一目でわかる眼疾患の見分け方 下巻
ぶどう膜疾患,網膜・硝子体疾患
定価 14,300円(税込) (本体13,000円+税)
- A4変型判 196ページ オールカラー,イラスト30点,写真600点
- 2016年3月24日刊行
- ISBN978-4-7583-1623-1
序文
本書は1990年(平成2年)に刊行された『目でみる眼科確定診断』の企画主旨を踏襲した新版である。今でこそ,図や写真を中心とした「目でみる」テキストが主流となっているが,『目でみる眼科確定診断』が刊行された当時はそういうテキストはあまりなく,言ってみればその流れの先駆けとなった歴史的な刊行物であったと言える。それから四半世紀が経過して,このたびその由緒ある元祖「目でみる」が『一目でわかる眼疾患の見分け方』という題名のもと,リニューアルされることになった。
この下巻は代表的なぶどう膜炎と網膜硝子体疾患についてまとめたものである。『目でみる眼科確定診断』の刊行から25年以上が経過し,ぶどう膜炎や網膜硝子体疾患の診断・治療は大きく変化し,進歩した。1990年においてもフルオレセイン蛍光造影検査は一般的に行われていたが,インドシニングリーン蛍光造影検査は一般臨床ではあまり用いられていなかった。光干渉断層計(OCT)は存在せず,遺伝子検索もほとんど行われていなかった。特にOCTは眼科診療を革命的に変化させ,現在では必須の検査機器であるが,市販機が発売されたのは1996年であり,日本への導入は1997年である。『目でみる眼科確定診断』が刊行された1990年は奇しくも山形大学の丹野直弘教授によりOCTの基本原理の特許出願された年である。以上のような点を勘案して,旧版の目次立てを尊重しつつも,項目やページ数の大幅な見直しを行い,すべての項目を現在べストと考えられる執筆者にお願いして新たに書き下ろしていただいた。また,旧版当時は鑑別診断が主体であったが,この新版では,もちろんそれも大きなポイントとしながら,それに加えて治療方針を決めるにあたって必要な画像が盛り込まれた項目もある。各疾患の解説については,旧版を踏襲して,疾患の定義,疫学,病態生理・病理,臨床所見,鑑別診断のポイント,治療方針,予後などに分けて簡潔な知識が得られるように配慮してある。
眼科は,我々眼科医が直接目で見て診断することのできる疾患が多く,それが一つの大きなアドバンテージになっている。しかし,逆に見たことがないと診断ができないということでもあり,若い先生方でも本書を駆使することで,はじめて見る疾患を診断し,治療方針を考えていただくことができるなら望外の喜びである。また,ベテランの先生方も最新の画像検査の知識を吸収して,日常診療をステップアップさせるために,座右の書としていただければ幸いである。
最後に本書刊行にあたって,多大なご尽力をいただいたメジカルビュー社の吉川みゆき氏に厚く感謝する次第である。
2016年2月
編集を代表して
大路 正人
門之園 一明
この下巻は代表的なぶどう膜炎と網膜硝子体疾患についてまとめたものである。『目でみる眼科確定診断』の刊行から25年以上が経過し,ぶどう膜炎や網膜硝子体疾患の診断・治療は大きく変化し,進歩した。1990年においてもフルオレセイン蛍光造影検査は一般的に行われていたが,インドシニングリーン蛍光造影検査は一般臨床ではあまり用いられていなかった。光干渉断層計(OCT)は存在せず,遺伝子検索もほとんど行われていなかった。特にOCTは眼科診療を革命的に変化させ,現在では必須の検査機器であるが,市販機が発売されたのは1996年であり,日本への導入は1997年である。『目でみる眼科確定診断』が刊行された1990年は奇しくも山形大学の丹野直弘教授によりOCTの基本原理の特許出願された年である。以上のような点を勘案して,旧版の目次立てを尊重しつつも,項目やページ数の大幅な見直しを行い,すべての項目を現在べストと考えられる執筆者にお願いして新たに書き下ろしていただいた。また,旧版当時は鑑別診断が主体であったが,この新版では,もちろんそれも大きなポイントとしながら,それに加えて治療方針を決めるにあたって必要な画像が盛り込まれた項目もある。各疾患の解説については,旧版を踏襲して,疾患の定義,疫学,病態生理・病理,臨床所見,鑑別診断のポイント,治療方針,予後などに分けて簡潔な知識が得られるように配慮してある。
