Crosslink 理学療法学テキスト
義肢装具学
[Web動画付]
定価 5,720円(税込) (本体5,200円+税)
- B5判 368ページ オールカラー,イラスト380点,写真480点
- 2023年10月1日刊行
- ISBN978-4-7583-2087-0
電子版
序文
義肢と装具の歴史は古く,現代の義肢・装具という存在に至るまでには世界各地での歴史的紛争や技術革新,そしてリハビリテーションの発展が大きく関わっています。この歴史的時間を経て発展してきた義肢装具学は,その製作技術やバイオメカニクス機構の発展とともにそれを必要とする対象者への適合と適用,そして身体機能の維持・再獲得に向けた理学療法アプローチを拡大させてきました。今や義肢・装具に触れたことのない理学療法士はいないでしょう。それほど理学療法士にとって義肢・装具は必要不可欠な存在となっています。
例えば,脳卒中片麻痺患者において麻痺の重症度や筋緊張の強さを考慮して歩行時の装具を選択的に用いるように,疾病による対象者の身体的障害を十分に理解したうえで義肢・装具の最適化を図ることが理学療法士には求められます。さらには,生活のなかで義肢・装具を使用し続けるための社会資源と制度的課題などを理解することも理学療法士には必要であり,ここに義肢装具学を修める意義があります。
本書では,理学療法士に必要となる義肢・装具の理解を満たすために3つの工夫を凝らしています。1つ目は,理学療法士養成校の学生や新人理学療法士の方々が理解しやすいように多くのイラストや写真,そして動画を収載していることです。また自己学習を想定し,囲み記事や「学習の要点」でポイントを押さえ,「まとめ」で理解度を確認できるようになっています。2つ目は,執筆者には理学療法士だけでなく義肢装具士,医師,作業療法士に専門的視点を交えた執筆をお願いし,本書を通じてチーム医療を実感できる内容になっていることです。そして3つ目は,症例集として実際の臨床家による症例対応や臨床推論の記述をお願いし,臨床実習の学生さんや新人理学療法士の方々にも役立つ内容になっていることです。つまり,教科書や国家試験のテキストといった役割だけでなく,臨床家視点の記載も多く盛り込み,講義,実習,臨床に長く活用できるのが特徴です。
本書の編集に際しては,山中武彦先生(日本福祉大学)に有難いお声掛けと背中を押していただきスタートすることができました。その後,企画段階から共同編集者であります遠藤正英先生に素晴らしい執筆者のご推薦をしていただきました。執筆に留まらず,貴重な写真やイラスト,動画作成にもご協力いただいた執筆者の先生方に深く感謝申し上げます。また,メジカルビュー社の関係各位,編集部の榊原優子氏には全般にわたり多大なご協力をいただきました。
本書が義肢装具学を学ぶ学生の興味関心をさらに深め,義肢・装具を必要としている対象者を担当される理学療法士にお役立ていただければ幸甚です。
2023年8月
編者を代表して
廣滋恵一
例えば,脳卒中片麻痺患者において麻痺の重症度や筋緊張の強さを考慮して歩行時の装具を選択的に用いるように,疾病による対象者の身体的障害を十分に理解したうえで義肢・装具の最適化を図ることが理学療法士には求められます。さらには,生活のなかで義肢・装具を使用し続けるための社会資源と制度的課題などを理解することも理学療法士には必要であり,ここに義肢装具学を修める意義があります。
本書では,理学療法士に必要となる義肢・装具の理解を満たすために3つの工夫を凝らしています。1つ目は,理学療法士養成校の学生や新人理学療法士の方々が理解しやすいように多くのイラストや写真,そして動画を収載していることです。また自己学習を想定し,囲み記事や「学習の要点」でポイントを押さえ,「まとめ」で理解度を確認できるようになっています。2つ目は,執筆者には理学療法士だけでなく義肢装具士,医師,作業療法士に専門的視点を交えた執筆をお願いし,本書を通じてチーム医療を実感できる内容になっていることです。そして3つ目は,症例集として実際の臨床家による症例対応や臨床推論の記述をお願いし,臨床実習の学生さんや新人理学療法士の方々にも役立つ内容になっていることです。つまり,教科書や国家試験のテキストといった役割だけでなく,臨床家視点の記載も多く盛り込み,講義,実習,臨床に長く活用できるのが特徴です。
