胃外科のすべて
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定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
- B5判 352ページ 2色(一部カラー),イラスト150点,写真180点
- 2014年3月20日刊行
- ISBN978-4-7583-1514-2
在庫僅少です。
電子版
序文
胃外科の歴史をひも解いてみると,胃癌に対する胃切除が初めて行われたのは1879年のPéanによるもので,翌年にはRydygierも胃切除を行いましたがいずれも良好な成績は得られませんでした。しかし,1881年にBillrothが胃切除術に成功したことは胃外科医のみならず消化器外科医の常識ですが,同じ年にRydygierが胃潰瘍に対する胃切除に成功したことは余り知られていません。いずれにしても,19世紀の終わり頃に胃外科の歴史が始まり,今年で約130年余となります。この間,H2ブロッカーやPPIの登場により消化性潰瘍に対する胃切除や迷切術は姿を消し,一方,早期胃癌に対するEMR / ESDや腹腔鏡補助下手術が進歩,発達し,ロボット手術まで登場し,胃外科は大きく変化をしてきました。さらに新しい分野として,肥満症やそれに伴う疾患に対する胃のバイパス術やスリーブ状胃切除術などのmetabolic surgeryが行われつつあります。
いずれにしても「胃外科」は消化器外科の基礎であり,また王道であります。しかしながら,胃切除後障害で悩んでいる患者さんも少なくありません。適切な「胃外科」を遂行するためには,胃の解剖,病理,生理機能,診断,治療,周術期と術後管理,そして術後障害と,胃に関する基本的なことをすべて知っておくことが不可欠です。その観点から,1997年に胃外科研究会の編集による『胃外科』(医学書院)が発刊され,「胃外科」の教科書として大きな足跡を残して来ました。しかしながら,先に述べたように「胃外科」の領域における進歩は目覚ましく,胃から分泌されるグレリンの発見,胃癌とH. pylori菌感染,胃癌の遺伝子解析とその応用,腹腔鏡下手術の進歩・発展など,胃外科をめぐる新しい知見や話題が数多く登場してきています。
そこで,これらを網羅した新しい胃外科の教科書として本書『胃外科のすべて』が企画され,本研究会から発行することになりました。これから胃外科を志す人,今,中心として頑張っている人,指導的な立場におられる人,そして胃外科に携わるすべての人にとって本書が役に立ち,そして何よりも患者さんのQOL向上に寄与することを願い,確信しております。
本書発刊に当たり,本書の企画と編集にご尽力いただいた編集委員会の先生方,ご多忙の中ご執筆いただいた全ての先生方,そして企画に賛同していただき,わずか1年という極めて短時間で発行までこぎつけていただいたメジカルビュー社の谷口陽一氏に,心より御礼を申し上げます。
平成26年3月吉日
胃外科・術後障害研究会
会長 上西 紀夫
いずれにしても「胃外科」は消化器外科の基礎であり,また王道であります。しかしながら,胃切除後障害で悩んでいる患者さんも少なくありません。適切な「胃外科」を遂行するためには,胃の解剖,病理,生理機能,診断,治療,周術期と術後管理,そして術後障害と,胃に関する基本的なことをすべて知っておくことが不可欠です。その観点から,1997年に胃外科研究会の編集による『胃外科』(医学書院)が発刊され,「胃外科」の教科書として大きな足跡を残して来ました。しかしながら,先に述べたように「胃外科」の領域における進歩は目覚ましく,胃から分泌されるグレリンの発見,胃癌とH. pylori菌感染,胃癌の遺伝子解析とその応用,腹腔鏡下手術の進歩・発展など,胃外科をめぐる新しい知見や話題が数多く登場してきています。
