OS NEXUS 9
膝関節の再建法
最適な選択のために
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どなたでもご覧いただけます
定価 12,100円(税込) (本体11,000円+税)
- A4判 206ページ オールカラー,イラスト170点,写真60点
- 2017年2月3日刊行
- ISBN978-4-7583-1388-9
電子版
序文
超高齢社会を迎えるわが国の50歳以上の約2,500万人に放射線画像上の変形性膝関節症(膝OA)が認められ,約1,000万人が膝の痛みを感じて生活している。整形外科外来を訪れる4人に1人の主訴は「膝の痛み」である。膝OAの最終的再建法である人工膝関節置換術は,近年年間9万件と推測されている。従って膝OAの100人に1人が人工関節置換術を受けていることになる。
人工膝関節といっても,全置換術(TKA)だけでなく,近年は単顆置換術(UKA)やSegmental置換術など,罹患部位のみの置換を積極的に行う方法も増加しつつある。TKAも,対象となる変形の程度や膝可動域によって,後十字靱帯(PCL)を温存するCR型,PCLを切除してポストカムによって機能を代用するPS型,関節表面の安定性のみに依存するCS型などに分けられる。人工膝関節表面のポリエチレンの耐摩耗性は高く,関節面摩耗のみで人工関節の寿命が制限される時代ではない。しかしながら感染や転倒による骨折など,やり直し(Revision)をせざるをえない症例も増加している。このような症例に対しても適切な判断や技術によって,新たな機能的関節を再再建する必要がある。
術者1人1人が手技を正しく理解し,術前計画をしっかり行い,術中の靱帯バランスなどを適切に取りながら正確な骨切除を進めるという意味ではTKAも進歩してきている。一方成績という観点からは,人工膝関節の機能はこの20年間進歩していないようにも感じられる。正座はさせられないし,走ることも許されない。PS型では階段昇降は不安定である。近年Open wedge法システムの確立・普及により,一時減少していた骨切りによる膝OA治療が再び脚光を浴びている。関節温存への期待である。これらの骨切り手術では人工膝関節よりもさらに正確な術前計画と手技が要求される。下肢全体のアライメントを矯正する大腿骨,脛骨両方で行う骨切り術も行われるようになってきた。
膝OAに対する手術はここ10年,より多くの選択肢を得ている。正確な術前計画,手術手技を基に,患者の将来を見据えた,よりよい選択をすべき外科医の責任は増しているといえる。本書『OS NEXUS No.9 膝関節の再建法』はその遂行を支えるものである。
2017年1月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科運動器外科学教授
宗田 大
人工膝関節といっても,全置換術(TKA)だけでなく,近年は単顆置換術(UKA)やSegmental置換術など,罹患部位のみの置換を積極的に行う方法も増加しつつある。TKAも,対象となる変形の程度や膝可動域によって,後十字靱帯(PCL)を温存するCR型,PCLを切除してポストカムによって機能を代用するPS型,関節表面の安定性のみに依存するCS型などに分けられる。人工膝関節表面のポリエチレンの耐摩耗性は高く,関節面摩耗のみで人工関節の寿命が制限される時代ではない。しかしながら感染や転倒による骨折など,やり直し(Revision)をせざるをえない症例も増加している。このような症例に対しても適切な判断や技術によって,新たな機能的関節を再再建する必要がある。
術者1人1人が手技を正しく理解し,術前計画をしっかり行い,術中の靱帯バランスなどを適切に取りながら正確な骨切除を進めるという意味ではTKAも進歩してきている。一方成績という観点からは,人工膝関節の機能はこの20年間進歩していないようにも感じられる。正座はさせられないし,走ることも許されない。PS型では階段昇降は不安定である。近年Open wedge法システムの確立・普及により,一時減少していた骨切りによる膝OA治療が再び脚光を浴びている。関節温存への期待である。これらの骨切り手術では人工膝関節よりもさらに正確な術前計画と手技が要求される。下肢全体のアライメントを矯正する大腿骨,脛骨両方で行う骨切り術も行われるようになってきた。
膝OAに対する手術はここ10年,より多くの選択肢を得ている。正確な術前計画,手術手技を基に,患者の将来を見据えた,よりよい選択をすべき外科医の責任は増しているといえる。本書『OS NEXUS No.9 膝関節の再建法』はその遂行を支えるものである。
