こうして鑑別 こうやって治療

SMT & GIST

SMT & GIST

■編著 西田 俊朗

定価 3,960円(税込) (本体3,600円+税)
  • A5判  192ページ  2色(一部カラー)
  • 2011年3月24日刊行
  • ISBN978-4-7583-1169-4

SMT & GISTがまるまるわかるこの1冊

SMT(粘膜下腫瘍)やGIST(消化管間葉系腫瘍)はまれな疾患ではあるが,検査技術・機器の発達などにより,実際に診る機会も増えてきた。それらの中には難治性のもの,再発の可能性の高いものもあり,手術適応だけでなく薬物療法(イマチニブ,スニチニブなど)の有用性が確立されてきた。
本書は,実際にSMT,GISTに遭遇した時に頼れる,SMT,GISTの診療をコンパクトかつダイレクトにまとめた書籍である。


序文

 消化管の粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT),GIST(gastrointestinal stromal tumor:消化管間質腫瘍)は,日々の診療において,そうそう多く出くわす疾患ではない。しかし,検査技術・機器の発達,またGIST診療ガイドラインも改訂されたことなどが相俟って,これら疾患も周知され,検診やスクリーニング検査で認知される症例も増えてきている。実際,患者さんの認知度や知識も増え,質の高い診断や治療への要望も高くなってきている。これらを診断し治療する医師には豊富な知識と高い見識が求められるようになった。また,SMTやGISTは,それぞれ稀ではあるが,臨床的認知度の上昇と共に様々なエビデンスや新しい診断・治療手段が導入されてきており,最新の情報を常にキャッチアップしていく必要がある。これら腫瘍の中には,難治性や,再発の可能性があるものなど,臨床的悪性度が高いこともあり,慎重で正確,的確な個別化医療が求められている。
 GISTにおいては,治療の第一選択は「外科的治療」が最も有効で信頼度が高いが,近年,有効な薬剤が開発され,わが国でもイマチニブ(グリベックR),スニチニブ(スーテントR)が実際に臨床現場で使われている。単独使用だけでなく,術前,術後など手術と組み合わせて使う集学的治療も多いが,当然のことながら,有効な薬剤には重篤な副作用がある。それらを踏まえたうえで,正しい投与方法と適正な有害事象マネジメントをすることが求められている。
 これらの背景から,本書を活用いただき,「SMT」や「GIST」に関し最新の情報をシステマティックに捉え,頭の中に整理し,診療の場で実際に遭遇した場合も,即座に正しい対処ができるように,役立てていただければ幸いである。
 本書の構成立てについては,clinical question形式としたが,このquestionは,臨床現場で働く若い医師たちに協力を仰ぎ,彼等が実際に常日頃から疑問に思っていることを挙げていただいた。したがって,より実臨床に即した内容になっている。
 本書が,SMT,GISTの理解を深め,若い医師たちに役立つ書籍となることを望んでいる。

2011年3月
西田 俊朗
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目次

I.粘膜下腫瘍(SMT)・GISTの診断  
 総論 
  SMT・GISTが検診で偶然に発見されました。どうしたらよいですか?
  SMT・GISTを疑う症状はありますか?
  SMT・GISTを疑ったらどのような検査をしますか?
  SMTはどのように鑑別しますか?
  SMTの種別の特徴を教えてください
 画像診断 
  上部消化管造影における注意点を教えてください
  バリウム造影と内視鏡検査の使い分けを教えてください
  内視鏡における診断のポイントはなんでしょうか?
  CTの所見の特徴を教えてください
  MRIの所見の特徴を教えてください
  超音波内視鏡の所見の特徴を教えてください
 病理診断 
  病理組織所見の特徴を教えてください
  間葉系腫瘍の病理組織所見の読み方を教えてください
  EUC-FNABによる所見の特徴を教えてください
 臨床診断 
  SMTをどこまで,どうやって鑑別診断しますか?