そこで,これらを網羅した新しい胃外科の教科書として本書『胃外科のすべて』が企画され,本研究会から発行することになりました。これから胃外科を志す人,今,中心として頑張っている人,指導的な立場におられる人,そして胃外科に携わるすべての人にとって本書が役に立ち,そして何よりも患者さんのQOL向上に寄与することを願い,確信しております。
本書発刊に当たり,本書の企画と編集にご尽力いただいた編集委員会の先生方,ご多忙の中ご執筆いただいた全ての先生方,そして企画に賛同していただき,わずか1年という極めて短時間で発行までこぎつけていただいたメジカルビュー社の谷口陽一氏に,心より御礼を申し上げます。
平成26年3月吉日
胃外科・術後障害研究会
会長 上西 紀夫
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目次
第1章 歴史と変遷
歴史と変遷 荒井邦佳
第2章 胃の構造
胃の構造 篠原 尚
第3章 胃の生理機能
胃の運動機能 改元 香ほか
胃の分泌機能 屋嘉比康治
第4章 胃疾患の診断法
胃癌の肉眼分類 木下 淳ほか
画像検査 白神伸之ほか
内視鏡検査
上部消化管内視鏡検査・上部消化管超音波内視鏡検査 新美惠子ほか
内視鏡下生検による組織診断 大倉康男
ABCD法(またはABC法)を用いた「胃癌ハイリスク診断」 岡 政志
第5章 胃切除標本の取り扱い
切除標本の取り扱い 仙谷和弘ほか
第6章 周術期管理
術前処置・管理,術中管理,術後管理 大橋真記
術後合併症対策 與田幸恵ほか
クリニカルパス 野家 環ほか
高齢者,肥満患者の周術期管理 長 晴彦ほか
第7章 術後障害とその対処法
総論および機能的障害 中田浩二
器質的障害 藪崎 裕
QOLの評価法 中田浩二
患者支援ツールとチーム医療 吉田 昌ほか
第8章 胃良性疾患および非上皮性腫瘍に対する手術の適応と治療法
小児外科領域 高澤慎也ほか
消化性潰瘍 柏木秀幸
胃静脈瘤(内科的治療) 小原勝敏
胃静脈瘤(外科的治療) 杉岡 篤ほか
カルチノイド腫瘍 布部創也
GIST 神田達夫
非上皮性腫瘍 布部創也
第9章 胃悪性腫瘍に対する手術の適応と治療法・手術術式
胃悪性腫瘍に対する手術の適応と治療法
胃癌に対する治療方針と標準的手術−胃癌治療ガイドラインを中心に 佐野 武
胃悪性腫瘍に対する手術術式
開腹幽門側胃切除術(早期・進行胃癌) 石神純也ほか
腹腔鏡下幽門側胃切除術(早期胃癌) 金谷誠一郎
開腹胃全摘術(早期・進行胃癌) 寺島雅典
腹腔鏡下胃全摘術(早期胃癌) 佐藤誠二ほか
開腹幽門保存胃切除術(早期胃癌) 片井 均
腹腔鏡下幽門保存胃切除術(早期胃癌) 比企直樹
開腹噴門側胃切除術(早期胃癌) 二宮基樹ほか
腹腔鏡下噴門側胃切除術(早期胃癌) 岡部 寛ほか
残胃の癌 深川剛生ほか
第10章 胃悪性腫瘍の手術成績
全国胃がん登録からみた胃癌の手術成績 梨本 篤
第11章 内視鏡的治療・手術
内視鏡的切除術(EMR・ESD) 草野 央ほか
経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG) 鈴木 裕ほか
第12章 化学療法
胃癌に対する化学療法の歴史 山口和也ほか
術前化学療法 沖 英次ほか
術後補助化学療法 小寺泰弘
切除不能・再発癌に対する集学的治療法 鈴木知志ほか
第13章 最新のトピックス
胃癌における遺伝子異常−腺管形成と粘液形質の面から 大上直秀ほか
Helicobacterpyloriと胃発癌 牛島俊和ほか
センチネルリンパ節生検(SNNS) 竹内裕也ほか
食道胃接合部癌の外科治療 瀬戸泰之ほか
LECS−胃全層切除の新しい工夫 比企直樹
NEWS−腹腔鏡内視鏡合同による胃全層切除(新規内視鏡治療) 清水伸幸ほか
ロボット手術 石田善敬ほか
肥満症に対する外科的治療(Bariatric Surgery) 太田正之ほか
歴史と変遷 荒井邦佳
第2章 胃の構造
胃の構造 篠原 尚
