ゼロからマスター
肩の鏡視下手術
改訂第2版
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どなたでもご覧いただけます
定価 17,600円(税込) (本体16,000円+税)
- B5変型判 368ページ オールカラー,イラスト300点,写真700点
- 2018年3月19日刊行
- ISBN978-4-7583-1379-7
在庫僅少です。
電子版
序文
序文
2007年3月に『ゼロからマスター 肩の鏡視下手術 第1版』が発刊されてから11年が過ぎました。この間,肩の鏡視下手術の発展はめざましく,スーチャーアンカーもアイデアに富んだ新しいものがたくさん市販され,それに伴い術式も大幅に変わりました。
最大の変化は,鏡視下腱板修復術にブリッジングスーチャー法が導入されたことです。海外では使用可能であったブリッジング用のアンカーが,2010年にようやく本邦で認可されました。2010年9月にMitekのバーサロックが最初に市販され,その後Smith & NephewのフットプリントPKやArthrexのスウィヴロックなどが出て,さらに素材や機能に工夫をこらした多くのブリッジング用のアンカーが各社から提供されています。ブリッジングスーチャーは縫合操作の手間がなく,腱板をfootprintに引き寄せ,断裂した腱板をfootprintに複数の糸で押さえ付けることができます。単層固定法や重層固定法をしのぐ良い方法だと確信して飛び付きました。ブリッジング用のアンカーが導入されてから,腱板修復術のほぼすべての症例でブリッジングスーチャー法を施行しています。本書を改訂して,なんとしてでもブリッジングスーチャー法を入れなければならないと心に誓っていました。腱板修復6項目のすべてでブリッジングスーチャー法を載せました。
ブリッジング用のアンカーに関しては,最初はバーサロック,次いでスウィヴロック,次いでヒーリックスアドバンスノットレスBR(Mitek),そして2016年6月よりZimmer Biometのポップロック4.5mmを使用しています。ポップロックの利点としては,腱板にかけた糸がアンカー内で強固に固定されること,2つのウイングが開くことでアンカーが引き抜ける危険性が少ないこと,パイロットホールが斜めになってしまってもアンカーの先端が丸いのでアンカーを入れる方向を気にすることなくアンカーをパイロットホール内に確実に挿入できること,などが挙げられます。ポップロックの欠点はレバーを握り込んだとき,パチンと音がしないことがときどきあることです。この場合,アンカーからインサーターが抜けません。その対処法を詳述しましたので(p.127〜128),それを読んで安心して使って頂きたいと思います。
Biometのジャガーノット1.4mmが2011年6月に市販されました。初めてみたときすべて糸でできているこのソフトアンカーの発想力の素晴らしさに感嘆し,鏡視下Bankart修復術にはジャガーノット1.4mmを用いるようになりました。そして2012年ごろからワーキングポータルは前方に1つで十分であることがわかり,それ以降,ワーキングポータルは前方1つにしました。前上方ワーキングポータルを作る手間が省け,特に若い女性では手術創痕が減るので良いことずくめです。
鏡視下Bankart修復術に対しても,ブリッジング法に準じたアンカーであるプッシュロック2.9mmがArthrexから2014年10月に市販されました。縫合操作が必要なく関節包・関節唇を頭側にしっかりと引き上げ,関節窩縁に強固に固定するこができます。市販直後から鏡視下Bankart修復術にはほぼ全例でプッシュロック2.9mmを用いています。この方法を詳述しました。
スーチャーパンチは第1版では針長7mmのオープンタイプを用いた術式を載せましたが,その後,針長7mmのクローズドタイプのほうが操作性に優れ使いやすいことを痛感し,オープンタイプはまったく用いなくなりました。
スーチャーリレーでは第1版ではPDS糸を用いたシングルノットスーチャーリレーを全面的に載せましたが,その後2-0プロリン糸を用いたループリレーがメインになりました。ループリレーのほうがスマートな感じで,慣れれば糸の絡まりもほとんど生じません。鏡視下にループに糸を通すインサイドスーチャーリレー,そしてループと糸を同時に引き出し,ポータル外で糸をループに入れるアウトサイドスーチャーリレーを腱板大断裂の項と鏡視下Bankart修復術の項で詳述しました。シングルノットスーチャーリレーも捨てたものではなくSLAPlesion type 2に対する上方関節唇修復術など3項目で載せました。
私は腱板修復の糸かけにはほとんどの場合,針長7mmのクローズドタイプのスーチャーパンチを使用していますが,スーチャーパッサーを使う先生も多いと思い,現在市販されているスーチャーパッサーのなかで最も信頼性が高いと思われるSmith & Nephewのファーストパスを用いた術式を腱板小・中断裂の項で載せました。単回使用なのでコストがかかりますが,針が太く破損の心配がほとんどないこと,確実に腱板に糸が通ることが魅力です。
第2版ではほぼ全項目の内容を改訂しました。さらに新しく石灰沈着性腱板炎に対する術式と上腕二頭筋長頭腱固定術の2項目を追加しました。また腱板広範囲断裂に対しては第1版ではパッチ移植術の術式を載せましたが,第2版では三幡輝久先生が開発し,世界でもスタンダードな手術法として広く行われている上方関節包再建術の術式を載せました。
2016年5月の日整会期間中にメジカルビュー社の方とお会いし,『ゼロからマスター 肩の鏡視下手術』の全面改訂版を是非とも出したいとお願いしました。2016年7月にメジカルビュー社内で企画会議が設けられ,改訂版を出すことが了承されたと聞いたときには嬉しくてガッツポーズが出ました。早速8月から執筆をはじめましたが,他の仕事もたくさん抱えており,なかなかはかどりませんでした。2017年1月に担当の矢部涼子さんから綺麗なレイアウトの見本刷りを見せて頂いたことにより気合いが入り,2月から本腰を入れて執筆し,2017年10月に最後の原稿を仕上げました。今回も第1版と同様に最強イラストレーターの佐藤道範さんに素晴らしいイラストをたくさん描いて頂きました。矢部涼子さんと佐藤道範さん,そしてメジカルビュー社の方々に深く感謝いたします。
本書が皆様のお役に少しでも立てれば,この上ない喜びです。
平成30年1月
中川照彦
----------------------------------
初版 序文
肩鏡視下手術はとても魅惑的な手術です。そのスキルを手に入れ,スムーズにできるようになるともう後戻りはできません。手技が難しいのも事実でスリリングな場面に何度も遭遇してきました。心底辛い手術になることもあります。そのようなときは「退くも医の道」(恩師である故河野左宙先生の座右の銘)です。何が何でも突き進むというようなことがないように気をつけたいものです。
スキルが一段上がると今まで苦労していた操作が比較的楽にできるようになります。本書では「ゼロからマスター 肩の鏡視下手術」の表題通り,基本操作から比較的やさしい応用操作まで,また,もの足りない先生のためにちょっと難しいものまで載せました。これらの手技は,多くの先生方の学会や研究会でのプレゼンテーション,講演,討論の場,懇親会,手術見学,文献や著書,手術ビデオなどから学び実践してきた中で,この手技は使える,これはいまいち使えないなどと自分なりに取捨選択したものです。ですから本書に載せた手技がベター・ベストだとは考えていません。各人に合ったもっとよい手技があるのは当然だと思います。
