老年脳神経外科 診療マニュアル
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定価 8,580円(税込) (本体7,800円+税)
- B5判 272ページ 2色(一部カラー),イラスト30点,写真100点
- 2018年2月3日刊行
- ISBN978-4-7583-1844-0
電子版
序文
監修のことば
この度,『老年脳神経外科 診療マニュアル』を発刊することになった。編集を担当いただいた井川房夫先生,森田明夫先生,そして素晴らしい内容の原稿を執筆いただいた著者諸氏に,心より敬意を表する次第である。
改めて申すまでもなく,我が国は超高齢社会に突入しており,脳神経外科診療もその影響を少なからず受けている。高齢化に伴う認知症の増加は今や大きな社会問題であるが,脳神経外科医もその診断・治療に関わらざるを得ない状況になっている。過去において“治療可能な認知症” との点が強調され過ぎた感は否めないが,特発性正常圧水頭症を正しく診断し的確に髄液シャント術を行うことの意義は大きい。一方近年,特発性正常圧水頭症にアルツハイマー病やレビー小体型認知症などの合併をみることが明らかになり,脳神経外科医としても認知症全般に関する知識を十分に備えたうえで,これらの疾患の診療に当たる必要がある。また最近では,フレイルやサルコペニアといった高齢者特有の病態に対する認識が高まっており,脳神経外科診療においても避けて通れない問題となっている。その予防には栄養療法や運動療法などの介入が提唱されているが,これらの病態に脳神経外科疾患が合併した場合の対処法は,我々にとって極めて挑戦的な課題となる。疾病の根本的治療というよりは,効果的に治療を行うこと,さらに身体機能の回復や家族の負担軽減といったことが重視されることになるだろう。まさに,患者中心のテーラーメイドな医療を実践しなくてはならない。脳神経外科が扱う疾患は,脳血管障害,脳腫瘍,脊椎・脊髄疾患,てんかん・機能的疾患,頭部外傷など様々であるが,それぞれにおいて患者の年齢に応じて適切に治療が行われることが強く求められている。
今後,老年脳神経外科の存在意義は,横断的な学際領域として益々高まることが予測される。本書が,その道筋をつける大きなきっかけになることを期待したい。
2018年1月
順天堂大学 学長 新井 一
---------------------------------
序文
2060年,我が国の女性の最多人口年齢は86歳と試算されており,どんな社会となるのか想像もつきません。ご存知のように日本は,未曽有のスピードで高齢化が進み,世界一の超高齢社会となっています。今後,生産年齢人口比が減少し続けると,移民の受け入れ,女性・高齢者の活用,AIを中心としてIT,IoTを利用した生産形態への変化が予想されています。今後の医療は,男女の多様性(ダイバーシティ),ワークライフバランスを意識した医師の労働時間の見直し,AIと関連した診療,教育,研究へと大きく変化しようとしています。現在,元気な高齢者が増えており高齢者が活躍する社会が求められ,高齢者に対する医療も対応して変化する必要があります。基本診療科である脳神経外科では世界ではじめて高齢者を対象とした脳神経外科に特化した学術研究会として,1988年(昭和63年)に「老年脳神経外科研究会」を立ち上げ,現在「日本老年脳神経外科学会」へと発展しています。
