エキスパートも唸る

進化する消化器治療内視鏡

症例と動画で学ぶ独創的工夫から先進内視鏡治療まで

進化する消化器治療内視鏡

■著者 森 宏仁

定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
  • i_movie.jpg
  • B5判  160ページ  オールカラー,写真200点
  • 2017年10月19日刊行
  • ISBN978-4-7583-1531-9

症例と動画から学ぶ最先端の内視鏡治療を解説!

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD),内視鏡的粘膜切除術(EMR)に代表される消化器内視鏡治療の基本から最新治療までを,多くの症例に関わってきた著者が解説。OTSCなど新しい知見についても紹介。ストリーミング動画(27本)で著者の技を見ることができる!


序文

推薦のことば

この度,「エキスパートも唸る! 進化する消化器治療内視鏡 ─ 症例と動画で学ぶ独創的工夫から先進内視鏡治療まで─」がメジカルビュー社から刊行された。著者である森 宏仁先生とは,私が北野正剛先生(現:大分大学学長)とともに,2007 年にNOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery)研究会( 現: 先進内視鏡治療研究会 Japan Consortium for Advanced Surgical Endoscopy;J-CASE)を立ち上げた頃からのお付き合いである。森 宏仁先生は,消化器内科医として臨床の第一線で活躍する傍ら,産学共同研究・医工連携を積極的に推進して,多くの研究開発をされている。たゆまぬご努力に心からの敬意を表したい。
 この30数年間,内視鏡治療手技は,早期消化管悪性腫瘍に対する治療を軸に発達してきた。1980年代以降,内視鏡的粘膜切除術(EMR)が広く普及して一般的治療となったが,1990年代後半にはいり,より広い範囲の腫瘍を一括で切除可能な内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)へと進化していった。以来,内視鏡関連機器・技術は診断系も含めて目覚ましい進歩を遂げ,最近では汎用性の高いシンプルな軟性内視鏡用縫合機器や治療内視鏡のための新技術の開発が進んできている。このような時代的背景のなかで森 宏仁先生は,常に独創的な治療手技と先端技術開発における“最前線の旗手”として大活躍されている。本書は,タイトルが示すように“独創的工夫から先進内視鏡治療”について,森 宏仁先生が寝食を忘れ,精魂を傾けて症例と動画で解説した力作である。未来に向けて挑戦を続ける気概をもち,次世代を担う消化器内視鏡の先生方に必ずやお役に立てるものと信じている。

2017年10月
日本消化器内視鏡学会理事長
田尻久雄

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推薦のことば

 本書が,数多ある類書と異なるのは,著者である森先生のほとばしる情熱が感じられる点であろう。EMRやESDを成功させるために,筆者はいろいろな工夫を加えている。工夫するのは誰でも考えるが,それを実現させ,形にするには多くの障害がある。乗り越えていくために私が一番重要だと考えるのは「成し遂げる」,という内視鏡医の情熱だ。
 近年,森先生の知己を得,親しく接するようになって感じたのは,森先生は熱い漢である,ということである。情熱がものごとを前に進めるということを本書は物語っている。
 本書で,森先生はさまざまなオリジナルの手技や,過去の手技の改良を詳説している。本書を読んで,正直私はわくわくした。私ならこうしてみようか,この手技はほんとうにうまくいくだろうか,と思いながらどんどん読み進めた。例えば,リング糸法は,私が20年前に輪ゴムを用いて行った方法によく似ているが,当時の私はあまりうまくいかずに断念した。森先生のいうあやとり式を使えばもっとうまくいったかも,とちょっとくやしく思ったりもした。まだ私にとって十分納得のいくパフォーマンスができていない十二指腸ESDを,pre-clipping法で局注するというくだりは,クリップが邪魔にならないか? と思いつつも是非今度試してみようと密かに思っている。
 本書を手にとられた方は,そろそろ内視鏡治療を始めようという若手だろうか,ある程度できるようになったが,少し行き詰まりを感じている中堅の内視鏡医だろうか。それともエキスパートと呼ばれるようなベテランであろうか。やや薹の立った私ですら,心を揺さぶられた本書である。若手や中堅どころの内視鏡医は本書を読むことで,新たにチャレンジしようとする情熱が必ずや沸き起こると信じている。
 本書はわれわれ内視鏡医のモチベーションをさらに上げてくれる良書である。内容はもちろんのこと,森先生の情熱を感じて,若い内視鏡医たちが内視鏡の世界をbreak thoughしてくれることを願ってやまない。われわれも負けないぞ,と思いつつ。