手術で最も大事なことは安全,安心です。危険な香りが漂うような手術器具は避けることが肝要です。しかしどのような手術でも100%安全,安心というものはないのも事実です。医療は不確実であり,手術はその典型です。 鏡視下手術器具,アンカー,縫合糸などは日進月歩です。本書を出したとたんに,私の手技が変わってしまうかもしれません。もし明日,信頼できる優れた器具や器械に出会ったり,これは絶対使えるというような手技を教えてもらったら,あさってから私の手術が変わることになります。手技に関しては過去に固執する必要は全くないのです。
ここで私と肩の関わりについて語ります。卒後5年目の昭和59年に福田宏明先生が会長の第11回肩関節研究会にて初めて発表しました。演題名は「随意性肩関節後方脱臼症例の検討」でしたが,質疑応答で諸先生方からせめられました。特に三笠元彦先生からは,それは習慣性後方脱臼と呼ぶのが正しいといわれ,壇上でたじろぎました。そのあとフロアーで三笠先生や故伊藤信之先生から色々教えていただき,非常に嬉しく,いい会だなあと感じ入り,ここで身を立てたいと思いました。その後,名称は日本肩関節学会となりましたが,平成18年まで連続23回の発表を続けています。この間,多くの先生方のお世話になりました。肩の世界では医局の垣根は全くなく通じ合うことができます。信原克哉先生の肩の本は私のバイブルで,熟読しました。1週間,信原病院で研修を受け,手術はもちろんのこと外来診療での患者さんとの触れ合いなど多くのものを学びました。「関東肩を語る会」という,ちょっとありえない研究会が平成5年にできました。山本龍二先生が代表幹事で幹事は三笠先生,小川清久先生,高岸憲二先生,筒井廣明先生,玉井和哉先生と,私が末席に入れていただき始まりました。現在は幹事に菅谷啓之先生,浜田純一郎先生,渡辺安里先生,池上博泰先生が加わりさらにパワーアップしました。原則全員泊まり込みで夜中までディスカッションが続くという嵐のような勉強会です。
関節鏡は昭和56年(卒後3年目)に医局のローテーションで川口工業総合病院に勤務し,林 承弘先生のもとで膝関節鏡を学びました。しばらく関節鏡とは離れていたのですが,昭和63年に大学に戻り,私と同期の宗田 大先生(今や膝業界では世界のMunetaとして活躍しています)といっしょに肩の関節鏡を初めて行いました。その後,筒井先生の肩関節鏡を見学に行きました。平成4年に米田 稔先生のCaspari法を見学に行きましたが,鏡視下で縫合するという操作は私にとっては異次元の世界でした。大学であこがれのCaspari法を始めました。
平成8年に同愛記念病院に異動しました。部長の土屋正光先生が日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)のチームドクターをしており,野球選手の受診が多く,投球障害肩を診る機会が増えました。その年の秋に第2回アジア肩関節学会がオーストラリアのパースで開催されました。器械展示室のLinvatecのブースに行ったとき,ラッキーなことにStephen J Snyder先生がいらして,30分ぐらいマンツーマンで肩の模型にて手術手技を教わりました。ミニレボアンカーを用いたSLAP lesionに対する上方関節唇修復術やBankart修復術などです。本書に「レボノット簡便法」と記した縫合法は,このときSnyder先生から直接教えていただいたものです。それまで私はアンカーを使用した経験がなく,ステップアップのきっかけとなりました。翌年に野球選手のSLAP lesionに対し,ミニレボを用いた上方関節唇修復術を行いました。
平成12年に肩関節鏡手術研究会が三笠先生の音頭取りでできました。とにかく手術手技を極めることに徹底的にこだわった会です。ここでは本当に多くのことを学びました。武田浩志先生からは「腱板修復術では全ての操作を70°斜視鏡下で行っている」と聞き,さっそく実行してみました。70°斜視鏡に慣れてくると,別世界のように腱板全体がよく見えるようになり,今ではASDが終わるやいなや30°斜視鏡から70°斜視鏡に変えています。鏡視下Bankart修復術では瀧内敏朗先生がスライド1枚に大きくスーチャーフックを出し「私はこれ1本で手術をしています」と聞いたときも衝撃的でした。それまではもっぱらスーチャーパンチを使っていましたが,今ではすっかりスーチャーフック派になりました。三笠先生から「スーチャーグラスパーの刃は腱板に垂直に当てないとだめなんだよ」と聞いたことも参考になりました。スーチャーフックも関節唇に垂直に刃を当てればよいのではないかと考え,実行してみるとずばっと決まりました。菅谷先生からは肩甲下筋腱断裂の際,上腕二頭筋長頭腱の脱臼がある例では糸でこれを後方に引いておくとよいと教わり,実行しています。ちなみに菅谷先生の手術も見学に行きました。シングルノットスーチャーリレーをはじめて知ったのは三笠先生の「韓国のLee先生はPDS糸を直接アンカー糸に結んでいる。シャトルリレーなんていらない」というお言葉でした。それまで私はSnyder先生から教わった通りシャトルリレーを使用していましたが,シングルノットスーチャーリレーに一気に変わりました。
日本関節鏡学会の研修会である関節鏡セミナーに講師としてお呼びがかかったことも,私自身のステップアップにつながりました。受講料を出して参加する先生方に少しでも役に立つ手技を伝えたいという熱い思いがありました。そのためにはわかりやすくきれいな動画を作らなければならず,手術にもさらに気合いが入り,本書を執筆するきっかけにもなりました。会長の黒澤 尚先生,井上和彦先生,松末吉隆先生にはこの場を借りて御礼申し上げます。日本関節鏡学会でのKen Yamaguchi先生の講演も大変勉強になりました。後方鏡視のポータルの位置をBankart修復術では内側寄りに,腱板修復術では外側寄りにすると聞いてなるほどと思い,早速取り入れました。
本書の出版社であるメジカルビュー社に感謝します。以前よりメジカルビュー社のイラストは綺麗すぎと感心していました。写真やイラストを多く使用した肩の鏡視下手術の入門書を執筆してほしいというオファーがあったのは,平成17年6月でした。すぐに快諾しましたが,いざ書きだしてみると大変でした。関節鏡の写真と外の写真を同一症例で載せようと思い,何例も積み重ねようやくできあがりました。イラストの下絵は各ステップの操作や関節の中と外の関係がどのようになっているかがわかるように描きました。編集者は予想外の大量な写真とイラストの下絵に頭を抱えてしまいました。入門書なのでもっとコンパクトなものを考えていたようです。しかし,1点の削除もなく全てOKしてくれました。Bankart修復術,SLAP lesion,腱板小・中断裂に対する手術を3本柱とし,この3つの章では繰り返す操作もできるだけ省略せず,手術の終了まで詳述するように努めました。また可能な限りその章だけ読めばわかるように構成しました。担当の藤原琢也さん,松原かおるさん,イラストレーターの佐藤道範さん,本当にありがとうございました。
本書が皆様のお役に少しでも立てれば,この上ない喜びです。
平成19年1月
中川照彦
2007年3月に『ゼロからマスター 肩の鏡視下手術 第1版』が発刊されてから11年が過ぎました。この間,肩の鏡視下手術の発展はめざましく,スーチャーアンカーもアイデアに富んだ新しいものがたくさん市販され,それに伴い術式も大幅に変わりました。