本書の編集に際しては,山中武彦先生(日本福祉大学)に有難いお声掛けと背中を押していただきスタートすることができました。その後,企画段階から共同編集者であります遠藤正英先生に素晴らしい執筆者のご推薦をしていただきました。執筆に留まらず,貴重な写真やイラスト,動画作成にもご協力いただいた執筆者の先生方に深く感謝申し上げます。また,メジカルビュー社の関係各位,編集部の榊原優子氏には全般にわたり多大なご協力をいただきました。
本書が義肢装具学を学ぶ学生の興味関心をさらに深め,義肢・装具を必要としている対象者を担当される理学療法士にお役立ていただければ幸甚です。
2023年8月
編者を代表して
廣滋恵一
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目次
略語一覧
第1章 義肢装具学総論
【1】 義肢装具の役割 [廣滋恵一]
義肢装具とその歴史
社会における義肢装具
義肢装具とチームアプローチ
【2】 義肢装具の製作過程と支給体系 [村山 稔,郷 貴博]
2-1 義肢装具の支給体系
治療用義肢装具と更生用義肢装具
医療保険
高額療養費制度
労働者災害補償保険
自動車損害賠償保険
生活保護
障害者総合支援法
2-2 義肢装具の製作過程と材料
義肢の材料と製作過程
装具の材料と製作過程
3D技術を用いた義肢装具の製作
第2章 義肢
【1】 切断とリハビリテーション [加藤弘明]
切断者の動向と切断の原因
切断・離断の部位とその特徴
切断手技
術後のケア
切断と合併症
【2】 義手の構造 [笹川友彦]
義手の分類
義手の構成要素
装飾義手の構造
能動義手の構造
作業用義手の構造
筋電義手の構造
【3】 上肢切断のリハビリテーション [大庭潤平,安藤 悠]
3-1 上肢切断のリハビリテーションの流れ
リハビリテーションの目的と手段
上肢切断者の評価
上肢切断者の義手操作などの訓練
義手の作製とフォローアップ
3-2 前腕切断のリハビリテーション
前腕能動義手
前腕筋電義手
3-3 上腕切断のリハビリテーション
上腕能動義手
3-4 実用場面での使用に向けた練習
ADL・IADL練習
仕事や趣味,学校での義手の使用
【4】 義足の構造 [橋本 寛]
義足の分類
下腿義足の構造
大腿義足の構造
その他の義足の構造
【5】 大腿切断のリハビリテーション [長倉裕二]
理学療法評価
理学療法介入
【6】下腿切断のリハビリテーション [長倉裕二]
理学療法評価
理学療法介入
【7】スポーツ義足の現状とリハビリテーション [梅澤慎吾]
下肢切断者とスポーツの現状
障害者スポーツと義肢装具
障害者スポーツと理学療法
第3章 装具
【1】装具とリハビリテーション [松田雅弘]
装具の使用目的とその種類
各種装具の基本構造と適合判定
【2】脳卒中片麻痺の装具 [ 遠藤正英]
脳卒中片麻痺患者の特徴
脳卒中片麻痺の上肢装具
脳卒中片麻痺の下肢装具
【3】脊髄損傷の装具 [春名弘一]
脊髄損傷の特徴
脊髄損傷の神経学的分類のための国際基準(ASIA分類)
脊髄損傷の装具を検討するうえで必要な理学療法評価
脊髄損傷における装具の目的
急性期の安静固定のための体幹装具(頸椎装具を含む)
頸髄損傷の上肢装具
脊髄損傷の下肢装具
【4】運動器疾患の装具 [河上淳一,石橋敏郎]
運動器疾患における装具
運動器疾患の体幹装具
運動器疾患の上肢装具
運動器疾患の下肢装具
【5】側弯症装具 [宮原拓也]
側弯症の概要
検査
治療
装具療法の概要
ミルウォーキー型装具
ボストン型装具
OMC型装具
【6】小児疾患の装具 [ 楠本泰士]
小児疾患の特徴
小児疾患の上肢装具
小児疾患の下肢装具
小児疾患の体幹装具
【7】足部障害の装具 [河辺信秀,渡部祥輝]
足関節・足部の構造と機能
足部障害の特徴
足底装具の概要
靴型装具の概要
疾患ごとの装具の適応
第4章 先端技術の義肢装具
【1】義肢装具における先端技術 [松田雅弘]
リハビリテーションにおける先端技術
義肢装具の先端技術
第5章 車椅子,歩行補助具
