新生児栄養学
発達生理から臨床まで
定価 9,350円(税込) (本体8,500円+税)
- B5判 396ページ 2色
- 2014年7月14日刊行
- ISBN978-4-7583-1239-4
序文
新生児がその後の良好な成長や発達予後を得るためには,呼吸・循環管理のみならず栄養管理も重要な役割を担っている。最近の新生児栄養の進歩は著しいが,特に注目されているのはearly aggressive nutrition(EAN)とdevelopmental origins of health and disease(DOHaD)であろう。日本小児科学会新生児委員会の調査によれば,2005年に出生した超低出生体重児の死亡退院率は17%と,2000年の21%からわずか5年で大きな改善をみせている。しかしながら,死亡率の改善ほどに成長や発達予後の向上がみられていない。このような状況のもと,Ehrenkranzらによって超低出生体重児の神経学的予後がNICU入院中の成長と関連していることが明らかにされた。これを受けて欧米を中心にEANが急速に普及し,またわが国の一部のNICUでもすでに導入されるようになっている。一方,EANの普及に伴いいくつかの問題点も指摘されるようになっており,今後より個別化した対応が必要になってくると思われる。
Barkerによる胎児プログラミング仮説を基にGluckmanとHansonによってDOHaDの概念が提示された。これは,器官や臓器が感受期にあるとき,さまざまな環境要因がエピジェネティック修飾を介して代謝や内分泌反応の恒常性を変化させ,それが感受期以後の環境とのミスマッチによって成人期のnon-communicable diseases(NCDs)の発症につながるという考え方である。感受期の環境要因として重要なものの一つが栄養で,胎児期の栄養や新生児・乳幼児期の栄養を考える際にDOHaDの視点も重要である。新生児栄養におけるDOHaDの考え方の導入は,長期予後のみならず次世代への影響さえも考慮しながら栄養管理を行うことの重要性を示唆している。
その他,多くの新生児栄養に関するトピックスが2000年代に入って臨床応用されてきているが,EANを含めて多数例を対象にした無作為比較対照試験は必ずしも十分とはいえず,まして長期予後まで明らかにできた研究は乏しいのが現状で,新生児栄養の研究の困難さを象徴している。今後わが国でもこの領域に対する積極的な検討が求められるところである。
わが国では,2000年代になってから新生児栄養に特化したテキストブックが刊行されていない。そこで本書の企画にあたっては,前述のトピックス以外にも,新生児栄養にかかわる最新のテーマを多く取り挙げることを意識するとともに,できるだけ各種栄養管理法のエビデンスの質についても言及することとした。さらに,唇裂・口蓋裂合併児の栄養指導やNICU退院後の早産児の口腔衛生や摂食機能の問題,超重症児の栄養指導などもテーマとして取り入れた。このような内容は,欧米の新生児栄養のテキストブックにもないもので,本書の特徴の一つである。また,第Ⅰ章では新生児栄養に関連する発達生理学を中心に,第Ⅱ章では早産・低出生体重児の栄養管理を,第Ⅲ章には特殊な病態下の栄養といったように,構成にも工夫を凝らすとともに,読者の参考となる文献もできるだけ多く列挙するようにした。
各テーマの執筆については,わが国でのエキスパートに依頼した。多忙な日常診療や業務のなか,本書の執筆をお引き受けいただき,さらには編集者の指摘にも速やかに対応していただいた執筆者の皆様に心より感謝申し上げる。
本書が,わが国の新生児医療に従事している多くの方々の参考となり,さらには新生児の予後向上に少しでも役立つことができれば,望外の喜びである。
2014年6月
昭和大学医学部小児科学講座教授
板橋家頭夫
Barkerによる胎児プログラミング仮説を基にGluckmanとHansonによってDOHaDの概念が提示された。これは,器官や臓器が感受期にあるとき,さまざまな環境要因がエピジェネティック修飾を介して代謝や内分泌反応の恒常性を変化させ,それが感受期以後の環境とのミスマッチによって成人期のnon-communicable diseases(NCDs)の発症につながるという考え方である。感受期の環境要因として重要なものの一つが栄養で,胎児期の栄養や新生児・乳幼児期の栄養を考える際にDOHaDの視点も重要である。新生児栄養におけるDOHaDの考え方の導入は,長期予後のみならず次世代への影響さえも考慮しながら栄養管理を行うことの重要性を示唆している。
その他,多くの新生児栄養に関するトピックスが2000年代に入って臨床応用されてきているが,EANを含めて多数例を対象にした無作為比較対照試験は必ずしも十分とはいえず,まして長期予後まで明らかにできた研究は乏しいのが現状で,新生児栄養の研究の困難さを象徴している。今後わが国でもこの領域に対する積極的な検討が求められるところである。
わが国では,2000年代になってから新生児栄養に特化したテキストブックが刊行されていない。そこで本書の企画にあたっては,前述のトピックス以外にも,新生児栄養にかかわる最新のテーマを多く取り挙げることを意識するとともに,できるだけ各種栄養管理法のエビデンスの質についても言及することとした。さらに,唇裂・口蓋裂合併児の栄養指導やNICU退院後の早産児の口腔衛生や摂食機能の問題,超重症児の栄養指導などもテーマとして取り入れた。このような内容は,欧米の新生児栄養のテキストブックにもないもので,本書の特徴の一つである。また,第Ⅰ章では新生児栄養に関連する発達生理学を中心に,第Ⅱ章では早産・低出生体重児の栄養管理を,第Ⅲ章には特殊な病態下の栄養といったように,構成にも工夫を凝らすとともに,読者の参考となる文献もできるだけ多く列挙するようにした。
