循環器診療 ザ・ベーシック
弁膜症
知識を習得し,実践で活かす最強のメソッド
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定価 7,150円(税込) (本体6,500円+税)
- B5判 240ページ オールカラー,写真250点
- 2017年9月22日刊行
- ISBN978-4-7583-1439-8
在庫僅少です。
序文
刊行にあたって
循環器疾患には多様な疾患が含まれますが,主要なものとしては虚血性心疾患,不整脈,心不全,弁膜症,先天性心疾患,肺高血圧症などがあります。このような循環器疾患の診療において,病歴や身体所見,さらに心電図や胸部X線が必須であることはいうまでもありませんが,心エコー,CT,MRIなど心血管イメージングの進歩は目覚しく,これらマルチモダリテイを組み合わせて効率よく診断し,治療を進めることが求められています。
このような背景をふまえ,「循環器診療ザ・ベーシックシリーズ」を企画いたしました。主要な循環器疾患を網羅し,基礎知識とそれを使いこなすための実臨床での考え方やテクニックを学びとる実践的なシリーズです。疾患や検査の知識は有しているが,いざ実臨床の場面ではその知識をどのように使いこなせばいいのかわからない。そんな場面を想定して,各項目を「基礎知識 Knowledge」と「実践 Practice」にわけています。「基礎知識」ではイラストや画像を用い疾患や検査をわかりやすく解説しています。「実践」では「基礎知識」で身につけた知識を使って目の前にいる患者さんのどこに注目して診たらいいのか,治療方針はどう考えたらいいのか等を解説しています。さらに,「基礎知識」の内容を「実践」の症例とリンクできるようにし,さらに「実践」の症例に遭遇したときに必要な「基礎知識」がすぐに見つけられるよう,構成を工夫しています。
また,画像診断には心血管系の解剖に関する知識が欠かせませんが,「解剖がわかる」では医師が苦手になりやすい心臓解剖の知識を織り交ぜ,診断に必要な解剖が理解できるようにしています。さらに,「200字でまとめるKey Sentence」,「Check Point」,「上達へのコツ」で押さえておくべきポイントを箇条書きで端的に解説しています。
本シリーズが,循環器専門医の先生方はもちろん,循環器専門医を目指す若手医師の循環器診療におけるベーシックテキストとして広く活用いただければ幸いです。
2017年8月
九州大学大学院医学研究院循環器内科学教授
筒井裕之
-------------------------------------------------------------------------
序 文
かつて弁膜症というとリウマチ性のものが主でありましたが,その様相は大きく変わってまいりました。最も大きな要因は,加齢に伴う軟組織の石灰化が弁および弁周囲組織におよび大動脈弁や僧帽弁の機能障害をきたしてしまう患者が,長寿社会の到来により増えていることです。また,先天性心疾患術後の患者が成人して臨床的に問題となる弁膜症,心房,心室,動脈の形態変化(リモデリング)や機能障害により弁そのものには器質的変化がないにもかかわらず生じてしまう弁膜症,弁の腫瘍や感染に伴う弁膜症など,弁膜症は多様な病態を含んでいます。したがって,その結果として起きている弁狭窄/弁逆流がもたらす血行動態への影響だけを評価しても,患者の病態を把握していることにはなりません。病態が把握できていなければ適切な治療方針を立てることもできません。
弁膜症というジャンルは以前からありますが,近年,その治療に関して注目度が上昇しています。その大きな理由は,弁膜症に対する経カテーテル的弁置換/弁形成術が治療選択肢として加わりつつあることにあります。すでに経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVR)はわが国でも100施設以上で実施され,良好な治療成績をおさめています。僧帽弁逆流に対するMitraClip®も,まもなくわが国で実施可能になると思われます。海外では肺動脈弁,三尖弁に対する経カテーテル的治療も試みられているうえに,大動脈弁や僧帽弁に対する経カテーテル治療について選択肢が増えつつあります。
このように病態,治療選択肢が多岐に渡る弁膜症患者を受け持つ場合,病態の把握および治療選択肢の決定において解剖の理解は必須となります。解剖を理解せずして最適な治療選択肢を選ぶことはできませんから,ハートチームを構成する各スタッフの頭の中に解剖が叩き込まれていることは,治療を安全かつ効果的に行うために最低限必要な要件として求められます。
本書は,色々な弁膜症をテーマとして取り上げ,その解剖学的留意点を含めて読者の方々に弁膜症の病態について理解を深めていただくことを目的としております。本書が読者の皆様の日常診療に少しでもお役に立てば幸いです。
2017年8月
鳥取大学医学部病態情報内科学教授
山本一博
循環器疾患には多様な疾患が含まれますが,主要なものとしては虚血性心疾患,不整脈,心不全,弁膜症,先天性心疾患,肺高血圧症などがあります。このような循環器疾患の診療において,病歴や身体所見,さらに心電図や胸部X線が必須であることはいうまでもありませんが,心エコー,CT,MRIなど心血管イメージングの進歩は目覚しく,これらマルチモダリテイを組み合わせて効率よく診断し,治療を進めることが求められています。
