怖さを知って使いこなす 向精神薬

処方のDo & Don't

怖さを知って使いこなす 向精神薬

■編集 朝田 隆
川西 洋一

定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
  • B5判  200ページ  2色
  • 2009年5月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-0235-7

向精神薬の怖さを知って使いこなそう

精神科臨床の基本である向精神薬の正しい使い方を紹介。処方にあたって「知らなかったでは済まされない」事項に焦点を当て,「事故を起こさないための原則」をリストアップし解説を加えた。向精神薬の使用禁忌疾患や,併用禁忌薬剤,併用注意の薬剤などを取り上げた。また,コラム,ミニレクチャーを多く入れ,より詳しくわかりやすい解説を心がけた。現実の「ひやり・はっと」を振り返りつつ作成した,実用的な書籍である。


序文

 私たちの大学病院精神科でも,初期・後期研修の医師に対して,スタッフが精神科薬物療法の基本を教示したうえで,その実践的な処方のしかたを指導しています.こうしたやりとりのなかで,知らなかったではすまされない項目,いわば地雷項目があることをいつのころからか意識するようになりました.そのようなものとして,とくに重要と考えた項目に焦点を当て,精神科薬物治療において事故を起さないための原則をリストアップして,これに解説を加えたのが本書です.
 本書は次のよう基本構成になっています.1 地雷を踏まないために,2 逆転の発想“薬を抜く”,3 生兵法は怪我のもと.1 では,禁忌というテーマのもと,その理由と忘れてはならない飲み合わせに注目しました.2 では身体合併症に際しての薬物離脱方法を述べ,薬剤性の精神症状・認知症様症状に気づくための詳説をしました.3 では,精神科医もしばしば処方する身体疾患治療薬の思いがけない副作用と注意事項に焦点を当てました.
 とっつき難いイメージのある薬剤の分野だけに,それを乗り越える工夫を凝らしてみました.まず挿絵を多用して視覚に訴えるようにしました.また,どうしても暗記してほしい事項には“恥ずかしながら”の語呂合わせを作りました.次に,とくにじっくり読んでいただきたい章については,冒頭に“何はともあれ,これだけは”のポイントを箇条書きにしました.ここをざっとご覧いただいたうえで読み進まれてもいいでしょうし,これは知りたいと思われる項目を選んで本文をじっくり読まれるのもよいでしょう.さらにコラムとミニレクチャーの充実に力を注いで,肩の凝らない読み物を通した知識の蓄積を目指しました.
 現実の“ヒヤリ・ハット”を振り返りつつ作成された本書ですので,実用性はかなり高いと思います.本書が,読者の皆様が安全で有効な処方をされる能力向上につながれば,私たちにとってこれに勝る喜びはありません.

2009 年5 月
朝田 隆
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目次

I なぜ禁忌とされるのか?
 薬力学的相互作用
  神経伝達物質作動性の増強作用と受容体遮断作用  堀内 学
 薬物動態学的相互作用
  CYPを介した代謝の相互作用  堀内 学
 疾患別
  前立腺肥大  川西洋一
  緑内障  川西洋一
II 忘れてならない飲み合わせ
 禁忌とされる疾患  水上勝義
 併用禁忌の薬剤  水上勝義
 併用注意の薬剤  佐々木恵美
III 身体疾患をもつ患者への向精神薬処方の原則
 腎障害患者への向精神薬処方の原則  山城智美
 心不全患者への向精神薬処方の原則  土岐浩介
 肝障害患者への向精神薬処方の原則  板垣文雄
 妊娠  石川正憲
 その他  堀 孝文
IV 薬剤による精神症状・認知機能障害(薬剤性脳不全)への対応  朝田 隆
V 精神科領域でよく使われる身体系の薬剤を使いこなすために
 発熱(アセトアミノフェンなど)  田中耕平
 痛み,炎症(ロキソニン,ボルタレンなど)  田中耕平
 感染症  小倉宏三
 胃炎  小倉宏三
 痔核,痔瘻  佐藤晋爾
 手足のふるえ  佐藤晋爾
 高血圧  安野史彦
 糖尿病  安野史彦
 脂質異常症(高脂血症)  高橋 晶
 嘔気,嘔吐  高橋卓巳
 便秘—下剤の処方—  山城智美
 排尿問題(頻尿・尿閉)  藤田俊之
 
COLUMN
 抗ヒスタミン薬の有害事象にご用心  朝田 隆
 セントジョーンズワート  堀内 学
 PL顆粒は怖い  川西洋一
 グレープフルーツジュースと医薬品の相互作用  堀内 学
 処方せん医薬品とは?  山城智美
 リタリンについて  水上勝義
 P-糖蛋白質  堀内 学
 漢方薬の中枢神経系有害事象  朝田 隆
 配合してはいけない医薬品  山城智美
 アルコールと向精神薬  堀内 学
 精神科で使用されるTDM対象薬の特徴  山城智美
 薬物の影響が除去されるまでの時間  山城智美
 SSRIと子どものうつ病  小林 純
 たばこと向精神薬  馬場淳臣
 コンプライアンスとアドヒアランス  河合伸念
 抗うつ薬と認知症  朝田 隆
 薬の特徴を表現するときによく使われる用語  山城智美
 医薬品の情報源  山城智美
 マッチポンプかポンプマッチか?  朝田 隆
 太陽とくすり(薬剤性光線過敏症について)  堀内 学
 致死量  堀内 学
 オーファンドラッグとは  高橋 晶
 抗HIV療法中の向精神薬使用への注意  今井公文
 オフラベル問題—適応外処方  朝田 隆
 深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓症(PTE)には予防が必要!  田村昌士
 有効成分の量と製剤の量の違い  山城智美
 うつ病治療中の患者の持続性勃起症  堀 正士
 
Mini Lecture
 セロトニン症候群  佐藤晋爾
 抗コリン作動薬  朝田 隆
 抗ヒスタミン薬  朝田 隆
 SJSとTEN  河合伸念
 Discontinuation syndrome  佐藤晋爾
 薬剤性過敏症症候群(DIHS)  河合伸念
 悪性症候群—とくにデポ剤使用との関連で  河合伸念
 ジェネリック医薬品のメリットとデメリット  山城智美,高橋 晶
 Activation syndrome  佐藤晋爾
 中枢神経系の有害事象を引き起こす薬物  朝田 隆
 
 索引
 薬剤索引
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