント療法
 10 関節拘縮に関与する組織別分類(拘縮の鑑別)
 11 浮腫と関節拘縮
 12 複合性局所疼痛症候群
 13 整形外科的治療およびハンドリハの方針の決定因子
 14 手の骨折症例に対するハンドリハ
 15 おわりに
 まとめのチェック
4 手指屈筋腱損傷
 1 手指屈筋腱とその腱損傷
 2 腱の血行
 3 屈筋腱腱鞘
 4 手指屈筋腱の損傷区分
 5 損傷腱の修復・再建法
 6 損傷状態の確認
 7 損傷直後の一次縫合の重要性
 8 修復までの期間
 9 関節可動域および手指腱機能評価
 10 手指屈筋腱修復症例に対するハンドリハの実際
 11 損傷腱の皮下癒着と腱剥離術
 12 おわりに
 まとめのチェック
5 手の末梢神経損傷 齋藤慶一郎
 1 手の末梢神経とその損傷
 2 神経損傷度と神経修復方法
 3 作業療法評価
 4 末梢神経損傷症例に対するハンドリハ
 5 末梢神経損傷に対するスプリント療法
 6 運動機能再建術とそのハンドリハ
 7 運動機能再建術前のハンドリハ
 8 運動機能再建術後のハンドリハ
 9 おわりに
 まとめのチェック
6 腱板損傷
 1 腱板とその損傷
 2 肩関節運動
 3 肩関節の補強組織
 4 腱板損傷の特徴
 5 臨床症状
 6 修復方法
 7 腱板損傷に対するリハビリテーション
 8 おわりに
 まとめのチェック
7 切断
 1 切断の原因
 2 切断の医学的理解
 3 切断の分類
 4 切断部位と義手
 5 リハビリテーション
 6 作業療法
 7 作業療法実施
 8 義手使用訓練
 9 フォローアップ(外来など)
 10 動力義手
 11 制度 274
 まとめのチェック
8 熱傷
 1 熱傷とは?
 2 皮膚の役割とは?
 3 熱傷を負うと全身状態はどうなるの?
 4 熱傷の重症度を左右するものは?
 5 熱傷の痛みはどんなもの?
 6 熱傷の医学的治療とは?
 7 熱傷の障害像とは?
 8 作業療法評価はどうするの?
 9 作業療法では何をするの?
 10 ADL指導はどうするの?
 11 肥厚性瘢痕に対してはどうするの?
 12 手の作業療法は?
 13 心理・社会面へのサポートは?
 14 退院後の生活指導
 まとめのチェック

4 疾患別作業療法(循環器・呼吸器疾患・膠原病)

1 心疾患
 1 虚血性心疾患とは?
 2 虚血性心疾患の治療は?
 3 弁膜症とは?
 4 心弁膜症の治療は?
 5 心不全とは?
 6 心不全の症状は?
 7 心不全の治療は?
 8 不整脈とは?
 9 心疾患の障害像
 10 心疾患のリハビリテーションとは?
 11 どんな運動を,どの程度すればいいの?
 12 作業療法の役割は?
 13 作業療法の評価はどうするの?
 14 作業療法では何をするの?
 15 ADLで具体的に気をつけることは?
 まとめのチェック
2 呼吸器疾患
 1 対象患者は?
 2 呼吸の仕組み
 3 呼吸リハビリテーションに必要な評価・情報収集
 4 リスク管理
 5 作業療法の目的・役割
 6 作業療法の評価
 7 ADL指導・訓練
 8 ADL指導・訓練の実際
 9 おわりに:息苦しさを疑似体験してみよう
 まとめのチェック
3 関節リウマチ
 1 関節リウマチの全体像
 2 関節リウマチの現状
 3 関節リウマチの経過
 4 知っておく必要のある亜型
 5 臨床的な症状と日常生活に与える影響
 6 初回評価面接
 7 ADLの評価と注意点
 8 関節症状や痛みに対して:機能障害(impairment)
 9 セルフケアに対して:活動(activity)
 10 環境や自助具に対して:参加(participation)
 まとめのチェック

5 疾患別作業療法(変性疾患・難病・ターミナルケア・廃用症候群)

1 パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)
 1 パーキンソン病とは?
 2 パーキンソン病の診断基準は?
 3 パーキンソン病の治療は?
 4 パーキンソン病以外のパーキンソン症状をきたす疾患は?
 5 パーキンソン病の作業療法は?
 6 ADL指導は?
 7 在宅支援は?
 まとめのチェック
2 ギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome:GBS)
 1 ギラン・バレー症候群とは?
 2 ギラン・バレー症候群の診断基準は?
 3 ギラン・バレー症候群の類似疾患は?
 4 ギラン・バレー症候群の治療法は?
 5 ギラン・バレー症候群の作業療法は?
 6 ADL指導は?
 7 在宅支援は?
 まとめのチェック
3 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)
 1 SCDとは?
 2 SCDの診断基準は?
 3 SCDの治療は?
 4 SCD以外の失調症状をきたす疾患は?
 5 SCDの作業療法は?
 6 ADL指導は?
 7 在宅支援は?
 まとめのチェック
4 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)
 1 多発性硬化症とは?
 2 多発性硬化症の診断基準は?
 3 多発性硬化症の類似疾患は?
 4 多発性硬化症の治療法は?
 5 多発性硬化症の作業療法は?
 6 ADL指導は?
 7 在宅支援は?
 まとめのチェック
5 多発性筋炎・皮膚筋炎(polymyositis:PM,dermatomyositis:DM)
 1 多発性筋炎・皮膚筋炎とは?
 2 多発性筋炎・皮膚筋炎の診断基準は?
 3 多発性筋炎・皮膚筋炎の類似疾患は?
 4 多発性筋炎・皮膚筋炎の治療法は?
 5 多発性筋炎・皮膚筋炎の作業療法は?
 6 ADL指導は?
 7 在宅支援は?
 まとめのチェック
6 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)
 1 筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは?
 2 ALSの診断基準は?
 3 ALSの治療は?
 4 ALSの作業療法は?
 5 ADL指導は?
 6 在宅支援は?
 まとめのチェック
7 筋ジストロフィー(muscular dystrophy:MD)
 1 筋ジストロフィーとは?
 2 筋ジストロフィーの診断は?
 3 筋ジストロフィーの治療法は?
 4 筋ジストロフィー以外の筋疾患は?
 5 筋ジストロフィーの作業療法は?
 6 ADL指導は?
 7 在宅支援は?
 まとめのチェック
8 ターミナルケア(終末期医療と作業療法)
 1 ターミナルケアという言葉の意味
 2 ターミナルケアの対象となる人
 3 なぜ,がんで死亡するのか?
 4 がん治療による死亡はないのか?
 5 ターミナルケアにおけるリハビリテーション
 6 機能回復リハビリテーションの構造
 7 がん専門病院におけるEoLCとしての医学的リハビリテーション・ニーズ
 8 EoLCとしての医学的リハビリテーションに対する要望
 9 EoLC・リハビリテーションと機能回復リハビリテーションの相違点
 10 EoLCとしてのリハビリテーションの実際
 11 EoLC・リハビリテーションにおける評価の問題点
 12 EoLC・リハビリテーションにおける治療・訓練
 13 死の受容
 14 ホスピス再考
 15 緩和ケア病棟と在宅ケア支援
 16 ビハーラとは何か?
 17 難病とは何か?
 まとめのチェック
9 廃用症候群
 1 廃用症候群とは?
 2 廃用症候群の評価
 3 加齢による諸機能の変化および他疾患の影響
 4 廃用症候群の作業療法
 5 チームでの介入
 まとめのチェック
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