第3章 胃の生理機能
胃の運動機能 改元 香ほか
胃の分泌機能 屋嘉比康治
第4章 胃疾患の診断法
胃癌の肉眼分類 木下 淳ほか
画像検査 白神伸之ほか
内視鏡検査
上部消化管内視鏡検査・上部消化管超音波内視鏡検査 新美惠子ほか
内視鏡下生検による組織診断 大倉康男
ABCD法(またはABC法)を用いた「胃癌ハイリスク診断」 岡 政志
第5章 胃切除標本の取り扱い
切除標本の取り扱い 仙谷和弘ほか
第6章 周術期管理
術前処置・管理,術中管理,術後管理 大橋真記
術後合併症対策 與田幸恵ほか
クリニカルパス 野家 環ほか
高齢者,肥満患者の周術期管理 長 晴彦ほか
第7章 術後障害とその対処法
総論および機能的障害 中田浩二
器質的障害 藪崎 裕
QOLの評価法 中田浩二
患者支援ツールとチーム医療 吉田 昌ほか
第8章 胃良性疾患および非上皮性腫瘍に対する手術の適応と治療法
小児外科領域 高澤慎也ほか
消化性潰瘍 柏木秀幸
胃静脈瘤(内科的治療) 小原勝敏
胃静脈瘤(外科的治療) 杉岡 篤ほか
カルチノイド腫瘍 布部創也
GIST 神田達夫
非上皮性腫瘍 布部創也
第9章 胃悪性腫瘍に対する手術の適応と治療法・手術術式
胃悪性腫瘍に対する手術の適応と治療法
胃癌に対する治療方針と標準的手術−胃癌治療ガイドラインを中心に 佐野 武
胃悪性腫瘍に対する手術術式
開腹幽門側胃切除術(早期・進行胃癌) 石神純也ほか
腹腔鏡下幽門側胃切除術(早期胃癌) 金谷誠一郎
開腹胃全摘術(早期・進行胃癌) 寺島雅典
腹腔鏡下胃全摘術(早期胃癌) 佐藤誠二ほか
開腹幽門保存胃切除術(早期胃癌) 片井 均
腹腔鏡下幽門保存胃切除術(早期胃癌) 比企直樹
開腹噴門側胃切除術(早期胃癌) 二宮基樹ほか
腹腔鏡下噴門側胃切除術(早期胃癌) 岡部 寛ほか
残胃の癌 深川剛生ほか
第10章 胃悪性腫瘍の手術成績
全国胃がん登録からみた胃癌の手術成績 梨本 篤
第11章 内視鏡的治療・手術
内視鏡的切除術(EMR・ESD) 草野 央ほか
経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG) 鈴木 裕ほか
第12章 化学療法
胃癌に対する化学療法の歴史 山口和也ほか
術前化学療法 沖 英次ほか
術後補助化学療法 小寺泰弘
切除不能・再発癌に対する集学的治療法 鈴木知志ほか
第13章 最新のトピックス
胃癌における遺伝子異常−腺管形成と粘液形質の面から 大上直秀ほか
Helicobacterpyloriと胃発癌 牛島俊和ほか
センチネルリンパ節生検(SNNS) 竹内裕也ほか
食道胃接合部癌の外科治療 瀬戸泰之ほか
LECS−胃全層切除の新しい工夫 比企直樹
NEWS−腹腔鏡内視鏡合同による胃全層切除(新規内視鏡治療) 清水伸幸ほか
ロボット手術 石田善敬ほか
肥満症に対する外科的治療(Bariatric Surgery) 太田正之ほか
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胃外科を担当する医師に必要な知識をすべて解説した胃外科・術後障害研究会編集の一冊
胃は癌による死亡数が消化器癌の中では1位の臓器であり,早期胃癌に対するEMR・ESDや腹腔鏡下手術,また腫瘍マーカーなどの診断・治療技術の進歩が目覚ましい領域である。本書では胃外科の手術手技や解剖・生理機能などに加え,新しい知見として,消化管ホルモン(グレリン,GLPなど)の発見や,胃癌とピロリ菌との関連,新規抗癌剤,内視鏡・腹腔鏡の発達など,診断・治療技術が進歩した現状を解説している。
若手消化器外科医が胃の手術の術者・助手を務めるために必要な知識・手術手技の修得,ならびに術後障害について理解を深め,患者のQOLの向上を目指すことを目的として,胃外科・術後障害研究会所属のエキスパートの医師らによって解説された消化器外科医必携の教科書である。