胎動心拍数図
(アクトカルジオグラム)
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定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
- B5判 136ページ 2色
- 2013年3月26日刊行
- ISBN978-4-7583-1229-5
序文
鳥取大学名誉教授
前田一雄
分娩時には,分娩監視装置を使用するのが現在では当然の処置であって,分娩監視装置の胎児心拍数・陣痛図とそれへの対応は児の予後改善に貢献している。筆者は,その効果をさらに推進するため,胎児心臓ドプラ信号とは周波数の異なる胎動ドプラ信号で胎動を検出して,心拍数と同時記録する胎動・心拍数図(アクトカルジオグラム)を自作した(1983)。その後,市販されて広く使用されているが,解説書が少ないので本装置を製作し導入した者としての責任感から,今日までの経験と解析をまとめた。
胎動心拍数図には心拍数陣痛図も含まれるため,通常の胎児モニタリングにも利用されることを考えて,これまで行われてきた心拍数陣痛図による胎児診断とその成績も解説した。心拍数陣痛図には偽陽性所見があり,胎児診断の問題点とされたが,胎動心拍数図で鑑別できた偽陽性所見が多く,問題点を解決できたので解説した。胎動と胎児心拍数変化は深い関係にあり,両者を検討して基本的な胎児心拍数変動の発生機序を明らかにしたところ,異常な胎児心拍数変動を理解し該所見の重要度を推定するのに有用であったので詳細に解説した。筆者の報告後,各国で胎動ドプラ信号の原理に基づいて数種の胎動心拍数計が発表されたが,本書では筆者らの方式に従って最近の解析結果をまとめた。また,胎動心拍数図の数値化によって精密な胎児転帰予測が可能になったので解説する。
ハイリスク妊娠には連続監視が必要なことが多く,また全分娩の全経過監視は予後改善に有効であるが,胎児心拍数図を連続記録して常時観察し診断するのに貴重な時間を割かねばならず,また多数分娩施設の個別監視には多くの熟練者が必要なため,胎児心拍数図診断をコンピュータ化して分娩管理の簡易化と精密化を図った。巻末には筆者の作成した胎児心拍数自動診断エキスパーツ・システムのBASICプログラムを掲載した。日本産科婦人科学会は,胎児心拍数図の重症度を5段階に分類し各段階の対応を発表したので,自動胎児監視の警報や対応もこれに準じた。なお,胎児機能不全という用語は一般的機能不全と紛らわしいので,本書では「胎児機能不全」と括弧を付けて旧胎児仮死に対応した。
分娩時胎児心拍数診断で十分な臨床成績を得るには,陣痛発生時のごく早期の分娩経過中の陣痛ストレスに対する反応が重要で,子宮収縮による酸素供給減少が胎児低酸素症発生を促進し,重症では胎児死亡に至ることを,筆者は分娩監視装置導入直後に経験した。従って,妊娠時の胎児心拍数図(NST)を参照し,外測法が有用である。本邦では分娩監視装置導入の最初から外測法を用い,胎児心音や超音波ドプラ信号で胎児心拍を検出したので,妊娠中から分娩初期にわたる胎児診断が可能であり,異常検出と治療に役立っている。
超音波心拍数計には本邦開発の自己相関心拍数計が有用で,さらに筆者は胎児心拍検出用の超音波を利用して,超音波照射を増加せずに胎動図を心拍数と同時記録した。分娩監視装置の超音波安全は,我々の研究による超音波閾値発見とそれに基づくJIS超音波診断装置超音波出力規制により確立し,児頭誘導胎児心電信号による心拍数記録の電気安全は,医用生体工学会・日本産科婦人科学会合同委員会制定の胎児心電計規格で保障されている。