最大の変化は,鏡視下腱板修復術にブリッジングスーチャー法が導入されたことです。海外では使用可能であったブリッジング用のアンカーが,2010年にようやく本邦で認可されました。2010年9月にMitekのバーサロックが最初に市販され,その後Smith & NephewのフットプリントPKやArthrexのスウィヴロックなどが出て,さらに素材や機能に工夫をこらした多くのブリッジング用のアンカーが各社から提供されています。ブリッジングスーチャーは縫合操作の手間がなく,腱板をfootprintに引き寄せ,断裂した腱板をfootprintに複数の糸で押さえ付けることができます。単層固定法や重層固定法をしのぐ良い方法だと確信して飛び付きました。ブリッジング用のアンカーが導入されてから,腱板修復術のほぼすべての症例でブリッジングスーチャー法を施行しています。本書を改訂して,なんとしてでもブリッジングスーチャー法を入れなければならないと心に誓っていました。腱板修復6項目のすべてでブリッジングスーチャー法を載せました。
ブリッジング用のアンカーに関しては,最初はバーサロック,次いでスウィヴロック,次いでヒーリックスアドバンスノットレスBR(Mitek),そして2016年6月よりZimmer Biometのポップロック4.5mmを使用しています。ポップロックの利点としては,腱板にかけた糸がアンカー内で強固に固定されること,2つのウイングが開くことでアンカーが引き抜ける危険性が少ないこと,パイロットホールが斜めになってしまってもアンカーの先端が丸いのでアンカーを入れる方向を気にすることなくアンカーをパイロットホール内に確実に挿入できること,などが挙げられます。ポップロックの欠点はレバーを握り込んだとき,パチンと音がしないことがときどきあることです。この場合,アンカーからインサーターが抜けません。その対処法を詳述しましたので(p.127〜128),それを読んで安心して使って頂きたいと思います。
Biometのジャガーノット1.4mmが2011年6月に市販されました。初めてみたときすべて糸でできているこのソフトアンカーの発想力の素晴らしさに感嘆し,鏡視下Bankart修復術にはジャガーノット1.4mmを用いるようになりました。そして2012年ごろからワーキングポータルは前方に1つで十分であることがわかり,それ以降,ワーキングポータルは前方1つにしました。前上方ワーキングポータルを作る手間が省け,特に若い女性では手術創痕が減るので良いことずくめです。
鏡視下Bankart修復術に対しても,ブリッジング法に準じたアンカーであるプッシュロック2.9mmがArthrexから2014年10月に市販されました。縫合操作が必要なく関節包・関節唇を頭側にしっかりと引き上げ,関節窩縁に強固に固定するこができます。市販直後から鏡視下Bankart修復術にはほぼ全例でプッシュロック2.9mmを用いています。この方法を詳述しました。
スーチャーパンチは第1版では針長7mmのオープンタイプを用いた術式を載せましたが,その後,針長7mmのクローズドタイプのほうが操作性に優れ使いやすいことを痛感し,オープンタイプはまったく用いなくなりました。
スーチャーリレーでは第1版ではPDS糸を用いたシングルノットスーチャーリレーを全面的に載せましたが,その後2-0プロリン糸を用いたループリレーがメインになりました。ループリレーのほうがスマートな感じで,慣れれば糸の絡まりもほとんど生じません。鏡視下にループに糸を通すインサイドスーチャーリレー,そしてループと糸を同時に引き出し,ポータル外で糸をループに入れるアウトサイドスーチャーリレーを腱板大断裂の項と鏡視下Bankart修復術の項で詳述しました。シングルノットスーチャーリレーも捨てたものではなくSLAPlesion type 2に対する上方関節唇修復術など3項目で載せました。
私は腱板修復の糸かけにはほとんどの場合,針長7mmのクローズドタイプのスーチャーパンチを使用していますが,スーチャーパッサーを使う先生も多いと思い,現在市販されているスーチャーパッサーのなかで最も信頼性が高いと思われるSmith & Nephewのファーストパスを用いた術式を腱板小・中断裂の項で載せました。単回使用なのでコストがかかりますが,針が太く破損の心配がほとんどないこと,確実に腱板に糸が通ることが魅力です。
第2版ではほぼ全項目の内容を改訂しました。さらに新しく石灰沈着性腱板炎に対する術式と上腕二頭筋長頭腱固定術の2項目を追加しました。また腱板広範囲断裂に対しては第1版ではパッチ移植術の術式を載せましたが,第2版では三幡輝久先生が開発し,世界でもスタンダードな手術法として広く行われている上方関節包再建術の術式を載せました。
2016年5月の日整会期間中にメジカルビュー社の方とお会いし,『ゼロからマスター 肩の鏡視下手術』の全面改訂版を是非とも出したいとお願いしました。2016年7月にメジカルビュー社内で企画会議が設けられ,改訂版を出すことが了承されたと聞いたときには嬉しくてガッツポーズが出ました。早速8月から執筆をはじめましたが,他の仕事もたくさん抱えており,なかなかはかどりませんでした。2017年1月に担当の矢部涼子さんから綺麗なレイアウトの見本刷りを見せて頂いたことにより気合いが入り,2月から本腰を入れて執筆し,2017年10月に最後の原稿を仕上げました。今回も第1版と同様に最強イラストレーターの佐藤道範さんに素晴らしいイラストをたくさん描いて頂きました。矢部涼子さんと佐藤道範さん,そしてメジカルビュー社の方々に深く感謝いたします。
本書が皆様のお役に少しでも立てれば,この上ない喜びです。
平成30年1月
中川照彦
----------------------------------
初版 序文
肩鏡視下手術はとても魅惑的な手術です。そのスキルを手に入れ,スムーズにできるようになるともう後戻りはできません。手技が難しいのも事実でスリリングな場面に何度も遭遇してきました。心底辛い手術になることもあります。そのようなときは「退くも医の道」(恩師である故河野左宙先生の座右の銘)です。何が何でも突き進むというようなことがないように気をつけたいものです。
スキルが一段上がると今まで苦労していた操作が比較的楽にできるようになります。本書では「ゼロからマスター 肩の鏡視下手術」の表題通り,基本操作から比較的やさしい応用操作まで,また,もの足りない先生のためにちょっと難しいものまで載せました。これらの手技は,多くの先生方の学会や研究会でのプレゼンテーション,講演,討論の場,懇親会,手術見学,文献や著書,手術ビデオなどから学び実践してきた中で,この手技は使える,これはいまいち使えないなどと自分なりに取捨選択したものです。ですから本書に載せた手技がベター・ベストだとは考えていません。各人に合ったもっとよい手技があるのは当然だと思います。
手術で最も大事なことは安全,安心です。危険な香りが漂うような手術器具は避けることが肝要です。しかしどのような手術でも100%安全,安心というものはないのも事実です。医療は不確実であり,手術はその典型です。 鏡視下手術器具,アンカー,縫合糸などは日進月歩です。本書を出したとたんに,私の手技が変わってしまうかもしれません。もし明日,信頼できる優れた器具や器械に出会ったり,これは絶対使えるというような手技を教えてもらったら,あさってから私の手術が変わることになります。手技に関しては過去に固執する必要は全くないのです。
ここで私と肩の関わりについて語ります。卒後5年目の昭和59年に福田宏明先生が会長の第11回肩関節研究会にて初めて発表しました。演題名は「随意性肩関節後方脱臼症例の検討」でしたが,質疑応答で諸先生方からせめられました。特に三笠元彦先生からは,それは習慣性後方脱臼と呼ぶのが正しいといわれ,壇上でたじろぎました。そのあとフロアーで三笠先生や故伊藤信之先生から色々教えていただき,非常に嬉しく,いい会だなあと感じ入り,ここで身を立てたいと思いました。その後,名称は日本肩関節学会となりましたが,平成18年まで連続23回の発表を続けています。この間,多くの先生方のお世話になりました。肩の世界では医局の垣根は全くなく通じ合うことができます。信原克哉先生の肩の本は私のバイブルで,熟読しました。1週間,信原病院で研修を受け,手術はもちろんのこと外来診療での患者さんとの触れ合いなど多くのものを学びました。「関東肩を語る会」という,ちょっとありえない研究会が平成5年にできました。山本龍二先生が代表幹事で幹事は三笠先生,小川清久先生,高岸憲二先生,筒井廣明先生,玉井和哉先生と,私が末席に入れていただき始まりました。現在は幹事に菅谷啓之先生,浜田純一郎先生,渡辺安里先生,池上博泰先生が加わりさらにパワーアップしました。原則全員泊まり込みで夜中までディスカッションが続くという嵐のような勉強会です。
