作業療法学 ゴールド・マスター・テキスト

作業学(改訂第2版)

改訂第2版

作業学(改訂第2版)

■編集 浅沼 辰志

定価 5,170円(税込) (本体4,700円+税)
  • B5判  416ページ  2色,イラスト188点,写真425点
  • 2015年8月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1671-2

写真・図表・Case Studyをさらに数多く追加し,よりスケールアップした講義用テキストの改訂版!!

本シリーズは,作業療法学について知識のない学生でもわかりやすいように,読みやすく解説した作業療法学専門分野の講義用テキストである。
今回,改訂第2版では,「全体像」のページを見直し,本文の流れとよりシンクロさせ,全体像の中のイラストにも解説を盛り込んで理解しやすいように工夫した。また,国試関連のポイントも押さえられるよう「Point!」を新設し,さらに「用語アラカルト」「Case Study」「MEMO」については初版よりもさらに多く盛り込み充実させ,理解の助けとした。
本巻『作業学』では,患者に行ってもらう“作業”にどのような種類があり,またどのような効果が得られるかを数多く収載。またその基となる諸理論,事例を通じての具体的な応用例も記載した。
ぜひ,本書を通じて,作業療法とは何かを知って,将来の臨床につなげてほしい!

■シリーズ監修
長﨑重信


序文

改訂第2版 編集の序

 ここに,『作業学』改訂第2版が出版のはこびとなった。第1版から4年半ほど経過し,この間にも作業療法を取り巻く環境は刻々と変化している。そのなかで,日本作業療法士協会が推進している生活行為向上マネジメントが国の施策に反映されてきたことは特筆される。“ 生活行為向上マネジメントで実践する内容は作業療法そのものといえるが,このような一連の手続きを他の職種や行政,一般の人たちにも広く理解してもらい活用してもらうために,あえて「作業」または「作業療法」という表現をせず,生活行為,生活行為向上という言葉で表した(” 日本作業療法士協会:作業療法ガイドライン実践指針, p4, 2013年度版. )としている。「作業」や「作業療法」を一般の人たちに広く理解してもらうことはできないと最初から諦めているようにも思える。
 実際に人間が行う(行っている)作業は,趣味と実益を兼ねてなどといわれるように,その意味は決して一つではないし,社会・文化的な意味も存在する。このように作業のもつ意味の個別性や多面性を,一般の方にわかりやすく伝えることはなかなか難しいものであろうから,生活行為とした日本作業療法士協会の対応もある程度仕方ないとも思われる。
 作業療法における作業には,「治療の手段」として,あるいは「達成すべき目標」として,という2つの側面がある。“起きたけど 寝るまでとくに 用もなし(” 社団法人全国有料老人ホーム協会:シルバー川柳, ポプラ社, 2012. )これは七十三歳,無職の男性の川柳である。多くの高齢者は健康だといわれるが,この作者のように,すること(達成目標)もなく過ぎていく日々に身を任せている方も多いのではないかと想像する。自分にとって今しなければならないことは,時間が過ぎるのを待つことだという高齢者もいる。何もしないで時を過ごす,という生き方も一つの生活のスタイルなのかもしれない。しかし,人間は何もしないで生きていくことなど決してできない。これらの方たちからは「作業の専門家であるはずの作業療法士さん,われわれの老後を幸せにするために応援してね」といわれているように思う。
 今回の改訂に際して,各項執筆の先生方には多くの注文を付けさせていただいたが,無事出版にこぎつけることができた。また粛々と作業を進めてくださったメジカルビュー社編集部の間宮卓治・渡邊未央のお二人にも大変お世話になった。これら多くの方々に心からお礼申し上げる。
 本書が,多くの作業療法士になろうとする学生や新人作業療法士に活用されることを願っている。

2015年6月 
東京医療学院大学
浅沼辰志
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目次

■0章 Introduction
1 作業学を学ぶ方へ
 1 患者と作業療法
 2 作業療法士と作業

■1章 作業学総論
1 作業療法における作業
 1 作業の必要性と意義
 2 作業とは

2 作業学とは
 1 作業学とは〜「作業学」の構成要素としての「基礎作業学」「臨床作業学」〜
 2 作業学の構造と研究の枠組み

3 作業を用いた療法に関連する基本的事項
 1 「作業」によってしか実現できないこと
 2 作業のもつ多面性
 3 作業と発達・適応・回復
 4 作業療法における作業活用の歴史
 5 作業療法における一般的な治療の目的と作業を治療に用いる条件

■2章 作業の治療への適用
1 作業はどう使えば効果的か?〜症例を通して〜
 1 作業を効果的に用いるために
 2 初回評価
 3 1カ月後の再評価
 4 2カ月後の再評価
 5 3カ月後の再評価

2 身体機能を向上させるための方法
 1 身体障害の回復期における作業療法の目的
 2 各種の機能向上のための原理

3 作業分析
 1 作業分析
 2 作業分析の項目
 3 作業分析を基に作業を評価的に用いる

4 分析結果と治療目標
 1 作業療法の思考・適用プロセス
 2 分析結果と治療目標のマッチング検討例

5 治療実施における目標設定の順序性
 1 治療実施における目標設定の順序性
 2 訓練の進め方と考え方
 3 動作と座位のバランス
 4 立ち上がり動作
 5 まとめ

6 指導法
 1 指導法

■3章 作業実習
1 陶芸
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 実際の流れと実施上のコツ
 5 作業のもつ意味
 6 応用・展開
 7 禁忌事項
 8 まとめ