2017年4月,本書の共同編集者である日本医科大学 森田明夫先生がガイドライン構築を目指して「第30回 日本老年脳神経外科学会」を開催されました。日本の高齢化は世界の象徴であり,今後世界中の国で同様な現象が予想されます。この分野では必然的に日本が世界のトップランナーであり,世界の人々へその経験と知恵を伝えていく義務と責任があります。もし世界基準となる洗練されたガイドラインが完成すれば,他国の基準となるため,医療産業を推進する我が国の国益に合致します。そこで,森田先生にご協力をお願いし,現在までの状況をまとめるため本書を発刊する事になりました。監修には順天堂大学 新井 一先生にご協力していただいています。
本書では,フレイル,MCIを含む認知症,各脳神経外科疾患の治療の問題点と解決策など不可避な問題を一つ一つ検討し,現段階でのエビデンスをご執筆頂きました。執筆をお願いした先生方は,日本の第一線でご活躍されている先生ばかりで,超ご多忙にもかかわらず,充実した内容に仕上げてくださり,この場を借りて厚く御礼申し上げます。
本書は先生方の診療と患者さんに必ずお役に立てると確信しております。今後,老年脳神経外科の分野で新たなエビデンス,リアルワールドデータ,ガイドライン構築の一助になれば本望です。
広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 脳神経外科学
准教授 井川 房夫
平成29年 師走の広島にて
この度,『老年脳神経外科 診療マニュアル』を発刊することになった。編集を担当いただいた井川房夫先生,森田明夫先生,そして素晴らしい内容の原稿を執筆いただいた著者諸氏に,心より敬意を表する次第である。
改めて申すまでもなく,我が国は超高齢社会に突入しており,脳神経外科診療もその影響を少なからず受けている。高齢化に伴う認知症の増加は今や大きな社会問題であるが,脳神経外科医もその診断・治療に関わらざるを得ない状況になっている。過去において“治療可能な認知症” との点が強調され過ぎた感は否めないが,特発性正常圧水頭症を正しく診断し的確に髄液シャント術を行うことの意義は大きい。一方近年,特発性正常圧水頭症にアルツハイマー病やレビー小体型認知症などの合併をみることが明らかになり,脳神経外科医としても認知症全般に関する知識を十分に備えたうえで,これらの疾患の診療に当たる必要がある。また最近では,フレイルやサルコペニアといった高齢者特有の病態に対する認識が高まっており,脳神経外科診療においても避けて通れない問題となっている。その予防には栄養療法や運動療法などの介入が提唱されているが,これらの病態に脳神経外科疾患が合併した場合の対処法は,我々にとって極めて挑戦的な課題となる。疾病の根本的治療というよりは,効果的に治療を行うこと,さらに身体機能の回復や家族の負担軽減といったことが重視されることになるだろう。まさに,患者中心のテーラーメイドな医療を実践しなくてはならない。脳神経外科が扱う疾患は,脳血管障害,脳腫瘍,脊椎・脊髄疾患,てんかん・機能的疾患,頭部外傷など様々であるが,それぞれにおいて患者の年齢に応じて適切に治療が行われることが強く求められている。
今後,老年脳神経外科の存在意義は,横断的な学際領域として益々高まることが予測される。本書が,その道筋をつける大きなきっかけになることを期待したい。
2018年1月
順天堂大学 学長 新井 一
---------------------------------
序文