本書では,普通の心拍数陣痛図による胎児診断と胎児心拍数図の低酸素症による種々の変化を基本から説明し,さらに胎動図を加えて胎児心拍数変動の理論を解説し,単に先人の設定した診断法のみによることなく,理論的に胎児心拍数の低酸素症変動を解説したが,その際,解析に胎動を加えることによって理論を確立できた。胎児心拍数の偽陽性診断を減らし,胎児生理研究を進展させる目的で超音波ドプラ胎動図を発案したが,機構上の特徴としては胎児心拍数図と胎動図を1個の超音波プローブで記録して余分な超音波照射を防ぎ,応用面では胎児生理研究に新分野を開くことが可能となった。さらに,胎児に定量的な音・光刺激を与えてその反応を胎動心拍数図で記録し,胎児発達生理研究と胎児感覚検査に資することができた。
胎児心拍数陣痛図については,1960年代以来世界的に,心拍数図形を直観的に認識し分類してその上に立って各分類個別に胎児重症度を判断するという,パタ-ン分類法が行われてきた。数量解析を伴わないので一見診断が容易に思われるが,実際にはまず心拍数パタ-ンを認識し,その認識の上で再度重症度を判断する必要があり,その2段階の過程で観察者間の相違(observer difference)が生じ,結果は主観的に流れ,成績比較も困難である。パターン認識さえも,結局はパターン分類の創始者でなければ困難な状態である。加えてパターン重症度判定がパターン個別に行われ,1胎児のある段階の総合的な判定がないので異常への対策も困難なことがあり,確定的方策に乏しい。
筆者は客観的で正診率が高く,偽陽性・偽陰性の少ない定量的胎児心拍数診断を試み,全体的状況を総括的な心拍数スコアと人工神経回路網診断で表現し,心拍数図の周波数解析で生理的サイナソイダル心拍数を真の病的サイナソイダル心拍数から鑑別し,また心拍数細変動(LTV)を診断した。また派生的にFDインデックスとニューラル・インデックスを求め,これらをコンピュータ胎児心拍数自動診断に利用して単一のあるいは多数の妊産婦の自動胎児監視診断システムを開発するに至った。胎動心拍数図も一部はコンピュ-タ解析に成功したので,将来のA/B比自動算定を含めて胎児心拍数自動診断の項に記載した。
妊娠分娩時の子宮収縮薬剤使用では,分娩監視装置で心拍数と陣痛を監視するのが原則であるが,筆者は1970年代に安全な自動陣痛誘発装置を開発した。妊娠子宮筋のオキシトシン感受性は広範囲なため,筆者のオキシトシン静脈内持続注入では極微量から次第に増量して適切な陣痛が出現すれば自動的に注入量を固定し,過強陣痛や胎児心拍数異常警報などでは注入停止を自動的に行った。
2013年1月吉日
前田一雄
分娩時には,分娩監視装置を使用するのが現在では当然の処置であって,分娩監視装置の胎児心拍数・陣痛図とそれへの対応は児の予後改善に貢献している。筆者は,その効果をさらに推進するため,胎児心臓ドプラ信号とは周波数の異なる胎動ドプラ信号で胎動を検出して,心拍数と同時記録する胎動・心拍数図(アクトカルジオグラム)を自作した(1983)。その後,市販されて広く使用されているが,解説書が少ないので本装置を製作し導入した者としての責任感から,今日までの経験と解析をまとめた。
胎動心拍数図には心拍数陣痛図も含まれるため,通常の胎児モニタリングにも利用されることを考えて,これまで行われてきた心拍数陣痛図による胎児診断とその成績も解説した。心拍数陣痛図には偽陽性所見があり,胎児診断の問題点とされたが,胎動心拍数図で鑑別できた偽陽性所見が多く,問題点を解決できたので解説した。胎動と胎児心拍数変化は深い関係にあり,両者を検討して基本的な胎児心拍数変動の発生機序を明らかにしたところ,異常な胎児心拍数変動を理解し該所見の重要度を推定するのに有用であったので詳細に解説した。筆者の報告後,各国で胎動ドプラ信号の原理に基づいて数種の胎動心拍数計が発表されたが,本書では筆者らの方式に従って最近の解析結果をまとめた。また,胎動心拍数図の数値化によって精密な胎児転帰予測が可能になったので解説する。
