OS NEXUS 1
膝・下腿の骨折・外傷の手術
- サンプルページ
どなたでもご覧いただけます
定価 12,100円(税込) (本体11,000円+税)
- A4判 172ページ オールカラー,イラスト190点,写真140点
- 2015年2月2日刊行
- ISBN978-4-7583-1380-3
電子版
序文
OSシリーズは,OS NOWとしてメジカルビュー社から1991年に刊行された。これまでにない美しい多くの手書きのイラストを主体として,手術を進めるうえで真に役立つ手術書として多くの若い整形外科医の目をとらえた。OS NOWは新OS NOW,OS NOW Instructionとシリーズを重ねて,6〜7年ごとに新たな知識や技術の息吹を加え,好評を博してきた。
OSシリーズは本年よりOS NEXUSシリーズとして,若い整形外科医に新たな挑戦をする。
OS NEXUSではこれまでの「イラストでわかりやすく解説する手術書」を踏まえ,若手医師が必要とする症例数の多い疾患に対して,複数の手技を提示しながらより幅広く実践的に対応することを目標に掲げた。同時に術前に予習し,手術室に持ち込めるような書籍とするため,時代のニーズにも合わせ,電子書籍版でも展開することとした。
欧米を訪れると,多くの医師がパーソナルコンピューターとしてMacを愛用し,1人1人がタブレットを片手に読書,論文作成,プレゼンの準備を,いろいろなシチュエーションで実施しているのを目にする。近年ようやく街でもそのような光景が少しずつ目立つ。日本の手術室でもタブレット端末が,記録や研究に使われるようになってきた。OS NEXUSシリーズでは初めて電子版が併売される。本OS NEXUSシリーズによってOSシリーズはまさしく整形外科医の友,手術室での座右の書となる。タブレットは消毒された透明な袋に入れられ,若い整形外科医は本邦を代表する外科医からステップバイステップで手術の教えを受けることができる。
新しいOS NEXUSシリーズ創刊第一巻として「膝・下腿の骨折・外傷の手術」をお送りする。骨折や複雑な軟部組織を含む外傷は若い整形外科医が立ち向かわなければならない最初の関門である。そしてその治療はどれ1つとして同じではなく,経験を重ねても常に難しい挑戦でもある。時代の変遷により,固定機器はより使いやすくなり,固定法が変わり,より小侵襲の治療が実践されるようなった。創傷治療の概念も変わってきている。
しかし本邦では外傷センターが充実しておらず,系統的な治療の研修や教育,研究システムが整っているといえない。時代の流れに後れを取っている経験に基づく治療が行われている側面もある。
本巻では現場で活躍されている一線の外傷外科医に,中でも得意とする分野を担当していただいた。手術法には多くのオプションがありうるが,代表的な手術法について懇切丁寧にイラストを用いて解説していただくとともに,別の方法についても言及していただいた。部位によって別の治療法の選択や術後のケアが必要になる。骨折に対しては膝,膝蓋骨,顆間隆起,下腿を3部位に分けて手術の詳細を解説していただいた。
複雑な骨折には合併症がつきものである。患者は合併症のために長く機能障害から復帰できないことも少なくない。早期に合併症に対し正しく対処することが,骨折の整復固定法よりも大切な場合もある。本書ではコンパート症候群や創傷処置について具体的に解説し,若い整形外科医が身に着けておくべき皮膚移植法や,血管吻合を用いない有茎組織移植法を解説している。さらに外傷治療の現場で理解しておくべきDCO(damage control orthopedics)の概念と方法について紹介した。
三次元CT画像とその再構築が容易になった昨今,骨折の詳細や術後の整復性の実態が一目瞭然にわかる。これは整形外科医,外傷外科医にとって両刃の刃であり,より厳しい時代となった。しかし長期的な機能に対する配慮や患者のトータルケアは初療期から同時に考慮されなければならず,救命や3D-CTでの整復性のみで満足できるものではない。
本書が新しいシリーズとして若い整形外科医のより身近な解説書として,多くの患者の治療に役立つことを願ってやまない。
2015年1月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科運動器外科学教授
宗田 大
OSシリーズは本年よりOS NEXUSシリーズとして,若い整形外科医に新たな挑戦をする。
OS NEXUSではこれまでの「イラストでわかりやすく解説する手術書」を踏まえ,若手医師が必要とする症例数の多い疾患に対して,複数の手技を提示しながらより幅広く実践的に対応することを目標に掲げた。同時に術前に予習し,手術室に持ち込めるような書籍とするため,時代のニーズにも合わせ,電子書籍版でも展開することとした。
欧米を訪れると,多くの医師がパーソナルコンピューターとしてMacを愛用し,1人1人がタブレットを片手に読書,論文作成,プレゼンの準備を,いろいろなシチュエーションで実施しているのを目にする。近年ようやく街でもそのような光景が少しずつ目立つ。日本の手術室でもタブレット端末が,記録や研究に使われるようになってきた。OS NEXUSシリーズでは初めて電子版が併売される。本OS NEXUSシリーズによってOSシリーズはまさしく整形外科医の友,手術室での座右の書となる。タブレットは消毒された透明な袋に入れられ,若い整形外科医は本邦を代表する外科医からステップバイステップで手術の教えを受けることができる。
