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関節外科 創刊40周年記念

関節外科 創刊40周年記念

おかげさまで,弊誌『関節外科-基礎と臨床-』は創刊40 周年を迎えました。
これからも整形外科学の進歩と発展に貢献すべく,今一度初心に立ち返り,創刊号より「創刊のことば」をここに掲載いたします。
きたる創刊50 周年,さらには創刊100 周年に向け,今後とも変わらぬご支援ご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

特別掲載『関節外科』Vol.1 No.1 創刊号(1981 年12 月10 日発行)より

創刊のことば

「季刊関節外科」編集委員
広畑和志 田中清介 山本龍二

 関節疾患に対する外科的治療は相次ぐ優れた抗生物質の台頭を背景として,この30年間に目ざましく進歩した. さらに医療機器開発に高度の科学技術が導入されたことによる成果も大きなものがある.その過程で結核の激減,平均寿命の延長,スボーツ振興や職業構造の変化により関節病の種類と分布が変わってきた. これを反映して,関節手術にいくつかの変遷の跡がみられる.
 かつては関節に直接侵襲を加えることは極力避けられていた.栄養と潤滑に必要な関節液を産生する関節が閉鎖腔であり,容易に細菌の培地に変わるからである.ある種の関節外固定術は二次感染を憂えて考案され,再建手術においても今のような大きい異物を関節内に挿入しえなかった.それは関節が易感染性のNo-man's land に近いものとして扱われていたからである.現在の人工関節置換術の最大の合併症が感染であることから,この懸念はよく理解されよう.
 Pauwels 以来,関節の生体力学的研究は躍進し,人工関節置換術の画期的な発展に大きく寄与している.手術の適否は別として,今ではどの関節にも利用できるほど数多くの型が市販されている.かえって,どれを使用してよいのか困惑することも少なくない.また人工関節の今日の情報が明日には役立たないほど急速に変動することもある.最近では“関節は動くもの”とする考えは医師ばかりか患者の間にも根強いものがある.そのため福音を与えられた患者がいる陰に,想像もしなかった結果に苦しむ人がいないわけではない.いくら科学的技術が進歩したといっても生物学的要素を無視してはならない. これに因んで,関節外科の領域では次々と多くの間題が生じているのである.
 一つ一つの問題点を深く討議するために,整形外科においても他の領域と同様に専門分化が進み,学会・研究会をみてもリウマチ関節外科,関節鏡,肩関節,股関節,膝関節,足の外科,人工関節,パイオメカニクスなど相当の数の集会がある.討議の中から関節病に悩む患者に還元する情報を得るには, これらは絶好の場であり,マンモス化した学会の比ではなかろう.
 しかし,われわれはそれらの情報を追うだけで,経済的にも時間的にも負担が大きくなった.また,このような情勢の中で分散する情報を有機的に収斂してはという巷の声を聞いてきた.折しもこの領域で御造詣の深い大先輩の方々の御指導によって「季刊関節外科」がメジカルビュー社より発行されることになり,未熟なわれわれが編集を手助けすることになった. これを機会に,研究業績のみの掲載をできるだけ控え,真の臨床雑誌に育て,多忙な先生方の実地診療に役立てたいと思っている.肩関節とか膝関節とか,機構上に多少の差はあっても同じ運動器の中枢であることを踏まえて,関節外科に関する古い業績を顧みながら,新しい情報を紹介していくつもりである.  創刊にあたって,この雑誌が整形外科学の進歩と発展のために貢献することを心より念願するものである.今後読者諸賢の貴重な御意見と絶大な御支援を賜れば幸いである.

昭和56年11 月

表紙で見る関節外科

表紙で見る関節外科 創刊号

表紙で見る関節外科 Vol.3〜8

表紙で見る関節外科 創刊号

表紙で見る関節外科 Vol.3〜8

Vol.40 No.1 2021年1月号

特集:日常よくある足疾患 保存治療を含めた治療法

定価 2,640円(税込) (本体2,400円+税)

Vol.40 No.1

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