治療過程で一目でわかる

消化器薬物療法 STEP 1・2・3

消化器薬物療法 STEP 1・2・3

■編集 一瀬 雅夫
岡 政志
持田 智

定価 4,620円(税込) (本体4,200円+税)

在庫僅少です。


消化器疾患に対する薬物療法を①初期投与,②効果判定,③終了判断の3つのSTEPに分けて解説

薬物療法では,薬剤の効果をみながら投薬の終了や継続の判断を行うが,実臨床では初回投与で治療が終了するだけでなく,再来時の効果判定や薬剤変更などの判断が治療の成否を決める。そこで本書では,薬剤の初回投与法だrけでなく,その効果の判定や薬物療法の終了・中止のタイミングについてわかりやすく記載した。薬物療法の過程を3つのSTEPに分けて構成し,各過程での処方例と継続,治療のポイント,薬物療法終了・中止の判断を一目でわかるように解説した。


序文

 わが国における消化器病の臨床は,主として悪性疾患を標的に早期診断・早期治療を課題として構築されてきたものであり,細やかな感性と手先の器用さを備えた日本人独特の能力が遺憾なく発揮され,世界でも希な精緻かつ繊細な医療を展開している誇るべき領域と言えるだろう。今世紀に入り,医学・医療はさらに一層の進歩を遂げ,多くの診断・治療・予防に関する革新がもたらされ,その結果,診療の現場で求められる情報・知識は膨大なものになりつつある。そのような状況下,Evidence Based Medicine(EBM)の重要性が強調され,各領域において診療ガイドラインの整備が急速に進んでいる状況にある。しかし,現時点で公表されているガイドラインは量的にもかなりのものとなっているうえ,臨床試験などの結果を背景に作成された内容は必ずしも論理的に理解できるものとは限らず,何より臨床の現場で使うには不向きのものが多い。加えてガイドラインがカバーしない,科学的データーの存在しない領域も相変わらず多い。ここに,益々多忙を極める医療の第一線の中でも簡便に使え,明確に診療の筋道を示す手引き書が渇望される所以がある。
 本書は,多忙な消化器診療に身を投じている先生方のために,薬物療法を中心に最新の治療戦略を紹介する目的で刊行したものである。既存の治療法に関する多くの解説書が,診断確定を受けて,治療方針決定の筋道,処方,注意点などに力点を置いているのに対して,本書は,実際の診療における時間軸に沿った形で,初回治療後の治療効果判定を踏まえた後の対応にも力点を置くことで,実際の診療現場でのquick decisionを支援する明確な意図で作成された点で,類書とは一線を画す書籍である。
 消化器診療は吐下血,急性炎症などを主徴とする救急疾患を含む急性疾患,慢性炎症や手術後の症例をも含めた腫瘍など慢性疾患などに対応する日常診療,終末期医療に対する緩和医療,そして,社会的,心理的影響が大きく,時には精神科専門医との連携が求められる機能的疾患など実に幅広い領域を含んでおり,このような書籍の執筆にはかなりの経験と力量が求められる。幸いにして,多くのエキスパートの経験を凝縮した形で刊行の運びとなった本書は,消化器診療を担う多くの先生方の期待に応え,各診療の節目で良きガイド役を果たしてくれることと信ずる。
 御多忙な診療の中で貴重な御時間を本書執筆に充て,貴重な原稿を御寄せ下さった諸先生方,そして,並々ならぬ熱意で本書の企画から編集まで御尽力戴いたメジカルビュー社の谷口陽一氏に,篤く御礼申し上げる次第である。

2013年2月
和歌山県立医科大学第二内科
教授 一瀬雅夫
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編集のことば

 消化器病の領域では,内視鏡,超音波,血管造影などの検査手技を利用した治療法が飛躍的に進歩し,消化器病の専門医を目指す若手医師はその習熟に熱心である。しかし,消化器病の治療で根幹となるのは薬物療法であり,その重要性は高血圧,糖尿病などの生活習慣病と変わりない。
 消化器病の領域で用いる薬物は多種多様である。C型慢性肝炎に対しては,胆石の治療に用いる利胆薬が肝庇護薬として用いられているが,抗ウイルス療法としてはプロテアーゼ阻害薬がインターフェロンとともに投与され,その使用は肝臓病専門医に限定されている。一方,逆流性食道炎の治療に用いられるプロトンポンプ阻害薬は,抗炎症薬による胃粘膜病変の予防に投与され,抗菌薬とともにピロリ菌の除菌にも用いられている。同一疾患でも異なる作用機序の薬物が用いられ,同一薬物が異なる適応で用いられている。薬物を作用,適応を羅列した刊行物は多数あるが,「病態,重症度に応じて,薬物をどのように使い分けるか」の疑問に答える書籍は,消化器病の領域では見当たらない。
 臨床の現場で,この疑問に答えるため発刊するのが本書である。外来,病棟で消化器病の患者さんを目の前にして,どの薬物をどのような量で投与すべきか。各疾患のエキスパートに,患者さんの病態,重症度を3つのSTEPに区分して,これに応じた薬の使い分けを,解りやすく説明することを依頼した。また,専門医の目から見た患者さんへの説明におけるポイントと,治療に際するピットホールを挙げていただいた。本書が研修医,消化器病以外の領域の医師および消化器病を志す若手医師にとって,経験を積んだ消化器病専門医に相談することの代わりを務めることを期待する。