眼科は,我々眼科医が直接目で見て診断することのできる疾患が多く,それが一つの大きなアドバンテージになっている。しかし,逆に見たことがないと診断ができないということでもあり,若い先生方でも本書を駆使することで,はじめて見る疾患を診断し,治療方針を考えていただくことができるなら望外の喜びである。また,ベテランの先生方も最新の画像検査の知識を吸収して,日常診療をステップアップさせるために,座右の書としていただければ幸いである。
最後に本書刊行にあたって,多大なご尽力をいただいたメジカルビュー社の吉川みゆき氏に厚く感謝する次第である。
2016年2月
編集を代表して
大路 正人
門之園 一明
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目次
第3章 ぶどう膜疾患
先天異常
網脈絡膜コロボーマ(ぶどう膜欠損)
先天無虹彩症
瞳孔膜遺残
白皮(白子)症,虹彩異色
内因性ぶどう膜炎
Fuchs虹彩異色性毛様体炎
Posner-Schlossman症候群
急性前部ぶどう膜炎
若年性特発性関節炎に伴うぶどう膜炎
Behçet病
Votg-小柳-原田病(原田病)
サルコイドーシス
交感性眼炎
感染性(外因性)ぶどう膜炎
結核性ぶどう膜炎
梅毒性ぶどう膜炎
HTLV-1関連ぶどう膜炎
ヘルペス性虹彩毛様体炎
細菌性眼内炎
真菌性眼内炎
その他のぶどう膜炎
眼内悪性リンパ腫
地図状脈絡膜炎
急性後部多発性斑状色素上皮症
腫瘍
太田母斑
脈絡膜悪性黒色腫
転移性脈絡膜腫瘍
脈絡膜血管腫
脈絡膜骨腫
第4章 網膜・硝子体疾患
血管性疾患
網膜動脈分枝閉塞症(毛様網膜動脈閉塞症,網膜動脈閉塞症と網膜中心静脈閉塞症の合併,含む)
網膜中心動脈閉塞症
網膜静脈分枝閉塞症
網膜中心静脈閉塞症
糖尿病網膜症
糖尿病黄斑浮腫
高血圧性網膜病変
腎性網膜症
虚血性網膜症
未熟児網膜症
黄斑毛細血管拡張症
変性疾患
停在性夜盲症
先天性停在性夜盲
小口病
白点状眼底
進行性夜盲症
網膜色素変性
区画型網膜色素変性
白点状網膜炎
黄斑変性症
錐体(-杆体)ジストロフィ
Stargardt病
卵黄様黄斑ジストロフィ
オカルト黄斑ジストロフィ
家族性ドルーセン
中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィ
その他の網膜変性症
結晶沈着網膜症(Biettiクリスタン網膜症)
コロイデレミア
網膜硝子体変性症
先天網膜分離症(X連鎖性網膜分離症)
Stickler症候群,Wagner病,Goldmann-Favre病
家族性滲出性硝子体網膜症
黄斑疾患
加齢黄斑変性
前駆病変
滲出型加齢黄斑変性(網膜色素上皮裂孔 含む)
萎縮型加齢黄斑変性
近視性黄斑症
近視性網脈絡膜萎縮
近視性脈絡膜新生血管
近視性黄斑出血(単純型)
後部ぶどう腫
近視性網膜分離症
網膜色素線条症
網膜前膜
網膜前膜(特発性黄斑上膜)
続発性網膜前膜
黄斑円孔
全層黄斑円孔
層状黄斑円孔
偽黄斑円孔
網膜剥離と関連疾患
周辺部網膜変性
網膜格子状変性
網膜格子状変性巣内萎縮性円孔
網膜格子状変性巣縁牽引性網膜裂孔
裂孔原性網膜剥離
網膜剥離と裂孔の位置
若年性扁平網膜剥離
陳旧性網膜剥離
弁状裂孔による胞状網膜剥離
巨大裂孔網膜剥離
強度近視黄斑円孔網膜剥離
増殖性硝子体網膜症
増殖性硝子体網膜症
前部増殖性硝子体網膜症
続発性網膜剥離
中心性漿液性脈絡網膜症
uveal effusion
多発性後極部網膜色素上皮症
乳頭ピット黄斑症候群
朝顔症候群
鈍的外傷
網膜振盪症(Berlin混濁)
硝子体出血
脈絡膜破裂による続発性血管新生黄斑症
穿孔性外傷
硝子体出血
眼内異物
牽引性網膜剥離,裂孔原性網膜剥離
感染症,腫瘍その他
網膜炎
眼トキソプラズマ症
眼トキソカラ症
急性網膜壊死(桐沢型ぶどう膜炎)
サイトメガロウイルス網膜炎
白色瞳孔
網膜芽細胞腫
Coats病
第一次硝子体過形成遺残
瘢痕期未熟児網膜症
その他の白色瞳孔
血管性眼内腫瘍
Wyburn-Mason症候群,脳動脈静脈蔓状血管腫症
硝子体出血
完全後部硝子体剥離を伴う硝子体出血
不完全後部硝子体剥離を伴う硝子体出血
裂孔原性網膜剥離を伴う硝子体出血
網膜下,脈絡膜出血を伴う硝子体出血
先天異常
網脈絡膜コロボーマ(ぶどう膜欠損)
先天無虹彩症
瞳孔膜遺残
白皮(白子)症,虹彩異色
内因性ぶどう膜炎
Fuchs虹彩異色性毛様体炎
