新ES NOW 4
網膜剥離 こうすれば治る
復位率100%をめざして
定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
- A4変型判 168ページ オールカラー,イラスト360点,写真30点
- 2010年9月27日刊行
- ISBN978-4-7583-1078-9
序文
網膜剥離の治療原則は,非常に明快です。一つに孔をすべて発見すること,二つに孔に存在する牽引を解除すること,三つに孔を人工的にかつ恒久的に閉鎖する,このすべてを正しく行うことです。しかし,これらの治療原則を達成するにはいく通りもの方法があり,網膜剥離治療はパズルを解くがごとく,術者の技術のみならずその深い思考を必要とします。術者の数ほど,術式があるといっても過言ではありません。このことは,術者にとっては悩ましいことではありますが,裏を返せば,非常にやりがいのある疾患ともいえるでしょう。
網膜剥離の治療に携わる術者は,多かれ少なかれ,この単純明快な網膜剥離という病気に翻弄された苦い経験をもっています。どうにもくっ付かない網膜ほど,術者と患者さんを奈落の底へと導くものはありません。
本書は,網膜剥離治療の標準術式のみをつらつらと書きならべたものではありません。手術のアプローチは千差万別で,わが国の一流の術者がそれをどのように克服しているかを拓みなイラストを用いて,あたかも手術室にいるかのような臨場感で解説しています。今日受診された網膜剥離の患者さんをどのように治療したら良いのか,未復位に陥った剥離を明日どのように治療すればよいのか,あるいは,助手として明日どのようにふるまえば良いのか,きっと本書はその極意を教えてくれると思います。また,網膜剥離は失明と隣あわせの疾患です。治療に携わる者にはいつも緊張と達成感が混在し,それゆえ,疾患と常に向かい合う真摯な姿勢が必要とされます。そこで本書では深遠な治療経験をもつ竹内 忍先生,恵美和幸先生に網膜剥離という病に関しての経験に基づいた意見を述べていただきました。
近い将来,マイクロプラスミンを眼内に注射して,黄斑円孔などの網膜疾患を手術をせずに治すことのできる日がおとずれようとしています。網膜疾患の多くは,外科的治療の適応であるというこれまでの常識は崩れ,いずれ薬物治療へと移り変わって行く流れが急速に進んでいます。しかし,眼内の器質的異常が原因といえる網膜剥離は,今後どのように薬物療法が進歩したとしても,最後まで外科的治療を必要とする疾患といえるでしょう。
私は『結局,網膜硝子体手術は,網膜剥離に始まり網膜剥離に終わる』と思っています。本書が,少しでも網膜剥離治療の技術の向上と患者さんへ福音を与えてくれるように願っています。
2010年8月
門之園一明
網膜剥離の治療に携わる術者は,多かれ少なかれ,この単純明快な網膜剥離という病気に翻弄された苦い経験をもっています。どうにもくっ付かない網膜ほど,術者と患者さんを奈落の底へと導くものはありません。
本書は,網膜剥離治療の標準術式のみをつらつらと書きならべたものではありません。手術のアプローチは千差万別で,わが国の一流の術者がそれをどのように克服しているかを拓みなイラストを用いて,あたかも手術室にいるかのような臨場感で解説しています。今日受診された網膜剥離の患者さんをどのように治療したら良いのか,未復位に陥った剥離を明日どのように治療すればよいのか,あるいは,助手として明日どのようにふるまえば良いのか,きっと本書はその極意を教えてくれると思います。また,網膜剥離は失明と隣あわせの疾患です。治療に携わる者にはいつも緊張と達成感が混在し,それゆえ,疾患と常に向かい合う真摯な姿勢が必要とされます。そこで本書では深遠な治療経験をもつ竹内 忍先生,恵美和幸先生に網膜剥離という病に関しての経験に基づいた意見を述べていただきました。