各テーマの執筆については,わが国でのエキスパートに依頼した。多忙な日常診療や業務のなか,本書の執筆をお引き受けいただき,さらには編集者の指摘にも速やかに対応していただいた執筆者の皆様に心より感謝申し上げる。
本書が,わが国の新生児医療に従事している多くの方々の参考となり,さらには新生児の予後向上に少しでも役立つことができれば,望外の喜びである。
2014年6月
昭和大学医学部小児科学講座教授
板橋家頭夫
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目次
Ⅰ 新生児栄養の基本を理解する
1.胎児期の栄養と環境
妊娠中の栄養と胎児発育(瀧本秀美)
望ましい妊娠中の体重増加量,および栄養素などの摂取基準について
[エネルギー摂取量と体重増加量について/鉄/ビタミン類について]
胎児発育遅延の原因と診断(篠塚憲男)
胎児発育の意味するもの−発育の異常とは
FGRの背景・病因
発育の診断について−2種類の発育曲線
[在胎週数別出生時標準(基準)値/EFWの基準値・子宮内胎児発育曲線]
発育遅延診断の基準値について
胎児発育遅延の診断の実際
母体葉酸欠乏による胎児の異常(熊谷恭子,杉浦真弓)
葉酸とは
葉酸欠乏と神経管閉鎖障害
葉酸欠乏と流産
葉酸欠乏と早産,子宮内発育遅延
葉酸欠乏と妊娠高血圧症候群
葉酸欠乏と常位胎盤早期剥離
葉酸と小児喘息
胎児期の環境とアレルギー疾患(石川良子)
衛生仮説
母体の抗原除去
母体のプロバイオティクス摂取
母体のビタミンD摂取
母体の葉酸摂取
母体のn-3系脂肪酸摂取
母体の抗酸化物質摂取
早産や子宮内発育遅延,SGAとアレルギー疾患
母体の喫煙とアレルギー疾患
Gene-environment interaction
胎児期の栄養環境とNCDs(non-communicable diseases)(伊東宏晃)
NCDsとは
DOHaD学説
DOHaD学説から紐解くNCDs発症リスクの形成
胎生期の低栄養環境とNCDsのかかわり
“thrifty phenotype(倹約型体質)”とNCDs蔓延のかかわり
胎生期の高栄養環境とNCDsのかかわり
胎児期および生後早期の栄養とエピジェネティクス(久保田健夫)
エピジェネティクスとは
エピジェネティクスの後天性変化
栄養環境とエピジェネティクス
今後の課題
2.新生児の消化・吸収機能および内分泌・代謝の発達
消化・吸収機能の発達生理(稲毛英介,清水俊明)
糖質の消化・吸収とその発達
蛋白質の消化・吸収とその発達
脂質の消化・吸収とその発達
その他の栄養素の消化・吸収とその発達
消化管ホルモンとその発達
新生児・乳児の消化・吸収障害
[乳糖不耐症/短腸症候群/消化・吸収機能の発達とアレルギー疾患]
生理的胆汁うっ滞(長田郁夫,三浦真澄,村上 潤)
胆汁の構成成分と各種胆汁成分の肝細胞からの排泄機序
胆汁酸の肝細胞内への取り込み,肝細胞内輸送と毛細胆管への排泄
[胆汁酸依存性胆汁の分泌と毛細胆管への排泄/胆汁酸非依存性胆汁の分泌と毛細胆管への排泄]
肝細胞内における胆汁酸の輸送調節
新生児期から乳児期の生理的胆汁うっ滞のメカニズム
内分泌代謝機能の発達生理(河井昌彦)
内分泌代謝機能の胎児発達過程
[インスリン・グルカゴン/成長ホルモン・IGF-1・IGF-2/糖質コルチコイド/甲状腺ホルモン/カテコールアミン]
胎児期のエネルギー代謝
出生に伴うエネルギー代謝の変化
[インスリン/グルカゴン/カテコールアミン,糖質コルチコイド,成長ホルモン]
新生児の栄養と脳の発達(早川昌弘)
中枢神経系の発達
新生児期の栄養と発達予後
栄養方法と児の発達
水・電解質代謝 (小嶋絹子,和田雅樹)
新生児の体液組成の変化と水分代謝
新生児の腎機能
電解質の調節
[ナトリウム(Na)/カリウム(K)]
水・電解質管理の実際
カルシウム,リン,マグネシウムの代謝と調節(和田和子)
カルシウム代謝
リン代謝
カルシウム・リンの調節
マグネシウム代謝
母体へのマグネシウム投与
アミノ酸代謝と蛋白蓄積(櫻井基一郎)
胎児期のアミノ酸供給
新生児のアミノ酸代謝と機能
アミノ酸投与量とエネルギー摂取量との関連性
脂質代謝と必須脂肪酸(岡田知雄,斉藤恵美子)
乳児の脂肪消化
脂肪の吸収と転送
カイロミクロンの産生について
母体と胎児の体脂肪および血清脂質代謝の関係
必須脂肪酸
低出生体重児と脂肪乳剤
炭水化物代謝(宮沢篤生)
炭水化物代謝の概要
胎児への供給ならびに代謝
出生後の新生児における代謝
微量元素(鉄を除く)(児玉浩子)
微量元素とは
亜鉛(Zn)
銅(Cu)
ヨウ素(I)
セレン(Se)
母乳および乳児用調整粉乳の微量元素含有量
鉄代謝(川口千晴)
母体からの鉄移行
出生後の鉄供給
[消化管からの鉄輸送/細胞外の鉄輸送と貯蔵鉄]
脳内の鉄動態
個体全体での鉄恒常性
ビタミンの代謝と必要量(白石 淳)
脂溶性ビタミン
[ビタミンA(レチノール)/ビタミンD(カルシフェロール)/ビタミンE(トコフェロール)/ビタミンK(フィロキノン,メナキノン)]
水溶性ビタミン
[ビタミンB1(チアミン)/ビタミンB2(リボフラビン)/ナイアシン(ニコチン酸,ニコチンアミド)/ビタミンB6(ピリドキシン)/ビタミンB12(コバラミン)/葉酸(プテロイルグルタミン酸)/パントテン酸/ビオチン/ビタミンC(アスコルビン酸)]
ビタミンの推奨量
早産児および低出生体重児を対象としたビタミンの推奨量
[経腸栄養/静脈栄養]
