きれいな小児眼科手術

　眼科手術書“新ES NOW（Eye Surgery Now）” のシリーズ6作目となる『きれいな小児眼科手術　これであなたも悩まない！』をお届けします。編集担当として私が心がけたことは，
1.小児眼科手術の特殊性を理解していただくこと
2.小児の手術を余りなされない先生にもわかりやすいこと
3.専門家からの適切で丁寧なアドバイス
の3点です。お蔭様で，眼瞼・眼窩手術から網膜硝子体手術に至るまでのほぼ全領域をカバーする，思い描いたままの本を作ることができました。
　小児の眼科手術は成人とは大きく異なります。術前の評価法が異なります。疾患が異なります。麻酔が異なります。眼球構造物の大きさが異なります。術後反応が異なります。術後管理が異なります。異なることだらけです。そして，個々の疾患や術式では症例数が少ない。となると精通することは難しくなり，畢竟，成人では手術に慣れた方ですら自信を持って施術できなくなります。ですから，ひとりひとりの症例に当たった時に悩みが多くなりがちです。そんなあなたの悩みを解決する。それが本書の狙いです。疾患カテゴリーごとに（たとえば，角膜，白内障など），小児手術の特殊性の項目を入れました。ここをお読みいただくと，成人症例との違いが，解剖，検査，術式，手術適応などの多項目に渡って理解できると思います。その後の各論では，“新ES NOW” の特徴であるイラストを多用して，懇切丁寧にステップごとに術式を解説いたしました。成人例で似た手術を経験されている先生方であれば，小児例でも大過なく手術可能となることを目指した構成です。
　本書は前頁「刊行にあたって」にも書かせていただいたように，いわゆる手術書の硬さを取り去り，手術直前あるいは休み時間にぱらぱらとめくって眺めることのできる気軽さを売りにしています。そうした実用主義は，手にとって読んでいただくことこそが本の価値であるという考え方に立っています。本書は幸い多くの著者の先生方のご努力により，内容豊かな作品となりました。著者の皆様に感謝いたします。本書によって，ひとりでも多くの患児がきれいな眼科手術を受けられますことを願って序と致します。

2011年4月
山本哲也