講義録

腫瘍学

腫瘍学

■編集 高橋 和久

■編集協力 樋野 興夫
齊藤 光江
唐澤 久美子

定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
  • B5変型判  240ページ  オールカラー,イラスト70点,写真80点
  • 2009年1月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-0074-2

在庫僅少です。


腫瘍の基礎的知識から各臓器の腫瘍までをわかりやすく,内容をコンパクトにまとめた医学生必携の教科書

 日本人の死亡原因で第一位にあげられる“がん”。国民の健康対策に,がん対策は喫緊の課題として取り上げられるなか,いまや医療従事者にとって腫瘍学は欠かせない学問領域といえる。本書は,これから腫瘍を学ぶ医学生やがん専門医志望者を対象に腫瘍学を基礎からわかりやすく取り上げている。
 本書の巻頭には腫瘍学の総論として,疫学,わが国が昨今取り組むがん対策,がんの主な治療法を掲載した。また,医学生の学習に役立つ略語一覧も巻頭付録として掲載している。I章では腫瘍を深く知るための基本を取り上げ,II章では原因,症状,治療などについて,III章ではがんの診療技能,倫理について解説している。
 本文の内容に関連した基礎知識は「Basic Point」と題した囲み記事で,臨床現場の最新発表や最近注目されている研究発表など学生にとってレベルの高い内容を「Level up View」として載せている。さらに欄外に「SideMemo」を載せ,本文と対比しながらKey Wordや重要語句の解説を確認できる。各項目の末尾には「Self Check」を設け,覚えておくべき重要ポイントを箇条書きにして掲載している。


序文

 「がん」はわが国においては死因の第1位であり,医療者にとってその対応は近々の課題です。従来より医学部における「がん」の講義はがんが発生する各臓器別の疾患項目に含まれていたため,がん学,すなわち「腫瘍学」を横断的に学ぶシステムがありませんでした。そのため日本においては自分の専門以外の癌腫について知識が乏しく,さらに集学的かつ横断的治療に関する理解が医療者の中にも少ない現実がありました。
 一方,2007年4月にがん対策基本法が施行され,がん専門の医療者を養成するとともに,がんの集学的治療の重要性が一般社会の中でも認識され始めました。また文部科学省は昨年より,がんの専門家を大学院で育成し専門医と学位を取得するプログラム,いわゆる「がんプロフェッショナル養成プラン」を開始しました。これらのがんを取り巻く社会的背景の変化に伴い,昨年よりモデル・コアカリキュラムが改訂され,腫瘍学は医学部のカリキュラムにおいて必須科目となりました。
 『講義録腫瘍学』は医学部学生,さらに,がんプロフェッショナル養成プランの医師,コメディカル,さらにインテンシブコースに参加している医師を対象に,がんを横断的かつ縦断的に学べる教科書として企画されました。各々の分野において活躍されている先生方に執筆をお願いしました。図表を多く掲載し,基本的な事項である「Basic Point」,さらに最新の情報である「Level up View」を多く取り入れ,容易に知識の整理ができるように工夫しています。本書で一人でも多くの若人が腫瘍学に興味をもち,日本で死因の第1位である「がん」が制圧されることを祈ってやみません。
 最後になりましたが,編集協力をしていただいた順天堂大学の,樋野興夫,齊藤光江,唐澤久美子の各先生方と,編集作業でご尽力いただいたメジカルビュー社の,石田奈緒美氏,小松朋寛氏に心から深謝いたします。

平成20年師走東京にて
編集委員を代表して
順天堂大学医学部呼吸器内科学教授
高橋和久
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目次

