肥満・メタボリックシンドローム診療ガイダンス

肥満・メタボリックシンドローム診療ガイダンス

■編集 片山 茂裕
宮崎 滋

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5変型判  216ページ  2色
  • 2005年12月16日刊行
  • ISBN978-4-7583-0159-6

生活習慣改善の指導は難しい。だからこの1冊を!!

本書は,メタボリックシンドロームの診断基準やその疫学,そしてその病態生理と臨床的意義を,Q&A方式で,それぞれの専門家がわかりやすく解説。明日からの治療に役立つように,肥満・メタボリックシンドロームの患者さんに対して,どのような指導をして,そしてどのような薬物治療を行うかを体系的に紹介している。


序文

 2005年4月8日に,日本動脈硬化学会,日本糖尿病学会,日本高血圧学会,日本肥満学会,日本循環器学会,日本腎臓病学会,日本血栓止血学会の7学会と日本内科学会からなるメタボリックシンドローム診断基準検討委員会から,わが国のをメタボリックシンドロームの定義と診断基準が発表されました。今回,この単行本を企画させていただいた両名は,本診断基準検討委員会の一員であったこともあり,このプレスリリースにも同席をさせていただきました。20名を越えるテレビや新聞社などの報道関係者が集まり,その夜のNHKニュースでも取り上げられ,翌日の全国紙にも報道されました。
 このように,メタボリックシンドロームの新診断基準は,発表当初より医師のみならず,医療関係者にはもちろん,広く国民の関心を集めたと言えます。この理由は,いうまでもなく,「飽食の時代」とか「一億総グルメの時代」といわれる最近のわが国の状況下で,肥満者が急増しており,糖尿病・高脂血症・高血圧などの生活習慣病が増加していることにあります。そしてまた,内臓肥満の指標として皆さんにわかりやすいウエスト周囲径が用いられたことも,その理由の一つかと考えられます。
 肥満,なかでも内臓肥満は糖尿病・高脂血症・高血圧などの生活習慣病に密接に関連しています。そしてこれらの生活習慣病はお互いに合併しやすいことになります。これらの疾患は単独でも動脈硬化を促進し,脳卒中や心筋梗塞などの発症を健常者に比べて2〜3倍増加させます。しかしながら,これらの合併は,その危険性をさらに数倍増加させます。メタボリックシンドロームの新診断基準が作成された背景には,肥満をベースにしたこれら生活習慣病の合併は,一つ一つは軽微な異常でも,一人のヒトにこれらが集積すると,心血管系疾患の発症が健常者に比べて2倍位に増加することに注意喚起を促すためです。
 本書では,メタボリックシンドロームの診断基準やその疫学,そしてその病態生理と臨床的意義を,Q&A方式でそれぞれの専門家にわかりやすく解説したいただきました。また,明日からの患者さんの治療に役立つように,どのような指導をして,そしてどのような薬物治療を行うかを体系的に御紹介いたしました。
 本書が,読者諸氏のお役にたち,最終的にはメタボッリクシンドロームを有する患者さんのお役にたてば,監修者として望外の喜びです。最後に,本書の発刊にあたり終始御努力をいただきましたメジカルビュー社の中村正徳氏に深謝いたします。