II.粘膜下腫瘍(SMT)・GISTの治療  
 総論 
  治療を必要とするものと必要でないものをどうやって区別しますか?
    (治療を要する所見や症状にはどんなものがありますか?)
  治療法はどのようなものがありますか?
  どのように治療計画を立てればよいでしょうか?
 外科治療 
  手術において特に留意すべきことはありますか?(外科治療の原則,適応,方法)
  術後のフォローはどうすればよいでしょうか?
  腹腔鏡手術はどのようなメリットがありますか?
  腹腔鏡手術はどのような場合に行えばよいでしょうか?
  手術は行えますが非常に進行している場合はどうすればよいでしょうか?
  再発した場合はどうすればよいでしょうか?(局所再発,切除可能な再発,その他)
 薬物治療 
  手術が行えない場合はどのような治療法がありますか?
  イマチニブの具体的な投与法を教えてください
  イマチニブの副作用にはどのようなものがありますか?
  イマチニブと一緒に飲んではいけない薬はありますか?
  イマチニブ投与中にどのような所見があればイマチニブが有効だと考えられますか?
  イマチニブの効果判定はどこで見極めますか?
  どのような所見でイマチニブが効かないと判断しますか?
  イマチニブが効かない場合の治療計画は?(総論)
  イマチニブが効かない場合の治療計画は?(イマチニブ二次耐性)
  イマチニブが効かない場合の治療計画は?(外科治療)
  イマチニブが効かない場合の治療計画は?(ラジオ波焼灼療法と動脈塞栓療法)
  イマチニブのアジュバント治療はどのような患者に適応されますか?
  イマチニブのアジュバント治療後に再発した場合はどうすればよいでしょうか?
  イマチニブのネオアジュバント治療はどのような患者に適応されますか?
  イマチニブが効いているときに手術を行ったほうがよいでしょうか?
  イマチニブを飲んでいるときに手術を行う場合はどのように行えばよいでしょうか?
  スニチニブはどのような患者に投与しますか?
  スニチニブの具体的な投与法を教えてください
  スニチニブの副作用にはどのようなものがありますか?
  スニチニブと一緒に飲んではいけない薬はありますか?
  スニチニブが効かない場合はどうすればよいでしょうか?
  スニチニブを投与できない場合はどうすればよいでしょうか?
  他に開発中の薬はありますか? 期待度はどのくらいですか?
  今後,期待される治療法にはどのようなものがありますか?
  イマチニブやスニチニブ治療中に緊急で手術が必要な場合はどうすればよいでしょうか?
 コミュニケーション・スキル 
  GISTと診断された場合はどのように患者に説明しますか?
  再発した場合,薬が効かなくなった場合はどのように患者に説明しますか?

Coffee Break   
  SMTとGISTの違いはなんですか?
  SMT・GISTとはどのようなものですか?
  GISTは消化管のどこにできますか?
  SMTにはどのようなものがありますか?
  SMTとGISTはどのくらいの頻度でみられますか?
  SMTやGISTにはどのような症状がありますか?
  GISTの予後はよいのでしょうか?
  GISTの発生する原因はわかっていますか?(GISTの分子メカニズム)
  SMTの発生部位に特徴はありますか?
  GISTが悪性化する原因にはどのようなものが考えられていますか?
  KITやCD34とGISTの関わりを教えてください
  造影剤を使ったほうがよいのはなぜですか?
  GISTの発生部位に特異性はありますか?
  GISTになりやすい人というのはあるのですか?
  GISTの予後因子にはどのようなものがありますか?
  GISTの病期とリスク分類(総論)
  イマチニブ治療効果に関連する因子
  薬剤相互作用(代謝などCYP 3A4ほか)
  薬剤相互作用(血中) イマチニブ・スニチニブ
  他のインターベンション治療:ラジオ波焼灼治療
  薬物治療中断基準(Grade 3以上で頻度の多いもののリスト) イマチニブ
  薬物吸収に影響するもの
  CTの被曝量は?
  薬物治療中断基準(Grade 3以上で頻度の多いもののリスト) スニチニブ
  スニチニブ治療効果に関連する因子
  他のインターベンション治療:肝動脈塞栓療法または肝動脈塞栓化学療法
  他のインターベンション治療:放射線治療

Up to Date   
  GISTの自然史
  GISTの遺伝子診断
  GISTの遺伝子変異と臨床的特徴,悪性度・予後
  日本のGISTの特異性
  GISTの遺伝子変異と薬物治療効果
  薬物動態学(Pharmacokinetics)と薬力学(Pharmacodynamics)
  いくつかの特徴的なSMT

Appendix   
  GIST診療基準の一覧
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