最新化学療法レジメン
がん研有明病院
血液腫瘍
改訂第2版
定価 3,300円(税込) (本体3,000円+税)
- B5判 104ページ 2色
- 2011年9月16日刊行
- ISBN978-4-7583-0349-1
序文
初版として上梓してから改訂となった。この間に標準治療は幸いなことにおおよそ70%の施設で行えるようになってきて,投与量に関しては遵守されるように改善された。一方,投与間隔の延期については根拠のない減量とともにまだ見受けられる。それでは欧米と比較すると十分な無増悪期間の延長の期待ができないことになる。よりいっそうの努力と有害事象の安全管理が重要である。また大きな災害も東日本では起こり,被災地では抗がん剤治療が困難になっていると聞く。被災した患者だからといって,根拠のない減量や延期は良くないが,安全に施行するという観点から計画すべきである。
さて,この間にいくつかの新規薬剤が承認発売されている。
まずリンパ腫の病理診断は極めて重要であり,種類によって治療法が全く異なるからである。またステージ分類も重要で,治療方針の異なる場合もある。病理医の協力なしには適切な治療は行えない。また生検サンプルを適切に保存したり,提出することも重要であるので,特に執筆していただいている。新たな標的分子が発見されれば,それだけ検査が増加する。次に非ホジキンリンパ腫での治療法には現在使用できるもので,特に頻度の高いものを網羅した。
Zevalinの普及やdasatinib/nilotinibのファーストラインへの適応拡大,SAHA,bendamustineの承認があった。このように数年で非常に進歩の激しい領域であり,リンパ腫でのセカンドラインをどのように選択していくのか,が重要である。
また長らくファーストラインとして慢性骨髄性白血病に用いられてきたImatinib(Glivec)から,Nilotinibやdasatinibの方が成績も良好で,かつ早く奏効し,急性転化への移行も低下させられることからファーストラインとなった。骨髄異形成症候群では新薬としてlenalidomideの5q-症候群への承認や5-azacytidineの承認があった。
骨髄腫におけるセカンドラインも進歩し,70歳未満では生存期間の延長に寄与することが報告された。またこの本が発売される頃には骨髄腫におけるファーストラインとしてVMP療法がいよいよ承認されるだろう。まだまだ進歩するが,現在のこの本に記載されている治療法は,おそらくしばらく有用性は変化なく継続するものばかりである。当科では看護師,薬剤師との協力で,新薬では必ずマニュアルを作成し,スムーズに導入している。遠方の患者か,注射または経口が良いのか,頻繁に来院できるのか,費用なども選択の際には重要である。どの治療も施設や科では可能にしておいて,患者の希望や状態,状況に合わせて,選択すると良いだろう。そしてより長い無増悪期間の延長を得る,治癒を得ることが重要である。
平成23年8月
がん研有明病院化学療法科/血液腫瘍科 畠 清彦
さて,この間にいくつかの新規薬剤が承認発売されている。
まずリンパ腫の病理診断は極めて重要であり,種類によって治療法が全く異なるからである。またステージ分類も重要で,治療方針の異なる場合もある。病理医の協力なしには適切な治療は行えない。また生検サンプルを適切に保存したり,提出することも重要であるので,特に執筆していただいている。新たな標的分子が発見されれば,それだけ検査が増加する。次に非ホジキンリンパ腫での治療法には現在使用できるもので,特に頻度の高いものを網羅した。
Zevalinの普及やdasatinib/nilotinibのファーストラインへの適応拡大,SAHA,bendamustineの承認があった。このように数年で非常に進歩の激しい領域であり,リンパ腫でのセカンドラインをどのように選択していくのか,が重要である。
また長らくファーストラインとして慢性骨髄性白血病に用いられてきたImatinib(Glivec)から,Nilotinibやdasatinibの方が成績も良好で,かつ早く奏効し,急性転化への移行も低下させられることからファーストラインとなった。骨髄異形成症候群では新薬としてlenalidomideの5q-症候群への承認や5-azacytidineの承認があった。