2017年10月
静岡県立静岡がんセンター副院長
小野裕之

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推薦のことば

 今回『エキスパートも唸る! 進化する消化器治療内視鏡』が,メジカルビュー社より上梓される事となった。執筆は,内視鏡界のエジソンかはたまた平賀源内か,と言われる超凡なイノベーター,香川大学森宏仁先生である。
 我々の世代の内視鏡医は,それこそドラえもんのポケットのごとく,溢れ出るアイディア・発明を生み出す森先生の学会発表や講演を聞いてきた世代である。なんだか楽しそうな人だなぁ,次から次へとどういう頭の仕組みになっているのだろう,内科医から外科医?? 垣根無し?? アイディアだけではなく内視鏡医の立ち位置自体を変えてしまう様な猪突猛進の真っ直ぐな人だなぁ,というのが第一印象であった。私は「一民間病院の医師ですから」,森先生ご自身も「地方大学だから」,とお互い中央で活躍する先生に引け目を感じていた部分もあり,「一緒に手を組んて中央に風穴を開けましょう」と声掛けして頂いて以来のお付き合いである。内視鏡医として私は技術屋色が強いタイプだが,無い物ねだりか自身は常々技術無しでだれでもできる方法を考えるのが一番と公言している。それを地でいくのがアイディアマンとしての森先生であり,考案してきた技術を超えるアイディアを数知れず目の当たりにしてきた。そしてこの10数年の珠玉の発明品・アイディアが詰め込まれている宝箱の様なものが本書である。
 この本を強く推薦するには,いくつかの理由がある。第一に“類書をみない”という事である。最新のアイディアが定期刊行誌に掲載されることはあるが,それを一冊の本としてまとめられたものはみたことがない。そもそも一人の内視鏡医が,一冊の本を作るほどのオリジナルのアイディアなどあるはずもないのだが…。第二に“単著である”という事である。単著の本は執筆者の思い入れは分担執筆の比ではなく,そして一冊の読み物として熱いのである。分担執筆はお行儀よくまとまっているが,私自身熱い思いを感じられたことがあまりない。単著は執筆者の思いが学術書という枠組みでは収まらないノウハウを含めた面白みのある内容を生み,読み手を夢中にさせるのであろう。そして最後に“科学的裏付け”があるアイディア集だという事である。森先生のすごいところはただのアイディアマンにとどまらず,それらを科学的に論文化して有効性や安全性を評価していることである。ただの思い付きでなく科学的検証がある事は,倫理的にも実臨床で活用する上で拠り所となりうるであろう。
 森先生より若輩者の立場ゆえに,自由に思うことを書かせていただいた。まさに百聞は一見にしかず,稀代の発明家内視鏡医の発明集を手に取ってみてはいかがだろうか。一気に読み切ってしまう事請け合いである。

