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書籍詳細

PCI術中に何が起こりうるのか,どう対処すべきか? 「もしも」に備える一冊

明日は我が身 PCI合併症から脱出する術

明日は我が身 PCI合併症から脱出する術
■著者 伊藤 良明
定価 9,900円(税込)(本体 9,000 円+税)
B5判  400ページ  オールカラー,イラスト153点,写真1,417点
2019年7月19日刊行
ISBN978-4-7583-1958-4
内容紹介
PCI(経皮的冠動脈インターベンション)は,冠動脈疾患治療の中心的な役割を担っている。比較的低侵襲かつ安全で効果的な治療法として手技やデバイスの発達とともに急速に発展し,今や成熟期に達しているといえるが,侵襲的治療であることに変わりはなく,常に合併症と隣り合わせであることは忘れてはならない。
合併症の種類は多岐にわたり,一つひとつの発生頻度はそこまで高くはないが,誰しも経験する可能性がある。また,ひとたび発生すると突如として死亡率が高くなるものもあり,術者は常にその危険を念頭に置いておく必要がある。
そのためには,合併症に関する情報をできるだけ収集し,万が一直面してしまったときに切り抜けるための知識・方法をより多くの引き出しとして持っておくことが必要不可欠であるが,前述の通り,合併症発生の頻度はそこまで高くなく,種類も豊富なため,術者個人がそれぞれ経験して回避法を会得していくには限界がある。
本書では,国内でも有数のPCIエキスパートがこれまでに経験した,豊富で貴重な合併症例を紹介し,実際に切り抜けた方法や究極的な技について解説。稀な症例・内科的ベイルアウトを断念した症例まで,包み隠さず赤裸々に,合計千数百枚の画像を用いて徹底解説した。
PCI術者が自身の“疑似”体験として引き出しにストックし,万が一の場面でも冷静に対処できるようになるための1冊である。
序文


書評
PCI合併症から脱出する鍵がこの本にある

 冠動脈インターベンション治療(PCI)に携わる術者は,常にfor the patientの立場で手技成功に全力を注ぎこんでいる。しかし,PCI成功の裏には数多くの合併症が存在するのも事実であり,その克服なしにPCIを語ることはできない。そのためには基本手技はもちろんのこと,数多くの経験や最新の知識・対処法などを常に兼ね備えていなければならず,自施設の経験のみならず,教科書・研究会・学会・ライブデモンストレーション等を活用し日々研鑽を積んでいる。そこにはあくなき探求心と向上心が求められ,到達度に上限はない。そのうえでは,本書も一つのツールとして多くのPCI術者に寄与するものは大きく,数あるbail out本のなかでも大変有意義な一冊と確信する。
 特に本書はきわめて珍しく,共著ではなく伊藤良明先生の単著執筆であり,すべてが著者自らの経験症例をもれなく記載していることから,そこには机上の論理だけではなく,事実と結果が記されている。加えて画像がふんだんに使用され,手技の基本からデバイスまで流れるように網羅されており,一つひとつのbail outの方法を読み解くだけでなく,一連の手技を体験しているようである。
 これだけの症例発表を聴講するのに一体どれだけの時間を必要とするだろうと考えると,伊藤先生の強い想いを感じるとともに,その労力に敬意を表さずにはいられない。実際,本書に最初に眼を通したときのリスペクトがあったからこそ,この書評を書こうと思ったのである。
 技術の成熟と進歩,デバイスの進化等によりPCIの成功率は高く,合併症の発生率が低いなかで,その多くを経験することは難しい現状でもあり,改めてそのA to Zを学ぶのに推薦したい1冊といえる。これまで多くのbail out本があったが,この本はまさにbail outの真実,筆者の熱いPCI魂の軌跡が記されている。

東京慈恵会医科大学循環器内科 小川崇之

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