2060年,我が国の女性の最多人口年齢は86歳と試算されており,どんな社会となるのか想像もつきません。ご存知のように日本は,未曽有のスピードで高齢化が進み,世界一の超高齢社会となっています。今後,生産年齢人口比が減少し続けると,移民の受け入れ,女性・高齢者の活用,AIを中心としてIT,IoTを利用した生産形態への変化が予想されています。今後の医療は,男女の多様性(ダイバーシティ),ワークライフバランスを意識した医師の労働時間の見直し,AIと関連した診療,教育,研究へと大きく変化しようとしています。現在,元気な高齢者が増えており高齢者が活躍する社会が求められ,高齢者に対する医療も対応して変化する必要があります。基本診療科である脳神経外科では世界ではじめて高齢者を対象とした脳神経外科に特化した学術研究会として,1988年(昭和63年)に「老年脳神経外科研究会」を立ち上げ,現在「日本老年脳神経外科学会」へと発展しています。
2017年4月,本書の共同編集者である日本医科大学 森田明夫先生がガイドライン構築を目指して「第30回 日本老年脳神経外科学会」を開催されました。日本の高齢化は世界の象徴であり,今後世界中の国で同様な現象が予想されます。この分野では必然的に日本が世界のトップランナーであり,世界の人々へその経験と知恵を伝えていく義務と責任があります。もし世界基準となる洗練されたガイドラインが完成すれば,他国の基準となるため,医療産業を推進する我が国の国益に合致します。そこで,森田先生にご協力をお願いし,現在までの状況をまとめるため本書を発刊する事になりました。監修には順天堂大学 新井 一先生にご協力していただいています。
本書では,フレイル,MCIを含む認知症,各脳神経外科疾患の治療の問題点と解決策など不可避な問題を一つ一つ検討し,現段階でのエビデンスをご執筆頂きました。執筆をお願いした先生方は,日本の第一線でご活躍されている先生ばかりで,超ご多忙にもかかわらず,充実した内容に仕上げてくださり,この場を借りて厚く御礼申し上げます。
本書は先生方の診療と患者さんに必ずお役に立てると確信しております。今後,老年脳神経外科の分野で新たなエビデンス,リアルワールドデータ,ガイドライン構築の一助になれば本望です。
広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 脳神経外科学
准教授 井川 房夫
平成29年 師走の広島にて
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目次
Ⅰ 老年の科学
老年の分布と医療動態 石川ベンジャミン光一
わが国の人口の変化
脳血管疾患による死亡数と死亡率
脳血管疾患等による死亡の場所
術式別の手術件数と診療報酬請求額
将来の患者数の変化の見込み
地域による違い
脳老年医学:サルコペニアとフレイルについて 新井秀典
はじめに
フレイルとは
フレイルの診断法
サルコペニアの概念と診断法
フレイル・サルコペニアに対する予防・介入法
おわりに
老年医学の科学と未来 秋下雅弘
はじめに
高齢患者の特徴
高齢患者の特徴から考える医療問題
高齢者に求められる医療とは
老年医学の展望
おわりに
Ⅱ 認知症診療
[概説]
認知症医療の今後 秋山治彦
はじめに
認知症の急増と社会コスト
認知症予防と危険因子
認知症の原因疾患と病理
アルツハイマー病(AD)と脳血管病変
軽度認知障害(MCI)
アルツハイマー病(AD)の病態修飾薬開発
超高齢社会と認知症
おわりに
[概説]
日本認知症学会と専門医制度 冨本秀和
はじめに
日本認知症学会の歴史
認知症学会専門医制度の理念
認知症専門医はどこで役に立つか
日本認知症学会専門医を取得するにはどうしたらよいか?