早産低出生体重児における栄養必要量とその考え方(城所励太,三浦文宏)
早産児の栄養学的目標
Macronutrientの必要量について
[蛋白質とエネルギー/グルコース/脂質/主要なミネラルおよび電解質]
栄養投与量の指針
3.母乳の科学
母乳育児の意義と有用性(堀内 勁)
妊娠中から出産直後の母と子の課題
出産直後の課題と母乳育児
授乳・哺乳を通した母親と乳児の関係性
母子交流の3要素
[母子間の相互交流調制/育児場面での情動の高まりの共有/体験の断絶と修復]
離乳食場面にみる 「ボタンのかけ違い」
成長後の母乳育児の影響
乳汁分泌機序とその調節(水野克己)
妊娠中の乳房の組織学的変化
乳汁生成の3つのステージと乳汁産生調節
[乳汁生成Ⅰ期/乳汁生成Ⅱ期/乳汁生成Ⅲ期]
哺乳機能の発達(水野克己)
正期産児における生後の発達
哺乳中の呼吸と嚥下が安定して行われるようになる時期
直接授乳とびん哺乳の違い
母乳の保存方法と栄養成分の変化(水野克己)
母乳の保存方法
保存による母乳への影響
[細菌数の変化/冷凍温度の影響/母乳成分の変化]
保存母乳の解凍・加温
もらい乳とドナーミルク
母乳に含まれる非栄養成分の役割(非蛋白態窒素成分について)(岩本 洋)
尿素
アミノ酸
アミノ糖
ヌクレオチド
乳汁の種類と生活習慣病のリスク(中野有也)
母乳栄養による肥満抑制効果
肥満抑制効果に対するメタアナリシス
肥満発症抑制効果を検証する無作為試験
母乳育児と感染症(水野克己)
授乳の中断
母乳自体や授乳を行うことが児に対する感染症の重症化を防ぐ
授乳中の母親が一般的な感染症に感染した場合の母親と児への対応
[かぜ症候群/インフルエンザ/単純ヘルペス/帯状疱疹/風疹/サイトメガロウイルス(CMV)/肝炎ウイルス/ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)/カンジダ感染症]
経母乳感染が証明されている感染性に対する予防方策
母体の薬物服用と授乳(和田友香,村島温子)
母体の薬物が母乳中へ移行する際にかかわる因子
[薬物側の因子/母体側の因子/母体の薬物が母乳中へ移行する量の推定方法(M/P比)]
母乳中の薬物が児へ移行する際にかかわる因子
[児側の因子/児に与える影響の推定方法]
授乳が可能である薬物
授乳中に注意を要する薬物
授乳と薬物に関する情報検索方法
出生後早期の新生児に与える母体に投与された薬物の影響
[新生児薬物離脱症候群/SSRI内服母体より出生した児のPPHN]
Ⅱ 早産児・低出生体重児の栄養を知る
NICU入院中の極低出生体重児の成長(櫻井基一郎)
早産児の身体発育の目標
NICU入院中の身体発育指標の特徴
極低出生体重児の成長の実際
NICU入院中の身体発育と神経学的予後
栄養管理法の違いによる身体発育への影響
Early aggressive nutritionの背景と目的(板橋家頭夫)
Early aggressive nutrition(EAN)の目的
栄養学的緊急事態
[飢餓反応/蛋白質の異化/中枢神経系への影響/子宮外発育遅延(EUGR)]
EANの効果
[蛋白(窒素)蓄積/NICU入院中の発育に対する効果/発達に与える効果]
エビデンスに基づくEANの方法
EANの問題点
[成長・発達に対する懸念/代謝性アシドーシスに対する懸念/高血糖に対する懸念/高BUN血症,高アンモニア血症/その他/今後の課題]
出生直後からの静脈栄養の実際(櫻井基一郎)
当院で施行している静脈栄養管理
[出生前の準備/出生時から生後24時間/生後24時間ごろ/生後48〜72時間ごろ/経腸栄養増量期〜輸液終了]
モニタリング
その他
[輸液の交換頻度/輸液中のチェック項目/PIカテーテル®の管理]
Trophic feedingの意義と実際(滝 元宏)
Trophic feedingの定義
Trophic feedingの効果
[消化管蠕動の促進/壊死性腸炎(NEC)について/外分泌・内分泌学的効果/血液学的な改善,胆汁うっ滞の軽減,黄疸の軽滅/感染症について/その他(経腸および経口栄養の確立までの期間・酸素投与期間・退院までの期間の短縮など)]
Trophic feedingの実際
Feeding intoleranceの対応(井上真理)
Feeding intoleranceの定義
Feeding intoleranceを疑うべきサイン
授乳が進まない場合の鑑別と検査
[先天性消化管奇形/未熟性/壊死性腸炎,腸管感染症/胎便関連腸閉塞/循環不全/ミルクアレルギー/呑気症/電解質異常/甲状腺機能低下症/薬物投与/その他]
授乳が進まないときの対応
予防
プロバイオティクスの効果と安全性(山﨑 晋,大塚宜一)
腸内細菌叢の確立
新生児期におけるプロバイオティクスの基礎的効果
[感染防御作用/免疫調節作用/短鎖脂肪酸への作用]
新生児期におけるプロバイオティクスの臨床的効果
[壊死性腸炎(NEC)の予防/新生児敗血症の予防/消化吸収・体重増加の改善]
新生児期におけるプロバイオティクス投与の実際
プロバイオティクスの安全性と問題点
強化母乳栄養の実際(鈴木 学,三浦文宏)
母乳強化の意義
母乳強化パウダー使用の実際
[対象/投与開始時期/母乳強化パウダーに関して/強化母乳栄養の終了時期に関して]
母乳強化の注意点
[浸透圧/栄養素/使用注意症例]
標準的母乳強化法(SF)
個別化した母乳強化法(IF)
[母乳成分分析に基づく母乳強化法(TF)/児の代謝に基づく母乳強化法(AF)]
新生児壊死性腸炎,胎便関連性腸閉塞症,限局性腸穿孔の病態と治療(窪田昭男,白石 淳)
低出生体重児に特有の消化管穿孔の病態