関節鏡は昭和56年(卒後3年目)に医局のローテーションで川口工業総合病院に勤務し,林 承弘先生のもとで膝関節鏡を学びました。しばらく関節鏡とは離れていたのですが,昭和63年に大学に戻り,私と同期の宗田 大先生(今や膝業界では世界のMunetaとして活躍しています)といっしょに肩の関節鏡を初めて行いました。その後,筒井先生の肩関節鏡を見学に行きました。平成4年に米田 稔先生のCaspari法を見学に行きましたが,鏡視下で縫合するという操作は私にとっては異次元の世界でした。大学であこがれのCaspari法を始めました。
平成8年に同愛記念病院に異動しました。部長の土屋正光先生が日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)のチームドクターをしており,野球選手の受診が多く,投球障害肩を診る機会が増えました。その年の秋に第2回アジア肩関節学会がオーストラリアのパースで開催されました。器械展示室のLinvatecのブースに行ったとき,ラッキーなことにStephen J Snyder先生がいらして,30分ぐらいマンツーマンで肩の模型にて手術手技を教わりました。ミニレボアンカーを用いたSLAP lesionに対する上方関節唇修復術やBankart修復術などです。本書に「レボノット簡便法」と記した縫合法は,このときSnyder先生から直接教えていただいたものです。それまで私はアンカーを使用した経験がなく,ステップアップのきっかけとなりました。翌年に野球選手のSLAP lesionに対し,ミニレボを用いた上方関節唇修復術を行いました。
平成12年に肩関節鏡手術研究会が三笠先生の音頭取りでできました。とにかく手術手技を極めることに徹底的にこだわった会です。ここでは本当に多くのことを学びました。武田浩志先生からは「腱板修復術では全ての操作を70°斜視鏡下で行っている」と聞き,さっそく実行してみました。70°斜視鏡に慣れてくると,別世界のように腱板全体がよく見えるようになり,今ではASDが終わるやいなや30°斜視鏡から70°斜視鏡に変えています。鏡視下Bankart修復術では瀧内敏朗先生がスライド1枚に大きくスーチャーフックを出し「私はこれ1本で手術をしています」と聞いたときも衝撃的でした。それまではもっぱらスーチャーパンチを使っていましたが,今ではすっかりスーチャーフック派になりました。三笠先生から「スーチャーグラスパーの刃は腱板に垂直に当てないとだめなんだよ」と聞いたことも参考になりました。スーチャーフックも関節唇に垂直に刃を当てればよいのではないかと考え,実行してみるとずばっと決まりました。菅谷先生からは肩甲下筋腱断裂の際,上腕二頭筋長頭腱の脱臼がある例では糸でこれを後方に引いておくとよいと教わり,実行しています。ちなみに菅谷先生の手術も見学に行きました。シングルノットスーチャーリレーをはじめて知ったのは三笠先生の「韓国のLee先生はPDS糸を直接アンカー糸に結んでいる。シャトルリレーなんていらない」というお言葉でした。それまで私はSnyder先生から教わった通りシャトルリレーを使用していましたが,シングルノットスーチャーリレーに一気に変わりました。
日本関節鏡学会の研修会である関節鏡セミナーに講師としてお呼びがかかったことも,私自身のステップアップにつながりました。受講料を出して参加する先生方に少しでも役に立つ手技を伝えたいという熱い思いがありました。そのためにはわかりやすくきれいな動画を作らなければならず,手術にもさらに気合いが入り,本書を執筆するきっかけにもなりました。会長の黒澤 尚先生,井上和彦先生,松末吉隆先生にはこの場を借りて御礼申し上げます。日本関節鏡学会でのKen Yamaguchi先生の講演も大変勉強になりました。後方鏡視のポータルの位置をBankart修復術では内側寄りに,腱板修復術では外側寄りにすると聞いてなるほどと思い,早速取り入れました。
本書の出版社であるメジカルビュー社に感謝します。以前よりメジカルビュー社のイラストは綺麗すぎと感心していました。写真やイラストを多く使用した肩の鏡視下手術の入門書を執筆してほしいというオファーがあったのは,平成17年6月でした。すぐに快諾しましたが,いざ書きだしてみると大変でした。関節鏡の写真と外の写真を同一症例で載せようと思い,何例も積み重ねようやくできあがりました。イラストの下絵は各ステップの操作や関節の中と外の関係がどのようになっているかがわかるように描きました。編集者は予想外の大量な写真とイラストの下絵に頭を抱えてしまいました。入門書なのでもっとコンパクトなものを考えていたようです。しかし,1点の削除もなく全てOKしてくれました。Bankart修復術,SLAP lesion,腱板小・中断裂に対する手術を3本柱とし,この3つの章では繰り返す操作もできるだけ省略せず,手術の終了まで詳述するように努めました。また可能な限りその章だけ読めばわかるように構成しました。担当の藤原琢也さん,松原かおるさん,イラストレーターの佐藤道範さん,本当にありがとうございました。
本書が皆様のお役に少しでも立てれば,この上ない喜びです。
平成19年1月
中川照彦
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目次
Ⅰ 基礎知識
手術機器
関節鏡
潅流ポンプ
シェーバー類
電気蒸散機器(高周波装置:radio frequency device)
基本手術器具
糸を操作する器具
組織に糸を通す器具
縫合する器具
縫合糸を切る器具
アンカー
鏡視下手術で用いる糸
手術室でのセットアップ
側臥位の取り方
1. 枕のセット
2. 側臥位支持器を固定
3. L字離被架の設置
4. U 字ドレープのセット
5. 消毒
6. 尾側からのドレーピング
7. 頭側からのドレーピング
8. 腋窩毛のテーピング
9. 牽引
10. 各種機器のコードとチューブの固定
11. 各種機器の配置
肩関節鏡視下手術の基本手技
後方ポータルの作製
1. 準備
2. 刺入部の確認
3. 潅流液を注入
4. 外套管,関節鏡の挿入
前方ポータルの作製
1. 刺入部の確認
2. カニューラの挿入
3. プローブの挿入
糸の縫合法-卓上での縫合練習
◇ レボノット(Revo knot)簡便法
1. 糸をコルク板に固定
2. Underhand half-hitch
3. ノット部を押す
4. 2 回目のノット
5. 3 回目のノット
6. 4 回目のノット
7. 5 回目のノット
8. 縫合完了
◇ スライディングノット(Weston knot)
1. 一方の糸を短くしポスト糸とする
2. 糸の間を通して右側に糸を落とす
3. 糸の間を通して左側に糸を落とす
4. 左側に落とした糸を半周回して三角のスペースに上から通す
5. Weston knot の完成
6. ノットを適度に締める
7. ノットをスライドさせノットプッシャーで締めていく
8. ノットをロックした後,レボノット簡便法を追加し,糸を切る
◇ 縫合時のピットフォールと対策
1. ノットの送り込み不良による縫合不全
2. ノット間への軟部組織の絡まりによる縫合不全
3. 緩んだときの対処法(スライディングループテクニック)
