医学・生物学研究者のためのPowerful Vocabulary3
明快な論理で綴ろう 英語論文用語集
定価 3,300円(税込) (本体3,000円+税)
- A5判 280ページ 2色
- 2008年3月25日刊行
- ISBN978-4-7583-0421-4
電子版
序文
『Powerful English−日本人をやめよう』『Powerful Vocabulary−動詞編』『Powerful Vocabulary 2−形容詞・副詞編』に続く私の4冊目の英語関係書『Powerful Vocabulary 3−明快な論理で綴ろう 英語論文用語集』がメジカルビュー社からこのたび上梓されることになった。本編もこれまでと同じく「眼紀」に15回にわたり連載したものを基に,本にするにあたって編集し直し,記載にも新たに大きく手を加えたものである。
“英語は論理だ”というスローガンのような本のサブタイトルをどこかで見た記憶があるが,英語というまことにdigitalな論理明晰の世界が情緒と情感のanalogue 的な日本語世界とはまったく異質のものであることは,私も何度かこれまでの連載の中で記述してきた。論理表現語はまさにその英語の特性を内支えする大きな因子であるだけに,その記述にあたっては英文法についての勉強に改めて日々チャレンジすることをよぎなくされた。英文を構成する句・節・文の種類と機能から接続詞・副詞(接続副詞)・関係代名詞・関係副詞・句読点などなど,それぞれについてその役割についての考え方を例文とともに出来る限り解説した。もとよりこうした事柄について専門家としては勉強したことのない私であるが,自分が英文論文を書くにあたって,こう考えこうしてきたという経験を基にこうした記述をさせていただいた。
それが科学論文であるかぎり,日本語で書かれた医学・生物学論文というものは(基礎研究であれ臨床研究であれ)過去から現在まで存在したことはないし,これからも出現することはまったくあり得ない。全人類にとっての知的地平を極くわずかにせよ拡げるげることのないものは科学的研究の名にあたらない〔日本人の間だけで通用する科学的真理というものは存在しない〕が,そのことは同時に世界に通る言語によってそれが書き記されてはじめて,ひとつの成果=結果として認められることを意味する。現在の科学の世界では世界語となった英語で書かれたあなたの論文が,peer review Journalに〔そこにはimpact factorという客観的評価が伴なっているのは周知のことである〕アクセプトされ印刷されてはじめて一つの仕事が完成したことになる。本書が広く受け入れられ,皆さんが“学問の道に平安の大道はない”という格言どおりに厳しい世界に通る論文を書く上に少しでもお役に立つことを,心から願っている。
今回もDr. Laura C. Hooperさんからは多忙な仕事の間をさいて,本書の完成に献身的な力添えをいただいた。彼女による多くの例文加筆や訂正によって本書の質は飛躍的に向上し十分に江湖に受け入れられて,諸氏の幡読にあたいするものとなった。また旧友のDr. Michael Ross氏からも,医学専門出版社での業務の傍ら,私の疑問に貴重なsuggestionをいただいた。お礼を申しあげたい。また困難を極めた「眼紀」連載にあたっては引き続き三宅啓子さんのたゆまぬ励ましと,卓越した英語力による的確な編集のお力添えをいただいた。筆者のミスを彼女に救われた点も多く,連載完結に至るまでの大きなささえであった。
本書の完成には今回もメジカルビュー社の江口潤司・高橋学・栗田敏弘諸氏のご支持,ご助言と優れた編集・レイアウトによるご支援をいただいた。皆さんに深謝したい。
2008年2月アメリカ メリーランド州にて
林 皓三郎
“英語は論理だ”というスローガンのような本のサブタイトルをどこかで見た記憶があるが,英語というまことにdigitalな論理明晰の世界が情緒と情感のanalogue 的な日本語世界とはまったく異質のものであることは,私も何度かこれまでの連載の中で記述してきた。論理表現語はまさにその英語の特性を内支えする大きな因子であるだけに,その記述にあたっては英文法についての勉強に改めて日々チャレンジすることをよぎなくされた。英文を構成する句・節・文の種類と機能から接続詞・副詞(接続副詞)・関係代名詞・関係副詞・句読点などなど,それぞれについてその役割についての考え方を例文とともに出来る限り解説した。もとよりこうした事柄について専門家としては勉強したことのない私であるが,自分が英文論文を書くにあたって,こう考えこうしてきたという経験を基にこうした記述をさせていただいた。
それが科学論文であるかぎり,日本語で書かれた医学・生物学論文というものは(基礎研究であれ臨床研究であれ)過去から現在まで存在したことはないし,これからも出現することはまったくあり得ない。全人類にとっての知的地平を極くわずかにせよ拡げるげることのないものは科学的研究の名にあたらない〔日本人の間だけで通用する科学的真理というものは存在しない〕が,そのことは同時に世界に通る言語によってそれが書き記されてはじめて,ひとつの成果=結果として認められることを意味する。現在の科学の世界では世界語となった英語で書かれたあなたの論文が,peer review Journalに〔そこにはimpact factorという客観的評価が伴なっているのは周知のことである〕アクセプトされ印刷されてはじめて一つの仕事が完成したことになる。本書が広く受け入れられ,皆さんが“学問の道に平安の大道はない”という格言どおりに厳しい世界に通る論文を書く上に少しでもお役に立つことを,心から願っている。