[壊死性腸炎(NEC)/限局性腸穿孔(FIP)/胎便関連性腸閉塞症(MRI)]
発症予防と術前管理
[NEC/FIP/MRI]
手術適応とタイミング
[NEC/FIP/MRI]
術後管理
[全身管理/栄養管理/ストーマ管理/ストーマの閉鎖]
Refeeding syndromeの病態とその対応(滝 元宏)
Refeeding syndromeの病態
Refeeding syndromeの予防
新生児領域におけるrefeeding syndrome
晩期循環不全とその対応(内山 温)
LCCの推定病因
LCCの疫学と診断基準
臨床的特徴と診断方法の実際
治療の実際
LCCを発症した症例の神経学的予後
未熟児代謝性骨疾患とその対応(北澤重孝)
病態生理
[子宮内の胎児骨形成とミネラル代謝/早産児の出生後の骨のミネラリゼーション/機械的要因のMBDへの関与]
臨床症状と診断
[生化学的マーカー/放射線学的検査]
MBDの予防・治療
[栄養管理/身体活動プログラム(PAP)/MBDによる骨折]
退院後のMBD児の栄養サポート
成人の低身長・骨粗鬆症
微量元素欠乏症とその対応(亜鉛,銅)(相澤まどか)
亜鉛
[亜鉛欠乏の背景/診断/欠乏時の対応/予防方法(必要量,推奨量)]
銅
[銅欠乏の背景/診断/必要量]
未熟児貧血(楠田 聡)
診断
早期貧血
晩期貧血
ガイドライン
乳児期
身体発育および神経発達に対する効果
副作用
臍帯結紮時期の影響
母体投与の効果
栄養と未熟児網膜症,慢性肺疾患(佐々木 寛)
栄養と未熟児網膜症
[未熟児網膜症の成因/ROPとIGF-I/ROPとn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)/栄養面からみたROPの予防]
慢性肺疾患と栄養
[慢性肺疾患の成因/CLDと栄養/栄養面からみたCLDの予防]
経管栄養から直接授乳の移行方法(水野克己)
経口哺乳の開始時期
直接授乳の進め方
胃食道逆流症(佐々木美香,松本 敦)
早産児におけるGERの原因
[一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)/胃内容排泄時間/食道運動機能/呼吸障害/胃管]
臨床症状および合併症
[無呼吸/気管支肺異形成症(BPD)/体重増加不良]
GERの検査
[上部消化管造影/食道pHモニタリング/多チャンネル食道内インピーダンス(MII)/胃食道シンチグラフィー(ミルクスキャン)/その他]
治療
[非薬物療法/薬物療法]
早産児GERDの診断と治療の考え方と進め方
NICU退院後の発育評価(河野由美)
NICU退院後の発育評価の重要性
低出生体重児の発育評価
[厚生労働省調査乳幼児身体発育値を用いた評価/極低出生体重児発育曲線を用いた評価]
子宮内発育による低出生体重児の分類と成長の特徴
[子宮内発育による低出生体重児の分類/AGA児の成長/SGA児の成長]
発育の評価で注意を要する疾患と対応
成長と発達予後の関連
早産児に対する離乳食の進め方(弘中祥司)
小児の摂食・嚥下機能の発達
早産児の離乳食開始の基本
出生体重と食べる機能
評価するポイント
早産児の口腔衛生(井上美津子)
早産児の口腔の特徴
[歯の大きさ,歯質の異常および歯の形態異常/乳歯列形態・口蓋形態の特徴および咬合・咀嚼機能]
早産児の口腔衛生
[口腔ケア(歯みがき)/食生活指導]
極低出生体重児の栄養と発達予後(田中恭子)
周産期の栄養と発達
新生児の中枢神経障害
神経発達に影響する栄養素
[脂質/アミノ酸/ビタミン類/ミネラル類/母乳栄養]
低出生体重児の成長と発達との関連性
[発達障害のメカニズム/IUGRと発達/EUGRと発達]
発達評価方法の選定
早産低出生体重児とnon-communicable diseases(板橋家頭夫)
体構成に対する影響
[体脂肪とlean body mass/内臓脂肪と異所性脂肪/骨塩量]
血圧に対する影響
腎臓に対する影響
インスリン抵抗性
脂質に対する影響
心血管系に対する影響
早産低出生体重児の栄養とメタボリックシンドロームのリスク
超音波ドプラ法を用いた腸管血流の評価(丸山憲一)
測定方法
生理的なSMA血流速度の変化
病的状態下におけるSMA血流速度
[全身の疾患,循環動態の影響/消化器の異常の影響/薬剤と治療の影響]
栄養輸液調製時の留意点(冨家俊弥)
無菌調製
脂肪乳剤
基本液(糖+電解質)
アミノ酸製剤
ビタミン,微量元素
その他の配合変化
Ⅲ 特殊な病態下の栄養管理を押さえる
新生児・乳児消化管アレルギーの診断と管理(宮沢篤生)
新生児・乳児消化管アレルギーの概要
病態生理
疫学
臨床像
診断
[牛乳特異的IgE抗体/便粘液中好酸球/食物抗原特異的リンパ球刺激試験(ALST)/その他]
治療と栄養管理
予後
先天代謝異常症の栄養管理(村山 圭)
尿素サイクル異常症
[診断のポイント/急性期の輸液法・栄養法]
有機酸代謝異常症
[診断のポイント/急性期の輸液法・栄養法]
脂肪酸代謝異常症
[急性期の輸液法]
ミトコンドリア呼吸鎖異常症(先天性高乳酸血症)
[急性期の輸液法・栄養法]
唇裂・口蓋裂合併児の栄養指導(加古結子)
状態の把握
[上気道の形態変化/呼吸状態/循環/神経学的所見/唇裂・口蓋裂以外の形態異常と環境]
哺乳方法の選択
[唇裂のみ/唇顎裂のみ/唇顎口蓋裂/軟口蓋裂のみ/硬軟口蓋裂のみ]
哺乳びんを使用した授乳方法の注意点
[哺乳時間と授乳回数/哺乳の姿勢と排気/乳首の固定と角度]
口蓋床について
経管栄養について
離乳食について
家族への支援
[育児支援/搾乳/経口哺乳が困難で経管栄養を行う場合]