Ⅱ 代表的手術
鏡視下肩峰下除圧術(ASD)
手術手技
1. マーキング
2. 外套管の挿入,肩峰下面の確認,肩峰下腔の鏡視
3. 外側ポータルの作製
4. シェーバー挿入,滑膜組織のデブリドマン
5. 滑膜組織の切除
6. VAPR のアングルサイドの挿入,肩峰下面の軟部組織の蒸散
7. 烏口肩峰靱帯を同定する
8. 烏口肩峰靱帯の蒸散
9. 肩峰外側縁の蒸散,肩峰内側縁の蒸散
10 アブレーダー(5 . 5 mm)の挿入,肩峰前縁の骨棘削除
11 アクロミオナイザー(5 . 5 mm)の挿入,肩峰下面の骨削除
鏡視下腱板修復術(総論)
術前診断
後療法
手術成績
腱板大断裂に対する鏡視下腱板修復術(ブリッジングスーチャー法)
手術器具
手術手技
1. MRI
2. セッティング
3. 皮切およびポータル作製
4. 鏡視用の後方ポータル
5. 肩峰下鏡視とASD
6. 腱板断端の展開
7. Footprint の展開
8. 腱板断端の引き出し程度をみる
9. 腱板のmobilization
10. 内側アンカー挿入部と糸かけ部のイメージを作る
11. アンカーポータルの作製
12. パイロットホールの作製
13. アンカーの挿入
14. ストッパーノット
15. 前方ポータルの作製
16. スーチャーパンチに2 - 0 プロリン糸を装填
17. スーチャーパンチを用いて腱板にプロリン糸をかける
18. スーチャーパンチをポータル外に出してからの操作
19. インサイドスーチャーリレーでブルー糸を腱板にかける
20. 2 本目のブルー糸を腱板にかける
21. アウトサイドスーチャーリレーで白黒糸を腱板にかける
22. 2 本目の白黒糸を腱板にかける
23. 2 本目の内側アンカー用のパイロットホールの作製
24. 2 本目のアンカーの挿入
25. ストッパーノットの作製
26. アンカー糸4 本を順番に腱板にかける
27. パスポートカニューラを外側ポータルから挿入
28. 大結節外側壁の皮質骨を展開する範囲をイメージ
29. ブリッジングスーチャーのイメージ
30. 大結節外側壁の軟部組織の切除と蒸散
31. ポップロック4 . 5 mm 用のボーンパンチでパイロットホールを作製
32. パスポートカニューラから腱板にかけたアンカー糸を引き出す
33. ブルー糸と白黒糸の絡まりがないかを確認
36. ポップロックのアイレットに糸を通す
35. ポップロックをパイロットホールに挿入
36. 糸を1 本ずつ引き,腱板を大結節に寄せる
37. ポップロック内での糸の固定とポップロックの骨内での固定
38. 糸切り
39. 2つ目のパイロットホールの作製
40. 後方の腱板にかけた4 本のアンカー糸を引き出す
41. 2本目のポップロックの挿入
40. 糸引き,ポップロックの固定,糸切り
43. ドッグイヤーの形成,腱板修復完了
44. 関節内の観察
腱板小・中断裂に対する鏡視下腱板修復術(ブリッジングスーチャー法)
手術手技
1. MRI,X 線像
2. セッティングと皮切
3. 関節内鏡視
4. 肩峰下鏡視とASD
5. 腱板断端およびfootprint の展開
6. 腱板断端がfootprint に寄るかをみる
7. 内側アンカー挿入部と糸かけ部のイメージを作る
8. アンカーポータルの作製
9. パイロットホールの作製
10. アンカーの挿入
11. ストッパーノット
12. 前方ポータルから肩峰下腔にレトリバーを挿入
13. 外側ポータルにパスポートカニューラを入れ,ブルー糸の1本を引き出す
14. ファーストパスに引き出したブルー糸を装填
15. 1 本目のアンカー糸(ブルー糸)を腱板にかける
16. 2 本目のアンカー糸(ブルー糸)を腱板にかける
17. 3 本目のアンカー糸(白黒糸)を腱板にかける
18. 4 本目のアンカー糸(白黒糸)を腱板にかける
19. 大結節外側壁の軟部組織の蒸散とパイロットホールの作製
20. パスポートカニューラから腱板にかけたアンカー糸を引き出す
21.. ブルー糸と白黒糸の絡まりがないかを確認
22. ポップロックのアイレットに糸を通す
23. ポップロックをパイロットホールに挿入
24. 糸を1 本ずつ引き,腱板を大結節に寄せる
25. ポップロックの固定と修復状態の確認,糸切り
26. 関節内の観察
腱板滑液包面断裂に対する鏡視下腱板修復術
手術手技
1. MRI
2. 関節内鏡視
3. ASD
4. 70°斜視鏡での肩峰下鏡視
5. スーチャーパンチを挿入して腱板を把持できるかを確認
6. 大結節footprint の新鮮化
7. アンカーポータルの作製
8. パイロットホールの作製
9. コークスクリューPEEK 4 . 5 mm を骨内に挿入
10. ストッパーノット
11. 前方ポータルから肩峰下腔に鈍棒を入れる
12. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(1 本目)
13. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(2 本目)
14. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(3 本目)
15. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(4 本目)
16. パスポートカニューラを設置
17. 大結節外側壁の軟部組織の蒸散
18. ポップロック4 . 5 mm 用のボーンパンチでパイロットホールを作製
19. パスポートカニューラから糸を引き出す
20. ポップロック4 . 5 mm アンカーでのブリッジングスーチャー
腱板関節面断裂に対する鏡視下手術
腱板関節面断裂部を全層断裂にして修復する方法
1. MRI
2. 関節内鏡視
3. ASD・腱板上の滑膜切除
4. 外側ポータルから針を関節内に刺入
5. 針を抜き,腱板の表層を蒸散
6. スーチャーパンチを挿入して腱板を把持できるかを確認
7. 大結節footprint の新鮮化
8. アンカーポータルの作製
9. パイロットホールの作製
10. コークスクリューPEEK 4 . 5 mm を骨内に挿入
11. ストッパーノット
12. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(1 本目)
13. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(2 本目)
14. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(3 本目)
15. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(4 本目)
16. パスポートカニューラを設置
17. 大結節外側壁の軟部組織の蒸散
18. ポップロック4 . 5 mm 用のボーンパンチでパイロットホールを作製
19. パスポートカニューラから糸を引き出す
20. ポップロック4 . 5 mm アンカーでのブリッジングスーチャー
21. ドッグイヤー部の蒸散と関節内鏡視
腱板関節面断裂のデブリドマン
1. 関節造影MRI
2. 後方関節唇の毛羽立ちのデブリドマン
3. 腱板関節面断裂部の毛羽立ちのデブリドマン
4. 腱板関節面断裂部の毛羽立ちの蒸散
5. プローブで関節面断裂部を確認
肩甲下筋腱断裂に対する鏡視下腱板修復術
手術手技
1. ポータルの作製
2. 関節内鏡視
3. 前方ポータルからの操作
4. スーチャーパンチにて肩甲下筋腱に糸をかける
5. ASD
6. 後外側ポータルからの鏡視
