こんなときどうする 
ペースメーカプログラミングのキモ!

こんなときどうする ペースメーカプログラミングのキモ!

■監修 山科 章

■著者 五関 善成

定価 5,280円(税込) (本体4,800円+税)
  • B5判  178ページ  2色
  • 2019年6月23日刊行
  • ISBN978-4-7583-1953-9

これならできる! 困ったときのプログラミングのTips

ペースメーカは新規植込み,交換を含め年間約6万台が患者に植え込まれている。各社よりさまざまな機種が出ているが,搭載される機能も複雑化している。ペースメーカの普及に伴い,他施設で植え込まれた患者を診察・治療するケースも増えているため,医療スタッフは自施設使用のペースメーカのみならず各社のペースメーカ・プログラミングについての基本知識を押さえておく必要がある。また外来フォロー時に問題が起きた場合には,原因特定のうえ,適切な設定に変更する必要が出てくる。
本書では医師,臨床工学技士など関連する医療スタッフが頻度の高い緊急対応やトラブルシューティングも含め,患者の状況に応じた対応・設定について,慌てず対応できるノウハウを提供する書籍である。


序文

推薦の辞

 わが国の2018年1年間のペースメーカ植込み件数は新規43,495,交換17,743で合計61,238件であり,ペースメーカの累計患者数(生存者)は約25万人と推定されている。ペースメーカ患者のほとんどが65歳以上の高齢者であることを考慮すると,高齢者の150人に一人以上にペースメーカが植込まれていることになる。すなわち,超高齢社会にあってペースメーカはCommon diseaseともいえる。当然ながら精密機器であるので,適切に作動しているかどうか,その患者にとって最適なモードになっているかを確認する必要がある。
 自動車の車検・定期点検に相当するものにペースメーカ・クリニックがある。そこでは主に,ペースメーカ本体が植込まれている胸部にテレメトリ端子を置き,プログラマ装置とペースメーカ本体の間で通信を行い,
 ①ペースメーカが設定どおりに作動しているか
 ②電池寿命はどのくらい残っているか
 ③ペースメーカ本体やリード線に問題がないか
 ④危険な不整脈が出現していないか
  などが確認される。
 ペースメーカにはさまざまな機種があり,しかも製造会社によってその機能や名称が微妙に異なっている。しかも,技術の進歩とあいまってその機能は,年々,より高度化し,複雑化している。これらに精通することは不整脈専門医でも容易でない。ペースメーカ心電図を判読する際に,機能が正常なのか異常なのか迷うこともまれでない。夜間休日にペースメーカ植込み患者が,何等かのペースメーカがらみの問題で救急受診することもまれでない。他科からMRIやCTを撮影してよいか,手術に問題ないかといったコンサルテーションもまれでない。MRI撮影前後の対応,術後のペースメーカ機能の確認などに対応する必要もある。循環器科医にとって,そのトラブルシューティングを含めて,ペースメーカについての基本的な知識の習得は必須である。
 しかし,このニーズに応えてくれるまとまった解説書はこれまでなく,それぞれの医師が苦労していたであろうと想定する。本書の著者である五関善成先生は,総合内科専門医であり,さらにそのサブスペシャリティーとして,循環器専門医であり不整脈専門医である。長年にわたる多数のペースメーカ患者の管理,ペースメーカ・クリニックの経験をもとに,ペースメーカの基本からその管理,トラブルシューティングを分かりやすくまとめたのが本書である。日進月歩のペースメーカであるが,現時点の最新の技術・知識が反映されている。五関先生が所属する厚生中央病院のペースメーカ・クリニックでペースメーカーチェックを実施している会社は,日本メドトロニック,日本ライフライン,日本光電,フクダ電子,ボストン,アボット(セント・ジュード・メディカル),エラ・メディカル,ソーリン,バイオトロニックと8社に及んでいる。その経験が随所に散らばった解説書といってよい。ペースメーカ植込み患者を担当しているすべての循環器内科医,ペースメーカに関係している臨床工学士,さらにはペースメーカを販売しているMRには必読の書として,本書を推薦する。

令和元年5月
東京医科大学名誉教授
東京医科大学医学教育推進センター特任教授
山科 章
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目次

I 覚えてますかこんなこと,あんなこと −プログラミング前の基本知識のおさらい!−
 各種設定・基本の基
  ①ペースメーカモードの設定
  ②レートの設定
  ③ペーシング出力の設定
  ④センシングの設定
  ⑤極性の設定
  ⑥AVディレイの設定
  ⑦不応期の設定

II フォローアップ時に知っておくべきこと
 外来時にチェックすべき基本項目
 緊急ペーシング
 ワイヤレステレメトリ

III こんなときどうする再プログラミング −覚えよう! 取説には書いていないマル秘情報!−
 緊急時設定のキモ:ペーシング編
  ①不必要なペーシングが出ている
  ②必要なペーシングが出ない
  ③2:1心室ペーシングしている場合
  ④ペーシング後latencyを認める場合
 緊急時設定のキモ:センシング編
  ①心室波を心房側でオーバーセンシング(FFRW)している場合
  ②ペースメーカ起因性頻拍(PMT)を認めた場合
  ③反復性非リエントリー性室房同期(RNRVAS)を認めた場合
  ④偽偽融合収縮(pseudo-pseudo fusion)を認めた場合
  ⑤クロストークが疑われる場合
 緊急時設定のキモ:ジェネレータ・リード編
  ①急激な閾値の上昇を認めた場合
  ②リード抵抗が急に上昇または低下していたら
  ③心内電位にノイズの混入を認めたら
 緊急時設定のキモ:その他
  ①横隔神経刺激を認めた場合
  ②ペースメーカ症候群
  ③心機能が低下してきた場合
  ④労作時に息切れを自覚する場合
 上室不整脈が多い場合
 心室不整脈が多い場合
 小児の場合
 血管迷走神経性失神の場合
 主なペースメーカ不具合事象のまとめ
 特殊な状況時での設定を求められた場合
 リードレスペースメーカ

IV 各種モニタリング機能を活用しよう
 不整脈関連モニタリング
 心不全関連モニタリング
 その他の生体情報モニタリング
 遠隔モニタリング

巻末付録①:ペースメーカ関連用語略語集
巻末付録②:代表的な各社デバイスとプログラマ一覧
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