気管切開をおいている児の栄養管理(加古結子)
基礎疾患の病態と嚥下機能
経管栄養
経口摂取
栄養源
栄養状態の評価
小児外科疾患の栄養管理(土岐 彰)
静脈栄養(経腸栄養開始前)
[必要エネルギー/糖質投与量/アミノ酸投与量/脂質投与量/小児外科手術と腸管不全関連肝機能障害(IFALD)]
経腸栄養
[経腸栄養剤]
小児外科特有の疾患
[先天性十二指腸閉鎖症,腸回転異常症/先天性食道閉鎖症/壊死性腸炎]
短腸症候群の栄養管理 (千葉正博,土岐 彰,真田 裕)
手術時〜術直後に考慮すべきポイント
[術中の判断/術直後]
術後回復期に考慮すべきポイント
[過蠕動期]
術後慢性期の栄養療法
[馴化期〜安定期/在宅]
早産SGA児の栄養管理(板橋家頭夫)
早産SGA児の諸問題
[SGAの定義/早産SGA児の短期予後/早産SGA児の成長/早産SGA児の神経学的予後]
早産SGA児の栄養管理上の問題点
[PNAC/新生児壊死性腸炎/feeding intolerance/高アンモニア血症]
中枢神経に障害を有する児の栄養指導(田角 勝)
摂食・嚥下機能障害の原因
[未熟性/解剖学的な構造異常/中枢神経,末梢神経,筋障害/全身状態/精神・心理的問題]
小児の摂食・嚥下機能の評価法
栄養の注意点
摂食・嚥下障害への対応方法の基本
対応の開始と目標
包括的対応の実際
[家族との相談と指導/摂食・嚥下にかかわる経験/医療的問題の存在/食事の時間におけるコミュニケーション/摂食・嚥下機能と筋緊張のコントロール/摂食・嚥下機能の改善のために]
静脈栄養の合併症と対策(滝 元宏)
輸液デバイスに関する合併症
調剤に関する合併症
代謝性・栄養性の合併症
[糖代謝異常/電解質異常/アミノ酸に関連する異常/脂肪乳剤と関連する異常/微量元素・ビタミン欠乏症]
臓器障害
胆汁うっ滞を合併した児の栄養管理(東海林宏道)
新生児胆汁うっ滞の頻度・定義
静脈栄養に伴う胆汁うっ滞(PNAC)
胆汁うっ滞の管理
[栄養管理/脂肪乳剤/その他の治療]
特殊ミルクとその適応(北村知宏,清水俊明)
特殊ミルクの分類・種類
[先天代謝異常症ミルク/糖原病用ミルク/糖質代謝異常用ミルク/ケトンフォーミュラ/MCTミルク/アレルギー用ミルク/電解質異常症用ミルク]
特殊ミルクによる栄養素欠乏
[必須脂肪酸欠乏症/カルニチン欠乏症/ビオチン欠乏症/亜鉛欠乏症/セレン欠乏症]
災害時における新生児栄養のあり方(浅野祥孝,田村正徳)
栄養の供給方法
[母乳栄養児の場合/人工乳栄養児の場合]
課題
資料
栄養輸液に用いられる製剤とその組成(冨家俊弥)
在胎期間別出生時体格標準値(板橋家頭夫)
NICU nutrition calculatorの使用方法(新井順一)
1.胎児期の栄養と環境
妊娠中の栄養と胎児発育(瀧本秀美)
望ましい妊娠中の体重増加量,および栄養素などの摂取基準について
[エネルギー摂取量と体重増加量について/鉄/ビタミン類について]
胎児発育遅延の原因と診断(篠塚憲男)
胎児発育の意味するもの−発育の異常とは
FGRの背景・病因
発育の診断について−2種類の発育曲線
[在胎週数別出生時標準(基準)値/EFWの基準値・子宮内胎児発育曲線]
発育遅延診断の基準値について
胎児発育遅延の診断の実際
母体葉酸欠乏による胎児の異常(熊谷恭子,杉浦真弓)
葉酸とは
葉酸欠乏と神経管閉鎖障害
葉酸欠乏と流産
葉酸欠乏と早産,子宮内発育遅延
葉酸欠乏と妊娠高血圧症候群
葉酸欠乏と常位胎盤早期剥離
葉酸と小児喘息
胎児期の環境とアレルギー疾患(石川良子)
衛生仮説
母体の抗原除去
母体のプロバイオティクス摂取
母体のビタミンD摂取
母体の葉酸摂取
母体のn-3系脂肪酸摂取
母体の抗酸化物質摂取
早産や子宮内発育遅延,SGAとアレルギー疾患
母体の喫煙とアレルギー疾患
Gene-environment interaction
胎児期の栄養環境とNCDs(non-communicable diseases)(伊東宏晃)
NCDsとは
DOHaD学説
DOHaD学説から紐解くNCDs発症リスクの形成
胎生期の低栄養環境とNCDsのかかわり
“thrifty phenotype(倹約型体質)”とNCDs蔓延のかかわり
胎生期の高栄養環境とNCDsのかかわり
胎児期および生後早期の栄養とエピジェネティクス(久保田健夫)
エピジェネティクスとは
エピジェネティクスの後天性変化
栄養環境とエピジェネティクス
今後の課題
2.新生児の消化・吸収機能および内分泌・代謝の発達
消化・吸収機能の発達生理(稲毛英介,清水俊明)
糖質の消化・吸収とその発達
蛋白質の消化・吸収とその発達
脂質の消化・吸収とその発達
その他の栄養素の消化・吸収とその発達
消化管ホルモンとその発達
新生児・乳児の消化・吸収障害
[乳糖不耐症/短腸症候群/消化・吸収機能の発達とアレルギー疾患]
生理的胆汁うっ滞(長田郁夫,三浦真澄,村上 潤)
胆汁の構成成分と各種胆汁成分の肝細胞からの排泄機序
胆汁酸の肝細胞内への取り込み,肝細胞内輸送と毛細胆管への排泄
[胆汁酸依存性胆汁の分泌と毛細胆管への排泄/胆汁酸非依存性胆汁の分泌と毛細胆管への排泄]
肝細胞内における胆汁酸の輸送調節
新生児期から乳児期の生理的胆汁うっ滞のメカニズム
内分泌代謝機能の発達生理(河井昌彦)
内分泌代謝機能の胎児発達過程
[インスリン・グルカゴン/成長ホルモン・IGF-1・IGF-2/糖質コルチコイド/甲状腺ホルモン/カテコールアミン]
胎児期のエネルギー代謝
出生に伴うエネルギー代謝の変化
[インスリン/グルカゴン/カテコールアミン,糖質コルチコイド,成長ホルモン]
新生児の栄養と脳の発達(早川昌弘)