凡例(本書の特徴)
腫瘍を学ぶための必要な疫学
がん制圧に向けてのわが国の取り組み
がん制圧に向けての目標と今後の展望
がんの主な治療法
腫瘍学で使われる略語

I.腫瘍を深く知るための基本講義
 A.がんに関する基礎知識を学ぶ
  疫学と病因
   疫学
   がんの発生要因
  病理学
   病理学とは
   がん研究の歴史
   がん研究の決勝点
   発がんの連盟的首位性
   がん細胞の特色
   がん化の起始遺伝子
   がん細胞のリハビリテーション
   遺伝子型と表現型
   発がんの細胞・組織特異性
   がんのオーダーメード医療
  生物学
   発がん要因による細胞形質の量的および質的変化
   がん細胞の生物学的特性
   多段階発がんモデル
   がん遺伝子
   がん抑制遺伝子
   最後に
  免疫学
   免疫系によるがんの認識
   免疫エフェクター分子機構
  遺伝学
   がんは遺伝子の病気である
   遺伝子所見を診断や治療に役立てる
   遺伝性腫瘍
   2ヒット理論
   遺伝性腫瘍の診断
   遺伝性腫瘍の遺伝子診断
  病期分類
   病期分類とは
   病期分類(大腸癌の場合)
   病期分類の今後の課題
  血液・生化学検査
   血液・生化学検査
   腫瘍マーカーとその測定方法
   腫瘍マーカーに望まれる性質
  画像検査
   X線
   超音波検査(US)
   コンピュータ断層撮影(CT)
   磁気共鳴画像(MRI)
   血管造影(angiography)
   ポジトロン断層法(PET)
  内視鏡検査
   腫瘍と内視鏡
   消化管内視鏡の適応と禁忌
   肉眼型分類と内視鏡
   腫瘍の内視鏡診断
   さまざまな内視鏡
  病理診断
   病理診断とは
   病理診断のプロセス
   病理診断の種類
   腫瘍切除標本の病理診断報告
   腫瘍の発育進展パターン
  染色体・遺伝子診断
   人間のゲノム
   がんの遺伝子異常
   がんの染色体異常
   がんの染色体異常の検出
   がんの遺伝子異常
  集学的治療
   がんの治療
   局所療法
   全身療法
   心を支える治療
   集学的治療とチーム医療
  手術療法
   悪性腫瘍に対する手術療法の歴史と位置づけ
   手術療法の適応と禁忌
   手術療法の種類
   手術療法の合併症
  内視鏡手術/胸腔鏡
   歴史
   腫瘍に対する胸腔鏡治療の位置づけ
   適応と禁忌
   胸腔鏡下手術の種類
   合併症
  内視鏡手術/腹腔鏡
   悪性腫瘍に対する胸腔鏡手術について
   腹腔鏡手術の適応と禁忌
   腹腔鏡手術の種類
   副作用または合併症(治療成績)
  放射線療法
   腫瘍学における放射線治療の位置づけ
   放射線治療の適応と禁忌
   放射線治療の種類と特徴
   放射線治療の有害事象
  薬物療法
   化学療法,分子標的療法の目的,適応
   化学療法薬の作用機序
   代表的な化学療法薬
   分子標的治療薬
   化学療法薬,分子標的薬の副作用
   支持療法
  精神療法
   個人精神療法と集団精神療法
   死への不安→スピリチュアルペイン
   チーム対応の重要性
  緩和医療
   緩和医療の歴史と位置づけ
   緩和医療とは
   がん患者の抱える苦悩−全人的苦痛とその対応
   緩和ケアの方法と副作用
II.腫瘍の疾患を深く学ぼう
  脳腫瘍
   脳腫瘍とは
   分類
   疫学・発生頻度
   好発部位
   好発年齢
   臨床症状
   診断
   治療
   予後
  頭頸部腫瘍
   頭頸部癌とは
   頭頸部癌の疫学
   頭頸部癌の症状
   頭頸部癌の診断
   頭頸部癌の治療選択
   頭頸部癌の治療法*
   頭頸部癌の予後
   良性腫瘍および腫瘍類似疾患
  乳腺腫瘍
   乳癌とは
   乳癌の遺伝・疫学・予防
   乳癌の症状
   乳癌の診断
   乳癌の治療選択
   乳癌の治療法
   乳癌の予後と緩和ケア
  呼吸器腫瘍
   肺癌とは
   肺癌の疫学
   肺癌の症状
   診断
   肺癌の治療選択
   肺癌の治療法
   肺癌の予後
  消化管腫瘍
   消化管腫瘍とは
   消化管腫瘍の疫学
   消化管腫瘍の症状
   消化管腫瘍の診断
   消化管腫瘍の治療
  肝・胆・膵腫瘍
   肝・胆・膵癌とは
   肝・胆・膵癌の疫学
   肝・胆・膵癌の症状
   肝・胆・膵癌の診断
   肝・胆・膵癌の治療選択
   肝・胆・膵癌の治療法
   肝・胆・膵癌の予後
  女性生殖器系腫瘍
   子宮頸癌
   子宮体癌
   卵巣癌
   絨毛性疾患
  泌尿器系腫瘍
   腎腫瘍
   尿路上皮腫瘍
   精巣腫瘍
   前立腺癌
   陰茎癌
   副腎腫瘍
  皮膚腫瘍
   皮膚腫瘍の種類と疫学
   皮膚腫瘍の症状と診断
   皮膚悪性腫瘍の病期分類と治療・予後
  骨軟部腫瘍
   骨軟部腫瘍とは
   骨軟部腫瘍の疫学
   骨軟部腫瘍の診断
   骨軟部腫瘍の治療
   悪性骨軟部腫瘍の予後
  造血器悪性腫瘍
   急性白血病
   慢性骨髄性白血病の特徴と治療
   慢性リンパ性白血病の特徴と治療
   成人T細胞白血病・リンパ腫
   慢性骨髄増殖性疾患
   悪性リンパ腫
   多発性骨髄腫および原発性マクログロブリン血症
   造血器腫瘍の放射線療法
  小児腫瘍
   小児がんの疫学
   成人の腫瘍との違い
   小児がんの病因
   症状
   治療
   各論
III.診療技能,倫理などを学ぼう
  腫瘍学における統計学
   オッズ比
   95%信頼区間
   交絡と層別解析
   感度・特異度
  予防と検診
   1次予防
   2次予防
   がん予防の将来に向けて
  基本的診察技能と倫理
   医療面接の基本姿勢とは
   がん患者診察での心得
   腫瘍診療でのチーム医療とは
   診療録の記載法
   生命倫理,医療倫理,インフォームドコンセント,
  セカンドオピニオン
   生命倫理,医療倫理
   インフォームドコンセント
   セカンドオピニオン
  がん看護学
   日本における専門看護制度の誕生の背景
   がん看護とは
   今後のがん看護の課題
  腫瘍随伴症候群
   腫瘍随伴症候群の定義
   腫瘍随伴症候群の機序
   代表的腫瘍随伴症候群
   まとめ

