新NS NOW 1
バイパス術のすべて
次世代への技術の継承
- サンプルページ
どなたでもご覧いただけます
定価 12,100円(税込) (本体11,000円+税)
- A4判 196ページ オールカラー,イラスト100点,写真60点
- 2015年2月19日刊行
- ISBN978-4-7583-1561-6
電子版
序文
新NS NOW創刊号は「バイパス術のすべて」といたしました。私自身はバイパス術のエキスパートではないのですが,一方でそれがゆえに自分が本当に知りたいことを中心に,客観的で偏りのない視点からテーマを決めさせていただいたと思います。
周知の事実ですが,バイパス術は特に脳虚血領域において日本以外では,その有用性が否定されようとしています。しかし,日本人の丁寧な手術によって脳虚血への治療もなんとかその有用性を保てると信じますし,血管内治療や定位放射線治療など非観血的治療の進歩により,脳神経外科手術における手術手技として,最も基本的かつ重要な手技として残るのがバイパス術であると信じております。
その日本の高い技術を維持し,またさらに発展させるためには,手術の内容を通り一遍に理解するのではなく,その道の熟練者達が経験した道筋から,きわめて重要なコンセプト,手術プランの立て方,肝となる技術,そしてはまってはいけないpitfall を教えていただく必要があります。本書にはその重要なポイントの数々を,真の日本のエキスパートの先生方に執筆していただいた内容が満載されています。
また,脳神経外科領域だけの考えに留まることなく,他領域でのバイパス技術の考えや,技を知ることによって,さらに脳神経外科におけるバイパス技術の領域や適応を広げることができると考え,私の本当に尊敬する他領域の先生方にも執筆に加わっていただきました。それにより最強の布陣による手術書となりました。
改めて本書の全体を読み返しますと,まるでバイパス術の奥義書のような内容に驚きます。ひとえに執筆いただいた先生方に深く感謝いたします。また読者の先生方には,ぜひ本書を活用し,明日の診療に役立てていただければ幸いです。
本書が世界に冠たる「日本のバイパス技術」を残し,次世代に伝える礎になることを願います。
2015年2月
日本医科大学大学院脳神経外科学大学院教授
森田明夫
周知の事実ですが,バイパス術は特に脳虚血領域において日本以外では,その有用性が否定されようとしています。しかし,日本人の丁寧な手術によって脳虚血への治療もなんとかその有用性を保てると信じますし,血管内治療や定位放射線治療など非観血的治療の進歩により,脳神経外科手術における手術手技として,最も基本的かつ重要な手技として残るのがバイパス術であると信じております。
その日本の高い技術を維持し,またさらに発展させるためには,手術の内容を通り一遍に理解するのではなく,その道の熟練者達が経験した道筋から,きわめて重要なコンセプト,手術プランの立て方,肝となる技術,そしてはまってはいけないpitfall を教えていただく必要があります。本書にはその重要なポイントの数々を,真の日本のエキスパートの先生方に執筆していただいた内容が満載されています。
また,脳神経外科領域だけの考えに留まることなく,他領域でのバイパス技術の考えや,技を知ることによって,さらに脳神経外科におけるバイパス技術の領域や適応を広げることができると考え,私の本当に尊敬する他領域の先生方にも執筆に加わっていただきました。それにより最強の布陣による手術書となりました。
改めて本書の全体を読み返しますと,まるでバイパス術の奥義書のような内容に驚きます。ひとえに執筆いただいた先生方に深く感謝いたします。また読者の先生方には,ぜひ本書を活用し,明日の診療に役立てていただければ幸いです。
本書が世界に冠たる「日本のバイパス技術」を残し,次世代に伝える礎になることを願います。
2015年2月
日本医科大学大学院脳神経外科学大学院教授
森田明夫
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目次
Ⅰ 基本編
血管吻合の基本手技 村井保夫,森田明夫
血管吻合のトレーニング① 1 万針の真意 井上智弘
