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インフルエンザの制御法

予備知識・診断・治療から予防・対策法までわかる

インフルエンザの制御法

■著者 小林 治

定価 2,750円(税込) (本体2,500円+税)
  • B5判  112ページ  オールカラー
  • 2013年2月18日刊行
  • ISBN978-4-7583-0043-8

この一冊でインフルエンザを制御できる

インフルエンザを取り巻く環境は,ワクチン接種などによる予防や,抗原迅速検査キットによる客観的な診断,抗ウイルス薬による治療の面で日々進展しているが,毎年一定数のインフルエンザ患者が発生している。とくに本疾患が重症化すると,肺炎や重症呼吸不全,脳症などを併発し,大流行時には数万人以上の患者が死亡するなど,社会的インパクトは重大である。
そこで本書では,開業医,医療施設長,医療安全管理者などの医療従事者が,感染を予防し,継続的な診療を提供できるよう,インフルエンザの予防,早期診断・治療を細かくステップ別に,対策と医療施設内の感染制御について詳しく解説した。診療にあたる医師はもちろんのこと,コメディカルおよび病医院の経営者や事務職員の方にも役立つ内容となっている。
今すぐ使える,医療従事者必携の書である。


序文

巻頭言

 インフルエンザは,ウイルス性呼吸器感染症としては稀有な,ワクチンも治療薬も有する疾患です。さりとて,インフルエンザは毎年冬季に流行し,一定数の患者が罹患し,その一部は重症化し,時には患者を死に至らしめる恐ろしい感染症です。
 医療の平等性と経済性が高いわが国では,迅速診断キットを用いた診断に基づいた正しい抗インフルエンザ療法が,「いつでも」「誰にでも」行われています。2009年のインフルエンザ・パンデミックでは,先進国の中で最も死亡率が低かったことから,わが国は世界で最もインフルエンザ制御が進歩している国のように賛美されることもありますが,ワクチン行政の遅れなど,他の先進国に見劣りしている部分もまだまだ多いと言えます。
 本書は,インフルエンザ対策を真剣に取り組みたい医療者を対象に,エビデンスに基づき,そしてエビデンスが行き届かない部分は対策の前線での経験を踏まえた内容を心掛けながら,インフルエンザ制御について著者一名で書き上げました。読者の皆様への配慮として,まず「Important Point」で要点を明示し,全体の流れをつかんでいただいた後,本文では文章を簡潔にまとめながら図表を多く盛り込み,「Check」で要点を箇条書きにしながら,その話題の中で理解すべきキーワードなどを「Break」でコラムとして掲載しました。また,本文中の重要用語はページの右脇に抜き出してあります。
 インフルエンザ制御は冬季の難題として,実地医療現場,あるいは病院を統括する立場の医療者には頭の痛いところだと思います。ところが,毎年のインフルエンザ対策を真面目に取り組めば,院内でやむなく発生していた耐性菌感染症や感染性腸炎,肺結核症の発生時にも落ち着いて対処できるようになるものです。感染制御はまずインフルエンザからはじめると,意外にも他のアウトブレイク阻止に応用が利きます。
 この本が,ひとまず真面目にインフルエンザ制御に取り組んでみようか,と思いついた医療者や施設管理者の皆様のお役に立てたらと願ってやみません。
 
平成25年1月
杏林大学 教授
保健学部看護学科医療科学Ⅱ
医学部付属病院感染症科
小林 治
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編集後記

 かねてよりお世話になっている呼吸器内科の先生が,2011年本学医学部呼吸器内科に赴任されました。ちょうど猛暑が和らぎ風も涼やかになった頃,その先生に「是非とも一冊の本をお書きなさい,勉強になりますよ」とご提案をいただきました。
 それまで,学術雑誌への投稿や査読,編集委員などの経験がある私でしたが,一人で一冊の本を書くというのは,並大抵のことではなかったと感じています。
 矯正歯科医の家内と二人暮らしの我が家では,それぞれの仕事が終わった後にできるだけ二人で夕食をとるようにしています。夕食後,遅くまで家内と二人並んでコンピュータに向かって仕事をすることは珍しくはありませんが,今度ばかりは随分と心配をかけました。
 本書を書きあげるにあたり,ご提案をいただいた滝澤 始教授にあらためて深謝申し上げます。また,本書の草稿を読んでいただき,問題点をご指摘いただいた皿谷 健先生ら本学呼吸器内科の若き医師の皆様にも感謝申し上げます。さらに当初から親切丁寧なご指導ご協力と,読者のためのわかりやすい文面作りにアイデアを絞っていただいた株式会社メジカルビュー社の谷口陽一様に深謝申し上げます。

 本書は真面目に日常診療を行う医療者のお役にたてるよう執筆したつもりですが,読者の皆様のご叱責ご教示を頂けたら幸いです。

平成25年1月
杏林大学 教授
保健学部看護学科医療科学Ⅱ
医学部付属病院感染症科
小林 治
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目次

Important Point

第Ⅰ章 インフルエンザの基礎知識
 インフルエンザウイルスの構造と生活環
 ヒトインフルエンザの歴史
 インフルエンザと法律
 インフルエンザの重症化と死亡率

第Ⅱ章 季節性インフルエンザの流行パターン
 インフルエンザの流行と終息
 インフルエンザ流行株の変遷

第Ⅲ章 インフルエンザの病態と臨床的特徴
 インフルエンザの病態
 インフルエンザの症状
 A(H5N1)インフルエンザの特徴

第Ⅳ章 インフルエンザワクチンによる予防効果
 わが国のインフルエンザワクチンを巡る変遷
 ワクチンの作用
 ワクチンの有効性
 ワクチン接種適応の判断

第Ⅴ章 インフルエンザの診断と治療法
 病原検査
 抗インフルエンザ療法
 臨床におけるNAIsの使い分け
 対症療法

第Ⅵ章 インフルエンザ流行期の感染対策
 季節性インフルエンザへの対応
 A(H1N1)pdm09から学ぶ感染対策

第Ⅶ章 インフルエンザの薬剤耐性化と有効性
 アマンタジン耐性と有効性
 オセルタミビル耐性と有効性
 ザナミビルおよびラニナミビル耐性
 ペラミビル耐性

第Ⅷ章 現在開発中の抗インフルエンザ薬
 ファビピラビル
 Fludase®(DAS181)
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