Posner-Schlossman症候群
急性前部ぶどう膜炎
若年性特発性関節炎に伴うぶどう膜炎
Behçet病
Votg-小柳-原田病(原田病)
サルコイドーシス
交感性眼炎
感染性(外因性)ぶどう膜炎
結核性ぶどう膜炎
梅毒性ぶどう膜炎
HTLV-1関連ぶどう膜炎
ヘルペス性虹彩毛様体炎
細菌性眼内炎
真菌性眼内炎
その他のぶどう膜炎
眼内悪性リンパ腫
地図状脈絡膜炎
急性後部多発性斑状色素上皮症
腫瘍
太田母斑
脈絡膜悪性黒色腫
転移性脈絡膜腫瘍
脈絡膜血管腫
脈絡膜骨腫
第4章 網膜・硝子体疾患
血管性疾患
網膜動脈分枝閉塞症(毛様網膜動脈閉塞症,網膜動脈閉塞症と網膜中心静脈閉塞症の合併,含む)
網膜中心動脈閉塞症
網膜静脈分枝閉塞症
網膜中心静脈閉塞症
糖尿病網膜症
糖尿病黄斑浮腫
高血圧性網膜病変
腎性網膜症
虚血性網膜症
未熟児網膜症
黄斑毛細血管拡張症
変性疾患
停在性夜盲症
先天性停在性夜盲
小口病
白点状眼底
進行性夜盲症
網膜色素変性
区画型網膜色素変性
白点状網膜炎
黄斑変性症
錐体(-杆体)ジストロフィ
Stargardt病
卵黄様黄斑ジストロフィ
オカルト黄斑ジストロフィ
家族性ドルーセン
中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィ
その他の網膜変性症
結晶沈着網膜症(Biettiクリスタン網膜症)
コロイデレミア
網膜硝子体変性症
先天網膜分離症(X連鎖性網膜分離症)
Stickler症候群,Wagner病,Goldmann-Favre病
家族性滲出性硝子体網膜症
黄斑疾患
加齢黄斑変性
前駆病変
滲出型加齢黄斑変性(網膜色素上皮裂孔 含む)
萎縮型加齢黄斑変性
近視性黄斑症
近視性網脈絡膜萎縮
近視性脈絡膜新生血管
近視性黄斑出血(単純型)
後部ぶどう腫
近視性網膜分離症
網膜色素線条症
網膜前膜
網膜前膜(特発性黄斑上膜)
続発性網膜前膜
黄斑円孔
全層黄斑円孔
層状黄斑円孔
偽黄斑円孔
網膜剥離と関連疾患
周辺部網膜変性
網膜格子状変性
網膜格子状変性巣内萎縮性円孔
網膜格子状変性巣縁牽引性網膜裂孔
裂孔原性網膜剥離
網膜剥離と裂孔の位置
若年性扁平網膜剥離
陳旧性網膜剥離
弁状裂孔による胞状網膜剥離
巨大裂孔網膜剥離
強度近視黄斑円孔網膜剥離
増殖性硝子体網膜症
増殖性硝子体網膜症
前部増殖性硝子体網膜症
続発性網膜剥離
中心性漿液性脈絡網膜症
uveal effusion
多発性後極部網膜色素上皮症
乳頭ピット黄斑症候群
朝顔症候群
鈍的外傷
網膜振盪症(Berlin混濁)
硝子体出血
脈絡膜破裂による続発性血管新生黄斑症
穿孔性外傷
硝子体出血
眼内異物
牽引性網膜剥離,裂孔原性網膜剥離
感染症,腫瘍その他
網膜炎
眼トキソプラズマ症
眼トキソカラ症
急性網膜壊死(桐沢型ぶどう膜炎)
サイトメガロウイルス網膜炎
白色瞳孔
網膜芽細胞腫
Coats病
第一次硝子体過形成遺残
瘢痕期未熟児網膜症
その他の白色瞳孔
血管性眼内腫瘍
Wyburn-Mason症候群,脳動脈静脈蔓状血管腫症
硝子体出血
完全後部硝子体剥離を伴う硝子体出血
不完全後部硝子体剥離を伴う硝子体出血
裂孔原性網膜剥離を伴う硝子体出血
網膜下,脈絡膜出血を伴う硝子体出血
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ぶどう膜,網膜硝子体の検査所見が整然と並べられたレイアウトで,自然と疾患の特徴が記憶に残る! 鑑別診断,確定診断のトラの巻!
本書は,ぶどう膜疾患,網膜・硝子体疾患,それぞれの特徴的な所見を,読者の視覚に訴えるレイアウトで並べ,日常診療の場で鑑別診断,確定診断に苦慮した際にすぐに役立つよう構成。
もともとビジュアル(フォト,画像)検査の多い眼科だが,角結膜疾患,緑内障の診断機器で新しいものが登場し,鮮明に病状が観察できるように進化していることを踏まえ,新しい検査所見も掲載している。
患者を診察するときに所見の特徴を的確に捉え,疑わしきいくつかの疾患のなかから特徴の有無でふるいにかけ,確定診断にたどりつくことが必要とも考えられ,そのためにはさまざまな所見の様子を知っておくことが診断をスムーズに進めるために大切と思われる。
整然とした検査所見の並びが読者の記憶を鮮明にし,かつ,類似疾患と見比べることでより特徴的所見が明確になり,日常の診療に自信をもって取り組んでいただけるトラの巻となっている。