長野県立こども病院方式
超低出生体重児の管理マニュアル
定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
- B5判 364ページ 2色(一部カラー),イラスト70点,写真70点
- 2019年3月28日刊行
- ISBN978-4-7583-1755-9
電子版
序文
長野県立こども病院が開院した翌年の1994年にメジカルビュー社より,仁志田博司先生が編集した東京女子医科大学母子総合医療センターでの10年間の超低出生体重児(当時は超未熟児とよばれていた)医療のノウハウをまとめた『超未熟児』が刊行され,超低出生体重児管理のバイブルとして日夜熟読したことを思い出します。
今回,その『超未熟児』,その後改訂されて『超低出生体重児 新しい管理指針』の後継本として本書の企画を頂いた時は,身に余る光栄であるとともに,期待に応えられる内容を刊行できるか不安でした。現在は,日本の超低出生体重児の予後は目覚ましく改善し,そして世界一と諸外国からも認められています。長野県立こども病院NICUでも,その時々の最新の知識と,我々が蓄積した経験,そして想像力を駆使して「超低出生体重児の管理」を進歩させてきました。そのなかには,「常在菌獲得を目指した母乳綿棒の口腔内塗布」「オリジナルマットによる体幹,四肢のポジショニング」など当院から全国に発信した管理法も少なくありません。当院の特徴は,医師だけでなく看護師,理学療法士が積極的に新しい治療・管理法の開発に関わってきたことかと思います。本書では,その当院の特徴を生かして,全項目に「看護師からの視点」を記載しました。また,フロー図・写真を多く使い,視覚から理解できるように心がけ,代表的な疾患については出生からの時間経過に沿った管理法について別途まとめました。従って,本書は超低出生体重児の診療に関わる,新人からベテランの医師のみならず看護師にもご利用頂けることと確信しています。最近,カナダで早産児の研究チームから共同研究の提案を頂きました。本書の内容が世界に発信され,「日本のみならず世界の未来を担うこども達とその家族のために」お役に立つことを願っています。
超低出生体重児の管理は,Non-invasive careからIntensive careへ, そしてDevelopmental careからFamily centered careへと,「命を救う医療」から「命を育てる」医療に進歩してきました。これからどんな医療になって行くのでしょうか。もし,可能でしたらNICUで育ったこども達の生の声を聞いてみたい。彼らが,どんな辛い思いをしていたのか? どんな時が楽しかったのか? どんなことがしたかったのか? いつかそんな話が聞ける日が来ることを願っています。
末筆ながら,1993年の開院以来,共に「幼いこども達のために」日夜献身的に尽くしてくれている医師,看護師,その他の医療従事者に感謝するとともに,本書を刊行するに当たり,適切なアドバイスと叱咤激励をいただいたメジカルビュー社の浅見直博氏,工藤亮子氏に深謝します。
平成31年(2019年)2月吉日
長野県立こども病院 病院長
中村 友彦
今回,その『超未熟児』,その後改訂されて『超低出生体重児 新しい管理指針』の後継本として本書の企画を頂いた時は,身に余る光栄であるとともに,期待に応えられる内容を刊行できるか不安でした。現在は,日本の超低出生体重児の予後は目覚ましく改善し,そして世界一と諸外国からも認められています。長野県立こども病院NICUでも,その時々の最新の知識と,我々が蓄積した経験,そして想像力を駆使して「超低出生体重児の管理」を進歩させてきました。そのなかには,「常在菌獲得を目指した母乳綿棒の口腔内塗布」「オリジナルマットによる体幹,四肢のポジショニング」など当院から全国に発信した管理法も少なくありません。当院の特徴は,医師だけでなく看護師,理学療法士が積極的に新しい治療・管理法の開発に関わってきたことかと思います。本書では,その当院の特徴を生かして,全項目に「看護師からの視点」を記載しました。また,フロー図・写真を多く使い,視覚から理解できるように心がけ,代表的な疾患については出生からの時間経過に沿った管理法について別途まとめました。従って,本書は超低出生体重児の診療に関わる,新人からベテランの医師のみならず看護師にもご利用頂けることと確信しています。最近,カナダで早産児の研究チームから共同研究の提案を頂きました。本書の内容が世界に発信され,「日本のみならず世界の未来を担うこども達とその家族のために」お役に立つことを願っています。
超低出生体重児の管理は,Non-invasive careからIntensive careへ, そしてDevelopmental careからFamily centered careへと,「命を救う医療」から「命を育てる」医療に進歩してきました。これからどんな医療になって行くのでしょうか。もし,可能でしたらNICUで育ったこども達の生の声を聞いてみたい。彼らが,どんな辛い思いをしていたのか? どんな時が楽しかったのか? どんなことがしたかったのか? いつかそんな話が聞ける日が来ることを願っています。