今回もDr. Laura C. Hooperさんからは多忙な仕事の間をさいて,本書の完成に献身的な力添えをいただいた。彼女による多くの例文加筆や訂正によって本書の質は飛躍的に向上し十分に江湖に受け入れられて,諸氏の幡読にあたいするものとなった。また旧友のDr. Michael Ross氏からも,医学専門出版社での業務の傍ら,私の疑問に貴重なsuggestionをいただいた。お礼を申しあげたい。また困難を極めた「眼紀」連載にあたっては引き続き三宅啓子さんのたゆまぬ励ましと,卓越した英語力による的確な編集のお力添えをいただいた。筆者のミスを彼女に救われた点も多く,連載完結に至るまでの大きなささえであった。
本書の完成には今回もメジカルビュー社の江口潤司・高橋学・栗田敏弘諸氏のご支持,ご助言と優れた編集・レイアウトによるご支援をいただいた。皆さんに深謝したい。
2008年2月アメリカ メリーランド州にて
林 皓三郎
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目次
Chapter 1 原因・理由をあらわす論理表現語 1
Chapter 2 原因・理由をあらわす論理表現語 2
Chapter 3 反対の事柄を述べてつなぐ論理表現語
Chapter 4 修正・訂正してつなぐ論理表現語
Chapter 5 対比してつなぐ論理表現語
Chapter 6 情報の追加 1(情報の単純な追加)
Chapter 7 句読点・記号,情報の追加 2
Chapter 8 イタリック・大文字,語の分割と複合語,情報の追加 3
イタリックの使い方
大文字(Capital letter)の使い方
単語の区切り方(分割法)
複合語の作り方
Chapter 9 接続詞,相関接続詞
Chapter10 文の種類と構成要素,簡潔に述べる
句について
節について
文の種類と型について
Chapter11 関係代名詞(who, whose, whom, whichi, that)
関係代名詞(relative pronoun)
Chapter12 関係代名詞と関係副詞
関係代名詞(relative pronoun)
関係副詞(relative adverbs)
Chapter13 助動詞と形容詞・副詞による推測・推量
助動詞(modal verb)による表現
形容詞・副詞による表現
Chapter14 物事の前後・順序
起こった順序
起こる順序
同時に起こる
次に,引き続いて起こる
間歇的に,持続的に起こる
最後に,ついに起きる
Chapter15 仮定・考慮・除外・比較・理由
仮定したもの・条件について
考える,考慮に入れる
除外する,除く
比較する
それゆえに,〜のために
Chapter 2 原因・理由をあらわす論理表現語 2
Chapter 3 反対の事柄を述べてつなぐ論理表現語
Chapter 4 修正・訂正してつなぐ論理表現語
Chapter 5 対比してつなぐ論理表現語
Chapter 6 情報の追加 1(情報の単純な追加)
Chapter 7 句読点・記号,情報の追加 2
Chapter 8 イタリック・大文字,語の分割と複合語,情報の追加 3
イタリックの使い方
大文字(Capital letter)の使い方
単語の区切り方(分割法)
複合語の作り方
Chapter 9 接続詞,相関接続詞
Chapter10 文の種類と構成要素,簡潔に述べる
句について
節について
文の種類と型について
Chapter11 関係代名詞(who, whose, whom, whichi, that)
関係代名詞(relative pronoun)
Chapter12 関係代名詞と関係副詞
関係代名詞(relative pronoun)
関係副詞(relative adverbs)
Chapter13 助動詞と形容詞・副詞による推測・推量
助動詞(modal verb)による表現
形容詞・副詞による表現
Chapter14 物事の前後・順序
起こった順序
起こる順序
同時に起こる
次に,引き続いて起こる
間歇的に,持続的に起こる
最後に,ついに起きる
Chapter15 仮定・考慮・除外・比較・理由
仮定したもの・条件について
考える,考慮に入れる
除外する,除く
比較する
それゆえに,〜のために
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明快で流れるような英語論文を書くために必要な「論理表現語=リンクワード」を知っていますか?
Powerful Vocabularyシリーズ3巻目となる本書では,英語論文を執筆するときに避けて通れない「論理表現語(リンクワード)」に焦点を絞って解説する。
「論理表現語」とはand,but,soなどの接続語の使い方,2つの文章をつなぐ関係代名詞,さらにはカンマやピリオドを使うときのルールなど,“英語のロジック”で文章を書こうとするときに必要なボキャブラリーのことであるが,科学論文は客観的な事実を積み上げて書かれるため,そのほとんど1文ごとに必要とされる。
日本人は(英語を話せなくても)文法とボキャブラリーだけは得意であると言われるが,論旨をスムースにつなげる「論理表現語」に関してはむしろ弱点になっている。いかに優れた新知見を論文に盛り込んでも,正しいロジックで文章をつながなければ読者に正しい理解を得てもらうことはできないのは明白である。実践的な例文を豊富に収載しているので,“英語のロジック”の事典としても機能する1冊である。