近い将来,マイクロプラスミンを眼内に注射して,黄斑円孔などの網膜疾患を手術をせずに治すことのできる日がおとずれようとしています。網膜疾患の多くは,外科的治療の適応であるというこれまでの常識は崩れ,いずれ薬物治療へと移り変わって行く流れが急速に進んでいます。しかし,眼内の器質的異常が原因といえる網膜剥離は,今後どのように薬物療法が進歩したとしても,最後まで外科的治療を必要とする疾患といえるでしょう。
私は『結局,網膜硝子体手術は,網膜剥離に始まり網膜剥離に終わる』と思っています。本書が,少しでも網膜剥離治療の技術の向上と患者さんへ福音を与えてくれるように願っています。
2010年8月
門之園一明
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目次
I おさらい
網膜剥離の患者背景 疫学など
網膜剥離の種類と発症病理
強膜バックリング手術の適応と戦略
私は硝子体手術を選択する
II 疾患別 私はこうする
上方弁状裂孔の胞状網膜剥離の治療
下方弁状裂孔の胞状網膜剥離の治療
格子状変性巣内の裂孔による胞状網膜剥離の治療
格子状変性巣内の裂孔による扁平な網膜剥離の治療
無症候性網膜剥離
硝子体出血により眼底の透見不能な網膜剥離症例の治療
黄斑円孔網膜剥離の治療
白内障のある周辺に限局したアトピー網膜剥離の治療
白内障のある黄斑剥離を伴うアトピー網膜剥離の治療
角膜混濁のある網膜剥離症例の治療
増殖糖尿病網膜症眼に併発した網膜剥離の治療
黄斑手術後の網膜剥離合併症例の治療
バックル手術後の再剥離症例の治療
硝子体手術後の再剥離症例の治療
III 手技別 私はこうする
シリコーンオイルの使い方
バックル手術の術中排液の仕方
硝子体手術の術中排液について
網膜剥離治療のパーフルオロカーボンの使用について
網膜剥離に対する眼内レンズと硝子体の同時手術の手技と適応
網膜剥離 小切開硝子体手術による治療について
IV 患者とのコミュニケーション
未復位網膜剥離患者への対応
網膜剥離患者への接し方
網膜剥離の患者背景 疫学など
網膜剥離の種類と発症病理
強膜バックリング手術の適応と戦略
私は硝子体手術を選択する
II 疾患別 私はこうする
上方弁状裂孔の胞状網膜剥離の治療
下方弁状裂孔の胞状網膜剥離の治療
格子状変性巣内の裂孔による胞状網膜剥離の治療
格子状変性巣内の裂孔による扁平な網膜剥離の治療
無症候性網膜剥離
硝子体出血により眼底の透見不能な網膜剥離症例の治療
黄斑円孔網膜剥離の治療
白内障のある周辺に限局したアトピー網膜剥離の治療
白内障のある黄斑剥離を伴うアトピー網膜剥離の治療
角膜混濁のある網膜剥離症例の治療
増殖糖尿病網膜症眼に併発した網膜剥離の治療
黄斑手術後の網膜剥離合併症例の治療
バックル手術後の再剥離症例の治療
硝子体手術後の再剥離症例の治療
III 手技別 私はこうする
シリコーンオイルの使い方
バックル手術の術中排液の仕方
硝子体手術の術中排液について
網膜剥離治療のパーフルオロカーボンの使用について
網膜剥離に対する眼内レンズと硝子体の同時手術の手技と適応
網膜剥離 小切開硝子体手術による治療について
IV 患者とのコミュニケーション
未復位網膜剥離患者への対応
網膜剥離患者への接し方
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確実な網膜復位のための手術のコツを習得しよう!
さまざまな原因によって起こる網膜剥離のケース別手術手技を中心に,詳細なイラストを用いて解説している。パーフルオロカーボンやシリコーンオイルの使い方,術中排液などについても個別にレクチャー。各著者が考える最も安全で確実な網膜復位のための手術手技を掲載した1冊となっている。
各手術手技においてのコツや注意点は「Advice」の囲みをもうけて掲載。また,合併症の有無などにも対応し,どのような手技を選択したらよいかについても適宜掲載している。囲み記事では,著者おすすめの器具などについても紹介。