7. 小結節のfootprint の新鮮化
8. シェーバーでの関節包の切除マットレス様にかける
10 2 本目のファイバーワイヤー糸を肩甲下筋腱にマットレス様にかける
11. 後外側ポータルからの鏡視でのブリッジングスーチャーの準備
12. 骨頭の軟骨面を1 cm 程度削る
13. 前方ポータルにパスポートカニューラを挿入
14. パイロットホールの作製
15. ポップロック4 . 5 mm アンカーによるブリッジングスーチャー
16. 棘上筋腱の修復操作
17. 関節内からの観察
腱板広範囲断裂に対するミニオープンを併用した鏡視下上方関節包再建術
手術手技
1. 大転子のマーキング
2. 関節内鏡視
3. ASD
4. 70°斜視鏡での肩峰下鏡視
5. 腱板の癒着剥離
6. 上方の関節窩縁の軟骨を蒸散・ガター作製・骨の新鮮化
7. 前方ポータルからソフトアンカーを入れる
8. 外側ポータルから2 本目のソフトアンカーを入れる
9. 後外側ポータルを作製する
10. 後外側ポータルから3 本目のソフトアンカーを入れる
11. 後外側ポータルから4 本目のソフトアンカーを入れる
12. 後外側ポータルから5 本目のソフトアンカーを入れる
13. アンカー糸を前方ポータルに引き出す
14. 大結節footprint の新鮮化
15. 大腿筋膜の採取
16. 2 つ折りにして筋膜同士を縫合する
17. 外側ポータルの皮切を延長し,ミニオープンにする
18.. 前方ポータルからノットプッシャーを入れ,アンカー糸をミニオープン部に導く
19. アンカー糸をマットレス様に大腿筋膜にかける
20. 両端の対の2 本のアンカー糸をノットプッシャーのアイレットに通す
21. 大腿筋膜を肩峰下に挿入
22. 大腿筋膜を関節窩縁に縫着
23. 大結節の内側列に2 本のアンカーを挿入し,大腿筋膜にマットレス様に糸かけ
24. ブリッジングスーチャー
25. 直視下に大腿筋膜と残存腱板を側々縫合
26. 肩峰下鏡視
27. 関節内鏡視
28. 閉創
上腕二頭筋長頭腱(LHB)の固定術
手術手技
1. 関節内鏡視
2. ASD
3. 70°斜視鏡に変えてLHB を肩峰下から観察
4. 結節間溝の軟部組織の蒸散と皮質骨の新鮮化
5. 結節間溝にアンカーを挿入
6. スーチャーパンチで白糸をLHB にかける
7. スーチャーパンチで白青糸をLHB にかける
8. 白青糸の縫合
9. 白糸の縫合
10. LHB を縫合部の近位で切離
11. 関節内に残ったLHB の切除
12. 腱板の修復
13. 関節内鏡視
慢性石灰沈着性腱板炎に対する鏡視下石灰切除術
手術器具
手術手技
1. セッティング
2. 皮切およびポータル作製
3. ASD
4. 石灰巣の同定と石灰切除
5. 腱板の側々縫合
反復性肩関節脱臼に対する鏡視下手術(総論)
鏡視下Bankart修復術の適応
術前評価
後療法
手術成績
反復性肩関節脱臼に対する鏡視下Bankart修復術
手術器具
手術手技
1. セッティング
2. 後方の鏡視用ポータルの作製
3. 関節内の観察
4. 前方のワーキングポータルの作製
5. 内側に落ち込み肩甲骨頚部と癒着している骨膜・関節唇・関節包を
VAPR で切離
6. 肩甲骨頚部の軟部組織の蒸散
7. 関節唇・関節包をどの程度頭側に引き上げることができるかを確認
8. 関節窩前縁のガター作製
9. スーチャーパンチに2 - 0 プロリン糸を装填
10. スーチャーパンチを用いての関節包への糸かけ
11. スーチャーパンチをポータル外に出してからの操作
12. マットレス様にファイバーワイヤー糸をかける
13. アウトサイドスーチャーリレー
14. カニューラを入れ,2 本の糸を同時に引き出す
15. ドリルガイドの挿入と固定
16. ドリリング
17. 1.6 mm のKirschner 鋼線をドリルホールに挿入後,ドリルガイドを抜く
18. 糸の両端をアンカー先端のチップのアイレットに入れる
19. プッシュロックをカニューラから入れK-wire の入口部に持っていく
20 チップをドリルホールに挿入し,糸を引き関節包を引き寄せる(テンショニング)
21. 糸を引き緊張をかけた状態で,糸をハンドルの楔状の切り込み部にかけて固定
22. オレンジのストッパーをはずしてプッシュロッドを出し,ハンマーで打ち込む
23. インサーターのレーザーラインが完全にみえなくなるまで打ち込む
24. 糸を楔状の切り込み部からはずして,ハンドルを反時計回りに回してインサーターを抜去
25. 糸切り
26. 2本目のアンカー挿入に向けてのスーチャーパンチでの糸かけ
27. インサイドスーチャーリレーで糸をマットレス様に関節包にかける
28. ドリルガイド設置とアンカーの打ち込み
29. 3本目のアンカー
30. 4本目のアンカー
反復性肩関節脱臼に対する腱板疎部縫縮術
手術手技
1. クレセントフックを用い肩甲下筋腱+ MGHL に0 PDS 糸を通す
2. ペネトレイトグラスパーでPDS 糸を引き出す
3. PDS 糸を2 号エチボンド糸にきつく結ぶ(シングルノットスーチャーリレー)
4. 同様な操作を2 回繰り返す
5. 糸の縫合
SLAP lesion type 2に対する鏡視下上方関節唇修復術
発生機序
Snyder分類
術前診断
画像検査
手術適応
後療法
手術成績
手術の概要
手術器具
手術手技
1. セッティング
2. 後方の鏡視用ポータルの作製,前方ポータルの作製
3. 関節内の観察とプロービング
4. シェーバーにて肩甲骨頚部の新鮮化
5. 前上方ポータルの作製
6. ドリルガイドの設置
7. ドリリング
8. ジャガーノット2 . 9 mm ソフトアンカーの挿入
9. アンカー糸の移動
10. クレセントフックに0 PDS 糸を通す
11. クレセントフックにてPDS 糸を上方関節唇に通す
12. シングルノットスーチャーリレー
13. クレセントフックによる糸かけと2 回目のスーチャーリレー
14. クレセントフックによる糸かけと3 回目のスーチャーリレー
15. クレセントフックによる糸かけと4 回目のスーチャーリレー
16. 2本のブルー糸の移動
17. 白青糸の縫合
18. 2本のブルー糸を前上方カニューラに引き出す
19. ブルー糸の縫合
20. 修復状態の観察
手術機器
関節鏡
潅流ポンプ
シェーバー類
電気蒸散機器(高周波装置:radio frequency device)
基本手術器具
糸を操作する器具
組織に糸を通す器具
縫合する器具
縫合糸を切る器具
アンカー
鏡視下手術で用いる糸
手術室でのセットアップ
側臥位の取り方
1. 枕のセット
2. 側臥位支持器を固定
3. L字離被架の設置
4. U 字ドレープのセット
5. 消毒
6. 尾側からのドレーピング
7. 頭側からのドレーピング
8. 腋窩毛のテーピング
9. 牽引
10. 各種機器のコードとチューブの固定
11. 各種機器の配置
肩関節鏡視下手術の基本手技
後方ポータルの作製
1. 準備
2. 刺入部の確認
3. 潅流液を注入
4. 外套管,関節鏡の挿入
前方ポータルの作製
1. 刺入部の確認
2. カニューラの挿入
3. プローブの挿入
糸の縫合法-卓上での縫合練習
◇ レボノット(Revo knot)簡便法
1. 糸をコルク板に固定
2. Underhand half-hitch
3. ノット部を押す
4. 2 回目のノット
5. 3 回目のノット
6. 4 回目のノット
7. 5 回目のノット
8. 縫合完了
◇ スライディングノット(Weston knot)
1. 一方の糸を短くしポスト糸とする
2. 糸の間を通して右側に糸を落とす
3. 糸の間を通して左側に糸を落とす
4. 左側に落とした糸を半周回して三角のスペースに上から通す