中枢神経系の発達
新生児期の栄養と発達予後
栄養方法と児の発達
水・電解質代謝 (小嶋絹子,和田雅樹)
新生児の体液組成の変化と水分代謝
新生児の腎機能
電解質の調節
[ナトリウム(Na)/カリウム(K)]
水・電解質管理の実際
カルシウム,リン,マグネシウムの代謝と調節(和田和子)
カルシウム代謝
リン代謝
カルシウム・リンの調節
マグネシウム代謝
母体へのマグネシウム投与
アミノ酸代謝と蛋白蓄積(櫻井基一郎)
胎児期のアミノ酸供給
新生児のアミノ酸代謝と機能
アミノ酸投与量とエネルギー摂取量との関連性
脂質代謝と必須脂肪酸(岡田知雄,斉藤恵美子)
乳児の脂肪消化
脂肪の吸収と転送
カイロミクロンの産生について
母体と胎児の体脂肪および血清脂質代謝の関係
必須脂肪酸
低出生体重児と脂肪乳剤
炭水化物代謝(宮沢篤生)
炭水化物代謝の概要
胎児への供給ならびに代謝
出生後の新生児における代謝
微量元素(鉄を除く)(児玉浩子)
微量元素とは
亜鉛(Zn)
銅(Cu)
ヨウ素(I)
セレン(Se)
母乳および乳児用調整粉乳の微量元素含有量
鉄代謝(川口千晴)
母体からの鉄移行
出生後の鉄供給
[消化管からの鉄輸送/細胞外の鉄輸送と貯蔵鉄]
脳内の鉄動態
個体全体での鉄恒常性
ビタミンの代謝と必要量(白石 淳)
脂溶性ビタミン
[ビタミンA(レチノール)/ビタミンD(カルシフェロール)/ビタミンE(トコフェロール)/ビタミンK(フィロキノン,メナキノン)]
水溶性ビタミン
[ビタミンB1(チアミン)/ビタミンB2(リボフラビン)/ナイアシン(ニコチン酸,ニコチンアミド)/ビタミンB6(ピリドキシン)/ビタミンB12(コバラミン)/葉酸(プテロイルグルタミン酸)/パントテン酸/ビオチン/ビタミンC(アスコルビン酸)]
ビタミンの推奨量
早産児および低出生体重児を対象としたビタミンの推奨量
[経腸栄養/静脈栄養]
早産低出生体重児における栄養必要量とその考え方(城所励太,三浦文宏)
早産児の栄養学的目標
Macronutrientの必要量について
[蛋白質とエネルギー/グルコース/脂質/主要なミネラルおよび電解質]
栄養投与量の指針
3.母乳の科学
母乳育児の意義と有用性(堀内 勁)
妊娠中から出産直後の母と子の課題
出産直後の課題と母乳育児
授乳・哺乳を通した母親と乳児の関係性
母子交流の3要素
[母子間の相互交流調制/育児場面での情動の高まりの共有/体験の断絶と修復]
離乳食場面にみる 「ボタンのかけ違い」
成長後の母乳育児の影響
乳汁分泌機序とその調節(水野克己)
妊娠中の乳房の組織学的変化
乳汁生成の3つのステージと乳汁産生調節
[乳汁生成Ⅰ期/乳汁生成Ⅱ期/乳汁生成Ⅲ期]
哺乳機能の発達(水野克己)
正期産児における生後の発達
哺乳中の呼吸と嚥下が安定して行われるようになる時期
直接授乳とびん哺乳の違い
母乳の保存方法と栄養成分の変化(水野克己)
母乳の保存方法
保存による母乳への影響
[細菌数の変化/冷凍温度の影響/母乳成分の変化]
保存母乳の解凍・加温
もらい乳とドナーミルク
母乳に含まれる非栄養成分の役割(非蛋白態窒素成分について)(岩本 洋)
尿素
アミノ酸
アミノ糖
ヌクレオチド
乳汁の種類と生活習慣病のリスク(中野有也)
母乳栄養による肥満抑制効果
肥満抑制効果に対するメタアナリシス
肥満発症抑制効果を検証する無作為試験
母乳育児と感染症(水野克己)
授乳の中断
母乳自体や授乳を行うことが児に対する感染症の重症化を防ぐ
授乳中の母親が一般的な感染症に感染した場合の母親と児への対応
[かぜ症候群/インフルエンザ/単純ヘルペス/帯状疱疹/風疹/サイトメガロウイルス(CMV)/肝炎ウイルス/ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)/カンジダ感染症]
経母乳感染が証明されている感染性に対する予防方策
母体の薬物服用と授乳(和田友香,村島温子)
母体の薬物が母乳中へ移行する際にかかわる因子
[薬物側の因子/母体側の因子/母体の薬物が母乳中へ移行する量の推定方法(M/P比)]
母乳中の薬物が児へ移行する際にかかわる因子
[児側の因子/児に与える影響の推定方法]
授乳が可能である薬物
授乳中に注意を要する薬物
授乳と薬物に関する情報検索方法
出生後早期の新生児に与える母体に投与された薬物の影響
[新生児薬物離脱症候群/SSRI内服母体より出生した児のPPHN]
Ⅱ 早産児・低出生体重児の栄養を知る
NICU入院中の極低出生体重児の成長(櫻井基一郎)
早産児の身体発育の目標
NICU入院中の身体発育指標の特徴
極低出生体重児の成長の実際
NICU入院中の身体発育と神経学的予後
栄養管理法の違いによる身体発育への影響
Early aggressive nutritionの背景と目的(板橋家頭夫)
Early aggressive nutrition(EAN)の目的
栄養学的緊急事態
[飢餓反応/蛋白質の異化/中枢神経系への影響/子宮外発育遅延(EUGR)]
EANの効果
[蛋白(窒素)蓄積/NICU入院中の発育に対する効果/発達に与える効果]
エビデンスに基づくEANの方法
EANの問題点
[成長・発達に対する懸念/代謝性アシドーシスに対する懸念/高血糖に対する懸念/高BUN血症,高アンモニア血症/その他/今後の課題]
出生直後からの静脈栄養の実際(櫻井基一郎)
当院で施行している静脈栄養管理
[出生前の準備/出生時から生後24時間/生後24時間ごろ/生後48〜72時間ごろ/経腸栄養増量期〜輸液終了]
モニタリング
その他
[輸液の交換頻度/輸液中のチェック項目/PIカテーテル®の管理]