ハイリスク妊娠には連続監視が必要なことが多く,また全分娩の全経過監視は予後改善に有効であるが,胎児心拍数図を連続記録して常時観察し診断するのに貴重な時間を割かねばならず,また多数分娩施設の個別監視には多くの熟練者が必要なため,胎児心拍数図診断をコンピュータ化して分娩管理の簡易化と精密化を図った。巻末には筆者の作成した胎児心拍数自動診断エキスパーツ・システムのBASICプログラムを掲載した。日本産科婦人科学会は,胎児心拍数図の重症度を5段階に分類し各段階の対応を発表したので,自動胎児監視の警報や対応もこれに準じた。なお,胎児機能不全という用語は一般的機能不全と紛らわしいので,本書では「胎児機能不全」と括弧を付けて旧胎児仮死に対応した。
分娩時胎児心拍数診断で十分な臨床成績を得るには,陣痛発生時のごく早期の分娩経過中の陣痛ストレスに対する反応が重要で,子宮収縮による酸素供給減少が胎児低酸素症発生を促進し,重症では胎児死亡に至ることを,筆者は分娩監視装置導入直後に経験した。従って,妊娠時の胎児心拍数図(NST)を参照し,外測法が有用である。本邦では分娩監視装置導入の最初から外測法を用い,胎児心音や超音波ドプラ信号で胎児心拍を検出したので,妊娠中から分娩初期にわたる胎児診断が可能であり,異常検出と治療に役立っている。
超音波心拍数計には本邦開発の自己相関心拍数計が有用で,さらに筆者は胎児心拍検出用の超音波を利用して,超音波照射を増加せずに胎動図を心拍数と同時記録した。分娩監視装置の超音波安全は,我々の研究による超音波閾値発見とそれに基づくJIS超音波診断装置超音波出力規制により確立し,児頭誘導胎児心電信号による心拍数記録の電気安全は,医用生体工学会・日本産科婦人科学会合同委員会制定の胎児心電計規格で保障されている。
本書では,普通の心拍数陣痛図による胎児診断と胎児心拍数図の低酸素症による種々の変化を基本から説明し,さらに胎動図を加えて胎児心拍数変動の理論を解説し,単に先人の設定した診断法のみによることなく,理論的に胎児心拍数の低酸素症変動を解説したが,その際,解析に胎動を加えることによって理論を確立できた。胎児心拍数の偽陽性診断を減らし,胎児生理研究を進展させる目的で超音波ドプラ胎動図を発案したが,機構上の特徴としては胎児心拍数図と胎動図を1個の超音波プローブで記録して余分な超音波照射を防ぎ,応用面では胎児生理研究に新分野を開くことが可能となった。さらに,胎児に定量的な音・光刺激を与えてその反応を胎動心拍数図で記録し,胎児発達生理研究と胎児感覚検査に資することができた。
胎児心拍数陣痛図については,1960年代以来世界的に,心拍数図形を直観的に認識し分類してその上に立って各分類個別に胎児重症度を判断するという,パタ-ン分類法が行われてきた。数量解析を伴わないので一見診断が容易に思われるが,実際にはまず心拍数パタ-ンを認識し,その認識の上で再度重症度を判断する必要があり,その2段階の過程で観察者間の相違(observer difference)が生じ,結果は主観的に流れ,成績比較も困難である。パターン認識さえも,結局はパターン分類の創始者でなければ困難な状態である。加えてパターン重症度判定がパターン個別に行われ,1胎児のある段階の総合的な判定がないので異常への対策も困難なことがあり,確定的方策に乏しい。
