新OS NOW No.21

スポーツ整形外科の手術

スポーツ整形外科の手術

■担当編集委員 清水 克時

定価 9,900円(税込) (本体9,000円+税)
  • A4判  256ページ  イラスト300点
  • 2004年1月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-0615-7

スポーツ選手の決心を助けるスポーツドクターやスポーツ関係者に!

 「スポーツ整形外科の基本は保存療法である」という常識を大きく塗り替えた“トミー・ジョン手術”を機にスポーツ整形外科においても有効な手術が続々と登場している。もはや「スポーツ選手にメスは禁忌」ではなくなったが,やはりスポーツ選手に対しては適応,手術法,後療法で特別な配慮が必要である。
 これまで,スポーツ整形外科という切り口から手術療法を扱った本は,わが国で刊行されていない。OS NOWではNo.1『スポーツ整形外科の手術』と,その新装改訂版として1996年に『四肢スポーツ外傷の手術的治療』を刊行しており,今回の出版はその経験を生かしてつくった,スポーツ整形外科の手術についての概説書である。新OS NOWの特徴である,図解を中心とした記述が光っている。
 実際にスポーツ整形外科の手術に取り組んでいる整形外科医,保存療法および手術療法について,選手の決心を助けるスポーツドクターやスポーツ関係者に勧める。

■シリーズ編集委員
高岡邦夫/岩本幸英/落合直之/清水克時

■シリーズ編集顧問
林浩一郎


序文

 スポーツ整形外科の基本はいうまでもなく保存療法,非手術療法である。従来スポーツ選手にメスは禁忌という時代が長く続いた。この常識を大きく塗り替えたのは,アメリカ,メジャーリーグの投手であったトミー・ジョンと,その肘を手術したフランク・ジョーブ博士である。ドジャースに移籍したトミーは1974年,「左肘の尺側側副靭帯断裂」の診断を受ける。これは,プロ野球投手にとっては,まさに選手生命をおびやかす大きな故障であった。これに対し,当時,ドジャースのチームドクターであったフランク・ジョーブ博士は,トミーの肘を手術して,復活させると豪語したのである。当時の常識では,肘にメスを入れてグラウンドに復活することなど,とうてい考えられないことであった。ましてやトミーは投手である。31歳の冬,熟考の末トミーはジョーブ博士の手術を受けることを決心した。手術は成功し,75年シーズンを休んだトミーはグラウンドに戻り,76年に10勝10敗ながら,「肘にメスを入れた投手」が復活した。今でこそ,肘の手術を受けた投手は少なくないが,30年前には考えられなかったことであった。現在,この手術(UCL−ulnar collateral ligament reconstruction)は「トミー・ジョン手術 Tommy John surgery」と呼ばれている。
 結局トミーは,肘を手術した75年を境にして,前12年,後14年現役であった。肘が故障する前は124勝106敗,生まれ変わってからは20勝を3度マークし,通算164勝125敗を記録した。32歳で生まれ変わってからの人生が本当のメジャーリーガーだったといえるほどの大選手である。「故障しても再びグラウンドに帰って来られるのだ」という生きたメッセージを残したトミーの功績は大きい。
 あらゆる手術が低浸襲をめざすようになってきた今日,スポーツ整形外科においても,トミー・ジョン手術だけでなく,有効な手術が続々と登場している。スポーツ整形外科の手術は,レジャー/レクリエーショナル・スポーツ,競技スポーツ,あらゆるレベルで保存療法と並んで受け入れられるようになってきた。もはや「スポーツ選手にメスは禁忌」ではなくなったが,やはりスポーツ選手に対しては適応,手術法,後療法で特別な配慮が必要である。
 これまで,スポーツ整形外科という切り口から手術療法を扱った本は,わが国では刊行されていない。メジカルビュー社では,以前OS NOWのNo.1と,その新装改訂版として1996年に『四肢スポーツ外傷の手術的治療』を刊行している。今回の出版は,その経験を生かしてつくった,スポーツ整形外科の手術についての概説書である。新OS NOWの特徴である,図解を中心とした記述が光っている。この本を実際にスポーツ整形外科の手術に取り組んでいる整形外科医,保存療法および手術療法について,選手の決心を助けるスポーツドクターやスポーツ関係者に勧める。

2004年1月
清水克時
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目次

[肩]
反復性肩関節脱臼
 スーチャーアンカーを用いたopen Bankart法 筒井廣明
反復性肩関節脱臼
 スーチャーアンカーを用いた鏡視下Bankart修復術 若林育子,ほか
投球肩における関節包拘縮に対する鏡視下手術 水野直子,ほか     
SLAP lesionの鏡視下手術 杉本勝正
鏡視下肩峰下除圧術 緑川孝二,ほか
腱板損傷に対する鏡視下腱板修復術 井手淳二
肩鎖関節脱臼 福田公孝,ほか
肩鎖関節脱臼
 関節鏡視下Bosworth法 佐々木良介
                                 
[肘・手] 
橈骨遠位端骨折に対する手術療法
 スノーボード外傷を中心に 松本 和,ほか
肘周辺骨折 今谷潤也
肘の靱帯損傷 伊藤恵康,ほか
上腕骨小頭壊死
 離断性骨軟骨炎 吉津孝衛
外側上顆炎(テニス肘) 辻 英樹,ほか
手関節の手術                
 a.手根不安定症 中村蓼吾,ほか
 b.TFCC損傷 柴田節子
 c.有鉤骨鉤骨折 井上五郎
 d.遠位橈尺関節障害
   重度遠位橈尺関節不安定症に対する三角線維軟骨複合体再建術  中村俊康
手指の手術
 a.Gamekeeper's thumb 横井達夫,ほか
 b.Mallet骨折 中尾悦宏,ほか
 c.ボクサー骨折 鈴木克侍
 d.PIP関節内骨折に対する手術療法 石黒 隆
 e.突き指 石突正文
前腕骨骨折
 Galeazzi骨折,Monteggia骨折の手術療法について 藤田正樹,ほか

[脊椎]
スポーツ選手の腰椎分離症に対する分離部修復術
 segmental wire fixation法 清水克時,ほか
腰部椎間板ヘルニア
 経皮的手術 吉田宗人,ほか
頚椎椎間板ヘルニア
 顕微鏡下後方髄核摘出術 住田忠幸,ほか

[膝関節]
前十字靱帯再建術
 骨付き膝蓋腱を用いたときの工夫 石橋恭之,ほか
前十字靱帯再建術
 STG腱を用いたときの工夫 宗田 大
後十字靱帯再建術
 STG腱を用いたときの工夫 遠山晴一,ほか
半月板損傷
 鏡視下手術の工夫 矢形幸久,ほか

[足・足関節]
足根洞症候群 田中康仁
陳旧性足関節外側靱帯損傷の治療 山本晴康,ほか
新鮮足関節スポーツ外傷の治療 横江清司
骨付き膝蓋腱(BTB)を用いた足関節外側靱帯再建術 本庄宏司
アキレス腱断裂の手術療法 内山英司
アキレス腱断裂の保存療法 古府照男,ほか
足関節スポーツ障害に対する関節鏡 宇佐見則夫,ほか
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