Trophic feedingの意義と実際(滝 元宏)
Trophic feedingの定義
Trophic feedingの効果
[消化管蠕動の促進/壊死性腸炎(NEC)について/外分泌・内分泌学的効果/血液学的な改善,胆汁うっ滞の軽減,黄疸の軽滅/感染症について/その他(経腸および経口栄養の確立までの期間・酸素投与期間・退院までの期間の短縮など)]
Trophic feedingの実際
Feeding intoleranceの対応(井上真理)
Feeding intoleranceの定義
Feeding intoleranceを疑うべきサイン
授乳が進まない場合の鑑別と検査
[先天性消化管奇形/未熟性/壊死性腸炎,腸管感染症/胎便関連腸閉塞/循環不全/ミルクアレルギー/呑気症/電解質異常/甲状腺機能低下症/薬物投与/その他]
授乳が進まないときの対応
予防
プロバイオティクスの効果と安全性(山﨑 晋,大塚宜一)
腸内細菌叢の確立
新生児期におけるプロバイオティクスの基礎的効果
[感染防御作用/免疫調節作用/短鎖脂肪酸への作用]
新生児期におけるプロバイオティクスの臨床的効果
[壊死性腸炎(NEC)の予防/新生児敗血症の予防/消化吸収・体重増加の改善]
新生児期におけるプロバイオティクス投与の実際
プロバイオティクスの安全性と問題点
強化母乳栄養の実際(鈴木 学,三浦文宏)
母乳強化の意義
母乳強化パウダー使用の実際
[対象/投与開始時期/母乳強化パウダーに関して/強化母乳栄養の終了時期に関して]
母乳強化の注意点
[浸透圧/栄養素/使用注意症例]
標準的母乳強化法(SF)
個別化した母乳強化法(IF)
[母乳成分分析に基づく母乳強化法(TF)/児の代謝に基づく母乳強化法(AF)]
新生児壊死性腸炎,胎便関連性腸閉塞症,限局性腸穿孔の病態と治療(窪田昭男,白石 淳)
低出生体重児に特有の消化管穿孔の病態
[壊死性腸炎(NEC)/限局性腸穿孔(FIP)/胎便関連性腸閉塞症(MRI)]
発症予防と術前管理
[NEC/FIP/MRI]
手術適応とタイミング
[NEC/FIP/MRI]
術後管理
[全身管理/栄養管理/ストーマ管理/ストーマの閉鎖]
Refeeding syndromeの病態とその対応(滝 元宏)
Refeeding syndromeの病態
Refeeding syndromeの予防
新生児領域におけるrefeeding syndrome
晩期循環不全とその対応(内山 温)
LCCの推定病因
LCCの疫学と診断基準
臨床的特徴と診断方法の実際
治療の実際
LCCを発症した症例の神経学的予後
未熟児代謝性骨疾患とその対応(北澤重孝)
病態生理
[子宮内の胎児骨形成とミネラル代謝/早産児の出生後の骨のミネラリゼーション/機械的要因のMBDへの関与]
臨床症状と診断
[生化学的マーカー/放射線学的検査]
MBDの予防・治療
[栄養管理/身体活動プログラム(PAP)/MBDによる骨折]
退院後のMBD児の栄養サポート
成人の低身長・骨粗鬆症
微量元素欠乏症とその対応(亜鉛,銅)(相澤まどか)
亜鉛
[亜鉛欠乏の背景/診断/欠乏時の対応/予防方法(必要量,推奨量)]
銅
[銅欠乏の背景/診断/必要量]
未熟児貧血(楠田 聡)
診断
早期貧血
晩期貧血
ガイドライン
乳児期
身体発育および神経発達に対する効果
副作用
臍帯結紮時期の影響
母体投与の効果
栄養と未熟児網膜症,慢性肺疾患(佐々木 寛)
栄養と未熟児網膜症
[未熟児網膜症の成因/ROPとIGF-I/ROPとn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)/栄養面からみたROPの予防]
慢性肺疾患と栄養
[慢性肺疾患の成因/CLDと栄養/栄養面からみたCLDの予防]
経管栄養から直接授乳の移行方法(水野克己)
経口哺乳の開始時期
直接授乳の進め方
胃食道逆流症(佐々木美香,松本 敦)
早産児におけるGERの原因
[一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)/胃内容排泄時間/食道運動機能/呼吸障害/胃管]
臨床症状および合併症
[無呼吸/気管支肺異形成症(BPD)/体重増加不良]
GERの検査
[上部消化管造影/食道pHモニタリング/多チャンネル食道内インピーダンス(MII)/胃食道シンチグラフィー(ミルクスキャン)/その他]
治療
[非薬物療法/薬物療法]
早産児GERDの診断と治療の考え方と進め方
NICU退院後の発育評価(河野由美)
NICU退院後の発育評価の重要性
低出生体重児の発育評価
[厚生労働省調査乳幼児身体発育値を用いた評価/極低出生体重児発育曲線を用いた評価]
子宮内発育による低出生体重児の分類と成長の特徴
[子宮内発育による低出生体重児の分類/AGA児の成長/SGA児の成長]
発育の評価で注意を要する疾患と対応
成長と発達予後の関連
早産児に対する離乳食の進め方(弘中祥司)
小児の摂食・嚥下機能の発達
早産児の離乳食開始の基本
出生体重と食べる機能
評価するポイント
早産児の口腔衛生(井上美津子)
早産児の口腔の特徴
[歯の大きさ,歯質の異常および歯の形態異常/乳歯列形態・口蓋形態の特徴および咬合・咀嚼機能]
早産児の口腔衛生
[口腔ケア(歯みがき)/食生活指導]
極低出生体重児の栄養と発達予後(田中恭子)
周産期の栄養と発達
新生児の中枢神経障害
神経発達に影響する栄養素
[脂質/アミノ酸/ビタミン類/ミネラル類/母乳栄養]
低出生体重児の成長と発達との関連性
[発達障害のメカニズム/IUGRと発達/EUGRと発達]
発達評価方法の選定
