NS NOW No.13

整容脳神経外科Update

きれいなキズアトを目指して

整容脳神経外科Update

■担当編集委員 寺本 明

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • A4判  204ページ  カラー+2色,イラスト100点,写真60点
  • 2011年1月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-1192-2

在庫僅少です。


脳神経外科手術において必要不可欠になりつつある整容的知識・技術の最新情報を解説

術後の整容的配慮よりも救命を第一とする脳神経外科手術であるが,皮切の一寸した配慮や工夫で整容的な問題を防ぐことができ,術後のQOLを大幅に改善することができる。今回の特集では,脳神経外科手術において必要不可欠になりつつある整容的知識・技術の最新情報を解説する。

■シリーズ編集委員
寺本 明/新井 一/塩川芳昭/大畑建治


序文

 近年,脳神経外科手術の進歩は目覚しく,頭蓋内病変の多くを開頭手術で治癒できるようになった。病変を根治した脳神経外科医の満足度は大変高いわけであるが,患者のそれとは必ずしも一致しない。その理由の最大のものは,術後の頭部の創痕や陥凹にあり,これらは社会生活を営む上で大きな障害となっている。我々脳神経外科医は,頭蓋内の操作には万全を尽くし関心も深いものがあるが,閉頭に関しては確実に閉じれば良いという考えが支配的であった。特に有髪部の内側で皮膚切開を行うので,手術創や陥凹は髪に隠れるため問題は無いと教えられてきた。しかし,たとえ有髪部でもそれらはできるだけ目立たなくてきれいな方がいいわけであるし,ましてや体表で見える部分なら尚更である。
 編者は以前からこの点について集中的に論議する機会を持ちたいと思っていたが,平成19年4月に脳神経外科の手術と機器学会を主催した際に“美容形成法”のセッションを設けたところ大変な反響があり,同様の考えを持つ脳神経外科医が大勢いることがわかった。そこで,翌年の2月に10数名の同志とともに「日本整容脳神経外科研究会」を立ち上げたわけである。“整容”とは“美容”と異なり,その人の本来の姿に戻すという意味で用いている。この研究会では,その目的のための術前の工夫,術式や機器・材料の開発,術後管理法,慢性期の創痕の修復方法などを議論している。それには高度な技術を要する根本的な手技とともに,比較的簡便な方法(プチ形成手技や一種の化粧法など)も含まれる。更には,単に技術的なことだけでなく,患者の精神面でのケアも主題の一つである。勿論,この分野は形成外科的な知識や技術を要することも多いため,形成外科専門医の協力や関与が必須である。
 本書は,これらの知識と技術に関する現時点でのエッセンスを網羅したものである。まずこの分野の一人者である菅原教授に整容脳神経外科のコンセプトを記述頂き,以下,開頭部位別の整容的手術手技,疾患別の整容的工夫,個別の技術各論,そして最後にトラブルシューティングのいくつかを論じて頂いた。執筆者の大半は上記の研究会の主要なメンバーであり,その内容にはエキスパートとしての深い経験と理論が満載されている。
 本書が,我が国の多くの脳神経外科医の手引き書となり,今後脳神経外科の手術を受ける患者の真の満足度を高めることに貢献できることを祈念して序の言葉としたい。

2010年12月
寺本 明
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目次

I コンセプト   
 整容的開頭術の基本  
  ■アウトライン 
  ■医師と患者の認識の違いについて 
  ■剃毛について 
   無剃毛手術における消毒方法(われわれの方法)
  ■皮膚切開について 
   メスの向き
   電気メスの使用について
   切開について
  ■閉頭について 
   創閉鎖について
  ■再手術における開頭 
   異物の露出について
  ■術後ケアについて 
  ■おわりに 

II 開頭部位による整容的工夫   
 前頭側頭開頭  
  ■アウトライン 
  ■手術手技 
   皮膚切開
   側頭筋およびpericraniumの処置
   開頭
   閉頭(骨弁固定)
   側頭筋,pericraniumの縫合,閉創
 両側前頭開頭  
  ■アウトライン 
  ■手術手技 
   皮切
   burr holeと骨切り
   前頭洞の処置
   閉頭
 頭頂後頭開頭  
  ■アウトライン 
  ■頭頂後頭部の解剖 
  ■手術手技 
   開頭,剃毛
   頭皮切開
   穿頭,骨切り
   硬膜切開
   閉頭
 頭蓋底手術(テント上)  
  ■アウトライン 
  ■頭蓋,眼窩,顔面,鼻を含む前頭蓋底手術における手術手技と整容的問題点 
   術前準備
   体位
   皮膚切開
   開頭
   再建法
   閉創
   術後管理
  ■頭蓋底再建に使用する代表的血管付き皮膚・筋弁 
   広背筋皮弁
   大腿外側筋皮弁
   腹直筋皮弁
   側頭筋弁
   前頭筋弁,pericranial flap
 後頭蓋窩手術  
  ■アウトライン 
  ■手術手技 
   皮膚切開と筋群剥離
   骨溝を少なくした開頭
   閉頭操作
   まとめ