Basic Point
III.診療技能,倫理などを学ぼう
  罹患率
  死亡率
  ヘルシンキ宣言

Level up View
I.腫瘍を深く知るための基本講義
  遺伝子環境交互作用
  ランダムエラーとバイアス
  がん哲学
  マイクロRNAを介する新たな遺伝子の発現制御異常
  がんと免疫の密接な関係
  造影超音波
  CT angiography
  CTとMRIの違い
  MRCP
  SPIO-MRI
  Gd-EOB-DTPA
  内視鏡的粘膜切除術と内視鏡的粘膜下層剥離術
  multiplex-FISH法,spectral karyotyping法
  分子標的治療と遺伝子検査
  遺伝子多型と発がん
  遺伝子増幅
  腹腔鏡手術
  細胞の増殖モデルと化学療法
  主要なoncologic emergency
  自分の問題として考えてみる(精神療法)
  全人的苦痛(total pain)
II.腫瘍の疾患を深く学ぼう
  脳腫瘍WHO分類
  胚細胞系腫瘍の鑑別診断
  傍鞍部腫瘍の鑑別診断
  narrow band imasingを用いた内視鏡検査
  センチネルリンパ節生検(乳腺腫瘍)
  performance status
  肺癌で用いられる抗がん薬
  分子標的治療
  肝・胆・膵領域悪性腫瘍の診断に有用な腫瘍マーカーや画像診断
  子宮頸癌とヒトパピローマウイルス
  ダーモスコピー
  センチネルリンパ節生検(皮膚腫瘍)
III.診療技能,倫理などを学ぼう
  がん対策基本法
  化学予防
  腫瘍関連サイトカインの作用(実験レベル)
  コミュニケーションとチーム医療
  がん患者の心身不調の原因別の対応
  がん患者の抑うつと不安
  informed consentからshared decision makingへ
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