新 癌の外科 -手術手技シリーズ 6
膵癌・胆道癌
定価 9,900円(税込) (本体9,000円+税)
- A4判 144ページ 2色
- 2003年2月6日刊行
- ISBN978-4-7583-0451-1
序文
膵・胆道系のがんは,消化管のがんに比べると切除例が少なく,しかも進行がんが多いため,限られた専門医以外が本格的な根治切除術を行うことは稀であった。しかし,最近では診断技術の向上とともに切除可能な症例が数多く発見されるようになってきており,本書の第1版が刊行された1993年当時に比べると,一般の外科医が治療に携わる機会が増加しつつある。
しかし,この領域のがんを扱うためには,複雑な解剖や特殊な病態に関しての知識やそれに伴う問題を適切に解決するための技術が必要である。
今回の改訂にあたっては,この領域を新たに扱う外科医が直面することの多い問題を念頭において,全面的な書き換えを行った。もちろん,本書を読んだだけで十分というわけにはいかないが,読者が臨床の現場で感じる疑問の解決に,本書が少しでもお役に立てることを心から祈念するものである。
しかし,この領域のがんを扱うためには,複雑な解剖や特殊な病態に関しての知識やそれに伴う問題を適切に解決するための技術が必要である。
今回の改訂にあたっては,この領域を新たに扱う外科医が直面することの多い問題を念頭において,全面的な書き換えを行った。もちろん,本書を読んだだけで十分というわけにはいかないが,読者が臨床の現場で感じる疑問の解決に,本書が少しでもお役に立てることを心から祈念するものである。
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目次
膵癌
●切除適応と術式選択 小菅智男
手術療法の特性
膵癌の特殊性
膵癌における手術適応と術式の選択
治療成績にかかわる要因
●後腹膜郭清を重視した切除
後腹膜一括郭清を伴った膵頭十二指腸切除術 小菅智男
膵頭部周囲の解剖と切除範囲
切除の手順
後腹膜一括郭清を伴った尾側膵切除術 島田和明
皮切,開腹
Kocherの授動と大動脈周囲リンパ節郭清
膵下縁,上縁の処理
膵切離鉗子
脾動静脈切離,上腸間膜動脈周囲の郭清
膵脾脱転と後腹膜切除
膵断端処理とドレナージ
Appleby手術 山本順司
リンパ節郭清範囲
手順
●郭清を控えた切除
幽門輪温存膵頭十二指腸切除 島田和明
十二指腸の授動,十二指腸結腸靱帯の切離
上腸間膜静脈から膵下縁の処理
十二指腸下縁の処理と右胃大網動静脈の切離
胆摘,肝十二指腸靱帯の処置
上腸間膜動脈からの分岐動脈の処理
膵離断
尾側膵切除 阪本良弘/山本順司
皮切,開腹
膵体尾部の授動
脾温存膵体尾部切除
●その他の術式
膵全摘術 山本順司
適応
手順
核出術,分節膵切除 島田和明
核出術(膵頭部後面)
核出術(膵体部下縁)
分節膵切除
●膵頭十二指腸切除における再建法 島田和明
膵空腸吻合
胆管空腸吻合
ドレーン留置
●補助的な手技
術中超音波による膵生検 島田和明
膵生検の適応
術中膵生検の手技
門脈・上腸間膜静脈再建 小菅智男
基本的な手技
吻合口の形成
門脈系の血行再建に関するQ & A
門脈カテーテルバイパス法 小菅智男
カテーテルの設置
バイパスの稼動
術中照射 小菅智男
術中照射と体外照射との違い
術式の一部としての術中照射
術中照射の方法
治療成績からみた本法の得失
胆道癌
●進展範囲と術式の選択 佐野 力
胆道癌に対する胆道ドレナージ
肝内胆管癌
上部および肝門部胆管癌
各種血管浸潤に関して
胆嚢癌
中部胆管癌
下部胆管癌
乳頭部癌
その他
●郭清と肝外胆管切除 佐野 力
皮膚切開および開腹
肝外胆管切除とリンパ節郭清
肝動脈の走行変異
リンパ節郭清の範囲
胆道再建
肝動脈再建
ドレーンの留置とその管理
●肝切除
拡大肝右葉切除 島田和明
適応
皮切,開腹
十二指腸授動から肝外胆管切除
肝十二指腸靱帯,肝門処理
肝の授動,下大静脈から尾状葉の遊離
肝切離と肝管切離
肝管空腸吻合
ドレーン留置
拡大肝左葉切除術 山本順司
適応
リンパ節郭清範囲
手順
再建・閉腹
肝門部+肝外胆管切除 山本順司
適応
リンパ節郭清範囲
手技
肝床切除,全層胆摘 島田和明
肝床切除
Kocherの授動
胆管切除とリンパ節郭清
肝切離
胆管空腸吻合
全層胆摘
膵頭十二指腸切除 小菅智男
膵頭十二指腸切除の対象となる胆道癌とその特徴
術式についての考慮
肝膵同時切除(HPD) 小菅智男
術式の特性
