水痘・帯状疱疹のすべて

水痘・帯状疱疹のすべて

■編集 浅野 喜造

定価 5,170円(税込) (本体4,700円+税)
  • A4変型判  248ページ  オールカラー,写真90点
  • 2012年12月6日刊行
  • ISBN978-4-7583-0042-1

水痘・帯状疱疹をこの1冊で知り尽くす

水痘は小児・成人とも,感染した場合早期の治療が重要である。早期からの治療への介入で重篤化を防ぐことができるが,感染をしないための予防(ワクチン接種)が効果的な感染症である。わが国で水痘ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)が完成してから今年で25年が経過した。水痘ワクチン接種は公費助成が行われている自治体もあるが,定期接種ではなく任意接種とされているのが現状である。
本書は小児科医・皮膚科医など水痘・帯状疱疹を診療する先生方を対象に,水痘・帯状疱疹について,そのメカニズムから診断・治療,そしてワクチンをはじめとする予防まで,水痘・帯状疱疹のすべてを網羅した「水痘・帯状疱疹の必携本」である。


序文

 『水痘・帯状疱疹のすべて All-in-one varicella and herpes zoster』と題した本書籍では水痘と帯状疱疹のウイルス学,発症機構,感染病理,免疫学,疫学,臨床,検査,診断,治療,予防に関する現状・問題点の把握,考え方ならびに今後の展開などが網羅されている。水痘と帯状疱疹,両疾患の認識,理解の深まりには抗ウイルス薬と水痘ワクチンの開発,普及が大きな役割を果たしていることは確かであろう。中でもわが国で開発された岡株水痘ワクチンの存在意義は大きい。開発の経緯は高橋理明博士が緒言において「水痘ワクチン開発の動機と報われた努力」として記されている。感動的で胸の熱くなる内容である。
 水痘ワクチンには弱毒化された生ウイルスが含まれ,その人工的感染によって生ずるウイルス特異免疫による初感染の防止をワクチンの第一の目的としている。同ワクチンは世界の多くの国で用いられ有効性,安全性は広く認められている。水痘の感染制御には同ワクチンの定期接種化が必須であることは米国で実証済みで,米国では水痘が過去の疾患になりつつある。また自然感染後と水痘ワクチン接種後の生体内におけるウイルス増殖動態,臨床症状,免疫反応を比較すれば,水痘ワクチンが帯状疱疹の予防にもつながることも理解できる。さらに米国では同ワクチン接種による免疫賦活により高齢者の帯状疱疹の予防にも用いられるようになった。
 水痘ワクチンはウイルスの初感染ならびに再活性化を予防するという日本で開発されたユニークなワクチンで,わが国でも早期の定期接種化が望まれる。水痘と帯状疱疹の理解の深化に本書籍が貢献することを期待するものである。

2012年10月
浅野喜造
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目次

緒言—水痘ワクチン開発の動機と報われた努力  高橋理明
  微研麻疹研究部時代—麻疹ワクチン、ポリオワクチン、そしてアデノウイルス、単純ヘルペスウイルスの発
   がん性の研究
  水痘ワクチン開発の動機
  水痘ワクチン開発についての問題点
  VZVの不安定性とcell-associatedの性質についての考察
  水痘ワクチン開発の経緯
  ワクチン候補株の臨床試験
  健康小児における水痘ワクチン接種による感染防御効果
  小児期の水痘ワクチン接種による将来の帯状疱疹発症率減少の可能性
    
1章 はじめに  
 水痘ワクチンとの出会い  浅野喜造
  調べられていないものを調べてみよう
  岡株水痘ワクチンとの関わり
  
2章 水痘・帯状疱疹を知る・診る  
 水痘帯状疱疹ウイルスの基礎  白木公康、大黒 徹、武本眞清
  水痘帯状疱疹ウイルスの構造
  ウイルスの増殖と安定性
  水痘帯状疱疹ウイルスの蛋白と増殖
  潜伏感染
  水痘と帯状疱疹の疫学
  水痘
  帯状疱疹
  実験室内診断と皮内反応
  抗ヘルペス薬による治療
  水痘の予防
  
 水痘の感染発症メカニズム  吉川哲史
  水痘の感染経路
  水痘の感染発症機構:マウスポックスモデルに基づく考え
  水痘の感染発症機構:SCID-huマウスを用いた解析結果から
  おわりに
  
 帯状疱疹の発症メカニズム  木村 宏
  潜伏感染の成立
  潜伏感染細胞とその維持
  潜伏感染維持における免疫の役割
  VZV再活性化のメカニズム
  帯状疱疹発症の危険因子
  おわりに
  
 水痘・帯状疱疹の感染病理  佐多徹太郎
  感染病変の特徴
  診断用の検体採取と検査
  ウイルス封入体
  電子顕微鏡による感染細胞のウイルス粒子像
  皮膚病変
  帯状疱疹
  免疫抑制状態による全身感染病変
  全身感染病変の特徴
  全身感染による臓器病変
  脳炎など
  ぶどう膜炎  
  
