DS NOW 7

肝・脾外科手術

標準手術からのステップアップ

肝・脾外科手術

■担当編集委員 後藤 満一

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • A4判  176ページ  オールカラー,イラスト225点,写真5点
  • 2009年9月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-1152-6

肝・脾外科標準手術の次にマスターすべきステップアップした手術手技を学ぶための若手外科医必携の手術書

No.7では若手外科医が標準手術の次に修得すべきステップアップした手術手技(肝区域切除術,肝尾状葉切除術,肝拡大葉切除術,肝三区域切除術,生体肝移植,脳死肝移植(ドナー,レシピエント手術),術前門脈塞栓術,肝・脾損傷)を取り上げた。
若手外科医に知ってほしい手技のポイント・注意点・Dangerous Pointをエキスパートたちがイラストを中心に丁寧に説明。今後施行される機会が増えるであろう肝移植についても,経験豊かな臨床医が詳しく手術のポイントを解説した。

■シリーズ編集委員
上西紀夫/後藤満一/杉山政則/渡邊昌彦


序文

 本書DS NOWシリーズの第7巻は,第3巻に掲載されている“肝・脾外科の標準手術−操作のコツとトラブルシューティング”から,さらにグレードアップされた内容として,“標準手術からのステップアップ”が網羅されています。肝臓の手術には,その根治性とともに,常に残肝機能の温存を考えたバランスのよさが要求されます。第3巻をお読みになった先生方は,既にそのために必要な術前の肝機能評価,肝切離における出血を避けるコツと,出血時のコントロールの方法,そしてこれらを実践で活用するための,clamp crushing法やCUSAを用いた肝離断法を身につけられていることと思います。
 本巻では多くの3次元のイメージ図を採用することで,これらの基本的な操作を身につけた消化器外科医が,さらに複雑で難解な術式に対応する際に,既存の知識を整理しながら,術前のイメージづくりや術中の進行に役立てられるよう企画させていただきました。
 肝切除では切離面に露出するグリソンと肝静脈の走行を意識することが大切であり,その基本となるのが「区域」の考え方です。一方,尾状葉切除では少し見方を変えて,3本の肝静脈が形成する面を「天井」に,下大静脈を「床」に,そしてグリソンをその「小部屋にはいるライフライン」といった感覚で捉えることができます。さらに,中肝静脈を縦に拡がる「面」として捉えた場合,その「面」を越えて切除される,拡大肝葉切除があり,また,右葉の後区域,左葉の外側区域を残す術式として,3区域切除術があります。上記のような考え方で,肝臓の解剖ユニットを整理することによって,どんなに難解で複雑な術式にも系統立てて対応することが可能になります。
 これらの肝切除術に,血管吻合と胆管吻合を加えた術式が生体肝移植となります。通常の肝切除では,残肝機能温存を意識して手術の手順が計画されますが,生体肝移植のドナー手術では摘出肝の機能温存も同時に考慮しなければなりません。そのなかでも胆道系の把握はとくに重要です。さらに,グラフトの肝静脈うっ滞を予防する肝静脈再建術式は,肝臓外科に新たな機能温存の切り口を与えるものとなりました。
 下大静脈温存の肝全摘が行われる生体肝移植とは異なり,脳死肝移植では肝臓とともに肝上部,肝下部下大静脈が一緒に摘出される場合もあります。脳死肝ドナーの手術における腹腔動脈,上腸間膜動脈の処理は,肝臓外科だけではなく,膵臓外科を含む大動脈周囲の処理にも応用が可能です。最後に掲載されている肝損傷についての考え方と術式では,出血している病態の生命維持とその手段について解説されています。これらは,予定手術のみをこなしている術者には新鮮で,救急医療としての学問の見方の重要性を改めて認識させるものです。
 本書を読破していただくと,総合的な肝臓の解剖が把握できるだけでなく,緊急時にも対応できる肝臓外科手術が自分のものになります。何よりも,肝臓外科を専門とする諸先生方がこれまで多くの症例のなかで育まれてきた,肝臓外科手術に対する考えかたと手術の実際がふんだんに表現されていますので,それらに触れてそのすばらしさを共感していただければと思います。

2009年9月
後藤満一
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目次

肝区域切除術  片桐 聡 ほか
尾状葉単独切除術  山本順司 ほか
肝拡大葉切除術(右・左)  江口英利 ほか
肝右3区域切除  有井滋樹 ほか
肝左3区域切除  有井滋樹 ほか
生体肝移植  上本伸二
脳死肝移植(ドナー,レシピエント手術)  鈴木友己 ほか
術前門脈塞栓術  阪本良弘 ほか
肝損傷,脾損傷  今 明秀
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