日本認知症学会専門医の取得後
日本認知症学会専門医の将来展望
[認知症画像診断の最前線]
脳機能・形態画像における画像統計解析 水村 直
はじめに
画像統計解析の基礎
VSRADによるMRI画像の萎縮評価
PET,SPECTによる脳機能異常分布評価
統計画像結果のもたらすもの・・・この後の画像診断との架け橋
[認知症画像診断の最前線]
無症候性大脳白質病変 佐々木真理
はじめに
無症候性大脳白質病変の種類
無症候性大脳白質病変の発生機序と病理
無症候性大脳白質病変のMRI所見
無症候性大脳白質病変の臨床的意義
認知症の簡易鑑別方法 唐澤秀治,安間芳秀
はじめに
診断基準
認知症のタイプ別スクリーニングと最終診断のための評価表
おわりに
認知症の病型別特徴 丸山博文
はじめに
根本治療可能な疾患
神経感染症に伴うもの
自己免疫性疾患の大脳病変によるもの
血管性認知症
前頭側頭葉変性症(FTLD)
レビー小体型認知症(DLB)
アルツハイマー病(AD)
嗜銀顆粒性認知症
BPSD(行動・心理症状)
おわりに
Ⅲ 老年脳神経外科学
[脳血管障害]
脳梗塞 西山康裕,木村和美
脳血管障害の疫学と高齢化社会
脳卒中の定義と脳梗塞の分類
心原性脳塞栓症
アテローム血栓性脳梗塞
ラクナ梗塞
ESUS
[脳血管障害]
くも膜下出血 大熊洋揮
はじめに
高齢者破裂脳動脈瘤の定義
高齢者破裂脳動脈瘤の特徴
予後とその危険因子
治療法
おわりに
[脳血管障害]
未破裂脳動脈瘤 森田明夫
はじめに
高齢者脳動脈瘤の特徴
高齢者未破裂脳動脈瘤の治療予後に関与する因子:フレイルの観念
高齢者未破裂脳動脈瘤治療の対応とpitfall
高齢者未破裂脳動脈瘤への対応:まとめ
[脳血管障害]
頚部頚動脈狭窄症 小笠原邦昭
はじめに
RCTからみた外科的血行再建術の年齢に関するエビデンス
外科的血行再建術における年齢と術後認知機能変化
おわりに
[脳腫瘍]
悪性神経膠腫 隈部俊宏
はじめに
手術療法
化学放射線療法
NCCNによる高齢者膠芽腫に対する推奨プロトコール
高齢者膠芽腫治療成績の変遷
おわりに
[脳腫瘍]
良性脳腫瘍:髄膜腫 井川房夫,栗栖 薫
はじめに
高齢者髄膜腫の自然歴
高齢者髄膜腫の年齢定義と術前評価
組織学的検討
死亡率,合併症
高齢者髄膜腫に対する定位的放射線手術と外科的タイミング
高齢者髄膜腫の手術適応
高齢者髄膜腫のフレイル研究の必要性
症例提示
具体的手術戦略
[ 脳腫瘍]
良性脳腫瘍:下垂体腺腫 藤尾信吾,有田和徳,木下康之
はじめに
高齢者下垂体腺腫とは
下垂体腺腫の分類
非機能性下垂体腺腫
機能性下垂体腺腫
おわりに
[脳腫瘍]
転移性脳腫瘍 高橋雅道,成田善孝
はじめに
転移性脳腫瘍の治療の目的,治療方法
結語
脊椎脊髄疾患 水野順一,尾原裕康
はじめに
脊椎と周辺構造物の加齢性変化
脊髄の加齢性変化
頚椎病変
脊柱変形に伴う病態
骨粗鬆症に伴う病態
Balloon
Instrumentation
最後に
末梢神経疾患 金 景成,森本大二郎,井須豊彦
はじめに
上肢の末梢神経疾患
腰殿部の末梢神経疾患
下肢の末梢神経疾患
おわりに
高齢者のてんかんと外科治療 山本貴道
高齢者てんかんの特徴
高齢者てんかんの治療とその特異性
まとめ
正常圧水頭症 石川正恒
はじめに
正常圧水頭症の分類
臨床的特徴
タップテストおよび持続髄液排除
評価法
診断の流れ
髄液シャント術
退院後の生活指導
結語
頭部外傷 末廣栄一,鈴木倫保
疫学
初期診療
高齢者頭部外傷の病態の特徴
治療方針