5. Weston knot の完成
6. ノットを適度に締める
7. ノットをスライドさせノットプッシャーで締めていく
8. ノットをロックした後,レボノット簡便法を追加し,糸を切る
◇ 縫合時のピットフォールと対策
1. ノットの送り込み不良による縫合不全
2. ノット間への軟部組織の絡まりによる縫合不全
3. 緩んだときの対処法(スライディングループテクニック)
Ⅱ 代表的手術
鏡視下肩峰下除圧術(ASD)
手術手技
1. マーキング
2. 外套管の挿入,肩峰下面の確認,肩峰下腔の鏡視
3. 外側ポータルの作製
4. シェーバー挿入,滑膜組織のデブリドマン
5. 滑膜組織の切除
6. VAPR のアングルサイドの挿入,肩峰下面の軟部組織の蒸散
7. 烏口肩峰靱帯を同定する
8. 烏口肩峰靱帯の蒸散
9. 肩峰外側縁の蒸散,肩峰内側縁の蒸散
10 アブレーダー(5 . 5 mm)の挿入,肩峰前縁の骨棘削除
11 アクロミオナイザー(5 . 5 mm)の挿入,肩峰下面の骨削除
鏡視下腱板修復術(総論)
術前診断
後療法
手術成績
腱板大断裂に対する鏡視下腱板修復術(ブリッジングスーチャー法)
手術器具
手術手技
1. MRI
2. セッティング
3. 皮切およびポータル作製
4. 鏡視用の後方ポータル
5. 肩峰下鏡視とASD
6. 腱板断端の展開
7. Footprint の展開
8. 腱板断端の引き出し程度をみる
9. 腱板のmobilization
10. 内側アンカー挿入部と糸かけ部のイメージを作る
11. アンカーポータルの作製
12. パイロットホールの作製
13. アンカーの挿入
14. ストッパーノット
15. 前方ポータルの作製
16. スーチャーパンチに2 - 0 プロリン糸を装填
17. スーチャーパンチを用いて腱板にプロリン糸をかける
18. スーチャーパンチをポータル外に出してからの操作
19. インサイドスーチャーリレーでブルー糸を腱板にかける
20. 2 本目のブルー糸を腱板にかける
21. アウトサイドスーチャーリレーで白黒糸を腱板にかける
22. 2 本目の白黒糸を腱板にかける
23. 2 本目の内側アンカー用のパイロットホールの作製
24. 2 本目のアンカーの挿入
25. ストッパーノットの作製
26. アンカー糸4 本を順番に腱板にかける
27. パスポートカニューラを外側ポータルから挿入
28. 大結節外側壁の皮質骨を展開する範囲をイメージ
29. ブリッジングスーチャーのイメージ
30. 大結節外側壁の軟部組織の切除と蒸散
31. ポップロック4 . 5 mm 用のボーンパンチでパイロットホールを作製
32. パスポートカニューラから腱板にかけたアンカー糸を引き出す
33. ブルー糸と白黒糸の絡まりがないかを確認
36. ポップロックのアイレットに糸を通す
35. ポップロックをパイロットホールに挿入
36. 糸を1 本ずつ引き,腱板を大結節に寄せる
37. ポップロック内での糸の固定とポップロックの骨内での固定
38. 糸切り
39. 2つ目のパイロットホールの作製
40. 後方の腱板にかけた4 本のアンカー糸を引き出す
41. 2本目のポップロックの挿入
40. 糸引き,ポップロックの固定,糸切り
43. ドッグイヤーの形成,腱板修復完了
44. 関節内の観察
腱板小・中断裂に対する鏡視下腱板修復術(ブリッジングスーチャー法)
手術手技
1. MRI,X 線像
2. セッティングと皮切
3. 関節内鏡視
4. 肩峰下鏡視とASD
5. 腱板断端およびfootprint の展開
6. 腱板断端がfootprint に寄るかをみる
7. 内側アンカー挿入部と糸かけ部のイメージを作る
8. アンカーポータルの作製
9. パイロットホールの作製
10. アンカーの挿入
11. ストッパーノット
12. 前方ポータルから肩峰下腔にレトリバーを挿入
13. 外側ポータルにパスポートカニューラを入れ,ブルー糸の1本を引き出す
14. ファーストパスに引き出したブルー糸を装填
15. 1 本目のアンカー糸(ブルー糸)を腱板にかける
16. 2 本目のアンカー糸(ブルー糸)を腱板にかける
17. 3 本目のアンカー糸(白黒糸)を腱板にかける
18. 4 本目のアンカー糸(白黒糸)を腱板にかける
19. 大結節外側壁の軟部組織の蒸散とパイロットホールの作製
20. パスポートカニューラから腱板にかけたアンカー糸を引き出す
21.. ブルー糸と白黒糸の絡まりがないかを確認
22. ポップロックのアイレットに糸を通す
23. ポップロックをパイロットホールに挿入
24. 糸を1 本ずつ引き,腱板を大結節に寄せる
25. ポップロックの固定と修復状態の確認,糸切り
26. 関節内の観察
腱板滑液包面断裂に対する鏡視下腱板修復術
手術手技
1. MRI
2. 関節内鏡視
3. ASD
4. 70°斜視鏡での肩峰下鏡視
5. スーチャーパンチを挿入して腱板を把持できるかを確認
6. 大結節footprint の新鮮化
7. アンカーポータルの作製
8. パイロットホールの作製
9. コークスクリューPEEK 4 . 5 mm を骨内に挿入
10. ストッパーノット
11. 前方ポータルから肩峰下腔に鈍棒を入れる
12. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(1 本目)
13. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(2 本目)
14. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(3 本目)
15. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(4 本目)
16. パスポートカニューラを設置
17. 大結節外側壁の軟部組織の蒸散
18. ポップロック4 . 5 mm 用のボーンパンチでパイロットホールを作製
19. パスポートカニューラから糸を引き出す
20. ポップロック4 . 5 mm アンカーでのブリッジングスーチャー
腱板関節面断裂に対する鏡視下手術
腱板関節面断裂部を全層断裂にして修復する方法
1. MRI
2. 関節内鏡視
3. ASD・腱板上の滑膜切除
4. 外側ポータルから針を関節内に刺入
5. 針を抜き,腱板の表層を蒸散
6. スーチャーパンチを挿入して腱板を把持できるかを確認
7. 大結節footprint の新鮮化
8. アンカーポータルの作製
9. パイロットホールの作製
10. コークスクリューPEEK 4 . 5 mm を骨内に挿入
11. ストッパーノット
12. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(1 本目)
13. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(2 本目)
14. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(3 本目)
15. スーチャーパンチにて腱板への糸かけ(4 本目)
16. パスポートカニューラを設置
17. 大結節外側壁の軟部組織の蒸散
18. ポップロック4 . 5 mm 用のボーンパンチでパイロットホールを作製
19. パスポートカニューラから糸を引き出す
20. ポップロック4 . 5 mm アンカーでのブリッジングスーチャー
21. ドッグイヤー部の蒸散と関節内鏡視
腱板関節面断裂のデブリドマン
1. 関節造影MRI
2. 後方関節唇の毛羽立ちのデブリドマン
3. 腱板関節面断裂部の毛羽立ちのデブリドマン
4. 腱板関節面断裂部の毛羽立ちの蒸散
