医療従事者のための

新型インフルエンザA (H1N1) 対策実践ガイド

新型インフルエンザA (H1N1) 対策実践ガイド

■監修 日本医師会

定価 1,320円(税込) (本体1,200円+税)
  • B5判  64ページ  オールカラー
  • 2009年10月15日刊行
  • ISBN978-4-7583-0029-2

感染防止と診療継続を主眼とした,新型インフルエンザA(H1N1)診療の必携書

現在,新型インフルエンザA (H1N1)の流行が急速に拡大している。すべての医療機関において新型インフルエンザの診療にあたる必要があり,膨大な感染患者に対応するためには,医療従事者の感染防止対策および,流行時の診療継続が緊急の課題である。本書は,そのための情報を64頁オールカラーでまとめた。
診療にあたる医師はもちろんのこと,コメディカルおよび病医院の経営者や事務職員の方にも役立つ,今すぐ使える,医療従事者必携の書となっている。


序文

 豚インフルエンザに由来する新型インフルエンザA(H1N1)が2009年3月に北米で確認されて以来,世界各地で流行が広がっています。日本でも流行が拡大し,今後さらに大きな流行になることは避けられないと考えられています。
 「新型」のインフルエンザは,20世紀中に3回流行し,そのたびごとに多くの人が感染し,多数の死者を出してきました。今回の新型インフルエンザA(H1N1)がどのような影響をもたらすのか予測することは困難ですが,米国や英国,そして南半球での推移をみると,日本でもある程度大きな影響は避けられず,特に我々医療従事者に求められる役割は重大であるといえます。
 こうした事態に対応していくためには,医療従事者と医療を支える多くの人が一致団結して,自らや同僚を感染から守り,そのうえで継続して医療を提供していかなければなりません。しかし,様々な施策を講じたとしても医療機関内での感染や,医療従事者の日常生活の場での感染も相当数に及び,中には重症化する人も出てくることでしょう。職員の中には感染を恐れる者や,子どもの学校が閉鎖されて出勤できなくなる者もあるでしょう。また,患者の中には取り乱してしまう人もいるかもしれませんし,マスク着用や決められた動線を通るなどのルールを守らない来院者もいることでしょう。地域での連携も,計画どおりに実行することは容易ではないかもしれません。
 感染患者数が最も多くなる流行の時期は数カ月の長期戦になることは必至で,流行が続くと想定外なことも起こる可能性は十分にあり,場合によっては憤りや,やりきれなさを感じることがあるかもしれません。しかし,それぞれの立場の人がそれぞれの任務に全力を尽くし,互いを大事にしながら声を掛け合い支え合いながら乗り越えていくほかはありません。
 これまでの歴史の中の「新型」インフルエンザとは違って,現代では医療の質が向上し,抗インフルエンザウイルス薬もあるなど,ポジティブな面もあります。一方で,ステロイドなどの免疫抑制薬を内服するハイリスク患者などが増えていることや,医療に対する国民の大きな期待や,医療機関での「効率化」による人員不足など,今までになかった新たな課題への対応も必要です。本書がその一助となれば幸いです。

2009年8月末日
編集者一同
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目次

1章 新型インフルエンザ流行時の医療提供体制と診療    
  I 新型インフルエンザA(H1N1)の現状と今後の見通し  
  II 新型インフルエンザA(H1N1)に対応した医療提供体制  
    1. 患者の診療
    2. 濃厚接触者への対応
    3. 医療体制の整備
  III 新型インフルエンザA(H1N1)の診療  
    1. 臨床像
    2. 検体採取と届出の流れ
    3. 治療
    4. 患者指導
    5. 入院病床のある医療機関への搬送の基準
    6. ウイルスの曝露を受けた者に対する予防投与
    7. ファクシミリ等による処方せんの取り扱い
  IV 地域行政と医療機関との連携  
    1. 連携体制の構築
    2. 検体の受け渡し
    3. 訓練,教育
    4. 患者,住民等への情報提供
  V サーベイランス体制  
    1. 地域における感染拡大の早期探知
    2. 重症化およびウイルスの性状変化の監視
    3. 全体的な発生動向の把握

2章 医療従事者を感染から守る    
  I 感染予防策  
    1. 感染経路の基礎知識
    2. 経路別予防策と標準予防策
    3. 新型インフルエンザA(H1N1)に特化した感染予防策の考え方
    4. 診療所・病院での感染予防策
    5. 環境整備
  II 感染防護具の種類と使い方  
    1. 必要な感染防護具
    2. 防護具の種類と特徴
    3. 防護具の購入,使用,廃棄にあたって

3章 流行時に継続して医療を提供する    
  I 診療継続のための基本的考え方  
  II 診療継続のための実践  
    1.担当組織を設置する
    2.迅速かつ正確な情報を確保する
    3.受け入れ病床と患者の動線を確保する
    4.対応能力を把握し,不足する分を確保できるよう調整する
    5.職員の健康を管理する
    6.職員,関連機関,地域住民との連絡体制を整備する
    7.地域の医療機関と行政機関との連携を図る
    8.医薬品や必要物品を確保できるか確認する
    9.職員用のマニュアルを作成する
    10. 訓練を実施する

コラム 先進的な取り組み    
  長野県における地域行政と医療機関との連携  
  新型インフルエンザ診療における診療所(かかりつけ医)の役割  
  成田赤十字病院での訓練の成果  

巻末    
  ・新型インフルエンザ診療に役立つ情報サイトと相談窓口  
  ・電話による発熱相談のために  
    緊急度カテゴリーと対応例・プロトコール共通項目(Q1 〜Q6)
    電話救急医療相談プロトコール[成人 発熱]
    電話救急医療相談プロトコール[小児 発熱]
  ・医療機関での対策チェックリスト  
  ・新型インフルエンザに関連する緊急連絡先  
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