このような背景をふまえ,「循環器診療ザ・ベーシックシリーズ」を企画いたしました。主要な循環器疾患を網羅し,基礎知識とそれを使いこなすための実臨床での考え方やテクニックを学びとる実践的なシリーズです。疾患や検査の知識は有しているが,いざ実臨床の場面ではその知識をどのように使いこなせばいいのかわからない。そんな場面を想定して,各項目を「基礎知識 Knowledge」と「実践 Practice」にわけています。「基礎知識」ではイラストや画像を用い疾患や検査をわかりやすく解説しています。「実践」では「基礎知識」で身につけた知識を使って目の前にいる患者さんのどこに注目して診たらいいのか,治療方針はどう考えたらいいのか等を解説しています。さらに,「基礎知識」の内容を「実践」の症例とリンクできるようにし,さらに「実践」の症例に遭遇したときに必要な「基礎知識」がすぐに見つけられるよう,構成を工夫しています。
また,画像診断には心血管系の解剖に関する知識が欠かせませんが,「解剖がわかる」では医師が苦手になりやすい心臓解剖の知識を織り交ぜ,診断に必要な解剖が理解できるようにしています。さらに,「200字でまとめるKey Sentence」,「Check Point」,「上達へのコツ」で押さえておくべきポイントを箇条書きで端的に解説しています。
本シリーズが,循環器専門医の先生方はもちろん,循環器専門医を目指す若手医師の循環器診療におけるベーシックテキストとして広く活用いただければ幸いです。
2017年8月
九州大学大学院医学研究院循環器内科学教授
筒井裕之
-------------------------------------------------------------------------
序 文
かつて弁膜症というとリウマチ性のものが主でありましたが,その様相は大きく変わってまいりました。最も大きな要因は,加齢に伴う軟組織の石灰化が弁および弁周囲組織におよび大動脈弁や僧帽弁の機能障害をきたしてしまう患者が,長寿社会の到来により増えていることです。また,先天性心疾患術後の患者が成人して臨床的に問題となる弁膜症,心房,心室,動脈の形態変化(リモデリング)や機能障害により弁そのものには器質的変化がないにもかかわらず生じてしまう弁膜症,弁の腫瘍や感染に伴う弁膜症など,弁膜症は多様な病態を含んでいます。したがって,その結果として起きている弁狭窄/弁逆流がもたらす血行動態への影響だけを評価しても,患者の病態を把握していることにはなりません。病態が把握できていなければ適切な治療方針を立てることもできません。
弁膜症というジャンルは以前からありますが,近年,その治療に関して注目度が上昇しています。その大きな理由は,弁膜症に対する経カテーテル的弁置換/弁形成術が治療選択肢として加わりつつあることにあります。すでに経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVR)はわが国でも100施設以上で実施され,良好な治療成績をおさめています。僧帽弁逆流に対するMitraClip®も,まもなくわが国で実施可能になると思われます。海外では肺動脈弁,三尖弁に対する経カテーテル的治療も試みられているうえに,大動脈弁や僧帽弁に対する経カテーテル治療について選択肢が増えつつあります。
このように病態,治療選択肢が多岐に渡る弁膜症患者を受け持つ場合,病態の把握および治療選択肢の決定において解剖の理解は必須となります。解剖を理解せずして最適な治療選択肢を選ぶことはできませんから,ハートチームを構成する各スタッフの頭の中に解剖が叩き込まれていることは,治療を安全かつ効果的に行うために最低限必要な要件として求められます。
本書は,色々な弁膜症をテーマとして取り上げ,その解剖学的留意点を含めて読者の方々に弁膜症の病態について理解を深めていただくことを目的としております。本書が読者の皆様の日常診療に少しでもお役に立てば幸いです。
2017年8月
鳥取大学医学部病態情報内科学教授
山本一博
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目次
■大動脈弁狭窄 (矢田貝菜津子)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/
予後
解剖がわかる◦大動脈弁,大動脈弁狭窄における弁の形態学的変化
上達へのコツ◦Heyde症候群,加齢変性によるASの増悪因子について
Check・Point◦ASの原因を鑑別するための心エコー所見のポイント,特殊な病態のAS
実践 Practice
Case 1(70歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(30歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(90歳代,男性)
診断/治療/予後
■大動脈弁の器質的異常によらない大動脈弁逆流 (土岐美沙子,林田晃寬)
基礎知識 Knowledge
診断
上達へのコツ1◦心エコー図検査における大動脈弁逆流診断のポイント
上達へのコツ2◦心エコー図検査による診断
上達へのコツ3◦慢性と急性の血行動態の違い
解剖がわかる1◦Stanford A型大動脈解離による大動脈弁逆流の成因
解剖がわかる2◦自己弁温存手術のための,弁尖形態の定量評価
/治療/予後
実践 Practice