2 木工
 1 はじめに
 2 道具や材料
 3 作業実施上のコツ
 4 作業のもつ意味
 5 作業の応用・展開

3 革細工
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 実際の流れと実施上のコツ
 5 作業のもつ意味
 6 応用・展開
 7 禁忌事項
 8 まとめ

4 織物
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 実際の流れと実施上のコツ
 5 作業のもつ意味
 6 応用・展開
 7 禁忌事項
 8 まとめ

5 ぬり絵
 1 はじめに
 2 画材
 3 ぬり絵と脳の働き
 4 作業療法におけるぬり絵
 5 治療場面への応用
 6 完成した作品はどうしよう
 7 おわりに

6 籐細工
 1 はじめに
 2 基本知識
 3 編み方の基本
 4 作業の特性

7 ネット手芸
 1 作業の一般的特徴
 2 材料
 3 作業工程と必要な機能
 4 治療的特性−作業の段階付け
 5 おわりに

8 手工芸(ペーパーフラワー)
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 場所および管理
 5 作業工程
 6 作業の特性
 7 応用・展開

9 編み物
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 実際の流れと実施上のコツ
 5 作業のもつ意味
 6 応用・展開
 7 禁忌事項
 8 まとめ

10 タイルモザイク
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 実際の流れと実施上のコツ
 5 作業のもつ意味
 6 応用・展開
 7 禁忌事項
 8 まとめ

11 貼り絵
 1 貼り絵の特徴
 2 材料
 3 道具
 4 場所・管理
 5 作業工程
 6 作業の特性
 7 応用・展開

12 音楽(歌唱・楽器演奏)
 1 はじめに
 2 歌唱(コーラス)
 3 歌唱のプログラム例
 4 楽器演奏(和太鼓)
 5 楽器演奏のプログラム例
 6 作業のもつ意味
 7 応用・展開

13 習字(書道・ペン習字)
 1 はじめに
 2 材料・用具
 3 実際の手順と注意事項
 4 作業のもつ意味
 5 応用・展開

14 文芸活動
 1 はじめに
 2 文芸活動の種類
 3 個別と集団

15 ゲーム
 1 はじめに
 2 トランプ
 3 囲碁
 4 将棋
 5 花札
 6 麻雀
 7 おわりに

16 電子機器
 1 はじめに
 2 携帯電話
 3 パソコン

17 ビーズ手芸
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 場所および管理
 5 作業工程
 6 作業の特性
 7 応用・展開

18 調理
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 実際の流れと実施上のコツ
 5 作業のもつ意味
 6 応用・展開
 7 禁忌事項
 8 まとめ

19 園芸・農作業
 1 はじめに
 2 園芸作業について
 3 園芸プログラム
 4 プログラム1. クラフトガーデンづくり
 5 プログラム2. 菜園づくり
 6 おわりに

20 感覚運動遊び
 1 はじめに
 2 視覚系の遊び
 3 聴覚系の遊び
 4 触覚系の遊び
 5 前庭覚系の遊び
 6 固有受容覚系の遊び

21 マクラメ
 1 はじめに
 2 必要となる材料・用具
 3 作業の特性
 4 基本となる結び
 5 マクラメの治療的特性
 6 治療目的からみたマクラメ
 7 おわりに

22 ペーパーロール
 1 はじめに
 2 材料
 3 道具
 4 作業の流れ
 5 作業のもつ意味
 6 応用・展開
 7 禁忌事項
 8 まとめ

■4章 治療への応用─事例を通して─
1 身体障害
 1 身体障害とは
 2 整形疾患ケーススタディ
 3 中枢疾患ケーススタディ
 4 おわりに

2 精神障害
 1 精神障害の特性
 2 導入マネジメント
 3 臨床事例

3 発達障害
 1 発達期の子供たちの作業とは
 2 発達期の作業が障害されるとは
 3 実践のなかでの「作業」の用い方
 4 遊びを理解すること
 5 作業療法実践での作業の用い方
 6 まとめ

4 高齢障害者
 1 高齢者が行っている「作業」
 2 障害が軽微な場合には,どのように作業を応用するのか

5 介護老人保健施設における作業活動の実践
 1 はじめに
 2 まず作業活動のスケジュールを決める
 3 創作活動:作業種目を決める
 4 集団体操
 5 園芸療法
 6 レクリエーション
 7 まとめ

6 健康促進に向けた作業の活用
 1 体調管理ができるようになってから働くことを支援する? −対象者
 2 作業療法士はなぜ作業を活用するの? −作業を活用する意義と目的
 3 作業は作業療法室でのみ活用する? −作業を行う場所と範囲
 4 どのように働くことが健康を促進する? −作業科学の応用
 5 対象者が健康的に働くために何に注目する? −評価・介入を検討する事柄
 6 健康的に働くためにどのような介入をする? −介入方法の概要
 7 作業療法の独自性は? −意味ある作業は手段でもあり目標でもある

■5章 諸理論と作業
1 人間作業モデルと作業
 1 人間作業モデル
 2 行為者である人間
 3 環境
 4 行為の3つの次元
 5 作業適応
 6 MOHOの視点による評価・プログラム立案過程における作業

2 精神分析と作業
 1 はじめに
 2 精神分析について
 3 人の心を理解するということについて
 4 作業について
 5 精神分析的視点と作業
 6 臨床での応用について
 7 おわりに

3 感覚統合と作業
 1 はじめに
 2 感覚統合理論とは
 3 感覚統合機能
 4 感覚統合理論で扱う感覚刺激
 5 感覚刺激と発達
 6 各感覚刺激,感覚機能と発達
 7 感覚統合障害とは
 8 感覚統合療法と作業としての遊び
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