早産低出生体重児とnon-communicable diseases(板橋家頭夫)
体構成に対する影響
[体脂肪とlean body mass/内臓脂肪と異所性脂肪/骨塩量]
血圧に対する影響
腎臓に対する影響
インスリン抵抗性
脂質に対する影響
心血管系に対する影響
早産低出生体重児の栄養とメタボリックシンドロームのリスク
超音波ドプラ法を用いた腸管血流の評価(丸山憲一)
測定方法
生理的なSMA血流速度の変化
病的状態下におけるSMA血流速度
[全身の疾患,循環動態の影響/消化器の異常の影響/薬剤と治療の影響]
栄養輸液調製時の留意点(冨家俊弥)
無菌調製
脂肪乳剤
基本液(糖+電解質)
アミノ酸製剤
ビタミン,微量元素
その他の配合変化
Ⅲ 特殊な病態下の栄養管理を押さえる
新生児・乳児消化管アレルギーの診断と管理(宮沢篤生)
新生児・乳児消化管アレルギーの概要
病態生理
疫学
臨床像
診断
[牛乳特異的IgE抗体/便粘液中好酸球/食物抗原特異的リンパ球刺激試験(ALST)/その他]
治療と栄養管理
予後
先天代謝異常症の栄養管理(村山 圭)
尿素サイクル異常症
[診断のポイント/急性期の輸液法・栄養法]
有機酸代謝異常症
[診断のポイント/急性期の輸液法・栄養法]
脂肪酸代謝異常症
[急性期の輸液法]
ミトコンドリア呼吸鎖異常症(先天性高乳酸血症)
[急性期の輸液法・栄養法]
唇裂・口蓋裂合併児の栄養指導(加古結子)
状態の把握
[上気道の形態変化/呼吸状態/循環/神経学的所見/唇裂・口蓋裂以外の形態異常と環境]
哺乳方法の選択
[唇裂のみ/唇顎裂のみ/唇顎口蓋裂/軟口蓋裂のみ/硬軟口蓋裂のみ]
哺乳びんを使用した授乳方法の注意点
[哺乳時間と授乳回数/哺乳の姿勢と排気/乳首の固定と角度]
口蓋床について
経管栄養について
離乳食について
家族への支援
[育児支援/搾乳/経口哺乳が困難で経管栄養を行う場合]
気管切開をおいている児の栄養管理(加古結子)
基礎疾患の病態と嚥下機能
経管栄養
経口摂取
栄養源
栄養状態の評価
小児外科疾患の栄養管理(土岐 彰)
静脈栄養(経腸栄養開始前)
[必要エネルギー/糖質投与量/アミノ酸投与量/脂質投与量/小児外科手術と腸管不全関連肝機能障害(IFALD)]
経腸栄養
[経腸栄養剤]
小児外科特有の疾患
[先天性十二指腸閉鎖症,腸回転異常症/先天性食道閉鎖症/壊死性腸炎]
短腸症候群の栄養管理 (千葉正博,土岐 彰,真田 裕)
手術時〜術直後に考慮すべきポイント
[術中の判断/術直後]
術後回復期に考慮すべきポイント
[過蠕動期]
術後慢性期の栄養療法
[馴化期〜安定期/在宅]
早産SGA児の栄養管理(板橋家頭夫)
早産SGA児の諸問題
[SGAの定義/早産SGA児の短期予後/早産SGA児の成長/早産SGA児の神経学的予後]
早産SGA児の栄養管理上の問題点
[PNAC/新生児壊死性腸炎/feeding intolerance/高アンモニア血症]
中枢神経に障害を有する児の栄養指導(田角 勝)
摂食・嚥下機能障害の原因
[未熟性/解剖学的な構造異常/中枢神経,末梢神経,筋障害/全身状態/精神・心理的問題]
小児の摂食・嚥下機能の評価法
栄養の注意点
摂食・嚥下障害への対応方法の基本
対応の開始と目標
包括的対応の実際
[家族との相談と指導/摂食・嚥下にかかわる経験/医療的問題の存在/食事の時間におけるコミュニケーション/摂食・嚥下機能と筋緊張のコントロール/摂食・嚥下機能の改善のために]
静脈栄養の合併症と対策(滝 元宏)
輸液デバイスに関する合併症
調剤に関する合併症
代謝性・栄養性の合併症
[糖代謝異常/電解質異常/アミノ酸に関連する異常/脂肪乳剤と関連する異常/微量元素・ビタミン欠乏症]
臓器障害
胆汁うっ滞を合併した児の栄養管理(東海林宏道)
新生児胆汁うっ滞の頻度・定義
静脈栄養に伴う胆汁うっ滞(PNAC)
胆汁うっ滞の管理
[栄養管理/脂肪乳剤/その他の治療]
特殊ミルクとその適応(北村知宏,清水俊明)
特殊ミルクの分類・種類
[先天代謝異常症ミルク/糖原病用ミルク/糖質代謝異常用ミルク/ケトンフォーミュラ/MCTミルク/アレルギー用ミルク/電解質異常症用ミルク]
特殊ミルクによる栄養素欠乏
[必須脂肪酸欠乏症/カルニチン欠乏症/ビオチン欠乏症/亜鉛欠乏症/セレン欠乏症]
災害時における新生児栄養のあり方(浅野祥孝,田村正徳)
栄養の供給方法
[母乳栄養児の場合/人工乳栄養児の場合]
課題
資料
栄養輸液に用いられる製剤とその組成(冨家俊弥)
在胎期間別出生時体格標準値(板橋家頭夫)
NICU nutrition calculatorの使用方法(新井順一)
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新生児の良好な成長,発達予後をめざすために必要な,栄養学のすべてがわかる1冊
新生児栄養の進歩は著しく,特に近年は,胎児・新生児期の栄養環境がその後の成人期に影響を及ぼすという「DOHaD」など新しい学説が出てきており,新生児期の栄養管理はますます重要となってきている。
本書では,栄養に関する多くのエビデンスを重視しつつ,まずⅠ章で妊産婦や胎児の栄養,新生児の消化吸収機能,内分泌・代謝,さらに母乳の科学など,新生児栄養の基本事項を解説。さらにⅡ章では特に早産児・低出生体重児に対する栄養を,病態だけでなく唇裂・口蓋裂合併児の栄養指導やNICU退院後の早産児の口腔衛生などさまざまな視点で記述している。Ⅲ章ではアレルギーや短腸症候群など,特殊な病態下での栄養管理について述べている。
本書は新生児栄養の基礎から,臨床に生かせる最新情報までを網羅した,新生児医療従事者必携の1冊である。