III 疾患別手術における整容的工夫   
 脳血管外科—頭蓋内外血行再建術  
  ■アウトライン 
  ■浅側頭動脈(STA)の剥離の際の留意点 
   皮切とセッティング
   頭頂枝の剥離
   前頭枝の剥離
   バイパス後の側頭筋を用いた血管処理
  ■橈骨動脈(RA)の採取の際の留意点 
   皮切と剥離
   閉創時の留意点
  ■頚部頚動脈分岐部の露出の際の留意点 
   横切開の皮切
   アプローチ
   閉創
 脳血管外科—もやもや病を中心に  
  ■アウトライン 
  ■もやもや病に対するEC-IC bypass:その位置づけと適応 
  ■手術の実際 
   体位
   皮膚切開と開頭における工夫
   硬膜切開と直接血行再建術の実際
   間接血行再建術と骨形成
   閉創・頭皮縫合と術後管理
 脳腫瘍外科  
  ■アウトライン 
  ■整容的工夫 
   脳腫瘍治療と放射線障害
   小脳橋角部腫瘍摘出術と顔面神経障害
 てんかん外科—電極植え込み・複数回手術  
  ■アウトライン 
  ■電極植え込み術 
   体位,皮膚切開および開頭
   硬膜切開・閉鎖と電極挿入
   閉頭と皮膚縫合
   症例1
  ■脳梁後方離断術 
   体位,皮膚切開および開頭
   硬膜切開・閉鎖と電極挿入
   症例2
 機能外科—植え込み機器をめぐって  
  ■アウトライン 
  ■体内植え込み機器を用いる治療について 
  ■体内植え込み機器(デバイス)を用いた機能的脳神経外科の対象疾患と用いられる機器 
  ■脳深部刺激療法手術 
   脳深部刺激療法の留意点
   深部電極挿入時の工夫
   IPG植え込みの工夫
   バクロフェン髄腔内持続投与ポンプの植え込み
   デバイス植え込みによるトラブルへの対処
 小児脳神経外科—開頭・シャント手術を中心に  
  ■アウトライン 
  ■脳室腹腔シャントの手術手技における整容的工夫 
  ■手術手技 
   術前準備
   手術手技
  ■開頭術の手術手技における整容的工夫 
   頭蓋骨形成
   特殊な皮膚切開:MCDOの場合
 小児脳神経外科—整容を重視した脊髄髄膜瘤皮膚欠損の再建術  
  ■アウトライン 
  ■再建の基本概念 
  ■術式の選択 
  ■皮弁の縫合 
  ■術後管理 
  ■症例 
  ■まとめ 

IV 技術的側面   
 術野消毒法  
  ■アウトライン 
  ■術野の前処置 
  ■ブラッシング 
  ■手術野の消毒 
  ■皮膚消毒用薬剤 
  ■消毒薬の抗微生物スペクトル 
  ■各種消毒薬の特性 
   ポビドンヨード
   クロルヘキシジン
   ベンザルコニウム塩化物液
   ベンゼトニウム塩化物液
 無剃毛手術1 (私のやり方)—創部をきれいにするための工夫  
  ■アウトライン 
  ■手術手技 
   術前準備
   皮膚切開線の決定
   消毒とドレーピング
   皮膚切開
   開頭部位
   閉頭
   縫合
   術後
   抗生剤投与
  無剃毛手術2 (私のやり方)—完全無剃毛と整容に配慮した開頭デザイン  
  ■アウトライン 
  ■無剃毛手術法 
   術前準備
   術野の消毒
   頭髪の処理
   皮膚切開法
   術中の注意点
   閉創
   術後洗髪
   術後創管理
  ■皮膚切開デザイン 
  ■まとめ 
 骨弁固定法  
  ■アウトライン 
  ■本骨弁固定法の特徴 
  ■前頭側頭開頭 
   体位
   皮膚切開
   開頭
  ■Plateを用いた閉頭法 
   遊離骨弁のダボ穴の作成
   頭蓋骨側のダボ穴作成
   骨弁の固定
   骨欠損部分について
   閉創
  ■Screwを用いた閉頭法 
   開頭
   骨弁側の処置
   頭蓋骨側の処置
   骨弁の固定
  ■両側前頭開頭 
   皮膚切開
   開頭
  ■両側前頭開頭の閉頭 
 ペースト人工骨とオーダーメイド人工骨  
  ■アウトライン 
  ■ペースト人工骨 
   われわれが行っている整容的前頭側頭開頭の手術手技
  ■オーダーメイド人工骨 
   手術適応
   オーダーメイド人工骨の素材
   バイオセラミック系人工骨の種類
   バイオセラミック系オーダーメイド人工骨を用いた頭蓋形成術
 耳珠切開法  
  ■アウトライン 
  ■手術手技 
   術前準備
   手術操作
   術中管理
   縫合
 特殊メイク法—リハビリメイクの応用  
  ■アウトライン 
  ■リハビリメイクの手技 
   メイクへの導入としてのカウンセリング
   血流マッサージ
   メイクアップ
   その他のメーキャップ
   メイク用に新しく開発したテープ

V トラブルシューティング   
 異物・プレートの対処法  
  ■アウトライン 
  ■外傷性異物 
  ■医原性異物 
   術中頭部X線検査
   置き忘れを防ぐための綿花の使用法
   縫合針
  ■チタンプレート 
 術後感染に対する治療—自家骨移植  
  ■アウトライン 
  ■自家骨移植 
   肋骨グラフト(rib graft)採取法
   頭蓋骨外板グラフト(calvarial graft)採取法
   帽状腱膜付き頭蓋骨外板グラフト(vascularized galea-calvarial graft)採取法
  ■大腿筋膜採取法 
 局所皮弁のテクニック—寄らない創をなんとかして閉鎖する  
  ■アウトライン 
  ■手術手技 
   手術手技1:皮膚を伸ばす〜頭皮の構造と皮弁の挙上レイヤー
   手術手技2:皮膚を移動させる〜rhomboid flap(Limberg's flap)
   手術手技3:皮膚を回転移動させる〜rotation flap
   手術手技4:皮膚をずらす〜bi-pedicled flap
   手術手技5:皮膚を貼る〜植皮術
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