骨髄腫におけるセカンドラインも進歩し,70歳未満では生存期間の延長に寄与することが報告された。またこの本が発売される頃には骨髄腫におけるファーストラインとしてVMP療法がいよいよ承認されるだろう。まだまだ進歩するが,現在のこの本に記載されている治療法は,おそらくしばらく有用性は変化なく継続するものばかりである。当科では看護師,薬剤師との協力で,新薬では必ずマニュアルを作成し,スムーズに導入している。遠方の患者か,注射または経口が良いのか,頻繁に来院できるのか,費用なども選択の際には重要である。どの治療も施設や科では可能にしておいて,患者の希望や状態,状況に合わせて,選択すると良いだろう。そしてより長い無増悪期間の延長を得る,治癒を得ることが重要である。
平成23年8月
がん研有明病院化学療法科/血液腫瘍科 畠 清彦
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目次
PART 1 悪性リンパ腫
リンパ腫のWHO分類
WHO分類に即した診断のための生検検体解析法
Rituximab療法
R-CHOP療法
R-CVP療法
R-ICE療法
R-DHAP療法
R-ESHAP療法
Hyper CVAD/MA療法
mLSG15療法
Bendamustine療法
Fludarabine療法
Zevalin療法
RT-DeVIC療法
リツキサン : 外来治療センターでの処方例ならびにタイムスケジュール
PART 2 骨髄腫
効果判定のための検査
VAD療法
MP療法
VMP療法
Bortezomib療法
Thalidomide療法
Lenalidomide療法
ボルテゾミブ導入にあたって
PART 3 白血病
CML:Imatinib療法
AML:JALSG201療法(寛解導入療法)
ALL:Imatinib+chemotherapy療法
CLL:CY療法
Gemtuzumab ozogamicin療法
Nelarabine療法
Dasatinib療法
Nilotinib療法
PART 4 その他
PAM療法 −骨髄腫骨病変の治療−
ZLD療法 −骨髄腫骨病変の治療−
Lenalidomide療法
SAHA療法
5-azacytidine療法
血液疾患のDPCにおける治療とレジメン
リンパ腫のWHO分類
WHO分類に即した診断のための生検検体解析法
Rituximab療法
R-CHOP療法
R-CVP療法
R-ICE療法
R-DHAP療法
R-ESHAP療法
Hyper CVAD/MA療法
mLSG15療法
Bendamustine療法
Fludarabine療法
Zevalin療法
RT-DeVIC療法
リツキサン : 外来治療センターでの処方例ならびにタイムスケジュール
PART 2 骨髄腫
効果判定のための検査
VAD療法
MP療法
VMP療法
Bortezomib療法
Thalidomide療法
Lenalidomide療法
ボルテゾミブ導入にあたって
PART 3 白血病
CML:Imatinib療法
AML:JALSG201療法(寛解導入療法)
ALL:Imatinib+chemotherapy療法
CLL:CY療法
Gemtuzumab ozogamicin療法
Nelarabine療法
Dasatinib療法
Nilotinib療法
PART 4 その他
PAM療法 −骨髄腫骨病変の治療−
ZLD療法 −骨髄腫骨病変の治療−
Lenalidomide療法
SAHA療法
5-azacytidine療法
血液疾患のDPCにおける治療とレジメン
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血液腫瘍の治療における最新の化学療法を掲載した実践書
癌研有明病院で行われている血液腫瘍の化学療法レジメンのファーストラインとセカンドラインを紹介。最新のEBMに応じた抗癌剤の使用法と副作用対策を解説。抗癌剤治療の進歩の早さに対応する化学療法の実践書である。
改訂に伴い,悪性リンパ腫では4項目,骨髄腫では3項目,白血病では3項目,その他では4項目,合計14項目が新規項目として追加されている。