2013年2月
埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科
教授/診療科長 持田 智
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刊行にあたって
 消化器内科医の多忙さは年々厳しさを増していることを現場にいて痛切に感じます。患者数は従来から非常に多い消化器領域でありますが,高齢化に伴い年々増えているのに対し,医師の増加が全く追いついていません。医学部の定員増などの諸政策がなされていますが,実際にはこれらの効果が現れるにはまだまだ時間がかかるものです。これらの状況を考えてみますと,我々の勤務状況は一朝一夕には改善しないと思われます。そして序文にも書かれていますが,消化器疾患はその臓器の多様性,疾患の多様性は他の医学部門とは一線を画するほどものであり,その全容を書き記せば必ず非常に大部な書物になり,日々雑事に忙殺される日常診療には逆に役立ち難いものとなります。
 そこで我々は,少しでも臨床医の役に立つhandyな書物を作ることを目的として本書を作成しました。また,どの疾患においても1st STEP,2nd STEP,3rd STEPの治療法を提示し,それぞれの過程について治療効果の評価に基づいた治療法の変更を示すことで,日常診療ですぐに役立つ本を目指しました。そのため,一部に保険適用外のものも含まれていますが,本書の趣旨をご理解の上,ご活用いただきたいと存じます。本書の出版によって,消化器内科の諸先生方の日常診療に少しでもお役に立てれば,望外の喜びです。
 最後に,この難しい編集を見事に成し遂げられた,メジカルビュー社の編集の谷口陽一さんに心から謝意と敬意を表したいと存じます。

2013年2月
埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科
教授 岡 政志
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目次

Ⅰ 口腔内疾患  
 口内炎  高戸 毅 
 
Ⅱ 食道疾患  
 逆流性食道炎およびGERD・NERD  藤原靖弘 
 食道炎  榎本祥太郎 
 食道癌  中尾将光 
 
Ⅲ 胃・十二指腸疾患  
 急性胃炎・急性胃粘膜病変  山道信毅 
 慢性胃炎  藤城光弘 
 機能性ディスペプシア  時岡 聡 ほか 
 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)  岡 政志 
 Helicobacter pylori 感染症  前北隆雄 
 胃ポリープ  菅原通子 
 胃癌  津田享志 ほか 
 胃術後障害  岩橋 誠 
 
Ⅳ 腸疾患  
 感染性腸炎  安藤さつき 
 アメーバ赤痢  水野芳枝 
 腸結核  井上 泉 
 潰瘍性大腸炎  加藤 順 
 クローン病  河口貴昭 ほか 
 腸管ベーチェット  出口久暢 
 薬物性腸炎  山地 裕 
 虚血性腸炎  吉野廉子 ほか 
 過敏性腸症候群  稲生実枝 
 大腸憩室症(憩室炎・憩室出血)  濱岡和宏 
 大腸癌  落合康利 ほか 
 痔核・痔瘻・裂肛・粘膜脱症候群  齋藤幸夫 
 
Ⅴ 全消化管疾患  
 好酸球性胃腸炎  本谷大介 
 消化管悪性リンパ腫  中村昌太郎 
 消化管神経内分泌腫瘍  大瀬良省三 ほか 
 
Ⅵ 肝疾患  
 急性肝炎(B型)  八橋 弘 
 急性肝炎(C型)  奥瀬千晃 ほか 
 急性肝不全(劇症肝炎・遅発性肝不全)  中山伸朗  
 慢性肝炎・肝硬変(B型)  髭 修平  
 慢性肝炎・肝硬変(C型)  坂本 穣 ほか 
 非代償性肝硬変(腹水)  山口菜緒美 ほか 
 非代償性肝硬変(肝性脳症)  瀬川 誠 ほか 
 非代償性肝硬変(栄養療法)  富谷智明 
 自己免疫性肝炎  大平弘正 
 原発性胆汁性肝硬変  上野義之 
 原発性硬化性胆管炎  小木曽智美 ほか 
 薬物性肝障害  田中 篤  
 アルコール性肝障害  山岸由幸 ほか 
 脂肪性肝疾患(NAFLD・NASH)  西原利治 
 肝膿瘍(細菌性)  中村郁夫 
 肝膿瘍(アメーバ性)  新井雅裕 
 原発性肝癌  藥師神崇行 ほか 
 
Ⅶ 胆道疾患  
 胆囊結石症  本多 彰 ほか 
 胆囊炎・胆管炎  玉野正也 
 胆道癌  成毛大輔 ほか 
 
Ⅷ 膵疾患  
 急性膵炎  峯 徹哉 
 慢性膵炎  佐藤 亘 ほか 
 自己免疫性膵炎  岡崎和一 
 膵癌  宮本弘志 ほか 
 
Ⅸ 症状・症候  
 腹痛  今井幸紀 
 嘔気・嘔吐  屋嘉比康治  
 下痢  加藤真吾  
 便秘  渡邊一弘 
 食欲不振  中澤 学 
   
薬効別薬物一覧
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