末筆ながら,1993年の開院以来,共に「幼いこども達のために」日夜献身的に尽くしてくれている医師,看護師,その他の医療従事者に感謝するとともに,本書を刊行するに当たり,適切なアドバイスと叱咤激励をいただいたメジカルビュー社の浅見直博氏,工藤亮子氏に深謝します。
平成31年(2019年)2月吉日
長野県立こども病院 病院長
中村 友彦
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目次
I 総論
1 超低出生体重児とは?
2 超低出生体重児診療に関する基本的な管理
3 超低出生体重児医療における倫理的対応
[コラム]273gの重み
II 出生前・出生時の管理
1 出生前管理
2 出生・入院
総論
蘇生
搬送
体温・湿度管理
III 超低出生体重児によくみられる疾患とその管理・看護
1 呼吸
総論
呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome;RDS)
無呼吸発作(apnea)
エアリーク(air leak)
慢性肺疾患(chronic lung disease;CLD)
肺低形成
2 循環
総論
未熟児動脈管開存症(patent ductus arteriosus;PDA)
新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn;PPHN)
心不全(heart failure)
晩期循環不全(late-onset circulatory collapse;LCC)
3 神経
総論
脳室内出血(intraventricular hemorrhage;IVH)
出血後水頭症
脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia;PVL)
新生児発作(neonatal seizure)
4 消化器
総論
壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis;NEC)
胎便関連性腸閉塞(meconium related ileus;MRI)
消化管穿孔
新生児乳児消化管アレルギー
鼠径ヘルニア(inguinal hernia)
臍ヘルニア(umbilical hernia)
胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)
5 栄養
総論
経静脈栄養
経腸栄養
6 内分泌代謝
総論
低血糖症(hypoglycemia)
甲状腺機能低下症(hypothyroidism)
未熟児くる病(reckets of prematurity)
高カリウム血症(hyper-kalemia)
7 血液
総論
母児間輸血症候群(feto-maternal transfusion syndrome;FMTS)
未熟児貧血(anemia of prematurity)
新生児溶血性疾患(hemolytic disease of the newborn;HDN)
ビタミンK欠乏症
播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)
8 黄疸(jaundice)
総論
黄疸(jaundice)
9 感染症
総論
サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)
新生児敗血症(neonatal sepsis)
RS ウイルス(respiratory syncytial virus;RSV)
10 未熟児網膜症(retinopathy of prematurity;ROP)
11 皮膚保護
総論
乳児血管腫(infantile hemangioma)
12 ポジショニング(positioning)
13 退院前検査
14 退院調整
IV 症例から考える管理
1 呼吸:呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome;RDS)
2-a 循環:未熟児動脈管開存症(patent ductus arteriousus;PDA)
2-b 循環:新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn;PPHN)
3 神経:脳室内出血および出血後水頭症
4-a 消化器:消化管穿孔
4-b 消化器:胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease;GERD)
5-a 内分泌代謝:高カリウム血症(hyper-kalemia)
5-b 内分泌代謝:甲状腺機能低下症(hypothyroidism)
6 血液
a. 在胎23 週の超低出生体重児の貧血管理
b. 在胎27 週の超低出生体重児の貧血管理
7 黄疸(jaundice)
8 感染症:遅発型新生児敗血症(neonatal sepsis late onset sepsis)(カテーテル血流感染)
9 皮膚保護
a. 在胎22 〜24週
b. 在胎25 〜27週
V フォローアップと予後
1 総論
2 長野県立こども病院のフォローアップ外来
3 フォローアップの実際
年齢別のフォローアップ健診
発育および発達のフォローアップ
神経発達症の評価と支援
1 超低出生体重児とは?