おわりに
慢性硬膜下血腫 竹内 誠,森 健太郎
はじめに
疫学・危険因子
症状
診断
治療
予後
おわりに
高齢者脳神経外科周術期管理 高安武志,井川房夫,栗栖 薫
はじめに
術前評価
周術期管理推奨項目
まとめ
Ⅳ その他
高齢者薬剤(漢方)治療 小林 亨
はじめに
便秘
食欲不振
誤嚥性肺炎予防
せん妄
慢性硬膜下血腫
認知症
副作用について
脳神経外科とフレイル 鳥居正剛,長谷川 浩,塩川芳昭
はじめに
脳神経外科領域での無症状および軽症例へのフレイルのとらえ方
脳神経外科領域での症候性症例へのフレイルのとらえ方
脳神経外科領域でのフレイルな症例の特徴と対応
コラム
日本脳神経外科認知症学会創設と今後 河本圭司,堀 智勝,吉井與志彦,欅 篤
高齢者脳塞栓症の血管内治療 山田清文,吉村紳一
高齢者のCAS 坂本繁幸
老年の分布と医療動態 石川ベンジャミン光一
わが国の人口の変化
脳血管疾患による死亡数と死亡率
脳血管疾患等による死亡の場所
術式別の手術件数と診療報酬請求額
将来の患者数の変化の見込み
地域による違い
脳老年医学:サルコペニアとフレイルについて 新井秀典
はじめに
フレイルとは
フレイルの診断法
サルコペニアの概念と診断法
フレイル・サルコペニアに対する予防・介入法
おわりに
老年医学の科学と未来 秋下雅弘
はじめに
高齢患者の特徴
高齢患者の特徴から考える医療問題
高齢者に求められる医療とは
老年医学の展望
おわりに
Ⅱ 認知症診療
[概説]
認知症医療の今後 秋山治彦
はじめに
認知症の急増と社会コスト
認知症予防と危険因子
認知症の原因疾患と病理
アルツハイマー病(AD)と脳血管病変
軽度認知障害(MCI)
アルツハイマー病(AD)の病態修飾薬開発
超高齢社会と認知症
おわりに
[概説]
日本認知症学会と専門医制度 冨本秀和
はじめに
日本認知症学会の歴史
認知症学会専門医制度の理念
認知症専門医はどこで役に立つか
日本認知症学会専門医を取得するにはどうしたらよいか?
日本認知症学会専門医の取得後
日本認知症学会専門医の将来展望
[認知症画像診断の最前線]
脳機能・形態画像における画像統計解析 水村 直
はじめに
画像統計解析の基礎
VSRADによるMRI画像の萎縮評価
PET,SPECTによる脳機能異常分布評価
統計画像結果のもたらすもの・・・この後の画像診断との架け橋
[認知症画像診断の最前線]
無症候性大脳白質病変 佐々木真理
はじめに
無症候性大脳白質病変の種類
無症候性大脳白質病変の発生機序と病理
無症候性大脳白質病変のMRI所見
無症候性大脳白質病変の臨床的意義
認知症の簡易鑑別方法 唐澤秀治,安間芳秀
はじめに
診断基準
認知症のタイプ別スクリーニングと最終診断のための評価表
おわりに
認知症の病型別特徴 丸山博文
はじめに
根本治療可能な疾患
神経感染症に伴うもの
自己免疫性疾患の大脳病変によるもの
血管性認知症
前頭側頭葉変性症(FTLD)
レビー小体型認知症(DLB)
アルツハイマー病(AD)
嗜銀顆粒性認知症
BPSD(行動・心理症状)
おわりに
Ⅲ 老年脳神経外科学
[脳血管障害]
脳梗塞 西山康裕,木村和美
脳血管障害の疫学と高齢化社会
脳卒中の定義と脳梗塞の分類
心原性脳塞栓症
アテローム血栓性脳梗塞
ラクナ梗塞
ESUS
[脳血管障害]
くも膜下出血 大熊洋揮
はじめに
高齢者破裂脳動脈瘤の定義
高齢者破裂脳動脈瘤の特徴
予後とその危険因子
治療法
おわりに
[脳血管障害]
未破裂脳動脈瘤 森田明夫
はじめに
高齢者脳動脈瘤の特徴