5. プローブで関節面断裂部を確認
肩甲下筋腱断裂に対する鏡視下腱板修復術
手術手技
1. ポータルの作製
2. 関節内鏡視
3. 前方ポータルからの操作
4. スーチャーパンチにて肩甲下筋腱に糸をかける
5. ASD
6. 後外側ポータルからの鏡視
7. 小結節のfootprint の新鮮化
8. シェーバーでの関節包の切除マットレス様にかける
10 2 本目のファイバーワイヤー糸を肩甲下筋腱にマットレス様にかける
11. 後外側ポータルからの鏡視でのブリッジングスーチャーの準備
12. 骨頭の軟骨面を1 cm 程度削る
13. 前方ポータルにパスポートカニューラを挿入
14. パイロットホールの作製
15. ポップロック4 . 5 mm アンカーによるブリッジングスーチャー
16. 棘上筋腱の修復操作
17. 関節内からの観察
腱板広範囲断裂に対するミニオープンを併用した鏡視下上方関節包再建術
手術手技
1. 大転子のマーキング
2. 関節内鏡視
3. ASD
4. 70°斜視鏡での肩峰下鏡視
5. 腱板の癒着剥離
6. 上方の関節窩縁の軟骨を蒸散・ガター作製・骨の新鮮化
7. 前方ポータルからソフトアンカーを入れる
8. 外側ポータルから2 本目のソフトアンカーを入れる
9. 後外側ポータルを作製する
10. 後外側ポータルから3 本目のソフトアンカーを入れる
11. 後外側ポータルから4 本目のソフトアンカーを入れる
12. 後外側ポータルから5 本目のソフトアンカーを入れる
13. アンカー糸を前方ポータルに引き出す
14. 大結節footprint の新鮮化
15. 大腿筋膜の採取
16. 2 つ折りにして筋膜同士を縫合する
17. 外側ポータルの皮切を延長し,ミニオープンにする
18.. 前方ポータルからノットプッシャーを入れ,アンカー糸をミニオープン部に導く
19. アンカー糸をマットレス様に大腿筋膜にかける
20. 両端の対の2 本のアンカー糸をノットプッシャーのアイレットに通す
21. 大腿筋膜を肩峰下に挿入
22. 大腿筋膜を関節窩縁に縫着
23. 大結節の内側列に2 本のアンカーを挿入し,大腿筋膜にマットレス様に糸かけ
24. ブリッジングスーチャー
25. 直視下に大腿筋膜と残存腱板を側々縫合
26. 肩峰下鏡視
27. 関節内鏡視
28. 閉創
上腕二頭筋長頭腱(LHB)の固定術
手術手技
1. 関節内鏡視
2. ASD
3. 70°斜視鏡に変えてLHB を肩峰下から観察
4. 結節間溝の軟部組織の蒸散と皮質骨の新鮮化
5. 結節間溝にアンカーを挿入
6. スーチャーパンチで白糸をLHB にかける
7. スーチャーパンチで白青糸をLHB にかける
8. 白青糸の縫合
9. 白糸の縫合
10. LHB を縫合部の近位で切離
11. 関節内に残ったLHB の切除
12. 腱板の修復
13. 関節内鏡視
慢性石灰沈着性腱板炎に対する鏡視下石灰切除術
手術器具
手術手技
1. セッティング
2. 皮切およびポータル作製
3. ASD
4. 石灰巣の同定と石灰切除
5. 腱板の側々縫合
反復性肩関節脱臼に対する鏡視下手術(総論)
鏡視下Bankart修復術の適応
術前評価
後療法
手術成績
反復性肩関節脱臼に対する鏡視下Bankart修復術
手術器具
手術手技
1. セッティング
2. 後方の鏡視用ポータルの作製
3. 関節内の観察
4. 前方のワーキングポータルの作製
5. 内側に落ち込み肩甲骨頚部と癒着している骨膜・関節唇・関節包を
VAPR で切離
6. 肩甲骨頚部の軟部組織の蒸散
7. 関節唇・関節包をどの程度頭側に引き上げることができるかを確認
8. 関節窩前縁のガター作製
9. スーチャーパンチに2 - 0 プロリン糸を装填
10. スーチャーパンチを用いての関節包への糸かけ
11. スーチャーパンチをポータル外に出してからの操作
12. マットレス様にファイバーワイヤー糸をかける
13. アウトサイドスーチャーリレー
14. カニューラを入れ,2 本の糸を同時に引き出す
15. ドリルガイドの挿入と固定
16. ドリリング
17. 1.6 mm のKirschner 鋼線をドリルホールに挿入後,ドリルガイドを抜く
18. 糸の両端をアンカー先端のチップのアイレットに入れる
19. プッシュロックをカニューラから入れK-wire の入口部に持っていく
20 チップをドリルホールに挿入し,糸を引き関節包を引き寄せる(テンショニング)
21. 糸を引き緊張をかけた状態で,糸をハンドルの楔状の切り込み部にかけて固定
22. オレンジのストッパーをはずしてプッシュロッドを出し,ハンマーで打ち込む
23. インサーターのレーザーラインが完全にみえなくなるまで打ち込む
24. 糸を楔状の切り込み部からはずして,ハンドルを反時計回りに回してインサーターを抜去
25. 糸切り
26. 2本目のアンカー挿入に向けてのスーチャーパンチでの糸かけ
27. インサイドスーチャーリレーで糸をマットレス様に関節包にかける
28. ドリルガイド設置とアンカーの打ち込み
29. 3本目のアンカー
30. 4本目のアンカー
反復性肩関節脱臼に対する腱板疎部縫縮術
手術手技
1. クレセントフックを用い肩甲下筋腱+ MGHL に0 PDS 糸を通す
2. ペネトレイトグラスパーでPDS 糸を引き出す
3. PDS 糸を2 号エチボンド糸にきつく結ぶ(シングルノットスーチャーリレー)
4. 同様な操作を2 回繰り返す
5. 糸の縫合
SLAP lesion type 2に対する鏡視下上方関節唇修復術
発生機序
Snyder分類
術前診断
画像検査
手術適応
後療法
手術成績
手術の概要
手術器具
手術手技
1. セッティング
2. 後方の鏡視用ポータルの作製,前方ポータルの作製
3. 関節内の観察とプロービング
4. シェーバーにて肩甲骨頚部の新鮮化
5. 前上方ポータルの作製
6. ドリルガイドの設置
7. ドリリング
8. ジャガーノット2 . 9 mm ソフトアンカーの挿入
9. アンカー糸の移動
10. クレセントフックに0 PDS 糸を通す
11. クレセントフックにてPDS 糸を上方関節唇に通す
12. シングルノットスーチャーリレー
13. クレセントフックによる糸かけと2 回目のスーチャーリレー
14. クレセントフックによる糸かけと3 回目のスーチャーリレー
15. クレセントフックによる糸かけと4 回目のスーチャーリレー
16. 2本のブルー糸の移動
17. 白青糸の縫合
18. 2本のブルー糸を前上方カニューラに引き出す
19. ブルー糸の縫合
20. 修復状態の観察
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肩の鏡視下手術,始めるならまずこの1冊。「イチからマスター」? いえいえ「ゼロから」です!
好評を博した初版から約11年の充電期間を経て,満を持しての改訂。新たにブリッジングスーチャー法にも対応し,よりわかりやすく,より丁寧な手術書としてパワーアップ。
Ⅰ章は「基礎知識」とし,鏡視下手術で使用する手術機器やセットアップ法,また,手術の基本である各種ポータルの作製法と縫合法を解説している。特に,卓上での縫合の練習法は,本書を見ながらぜひ実践していただきたい。
Ⅱ章では,代表的手術として,腱板断裂や反復性肩関節脱臼を中心として手技を解説。他にもSLAP lesionや上腕二頭筋長頭腱(LHB)固定術など,初心者が行う機会の多い疾患を取り上げている。どの手技も,一つひとつの手順を省略することなく丁寧に解説している。また,鏡視写真とともに掲載しているイラストは,手技の理解を深める手助けとなるはずである。
本書は,これから肩の鏡視下手術を始める医師,必携の1冊である。