筆者は客観的で正診率が高く,偽陽性・偽陰性の少ない定量的胎児心拍数診断を試み,全体的状況を総括的な心拍数スコアと人工神経回路網診断で表現し,心拍数図の周波数解析で生理的サイナソイダル心拍数を真の病的サイナソイダル心拍数から鑑別し,また心拍数細変動(LTV)を診断した。また派生的にFDインデックスとニューラル・インデックスを求め,これらをコンピュータ胎児心拍数自動診断に利用して単一のあるいは多数の妊産婦の自動胎児監視診断システムを開発するに至った。胎動心拍数図も一部はコンピュ-タ解析に成功したので,将来のA/B比自動算定を含めて胎児心拍数自動診断の項に記載した。
妊娠分娩時の子宮収縮薬剤使用では,分娩監視装置で心拍数と陣痛を監視するのが原則であるが,筆者は1970年代に安全な自動陣痛誘発装置を開発した。妊娠子宮筋のオキシトシン感受性は広範囲なため,筆者のオキシトシン静脈内持続注入では極微量から次第に増量して適切な陣痛が出現すれば自動的に注入量を固定し,過強陣痛や胎児心拍数異常警報などでは注入停止を自動的に行った。
2013年1月吉日
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目次
I章 胎動心拍数図の原理と胎動心拍数計
胎児監視の必要性と心拍数陣痛図
正常な心拍数陣痛図(CTG)
分娩時胎児監視の意義
ローリスク分娩の監視
胎動心拍数図
胎動図の必要性と原理
超音波ドプラ胎動心拍数計の製作
胎動心拍数図記録の実際
陣痛(子宮収縮)計測
内測法
外測法
正常の胎動心拍数図
胎動心拍数図のいろいろの変化
妊娠時期による心拍数の変化
胎児行動期による変化
胎児安静期の鑑別診断
胎児行動期による胎動信号の定量的変化
薬物による心拍数変化
II章 胎児心拍数診断と胎動心拍数図の応用
胎児低酸素症について
低酸素症による胎児心拍数異常所見の発生機序
徐脈
低酸素症における胎児徐脈
徐脈以外の低酸素性胎児心拍数所見による診断
基線細変動および一過性頻脈の発生と消失
基線細変動の発生
一過性頻脈の発生
細変動消失および一過性頻脈消失時の胎児脳障害の程度
低酸素症進行に伴う胎児心拍数所見の変化
胎児低酸素症の臨床的原因
母体の全身異常
母体低酸素症
母体の低血圧
子宮循環の異常
子宮動脈の末梢抵抗増加
仰臥位低血圧
妊娠末期子宮の総腸骨動脈圧迫
胎盤の異常
常位胎盤早期剥離
絨毛間腔のフィブリン沈着
胎盤老化(第3度胎盤)
胎児疾患
染色体異常
胎児発育不全(IUGR),胎児発育抑制(FGR)
高度貧血
臍帯異常
臍帯圧迫
臍帯脱出
臍帯巻絡
臍帯過捻転
臍帯炎・腫瘤
過強陣痛
羊水過少
高度の胎児低酸素症の影響
新生児仮死
中枢神経系障害
多臓器障害
長期予後への影響
胎児死亡
研究初期に経験した,妊娠中の胎児死亡前の胎児心拍数図
心拍数細変動消失を伴った遅発一過性徐脈
遷延遅発一過性徐脈
高度変動一過性徐脈
サイナソイダル胎児心拍数
胎児低酸素症の診断
胎児心拍数陣痛図の肉眼観察による診断
心拍数基線の持続的徐脈
急激な持続性高度徐脈への移行
一過性徐脈
遅発一過性徐脈
高度変動一過性徐脈
遷延一過性徐脈
徐脈以外の心拍数所見による低酸素症診断
心拍数基線細変動と一過性頻脈の消失
サイナソイダル胎児心拍数
低酸素症以外の原因による胎児徐脈
房室ブロック
胎児心臓の洞性徐脈
軽度変動一過性徐脈
早発一過性徐脈
「胎児機能不全」の胎児心拍数肉眼診断のまとめ
その他の胎児低酸素症診断
胎児心拍数図の定量的解析
胎動心拍数図の利用
胎児心拍数図に併用するその他の検査法
パルスオキシメトリー(酸素飽和度計測法)
胎児心電図ST部変化による低酸素症診断
頭皮血pHによる胎児アシドーシス診断
オキシトシンチャレンジ試験
胎動に対する心拍数図の反応
biophysical profile score(BPS)
胎児振動音刺激試験
「胎児機能不全」の治療
保存的治療(保守的治療,子宮内蘇生法)