新しいOS NEXUSシリーズ創刊第一巻として「膝・下腿の骨折・外傷の手術」をお送りする。骨折や複雑な軟部組織を含む外傷は若い整形外科医が立ち向かわなければならない最初の関門である。そしてその治療はどれ1つとして同じではなく,経験を重ねても常に難しい挑戦でもある。時代の変遷により,固定機器はより使いやすくなり,固定法が変わり,より小侵襲の治療が実践されるようなった。創傷治療の概念も変わってきている。
しかし本邦では外傷センターが充実しておらず,系統的な治療の研修や教育,研究システムが整っているといえない。時代の流れに後れを取っている経験に基づく治療が行われている側面もある。
本巻では現場で活躍されている一線の外傷外科医に,中でも得意とする分野を担当していただいた。手術法には多くのオプションがありうるが,代表的な手術法について懇切丁寧にイラストを用いて解説していただくとともに,別の方法についても言及していただいた。部位によって別の治療法の選択や術後のケアが必要になる。骨折に対しては膝,膝蓋骨,顆間隆起,下腿を3部位に分けて手術の詳細を解説していただいた。
複雑な骨折には合併症がつきものである。患者は合併症のために長く機能障害から復帰できないことも少なくない。早期に合併症に対し正しく対処することが,骨折の整復固定法よりも大切な場合もある。本書ではコンパート症候群や創傷処置について具体的に解説し,若い整形外科医が身に着けておくべき皮膚移植法や,血管吻合を用いない有茎組織移植法を解説している。さらに外傷治療の現場で理解しておくべきDCO(damage control orthopedics)の概念と方法について紹介した。
三次元CT画像とその再構築が容易になった昨今,骨折の詳細や術後の整復性の実態が一目瞭然にわかる。これは整形外科医,外傷外科医にとって両刃の刃であり,より厳しい時代となった。しかし長期的な機能に対する配慮や患者のトータルケアは初療期から同時に考慮されなければならず,救命や3D-CTでの整復性のみで満足できるものではない。
本書が新しいシリーズとして若い整形外科医のより身近な解説書として,多くの患者の治療に役立つことを願ってやまない。
2015年1月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科運動器外科学教授
宗田 大
全文表示する
閉じる
目次
Ⅰ.骨折の手術療法
大腿骨遠位部骨折 峰原宏昌 ほか
膝蓋骨骨折 長野博志
脛骨顆間隆起骨折 古賀英之 ほか
脛骨近位部骨折 松井健太郎 ほか
脛骨近位端・骨幹部・遠位端骨折 最上敦彦
脛骨遠位部骨折 小川健一
Ⅱ.骨折・外傷に伴う軟部組織損傷に対する手技
下腿のコンパートメント症候群に対する筋膜切開術 新藤正輝
局所陰圧閉鎖療法(NPWT)を用いた膝・下腿の外傷治療 鈴木 卓
膝・下腿の外傷における皮膚移植術(分層・全層植皮術) 辻 英樹
膝・下腿の外傷における有茎組織移植術 王 耀東
Ⅲ.骨折・外傷治療で困ったときに
膝・下腿の骨折・外傷におけるDCO(damage control orthopedics) 黒住健人
膝・下腿の骨折・外傷に頻用する創外固定 福島達也ほか
膝・下腿の骨折・外傷で起こる骨欠損に対する手術(骨移植,Masquelet法) 野田知之
膝・下腿の骨折・外傷におけるLIPUSの実際 松村福広
下腿骨折後遷延癒合・偽関節に対する手術 渡部欣忍
大腿骨遠位部骨折 峰原宏昌 ほか
膝蓋骨骨折 長野博志
脛骨顆間隆起骨折 古賀英之 ほか
脛骨近位部骨折 松井健太郎 ほか
脛骨近位端・骨幹部・遠位端骨折 最上敦彦
脛骨遠位部骨折 小川健一
Ⅱ.骨折・外傷に伴う軟部組織損傷に対する手技
下腿のコンパートメント症候群に対する筋膜切開術 新藤正輝
局所陰圧閉鎖療法(NPWT)を用いた膝・下腿の外傷治療 鈴木 卓
膝・下腿の外傷における皮膚移植術(分層・全層植皮術) 辻 英樹
膝・下腿の外傷における有茎組織移植術 王 耀東
Ⅲ.骨折・外傷治療で困ったときに
膝・下腿の骨折・外傷におけるDCO(damage control orthopedics) 黒住健人
膝・下腿の骨折・外傷に頻用する創外固定 福島達也ほか
膝・下腿の骨折・外傷で起こる骨欠損に対する手術(骨移植,Masquelet法) 野田知之
膝・下腿の骨折・外傷におけるLIPUSの実際 松村福広
下腿骨折後遷延癒合・偽関節に対する手術 渡部欣忍
全文表示する
閉じる
次世代へと繋げる新しいOSをここから。No.1では膝・下腿の骨折・外傷を総力特集
OS新シリーズの創刊号である本号では膝・下腿の骨折・外傷に対する手術手技を特集する。
骨折や外傷は症例数が多く,若手医師が担当することも多い。下肢はスポーツなどで老若を問わず受傷するため,担当医には正確な知識と技術が望まれる。
本書では専門医取得前後の若い整形外科医が治療の現場で実際に遭遇することの多い骨折・外傷を取り上げ,現時点でのスタンダードな手術手技をそのポイントごとに精緻なイラストと詳細な記述で解説している。また,治療に難渋するケースも多い軟部組織の損傷を伴う症例には,皮膚移植やDCOなど困ったときの対応法も示している。
■付録電子版に関しまして
付録電子版に使われている「メジカルビュー社eBook Library」アプリでございますが,すべてのOS向けの本アプリの開発を終了しておりますため,インストール可能な場合でも,各OSのバージョンアップによる不具合には対応できませんことをご了解いただければ幸甚です。何卒ご了承のほど,お願い申し上げます。(2024年7月)
・対応OS
iOS:iOS 12〜17.5
Android:Android OS 4.0〜11(Android 14以降にはインストールできません)
Windows:Windows 10〜11(23H2)