高齢者未破裂脳動脈瘤の治療予後に関与する因子:フレイルの観念
高齢者未破裂脳動脈瘤治療の対応とpitfall
高齢者未破裂脳動脈瘤への対応:まとめ
[脳血管障害]
頚部頚動脈狭窄症 小笠原邦昭
はじめに
RCTからみた外科的血行再建術の年齢に関するエビデンス
外科的血行再建術における年齢と術後認知機能変化
おわりに
[脳腫瘍]
悪性神経膠腫 隈部俊宏
はじめに
手術療法
化学放射線療法
NCCNによる高齢者膠芽腫に対する推奨プロトコール
高齢者膠芽腫治療成績の変遷
おわりに
[脳腫瘍]
良性脳腫瘍:髄膜腫 井川房夫,栗栖 薫
はじめに
高齢者髄膜腫の自然歴
高齢者髄膜腫の年齢定義と術前評価
組織学的検討
死亡率,合併症
高齢者髄膜腫に対する定位的放射線手術と外科的タイミング
高齢者髄膜腫の手術適応
高齢者髄膜腫のフレイル研究の必要性
症例提示
具体的手術戦略
[ 脳腫瘍]
良性脳腫瘍:下垂体腺腫 藤尾信吾,有田和徳,木下康之
はじめに
高齢者下垂体腺腫とは
下垂体腺腫の分類
非機能性下垂体腺腫
機能性下垂体腺腫
おわりに
[脳腫瘍]
転移性脳腫瘍 高橋雅道,成田善孝
はじめに
転移性脳腫瘍の治療の目的,治療方法
結語
脊椎脊髄疾患 水野順一,尾原裕康
はじめに
脊椎と周辺構造物の加齢性変化
脊髄の加齢性変化
頚椎病変
脊柱変形に伴う病態
骨粗鬆症に伴う病態
Balloon
Instrumentation
最後に
末梢神経疾患 金 景成,森本大二郎,井須豊彦
はじめに
上肢の末梢神経疾患
腰殿部の末梢神経疾患
下肢の末梢神経疾患
おわりに
高齢者のてんかんと外科治療 山本貴道
高齢者てんかんの特徴
高齢者てんかんの治療とその特異性
まとめ
正常圧水頭症 石川正恒
はじめに
正常圧水頭症の分類
臨床的特徴
タップテストおよび持続髄液排除
評価法
診断の流れ
髄液シャント術
退院後の生活指導
結語
頭部外傷 末廣栄一,鈴木倫保
疫学
初期診療
高齢者頭部外傷の病態の特徴
治療方針
おわりに
慢性硬膜下血腫 竹内 誠,森 健太郎
はじめに
疫学・危険因子
症状
診断
治療
予後
おわりに
高齢者脳神経外科周術期管理 高安武志,井川房夫,栗栖 薫
はじめに
術前評価
周術期管理推奨項目
まとめ
Ⅳ その他
高齢者薬剤(漢方)治療 小林 亨
はじめに
便秘
食欲不振
誤嚥性肺炎予防
せん妄
慢性硬膜下血腫
認知症
副作用について
脳神経外科とフレイル 鳥居正剛,長谷川 浩,塩川芳昭
はじめに
脳神経外科領域での無症状および軽症例へのフレイルのとらえ方
脳神経外科領域での症候性症例へのフレイルのとらえ方
脳神経外科領域でのフレイルな症例の特徴と対応
コラム
日本脳神経外科認知症学会創設と今後 河本圭司,堀 智勝,吉井與志彦,欅 篤
高齢者脳塞栓症の血管内治療 山田清文,吉村紳一
高齢者のCAS 坂本繁幸
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脳神経外科における高齢者診療のコツがつまった一冊!
日本は2007年に満65歳以上の人口の割合(高齢化率)が21%を超えた「超高齢社会」を迎えた。高齢化に伴い,脳神経外科を受診する患者も例外なく高齢化してきており,今後益々増えると考えられている。高齢者については老化に伴う基礎疾患が多く,そのことを踏まえた診療が求められる。本書では,診察・検査から手術,周術期管理,服薬管理など,脳神経外科診療におけるあらゆる場面で必要となると高齢者についての知識をまとめた,今後の脳神経外科診療に欠かせない一冊である。