【1】車椅子,歩行補助具 [小原謙一]
歩行補助具とその種類
杖の適正な選択と使用
車椅子の適正な選択と使用
症例集
前腕切断 [溝部二十四]
大腿切断者(高活動 K4レベル) [岩下航大]
下腿切断者(低活動K1〜K2レベル) [岩下航大]
脳梗塞 [久保田勝徳]
脊髄梗塞 [藤縄光留]
変形性膝関節症 [田中 創]
脳性麻痺(分類:痙直型両麻痺) [長谷川大和]
第1章 義肢装具学総論
【1】 義肢装具の役割 [廣滋恵一]
義肢装具とその歴史
社会における義肢装具
義肢装具とチームアプローチ
【2】 義肢装具の製作過程と支給体系 [村山 稔,郷 貴博]
2-1 義肢装具の支給体系
治療用義肢装具と更生用義肢装具
医療保険
高額療養費制度
労働者災害補償保険
自動車損害賠償保険
生活保護
障害者総合支援法
2-2 義肢装具の製作過程と材料
義肢の材料と製作過程
装具の材料と製作過程
3D技術を用いた義肢装具の製作
第2章 義肢
【1】 切断とリハビリテーション [加藤弘明]
切断者の動向と切断の原因
切断・離断の部位とその特徴
切断手技
術後のケア
切断と合併症
【2】 義手の構造 [笹川友彦]
義手の分類
義手の構成要素
装飾義手の構造
能動義手の構造
作業用義手の構造
筋電義手の構造
【3】 上肢切断のリハビリテーション [大庭潤平,安藤 悠]
3-1 上肢切断のリハビリテーションの流れ
リハビリテーションの目的と手段
上肢切断者の評価
上肢切断者の義手操作などの訓練
義手の作製とフォローアップ
3-2 前腕切断のリハビリテーション
前腕能動義手
前腕筋電義手
3-3 上腕切断のリハビリテーション
上腕能動義手
3-4 実用場面での使用に向けた練習
ADL・IADL練習
仕事や趣味,学校での義手の使用
【4】 義足の構造 [橋本 寛]
義足の分類
下腿義足の構造
大腿義足の構造
その他の義足の構造
【5】 大腿切断のリハビリテーション [長倉裕二]
理学療法評価
理学療法介入
【6】下腿切断のリハビリテーション [長倉裕二]
理学療法評価
理学療法介入
【7】スポーツ義足の現状とリハビリテーション [梅澤慎吾]
下肢切断者とスポーツの現状
障害者スポーツと義肢装具
障害者スポーツと理学療法
第3章 装具
【1】装具とリハビリテーション [松田雅弘]
装具の使用目的とその種類
各種装具の基本構造と適合判定
【2】脳卒中片麻痺の装具 [ 遠藤正英]
脳卒中片麻痺患者の特徴
脳卒中片麻痺の上肢装具
脳卒中片麻痺の下肢装具
【3】脊髄損傷の装具 [春名弘一]
脊髄損傷の特徴
脊髄損傷の神経学的分類のための国際基準(ASIA分類)
脊髄損傷の装具を検討するうえで必要な理学療法評価
脊髄損傷における装具の目的
急性期の安静固定のための体幹装具(頸椎装具を含む)
頸髄損傷の上肢装具
脊髄損傷の下肢装具
【4】運動器疾患の装具 [河上淳一,石橋敏郎]
運動器疾患における装具
運動器疾患の体幹装具
運動器疾患の上肢装具
運動器疾患の下肢装具
【5】側弯症装具 [宮原拓也]
側弯症の概要
検査
治療
装具療法の概要
ミルウォーキー型装具
ボストン型装具
OMC型装具
【6】小児疾患の装具 [ 楠本泰士]
小児疾患の特徴
小児疾患の上肢装具
小児疾患の下肢装具
小児疾患の体幹装具
【7】足部障害の装具 [河辺信秀,渡部祥輝]
足関節・足部の構造と機能
足部障害の特徴
足底装具の概要
靴型装具の概要
疾患ごとの装具の適応
第4章 先端技術の義肢装具
【1】義肢装具における先端技術 [松田雅弘]
リハビリテーションにおける先端技術
義肢装具の先端技術
第5章 車椅子,歩行補助具
【1】車椅子,歩行補助具 [小原謙一]
歩行補助具とその種類
杖の適正な選択と使用
車椅子の適正な選択と使用
症例集
前腕切断 [溝部二十四]
大腿切断者(高活動 K4レベル) [岩下航大]
下腿切断者(低活動K1〜K2レベル) [岩下航大]
脳梗塞 [久保田勝徳]
脊髄梗塞 [藤縄光留]
変形性膝関節症 [田中 創]
脳性麻痺(分類:痙直型両麻痺) [長谷川大和]
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