2017年1月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科運動器外科学教授
宗田 大
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目次
Ⅰ TKA
TKAの術前計画 二次元計画と三次元計画 佐藤 卓
CR型,PS型の選択法と術式の選択 中村伸一郎ほか
CR型,PS型の選択法とPS手術の進め方 眞島任史ほか
靱帯バランステンサーを駆使したTKA手術
テンサーの使い方とmedial preserving gap technique 村津裕嗣ほか
外側型OAに対するTKA 中村卓司
PCL切除型TKAにおけるテクニック 格谷義徳
拘束性の高いTKAの実際 三浦裕正
Revision TKA 星野明穂
感染例に対するRevision TKA 実際の各種方法について 松本知之ほか
Ⅱ UKA
UKA(TeSP法) 秋月 章ほか
人工膝単顆置換術 spacer block technique 王寺享弘
組み合わせ式二顆置換術(modular unlinked bi-compartmental knee arthroplasty;BiKA) 大越康充
Ⅲ 骨切り術
Medial open wedge high tibial osteotomy 竹内良平
Closed wedge HTO 齋藤知行ほか
骨切り組み合わせ(大腿骨・脛骨の骨切り術) 中山 寛ほか
TKAの術前計画 二次元計画と三次元計画 佐藤 卓
CR型,PS型の選択法と術式の選択 中村伸一郎ほか
CR型,PS型の選択法とPS手術の進め方 眞島任史ほか
靱帯バランステンサーを駆使したTKA手術
テンサーの使い方とmedial preserving gap technique 村津裕嗣ほか
外側型OAに対するTKA 中村卓司
PCL切除型TKAにおけるテクニック 格谷義徳
拘束性の高いTKAの実際 三浦裕正
Revision TKA 星野明穂
感染例に対するRevision TKA 実際の各種方法について 松本知之ほか
Ⅱ UKA
UKA(TeSP法) 秋月 章ほか
人工膝単顆置換術 spacer block technique 王寺享弘
組み合わせ式二顆置換術(modular unlinked bi-compartmental knee arthroplasty;BiKA) 大越康充
Ⅲ 骨切り術
Medial open wedge high tibial osteotomy 竹内良平
Closed wedge HTO 齋藤知行ほか
骨切り組み合わせ(大腿骨・脛骨の骨切り術) 中山 寛ほか
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綿密な術前計画と正確な手術で,もっと治療成績を上げよう!
No.9では,膝関節の再建法として代表的なTKA,UKA,骨切り術を取り上げている。
すべての手術に共通して,目標とするアライメント,適切なサイズ選択と適切なジョイントラインを達成するために,綿密な術前計画が欠かせない。本書では二次元・三次元計画それぞれについて解説している。また,TKAの2つの機種「CR型」と「PS型」の選択とその手術の進め方について,二人の著者にそれぞれが何を基準に機種選択をしているのか,手技のうえで何を重視しているかについて紹介している。また,TKAは現在,年間8万件を超えており,それに伴い増加しているrivisionにも対応している。
また,近年増加しているUKAや,UKAとPFAを組み合わせたBiKAなど最新の手技のコツとピットフォールを丁寧に紹介している。さらに人工関節だけではなく,骨切り術についても,その適応や術式のコツについてわかりやすく解説している。
本シリーズは,まずは『Fast Check』で手術の要点をおさえ,『NEXUS View』でベテラン医師からの手術のコツや注意点がひと目でわかる構成になっている。
■付録電子版に関しまして
付録電子版に使われている「メジカルビュー社eBook Library」アプリでございますが,すべてのOS向けの本アプリの開発を終了しておりますため,インストール可能な場合でも,各OSのバージョンアップによる不具合には対応できませんことをご了解いただければ幸甚です。何卒ご了承のほど,お願い申し上げます。(2024年7月)
・対応OS
iOS:iOS 12〜17.5
Android:Android OS 4.0〜11(Android 14以降にはインストールできません)
Windows:Windows 10〜11(23H2)