安全性を確保するためには
根治性に関する問題
術前画像診断と適応
●補助的な手技
胆道癌に対する肝切除術前肝内門脈塞栓術−経回盲静脈的アプローチ 松倉 聡
門脈塞栓術の適応
門脈塞栓の方法
周術期管理
術前準備
TIPEの手技
考察
肝動脈再建 木股敬裕/中塚貴志
血管吻合器具・材料
欠損状態の確認・再建法の選択
血管吻合前の準備
血管吻合方法
血管吻合後の注意
考察
術中肝管ドレナージ 島田和明
左肝管B3からの術中肝管ドレナージ
右肝管B6からの術中肝管ドレナージ
胆道再建法 山本順司
手技
●切除適応と術式選択 小菅智男
手術療法の特性
膵癌の特殊性
膵癌における手術適応と術式の選択
治療成績にかかわる要因
●後腹膜郭清を重視した切除
後腹膜一括郭清を伴った膵頭十二指腸切除術 小菅智男
膵頭部周囲の解剖と切除範囲
切除の手順
後腹膜一括郭清を伴った尾側膵切除術 島田和明
皮切,開腹
Kocherの授動と大動脈周囲リンパ節郭清
膵下縁,上縁の処理
膵切離鉗子
脾動静脈切離,上腸間膜動脈周囲の郭清
膵脾脱転と後腹膜切除
膵断端処理とドレナージ
Appleby手術 山本順司
リンパ節郭清範囲
手順
●郭清を控えた切除
幽門輪温存膵頭十二指腸切除 島田和明
十二指腸の授動,十二指腸結腸靱帯の切離
上腸間膜静脈から膵下縁の処理
十二指腸下縁の処理と右胃大網動静脈の切離
胆摘,肝十二指腸靱帯の処置
上腸間膜動脈からの分岐動脈の処理
膵離断
尾側膵切除 阪本良弘/山本順司
皮切,開腹
膵体尾部の授動
脾温存膵体尾部切除
●その他の術式
膵全摘術 山本順司
適応
手順
核出術,分節膵切除 島田和明
核出術(膵頭部後面)
核出術(膵体部下縁)
分節膵切除
●膵頭十二指腸切除における再建法 島田和明
膵空腸吻合
胆管空腸吻合
ドレーン留置
●補助的な手技
術中超音波による膵生検 島田和明
膵生検の適応
術中膵生検の手技
門脈・上腸間膜静脈再建 小菅智男
基本的な手技
吻合口の形成
門脈系の血行再建に関するQ & A
門脈カテーテルバイパス法 小菅智男
カテーテルの設置
バイパスの稼動
術中照射 小菅智男
術中照射と体外照射との違い
術式の一部としての術中照射
術中照射の方法
治療成績からみた本法の得失
胆道癌
●進展範囲と術式の選択 佐野 力
胆道癌に対する胆道ドレナージ
肝内胆管癌
上部および肝門部胆管癌
各種血管浸潤に関して
胆嚢癌
中部胆管癌
下部胆管癌
乳頭部癌
その他
●郭清と肝外胆管切除 佐野 力
皮膚切開および開腹
肝外胆管切除とリンパ節郭清
肝動脈の走行変異
リンパ節郭清の範囲
胆道再建
肝動脈再建
ドレーンの留置とその管理
●肝切除
拡大肝右葉切除 島田和明
適応
皮切,開腹
十二指腸授動から肝外胆管切除
肝十二指腸靱帯,肝門処理
肝の授動,下大静脈から尾状葉の遊離
肝切離と肝管切離
肝管空腸吻合
ドレーン留置
拡大肝左葉切除術 山本順司
適応
リンパ節郭清範囲
手順
再建・閉腹
肝門部+肝外胆管切除 山本順司
適応
リンパ節郭清範囲
手技
肝床切除,全層胆摘 島田和明
肝床切除
Kocherの授動
胆管切除とリンパ節郭清
肝切離
胆管空腸吻合
全層胆摘
膵頭十二指腸切除 小菅智男
膵頭十二指腸切除の対象となる胆道癌とその特徴
術式についての考慮
肝膵同時切除(HPD) 小菅智男
術式の特性
安全性を確保するためには
根治性に関する問題
術前画像診断と適応
●補助的な手技
胆道癌に対する肝切除術前肝内門脈塞栓術−経回盲静脈的アプローチ 松倉 聡
門脈塞栓術の適応
門脈塞栓の方法
周術期管理
術前準備
TIPEの手技
考察
肝動脈再建 木股敬裕/中塚貴志
血管吻合器具・材料
欠損状態の確認・再建法の選択
血管吻合前の準備
血管吻合方法
血管吻合後の注意
考察
術中肝管ドレナージ 島田和明
左肝管B3からの術中肝管ドレナージ
右肝管B6からの術中肝管ドレナージ
胆道再建法 山本順司
手技
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前版の「膵癌・胆道癌」が刊行された当時は,診断・治療は限られた専門医の手によってなされていた。しかし,現在では診断技術の向上とともに切除可能な症例が多く,手術も専門医のみではなく一般の外科医が行うようになってきた。とはいえ,この領域の手術は解剖,病態を熟知しなければならない。
今回の改定では,一般の外科医が直面するであろう問題を念頭に構成を立て直し,最新の治療手技をコツ・ポイントとともに解説した。