2 超低出生体重児診療に関する基本的な管理
3 超低出生体重児医療における倫理的対応
[コラム]273gの重み
II 出生前・出生時の管理
1 出生前管理
2 出生・入院
総論
蘇生
搬送
体温・湿度管理
III 超低出生体重児によくみられる疾患とその管理・看護
1 呼吸
総論
呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome;RDS)
無呼吸発作(apnea)
エアリーク(air leak)
慢性肺疾患(chronic lung disease;CLD)
肺低形成
2 循環
総論
未熟児動脈管開存症(patent ductus arteriosus;PDA)
新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn;PPHN)
心不全(heart failure)
晩期循環不全(late-onset circulatory collapse;LCC)
3 神経
総論
脳室内出血(intraventricular hemorrhage;IVH)
出血後水頭症
脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia;PVL)
新生児発作(neonatal seizure)
4 消化器
総論
壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis;NEC)
胎便関連性腸閉塞(meconium related ileus;MRI)
消化管穿孔
新生児乳児消化管アレルギー
鼠径ヘルニア(inguinal hernia)
臍ヘルニア(umbilical hernia)
胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)
5 栄養
総論
経静脈栄養
経腸栄養
6 内分泌代謝
総論
低血糖症(hypoglycemia)
甲状腺機能低下症(hypothyroidism)
未熟児くる病(reckets of prematurity)
高カリウム血症(hyper-kalemia)
7 血液
総論
母児間輸血症候群(feto-maternal transfusion syndrome;FMTS)
未熟児貧血(anemia of prematurity)
新生児溶血性疾患(hemolytic disease of the newborn;HDN)
ビタミンK欠乏症
播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)
8 黄疸(jaundice)
総論
黄疸(jaundice)
9 感染症
総論
サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)
新生児敗血症(neonatal sepsis)
RS ウイルス(respiratory syncytial virus;RSV)
10 未熟児網膜症(retinopathy of prematurity;ROP)
11 皮膚保護
総論
乳児血管腫(infantile hemangioma)
12 ポジショニング(positioning)
13 退院前検査
14 退院調整
IV 症例から考える管理
1 呼吸:呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome;RDS)
2-a 循環:未熟児動脈管開存症(patent ductus arteriousus;PDA)
2-b 循環:新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn;PPHN)
3 神経:脳室内出血および出血後水頭症
4-a 消化器:消化管穿孔
4-b 消化器:胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease;GERD)
5-a 内分泌代謝:高カリウム血症(hyper-kalemia)
5-b 内分泌代謝:甲状腺機能低下症(hypothyroidism)
6 血液
a. 在胎23 週の超低出生体重児の貧血管理
b. 在胎27 週の超低出生体重児の貧血管理
7 黄疸(jaundice)
8 感染症:遅発型新生児敗血症(neonatal sepsis late onset sepsis)(カテーテル血流感染)
9 皮膚保護
a. 在胎22 〜24週
b. 在胎25 〜27週
V フォローアップと予後
1 総論
2 長野県立こども病院のフォローアップ外来
3 フォローアップの実際
年齢別のフォローアップ健診
発育および発達のフォローアップ
神経発達症の評価と支援
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新生児に携わる医療者必携! 超低出生体重児の管理のすべてがわかる!
長野県立こども病院で行われている超低出生体重児の管理法を,漏れなく記載し,さらにそれをわかりやすく読者が理解できるように,Q&A,症例に基づくアルゴリズム・実際の管理法など多角的に解説された一冊。「看護の視点」も充実させ,チーム医療であるNICUの組織内の連携を補助できるものとなっている。