2017年10月
NTT 東日本関東病院内視鏡部部長
大圃 研

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 本書は,基本から先進内視鏡治療・手術までを紹介した著者の“渾身の一冊”である。
 著者の時代は,現在のように研修医制度で各科を経験できる制度がなかったため,1人で興味ある科にどんどんお願いし,医学を吸収していった。卒後3 年間は,CT,MRI,US,RI などを駆使した全身診断学,血管内治療(IVR)と放射線治療学を学ぶため,徳島大学放射線医学教室でお世話になった。その診断・IVRを生かし徳島大学第2 内科教室(消化器・循環器)に移り,腹部IVR,心カテ,内視鏡,心エコー3次救急病院で消化器科領域を担当しながら,救急医と臨床医のレベルを上げることができた。体力のある20 〜30歳代後半は臨床に没頭し,そこで生じた問題点・疑問を後に大学で研究し,解決しようという発想はすでにあったように思う。
 内視鏡の診療・研究に没頭していったきっかけは,2002 〜2004年頃であったであろうか。当時のDDW Japanのシンポジウムで小野裕之先生のESDのセッションで会場に入れない人だかりの山の隙間から,胃角部小弯の7cmほどの何やら筋層が剥き出しのビデオを見て,衝撃を受けたのは鮮明に覚えている。
 最も衝撃的であったのは,2007 年に田尻久雄先生と北野正剛先生が立ち上げられたJapan NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery)(現:先進内視鏡治療研究会Japan Consortium for Advanced Surgical Endoscopy;J-CASE)に出席し,当時世界中で開発競争をされている現状を目の当たりにした時である。その中心に田尻先生がおられ,それ以来,田尻先生をNOTESの師匠として,いつも助けていただき,またその背中を追ってきた。
 2009年に香川大学消化器・神経内科に所属し,正木教授のもとで機器開発を開始した。産学官医工連携チームを立ち上げ,知財や企業との連携も密に取りながら製品開発を行った。同時にNOTESには外科知識が必須との申し出に快諾をいただき,香川大学,岡山大学,山口大学系列の市中病院で,かれこれ10年近く外科手術も行ってきた。今後,腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)のように,消化器領域は各科の融合が始まると思われる。
 全層縫合器が簡単ではないことは分かっていた。カウンタートラクション器もそうであることも,すでに知っていた。未踏の領域を開発するには,かなりの時間を技術者と議論し,机上試験・動物実験と何百時間と繰り返してきた。その成果もあり,全層縫合器の商品化まであと数年となった。
 3年程前からは,あの“情熱大陸”にも出演した大圃Drとも交流し,お互いに本当にいい関係で中国・東南アジアを拠点に講演やライブや開発を行ってきた。
 出版にあたり,お世話になったすべての関係諸氏に感謝の言葉も見つからない。ありがとうございます。

2017年10月
森 宏仁
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目次

I 治療内視鏡の基本
 1. 内視鏡治療の変遷
 2. 鎮静の適応・方法
 3. 通常診断から精密診断の基本
 4. 多剤抗血栓薬への対処の基本

II 従来のデバイスによる内視鏡診断・治療の工夫
 ■食道
 1. 留置型two balloon radial EUS ─食道腫瘍に対するEUS で脱気水の溜まらない場合の工夫─
 2. 内視鏡的食道静脈瘤離断術(variceal transection by endoscopic submucosal approach;VTE)
 3. 高度食道狭窄に対する狭窄粘膜全周切除術とステロイド局注/ 塗布療法
 4. 巨大食道血管腫に対するESD 一括切除術
 5. High grade dysplasiaを伴うBarrett食道に対する根治切除による再扁平上皮化
 ■胃
 1. リング糸法
 2. 消化管留置型・着脱式・ネオベール・デリバリー・システム(NDS)による大きなネオベール® シート被覆法
 3. 大きなESD 後人工潰瘍による胃変形・狭窄に対する予防的ステロイド局注療法
 4. 消化管狭窄に対する内視鏡的減張切開術
 5. リング糸・複数回あやとり式・胃ESD 後人工潰瘍底縫縮術
 6. 胃粘膜下腫瘍に対するsubmucosal endoscopy 生検法
 7. U 字誘導管(エンド・レスキュー®)の効果・問題点
 ■大腸
 1. リング糸法
 2. Pre-clipping EMR
 3. Tag-Catcher EMR
 4. スネア焼灼EMR
 5. One point固定EMR
 6. リング糸スライド創面閉鎖大腸ESD
 ■十二指腸
 1. 3 点固定pre-clipping 十二指腸EMR
 2. 十二指腸腫瘍に対する内視鏡的切除後の人工潰瘍の最適な閉鎖法
 3. 定型的・十二指腸ESD

III 内視鏡用全層縫合器Over-The-Scope-Clip による治療の基本と工夫
 1. 新たなデバイス・内視鏡用全層縫合器 Over-The-Scope-Clip
 2. OTSC® を用いた穿孔・瘻孔部閉鎖術:症例提示
 3. OTSC®を用いた消化管止血術:症例提示
 4. 難治性・深部大腸・回腸出血に対するガイドワイヤー式デリバリー法によるOTSC® 止血術

IV 研究から実臨床に導入されていく先進内視鏡治療・手術
 1. 内視鏡用・全層縫合器
 2. 内視鏡デバイス・デリバリー・ステーション・システム(Device delivery station system;DDSS)
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