 水痘・帯状疱疹の免疫学  奥野壽臣
  初感染(水痘)
  潜伏感染、再感染、再活性化(帯状疱疹)
  ワクチン接種
  免疫回避機構
  
 水痘・帯状疱疹の疫学—日本の現状、世界の現状—  多屋馨子
  水痘患者発生動向:日本の現状
  水痘による重症化の現状:日本の現状
  水痘:世界の現状
  血清疫学調査
  帯状疱疹の発生動向:日本の現状
  おわりに
  
 水痘の臨床像  伊藤正寛
  自然水痘の臨床像
  成人・妊婦の水痘
  breakthrough varicella
  免疫不全例の重症水痘
  不顕性感染
  鑑別診断
  
 水痘の合併症  堤 裕幸、要藤裕孝
  水痘の合併症
  重症水痘
  
 水痘帯状疱疹ウイルスの胎内感染  比嘉和夫
  妊娠中の水痘
  妊婦の水痘感染の防止
  妊娠中の帯状疱疹
  まとめ
  
 帯状疱疹の臨床像  本田まりこ
  症状
  重症度分類
  合併症
  診断
  鑑別疾患
  
 水痘の検査診断  熊谷卓司
  水痘帯状疱疹ウイルス感染検査手技
  おわりに
  
 帯状疱疹の検査診断  安元慎一郎
  一般的な帯状疱疹の診断手順
  VZVによる末梢性顔面神経麻痺の診断基準
  帯状疱疹の検査法
  おわりに
  
 水痘の治療  森内浩幸
  対症療法
  二次性細菌感染への抗菌療法
  抗ウイルス療法
  
 帯状疱疹の治療  渡辺大輔
  抗ヘルペスウイルス薬による治療
  帯状疱疹関連痛の治療
  
3章 水痘・帯状疱疹を防ぐ  
 岡株水痘ワクチンの製造  宮武克昌
  製法の概要
  組成
  性状
  貯法および有効期間
  用法および用量
  製造工程フロー
  製品の力価
  
 水痘・帯状疱疹を防ぐ岡株(Oka)水痘ワクチンの特徴  森 康子
  水痘帯状疱疹ウイルスとは?
  水痘ワクチン株とは?
  岡ワクチン株の生物学的性状
  おわりに
  
 日本における水痘ワクチンの使用状況  尾崎隆男
  水痘ワクチン接種の実際
  わが国における水痘ワクチン使用状況と接種率
  水痘ワクチンの安全性と有効性
  わが国における水痘患者発生の現状
  水痘ワクチンの接種率向上を目指して
  
 世界における水痘ワクチンの使用状況  中野貴司
  米国における水痘ワクチン
  米国の接種スケジュール
  カナダにおける状況
  ヨーロッパにおける状況
  その他の国々の状況
  海外の接種スケジュール
  
 米国、ヨーロッパ、オーストラリアにおける帯状疱疹の予防  庵原俊昭
  VZV感染と免疫の評価法
  VZV感染予防および感染からの回復と免疫
  帯状疱疹の疫学
  帯状疱疹の臨床
  帯状疱疹の周囲への感染力
  水痘ワクチンの開発と効果
  小児への水痘ワクチン接種と帯状疱疹
  水痘ワクチンの免疫効果
  帯状疱疹ワクチンの開発と効果
  米国におけるZostavax®承認の理論的根拠
  欧米やオーストラリアでのZostavax®接種勧奨年齢
  Zostavax®の接種対象者と接種禁忌者
  Zostavax®と他のワクチンの同時接種
  Zostavax®接種時の注意事項
  Zostavax®接種後の免疫持続期間
  日本における帯状疱疹ワクチン開発への取り組み
  不活化帯状疱疹ワクチンの開発
  おわりに
  
 予防薬としての抗ウイルス薬  須賀定雄
  アシクロビルの作用機序とウイルス増殖動態に対する影響
  健康小児家族内二次感染例に対する経口アシクロビル予防投与
  水痘ハイリスク患児における感染曝露後対策としての応用
  おわりに
  
 院内発症の対処法と予防  新庄正宜
  院内発生の予防
  水痘・帯状疱疹患者を入院させる場合
  入院患者が水痘・帯状疱疹を発症した場合(発端者への対応)
  入院患者が流行性ウイルス疾患を発症した場合(接触患者への対応)
  病棟閉鎖の具体事例(実例を参考に改変)とその対応方法
  まとめ
  
 岡株水痘ワクチンの使い方  寺田喜平  
  水痘予防
  帯状疱疹予防
  最後に
  
 Column
  気候帯が異なると水痘・帯状疱疹はどのように異なるのか?  多屋馨子
  水痘ワクチンのシードロットシステム  石川豊数
  水痘ウイルスはどうやって潜伏しているのか?  森内浩幸  
  岡親株(岡原株)と岡ワクチン株の違い—ウイルスの素性がわかる!  森 康子
  帯状疱疹の痛みはなぜ強い?  白木公康
  水痘ワクチンの定期接種化で帯状疱疹はどうなる?  白木公康
  水痘・帯状疱疹の今後  吉川哲史
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