軽度変動一過性徐脈,仰臥位低血圧症候群や総腸骨動脈圧迫症候群による胎児心拍数一過性徐脈の場合
産道狭窄や児頭骨盤不均衡(CPD)で娩出困難なため陣痛高度な場合を除いて,過強陣痛があって異常胎児心拍数変動を呈する場合
原因が明らかでない過強陣痛の場合
積極的治療
急速遂娩
心拍数陣痛図の肉眼診断による分娩監視の臨床効果
日本産科婦人科学会の胎児心拍数波形分類と分娩時胎児管理指針
胎児心拍数図における用語の定義−変更点(日本産科婦人科学会周産期委員会報告,2008年)
心拍数波形による分娩時管理の指針(2009年改定)
日本産科婦人科学会周産期委員会の分娩時胎児管理の指針
胎動による胎児心拍数の変化
胎動バースト
一過性頻脈
ノンリアクティブ胎児心拍数
その他の胎動
胎児の呼吸用運動の胎動心拍数図
胎児しゃっくり様運動の胎動心拍数図
中枢神経系疾患胎児の重症度
一般胎児疾患の重症度
音・光刺激に対する胎動と心拍数の反応
音刺激
光刺激
胎児心拍数と胎動の相互相関
III章 胎児心拍数の自動診断
胎児心拍数図のコンピュータ診断とは
個別の分娩監視の問題点
原理
パターン分類を用いない胎児心拍数陣痛図の定量的診断
研究の背景
筆者らの方法
胎児心拍数の自動解析評価プログラム
エキスパーツ・システム(Experts' knowledge system)
定量的胎児心拍数評価の成績
人工神経回路網システム
心拍数診断
人工神経回路網判定成績
周波数解析によるサイナソイダル胎児心拍数と細変動消失の判定
中央コンピュータ自動診断胎児心拍数監視警報システム
センサの装着と信号の伝送
コンピュータ本体の処理
中央コンピュータの表示
各システムにより医師へ通知される警報
エキスパーツ・システムによる警報
人工神経回路網による警報
周波数解析による警報
警報伝達の方法と担当医の対応
本システムの臨床成績
本システムの利点
胎動心拍数図の自動診断
胎児行動期の自動診断
A/B比の算出とその自動診断への応用
自動陣痛誘発装置
方法
結果
結論
・参考文献
・自動胎児モニタリング・エキスパーツ・システムの胎児心拍数自動解析
胎児監視の必要性と心拍数陣痛図
正常な心拍数陣痛図(CTG)
分娩時胎児監視の意義
ローリスク分娩の監視
胎動心拍数図
胎動図の必要性と原理
超音波ドプラ胎動心拍数計の製作
胎動心拍数図記録の実際
陣痛(子宮収縮)計測
内測法
外測法
正常の胎動心拍数図
胎動心拍数図のいろいろの変化
妊娠時期による心拍数の変化
胎児行動期による変化
胎児安静期の鑑別診断
胎児行動期による胎動信号の定量的変化
薬物による心拍数変化
II章 胎児心拍数診断と胎動心拍数図の応用
胎児低酸素症について
低酸素症による胎児心拍数異常所見の発生機序
徐脈
低酸素症における胎児徐脈
徐脈以外の低酸素性胎児心拍数所見による診断
基線細変動および一過性頻脈の発生と消失
基線細変動の発生
一過性頻脈の発生
細変動消失および一過性頻脈消失時の胎児脳障害の程度
低酸素症進行に伴う胎児心拍数所見の変化
胎児低酸素症の臨床的原因
母体の全身異常
母体低酸素症
母体の低血圧
子宮循環の異常
子宮動脈の末梢抵抗増加
仰臥位低血圧
妊娠末期子宮の総腸骨動脈圧迫
胎盤の異常
常位胎盤早期剥離
絨毛間腔のフィブリン沈着
胎盤老化(第3度胎盤)
胎児疾患
染色体異常
胎児発育不全(IUGR),胎児発育抑制(FGR)
高度貧血
臍帯異常
臍帯圧迫
臍帯脱出
臍帯巻絡
臍帯過捻転
臍帯炎・腫瘤
過強陣痛
羊水過少
高度の胎児低酸素症の影響
新生児仮死
中枢神経系障害
多臓器障害
長期予後への影響
胎児死亡
研究初期に経験した,妊娠中の胎児死亡前の胎児心拍数図
心拍数細変動消失を伴った遅発一過性徐脈
遷延遅発一過性徐脈
高度変動一過性徐脈
サイナソイダル胎児心拍数