血管吻合のトレーニング② チューリヒ大学におけるバイパス術練習法 吉村紳一
虚血性脳血管障害慢性期に対するバイパス術の適応と画像診断 小笠原邦昭
血管吻合手術を確実に行うためのセットアップ 杉山 拓,寳金清博
Ⅱ 応用編
STA-MCAバイパス術 上山博康
もやもや病のバイパス術 黒田 敏
バイパスを併用した脳動脈瘤手術—High-flow bypass 太田仲郎,谷川緑野
STA-SCAバイパス術 菊池隆幸,宮本 享
深部バイパス術—V3-RA-PCA 中冨浩文,根城堯英
バイパスのバリエーション 数又 研
大血管バイパス術 人工血管や血管転位などを用いた頚部,上胸部,椎骨動脈のバイパス術 岡田芳和,米山 琢,山口浩司
静脈の血行再建 本山 靖,中瀬裕之
バイパス術のリカバリー技術 木村俊運
ロボットとバイパス術 ロボットのmicrosurgery への応用と科学的手術手技評価 森田明夫,楚良繁雄,光石 衛
・他領域のバイパス術
心臓血管外科のバイパス術 天野 篤
形成外科のバイパス術① 超微小血管吻合(Supermicrosurgery) 光嶋 勲,田代絢亮,山下修二,加藤 基
形成外科のバイパス術② 岡崎 睦
血管外科のバイパス術 百川文健,前田剛志,金岡祐司,大木隆生
◆シリーズ わたしの手術記載
①脳底動脈先端部の動脈瘤 上山博康
②類もやもや病を合併した脳動脈瘤(くも膜下出血) 木村俊運
血管吻合の基本手技 村井保夫,森田明夫
血管吻合のトレーニング① 1 万針の真意 井上智弘
血管吻合のトレーニング② チューリヒ大学におけるバイパス術練習法 吉村紳一
虚血性脳血管障害慢性期に対するバイパス術の適応と画像診断 小笠原邦昭
血管吻合手術を確実に行うためのセットアップ 杉山 拓,寳金清博
Ⅱ 応用編
STA-MCAバイパス術 上山博康
もやもや病のバイパス術 黒田 敏
バイパスを併用した脳動脈瘤手術—High-flow bypass 太田仲郎,谷川緑野
STA-SCAバイパス術 菊池隆幸,宮本 享
深部バイパス術—V3-RA-PCA 中冨浩文,根城堯英
バイパスのバリエーション 数又 研
大血管バイパス術 人工血管や血管転位などを用いた頚部,上胸部,椎骨動脈のバイパス術 岡田芳和,米山 琢,山口浩司
静脈の血行再建 本山 靖,中瀬裕之
バイパス術のリカバリー技術 木村俊運
ロボットとバイパス術 ロボットのmicrosurgery への応用と科学的手術手技評価 森田明夫,楚良繁雄,光石 衛
・他領域のバイパス術
心臓血管外科のバイパス術 天野 篤
形成外科のバイパス術① 超微小血管吻合(Supermicrosurgery) 光嶋 勲,田代絢亮,山下修二,加藤 基
形成外科のバイパス術② 岡崎 睦
血管外科のバイパス術 百川文健,前田剛志,金岡祐司,大木隆生
◆シリーズ わたしの手術記載
①脳底動脈先端部の動脈瘤 上山博康
②類もやもや病を合併した脳動脈瘤(くも膜下出血) 木村俊運
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最も基本的な手技である「バイパス術」が究められる1冊
新NS NOW創刊号として,「バイパス術」を取り上げた。手術の低侵襲化が進むなか,バイパス術は脳神経外科手術における手術手技として,最も基本的かつ重要な手技であり,若手医師は必ず習得しておくべき技術である。
Ⅰ章は「基本編」とし,血管吻合のトレーニング法,手術のセットアップを解説。現在ベテランと言われる医師達が,自身がどうトレーニングしてきたのか,また,若手医師に指導する際に気をつけている点は何かを,ていねいに紹介している。
Ⅱ章は「応用編」とし,部位別にバイパス術を解説している。それぞれの手術部位ごとの制約があるなかで,いかに良い術場を作るか,バイパス部はどう選ぶか,縫合時に気をつけることは何か,などシチュエーションごとに記述している。
さらに,創刊号では「他領域のバイパス術」と題し,脳神経外科医にとどまらず,バイパス術を行う血管外科,形成外科の医師にも執筆していただいた。他科の技術からも得られる知識が,脳神経外科のバイパス術に活かせることもあるはずである。
本書は,バイパス術のすべてがわかる,若手医師必携の1冊である。