Case 1(40歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(40歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 3(70歳代,女性)
診断/治療/
予後
上達へのコツ2◦脈波伝播速度(PWV)検査によるHill's sign
■器質性僧帽弁逆流 (西野 峻,渡邉 望)
基礎知識 Knowledge
病態・症状/診断/逆流の重症度評価/治療/予後
実践 Practice
Case 1(40歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(60歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(60歳代,男性)
診断/治療/予後
■機能性僧帽弁逆流 (大谷朋仁)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(20歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(60歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(40歳代,男性)
診断/治療/予後
■僧帽弁狭窄 (谷口直樹,諏訪惠信,宮坂陽子)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(50歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 2(60歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(70歳代,男性)
診断/治療/予後
■機能性・器質性三尖弁逆流 (泉 知里)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(60歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(70歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(60歳代,男性)
診断/治療/予後
■感染性心内膜炎 (芦原京美)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(20歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 2(70歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 3(70歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 4(60歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 5(30歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 6(60歳代,男性)
診断/治療/予後
■弁腫瘍 (小板橋俊美)
基礎知識 Knowledge
診断
乳頭状線維弾性腫(papillary fibroelastoma)
診断/治療/予後/弁腫瘍の鑑別診断
実践 Practice
Case 1(50歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 2(40歳代,男性)
診断/治療/予後
■Fallot四徴症術後患者(成人)の肺動脈弁膜症 (瀧聞浄宏)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(10歳代後半,男性)
診断/治療/予後
Case 2(10歳代前半,男性)
診断/治療/予後
Case 3(20歳代,男性)
診断/治療/予後
■Fontan術後 弁膜症
基礎知識 Knowledge
診断
解剖がわかる◦Fontan手術に向かう先天性心疾患と体心室房室弁
上達へのコツ1
Check Point◦心エコーの観察ポイント
/治療/予後
実践 Practice
Case 1(50歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 2(20歳代,男性)
診断/治療/予後
基礎知識 Knowledge
診断/治療/
予後
解剖がわかる◦大動脈弁,大動脈弁狭窄における弁の形態学的変化
上達へのコツ◦Heyde症候群,加齢変性によるASの増悪因子について
Check・Point◦ASの原因を鑑別するための心エコー所見のポイント,特殊な病態のAS
実践 Practice
Case 1(70歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(30歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(90歳代,男性)
診断/治療/予後
■大動脈弁の器質的異常によらない大動脈弁逆流 (土岐美沙子,林田晃寬)
基礎知識 Knowledge
診断
上達へのコツ1◦心エコー図検査における大動脈弁逆流診断のポイント
上達へのコツ2◦心エコー図検査による診断
上達へのコツ3◦慢性と急性の血行動態の違い
解剖がわかる1◦Stanford A型大動脈解離による大動脈弁逆流の成因
解剖がわかる2◦自己弁温存手術のための,弁尖形態の定量評価
/治療/予後
実践 Practice