胎児低酸素症の診断
胎児心拍数陣痛図の肉眼観察による診断
心拍数基線の持続的徐脈
急激な持続性高度徐脈への移行
一過性徐脈
遅発一過性徐脈
高度変動一過性徐脈
遷延一過性徐脈
徐脈以外の心拍数所見による低酸素症診断
心拍数基線細変動と一過性頻脈の消失
サイナソイダル胎児心拍数
低酸素症以外の原因による胎児徐脈
房室ブロック
胎児心臓の洞性徐脈
軽度変動一過性徐脈
早発一過性徐脈
「胎児機能不全」の胎児心拍数肉眼診断のまとめ
その他の胎児低酸素症診断
胎児心拍数図の定量的解析
胎動心拍数図の利用
胎児心拍数図に併用するその他の検査法
パルスオキシメトリー(酸素飽和度計測法)
胎児心電図ST部変化による低酸素症診断
頭皮血pHによる胎児アシドーシス診断
オキシトシンチャレンジ試験
胎動に対する心拍数図の反応
biophysical profile score(BPS)
胎児振動音刺激試験
「胎児機能不全」の治療
保存的治療(保守的治療,子宮内蘇生法)
軽度変動一過性徐脈,仰臥位低血圧症候群や総腸骨動脈圧迫症候群による胎児心拍数一過性徐脈の場合
産道狭窄や児頭骨盤不均衡(CPD)で娩出困難なため陣痛高度な場合を除いて,過強陣痛があって異常胎児心拍数変動を呈する場合
原因が明らかでない過強陣痛の場合
積極的治療
急速遂娩
心拍数陣痛図の肉眼診断による分娩監視の臨床効果
日本産科婦人科学会の胎児心拍数波形分類と分娩時胎児管理指針
胎児心拍数図における用語の定義−変更点(日本産科婦人科学会周産期委員会報告,2008年)
心拍数波形による分娩時管理の指針(2009年改定)
日本産科婦人科学会周産期委員会の分娩時胎児管理の指針
胎動による胎児心拍数の変化
胎動バースト
一過性頻脈
ノンリアクティブ胎児心拍数
その他の胎動
胎児の呼吸用運動の胎動心拍数図
胎児しゃっくり様運動の胎動心拍数図
中枢神経系疾患胎児の重症度
一般胎児疾患の重症度
音・光刺激に対する胎動と心拍数の反応
音刺激
光刺激
胎児心拍数と胎動の相互相関
III章 胎児心拍数の自動診断
胎児心拍数図のコンピュータ診断とは
個別の分娩監視の問題点
原理
パターン分類を用いない胎児心拍数陣痛図の定量的診断
研究の背景
筆者らの方法
胎児心拍数の自動解析評価プログラム
エキスパーツ・システム(Experts' knowledge system)
定量的胎児心拍数評価の成績
人工神経回路網システム
心拍数診断
人工神経回路網判定成績
周波数解析によるサイナソイダル胎児心拍数と細変動消失の判定
中央コンピュータ自動診断胎児心拍数監視警報システム
センサの装着と信号の伝送
コンピュータ本体の処理
中央コンピュータの表示
各システムにより医師へ通知される警報
エキスパーツ・システムによる警報
人工神経回路網による警報
周波数解析による警報
警報伝達の方法と担当医の対応
本システムの臨床成績
本システムの利点
胎動心拍数図の自動診断
胎児行動期の自動診断
A/B比の算出とその自動診断への応用
自動陣痛誘発装置
方法
結果
結論
・参考文献
・自動胎児モニタリング・エキスパーツ・システムの胎児心拍数自動解析
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胎動心拍数図と中央コンピュータ自動診断胎児心拍数監視警報システムのすべてがわかる
開発者自らが,胎動心拍数図の原理から波形の読み方までを詳しく解説。分娩時に最も注意深く監視しなくてはならない「胎児低酸素症」について,胎児心拍数図を用いた診断法と治療へのアプローチについても言及している。また,同じく自ら開発した「中央コンピュータ自動診断胎児心拍数監視警報システム」と「自動陣痛誘発装置」についても紹介している。