平成17年11月吉日

片山茂裕
宮崎 滋
全文表示する

目次

Part 1:メタボリックシンドローム(Met S)とは
 1.わが国でもMet Sの診断基準ができたと聞きましたが,どのようなものでしょうか?
 2.診断基準にはいろいろなものがありますが,なぜ変わってきたのですか?
 3.最近 IDFからも診断基準が出ましたが,日本と世界の診断基準はどう違うのですか?
 4.腹部肥満はなぜ診断基準の必須項目になったのですか?
 5.なぜBMIが診断基準からなくなったのですか?
 6.なぜウエスト周囲径が腹部肥満の基準になるのですか?
 7.ウエスト周囲径はどうやって測定するのですか?
 8.CTでの内臓脂肪蓄積測定は診断に必須ですか?
 9.なぜ高コレステロール血症が診断基準に取り上げられないのですか?
 10.なぜ耐糖能障害(空腹時血糖110mg/dL以上)がMet Sの診断基準になるのですか?
 11.なぜ正常値高血圧(130/85mmHg以上)がMet Sの診断基準になるのですか?
 コラム:米国心臓協会/米国立心肺血液研究所のメタボリックシンドロームの新しい定義
Part 2:メタボリックシンドローム(Met S)の疫学
 1.Met Sに相当する患者さんは日本ではどのくらいいるのでしょうか?
 2.Met Sの構成要素のうち,何がどのくらいの割合になるのでしょうか?
 3.Met Sでは心血管系疾患が多いと聞きましたが,どのくらい増えるのですか?
 4.Met Sでは脳血管障害も多いのですか?
 5.Met Sの患者数は日本と世界で違うのですか?
 6.Met Sに性差はあるのですか?
 7.Met Sに加齢が関係しますか?
 8.小児にもMet Sはあるのでしょうか?
Part 3:メタボリックシンドローム(Met S)の成因と病態
 1.Met Sにはどのような遺伝子が関連するのでしょうか?
 2.Met Sにおける内臓脂肪蓄積の役割を教えてください
 3.レプチンはMet Sにおいてどのような働きをしているのですか?
 4.TNFはMet Sにおいてどのような働きをしているのですか?
 5.アディポネクチンはMet Sにおいてどのような働きをしているのですか?
 6.レプチン,TNF-α,アディポネクチン以外にも新しい生理活性物質が関係しているのでしょうか? 
 7.内臓脂肪でステロイドホルモンが合成されると聞きましたが,Met Sに関与していますか?
 8.Met Sにはインスリン抵抗性がどのように関与するのですか?
 9.Met SにはPPARγがどのように関与するのですか?
 10.Met Sにはレニン-アンジオテンシン系がどのように関与するのですか?
Part 4:メタボリックシンドローム(Met S)の臨床的意義
 1.Met Sではなぜ心血管系疾患が多くなるのですか?
 2.Met Sは腎機能障害にも関係するのですか?
 3.Met Sにおける微量アルブミン尿の意義を教えてください
 4.糖尿病患者ではMet Sが多いと聞きましたが,Met Sの有無で病態と予後が変わりますか?
 5.Met Sにおける高TG血症と低HDL-C血症は,動脈硬化を本当に進展させるのでしょうか?
 6.Met Sにおける高血圧の臨床的意義を教えてください。
 7.Met Sには高尿酸血症が多いと聞きましたが,どうしてですか?
 8.Met Sを起こす内分泌疾患にはどのようなものがありますか?
 9.Met Sと診断されたら,どのような心血管系の検査をしておくべきでしょうか?
Part 5:メタボリックシンドローム(Met S)における生活習慣の改善
 1.Met Sを起こす生活習慣とはどのようなものでしょうか?
 2.Met Sの治療上,生活習慣の改善はどのような意義があるのですか?
 3.生活習慣の改善はMet Sの動脈硬化の予防に効果があるのでしょうか?
 4.Met Sではなぜ体重を減少させなければならないのですか?
 5.Met Sではどの程度体重を減らせばよいのですか,その目標を教えてください
 6.Met Sでは肥満の減量をどのようにすればよいですか。特に内臓脂肪を減らす方法はあるのでしょうか?
 7.Met Sの食事療法の意義について教えてください
 8.具体的な食事療法について教えてください
 9.Met Sにおける脂質制限の意義と方法を教えてください
 10.Met Sにおける糖質制限の意義と方法を教えてください
 11.Met Sにおける運動療法の意義を教えてください
 12.Met Sにおける運動療法の具体的な方法を教えてください
 13.Met Sにおける行動療法の意義と方法を教えてください
 14.Met Sにおける減塩療法の意義と方法を教えてください
 15.Met Sにおけるアルコール摂取制限の意義と方法を教えてください
 16.Met Sにおける禁煙の意義と禁煙指導を教えてください
 17.健康管理におけるMet Sの療養指導について教えてください(人間ドック,会社の健診時の注意点)
 18.Met Sにおける外来での生活指導を教えてください
Part 6:メタボリックシンドローム(Met S)の治療:薬物治療
 1.Met Sと診断されたら,どの段階からどのような薬剤を使うのですか?
 2.Met Sの治療に肥満症治療薬は有効と考えられますが,どのような薬剤がありますか?
 3.Met Sと診断されたら,正常高値血圧でも降圧薬を投与するのですか?
 4.Met Sで尿酸値が高い場合はどうすればよいですか
 5.Met Sでは,IFG(空腹時高血糖)やIGT(境界型)から糖尿病になることを予防することが重要と聞きましたが,どのような薬物を選択すべきですか?
 6.Met Sと診断されたら,トリグリセリドが少し高いだけでも薬剤を投与するのですか?
 7.Met Sにおける糖尿病患者の治療に適した血糖降下薬の使い方を教えてください
 8.血糖降下薬がトリグリセリドを低下させたり,血圧も低下させると聞きましたが本当ですか?
 9.高血圧患者は糖尿病になりやすいと聞きましたが,本当ですか?
  もしそうだとしたら,降圧薬の使い方で注意すべき点は何ですか?
 10.Met Sにおける高血圧患者の治療に適した降圧薬の使い方を教えてください
 11.ACE阻害薬やARBが低血糖を起こすことがあると聞きましたが本当ですか?
 12.Met Sにおける高脂血症患者の治療に適した脂質低下薬の使い方を教えてください
 13.フィブラートやスタチンがインスリン感受性を改善すると聞きましたが本当ですか?
   また,フィブラートやスタチンが糖尿病の発症を予防すると聞きましたが本当ですか?
 14.Met Sで,どのような治療をしたらどのくらい減るのか,治るのかを教えてください。
 15.Met Sを改善させる夢の薬がありますか?
 16.Met Sには血糖降下薬・降圧薬・脂質低下薬など複数の薬剤が投与されます。
   これら薬剤の相互作用で注意すべき点を教えてください。
全文表示する