Case 1(40歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(40歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 3(70歳代,女性)
診断/治療/
予後
上達へのコツ2◦脈波伝播速度(PWV)検査によるHill's sign
■器質性僧帽弁逆流 (西野 峻,渡邉 望)
基礎知識 Knowledge
病態・症状/診断/逆流の重症度評価/治療/予後
実践 Practice
Case 1(40歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(60歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(60歳代,男性)
診断/治療/予後
■機能性僧帽弁逆流 (大谷朋仁)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(20歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(60歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(40歳代,男性)
診断/治療/予後
■僧帽弁狭窄 (谷口直樹,諏訪惠信,宮坂陽子)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(50歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 2(60歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(70歳代,男性)
診断/治療/予後
■機能性・器質性三尖弁逆流 (泉 知里)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(60歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 2(70歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 3(60歳代,男性)
診断/治療/予後
■感染性心内膜炎 (芦原京美)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(20歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 2(70歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 3(70歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 4(60歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 5(30歳代,男性)
診断/治療/予後
Case 6(60歳代,男性)
診断/治療/予後
■弁腫瘍 (小板橋俊美)
基礎知識 Knowledge
診断
乳頭状線維弾性腫(papillary fibroelastoma)
診断/治療/予後/弁腫瘍の鑑別診断
実践 Practice
Case 1(50歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 2(40歳代,男性)
診断/治療/予後
■Fallot四徴症術後患者(成人)の肺動脈弁膜症 (瀧聞浄宏)
基礎知識 Knowledge
診断/治療/予後
実践 Practice
Case 1(10歳代後半,男性)
診断/治療/予後
Case 2(10歳代前半,男性)
診断/治療/予後
Case 3(20歳代,男性)
診断/治療/予後
■Fontan術後 弁膜症
基礎知識 Knowledge
診断
解剖がわかる◦Fontan手術に向かう先天性心疾患と体心室房室弁
上達へのコツ1
Check Point◦心エコーの観察ポイント
/治療/予後
実践 Practice
Case 1(50歳代,女性)
診断/治療/予後
Case 2(20歳代,男性)
診断/治療/予後
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身につけた知識を実臨床でどれだけ活かせているのか? どのような根拠があり,どのような結果となるのか? その理由を紐解く! 弁膜症治療のプロフェッショナルが徹底解説
若手から中堅の循環器内科医を対象に,基礎固めおよび実臨床でのスキルアップを目指す本シリーズ。(循環器内科医が知っておくべき知識とそれをどのように実践に活かすのかを具体的に解説したシリーズ。)各疾患,各検査の知識は有しているが,いざ実臨床の場面ではその知識をどのように使いこなせばいいのかわからない。実臨床での経験の根拠がわからない。そんな場面を想定し,各項目を「基礎知識 Knowledge」と「実践 Practice」にわけて解説。各項にリンク機能を付け,「基礎知識」がどのような場面で役に立つのか,実臨床での経験がどのような根拠に裏付けられているのかが目でみて理解できる構成となっている。
本巻は「弁膜症」の基礎知識,ケース別解説を弁膜症治療のスペシャリストが徹底解説。若手医師が苦手とする心臓解剖の知識も盛り込んだ循環器内科医必携の1冊。