そのX線正常ですか?
骨腫瘍の画像診断
疑う目を養う・鍛える
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定価 5,500円(税込) (本体5,000円+税)
- B5判 196ページ 2色,写真450点
- 2015年9月30日刊行
- ISBN978-4-7583-1366-7
電子版
序文
整形外科医として診療を行っていると,まれではあるが絶対に対応ミスがあってはいけない疾患と遭遇することがある。その代表的な疾患は骨軟部腫瘍で,初期対応を誤ると患者の生死にかかわり大きな悲劇をもたらすことになる。正確な対応をしていれば救命できた患者の運命を変えてしまうことは,初期対応を行う整形外科医として,あってはならないことである。
一方,軟部腫瘍と違って,骨腫瘍は単純X線像により,そこに骨腫瘍が存在することを認識することは比較的容易である。近年の各種画像診断技術の発達は目覚ましく,CTやMRIの画質は以前より格段に改善され,PETも悪性骨軟部腫瘍で利用できるようになった。しかし,骨腫瘍の質的診断に関しては,単純X線像によって得られる情報量が最も多いことは,現在も変わっていない。やはり骨腫瘍の画像診断をマスターするためには,まず単純X線像をしっかり読影できることが重要である。
骨腫瘍の発生頻度は高いものではなく,原発性腫瘍では良性腫瘍のほうが多い。しかし,良性腫瘍のなかにも,ときに診断が難しい症例や,進行が比較的早く迅速な対応が要求される症例がある。また,良性腫瘍と判断された症例にも,実は悪性腫瘍であった症例が含まれていることがある。
このように,整形外科医の最初の見立てにより,骨腫瘍患者の予後は左右される。初期対応を行う整形外科医の責任が大きいことを常に意識するべきである。今回,メジカルビュー社より「そのX線正常ですか? 骨腫瘍の画像診断 疑う目を養う・鍛える」を出版することとなった。本書では,第一線の整形外科の先生方が触れる機会の多い骨腫瘍症例の単純X線像を中心に,多くの症例を提示し,画像の解説を加え,適宜MRIなどの追加の画像を取り入れた。読者としては,初期対応を最も要求されることになる研修医や一般整形外科医を想定して編集した。本書により,日本の整形外科医の骨腫瘍の診断技術が向上し,治療成績の改善につながることを祈念している。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科整形外科教授
尾﨑 敏文
一方,軟部腫瘍と違って,骨腫瘍は単純X線像により,そこに骨腫瘍が存在することを認識することは比較的容易である。近年の各種画像診断技術の発達は目覚ましく,CTやMRIの画質は以前より格段に改善され,PETも悪性骨軟部腫瘍で利用できるようになった。しかし,骨腫瘍の質的診断に関しては,単純X線像によって得られる情報量が最も多いことは,現在も変わっていない。やはり骨腫瘍の画像診断をマスターするためには,まず単純X線像をしっかり読影できることが重要である。
骨腫瘍の発生頻度は高いものではなく,原発性腫瘍では良性腫瘍のほうが多い。しかし,良性腫瘍のなかにも,ときに診断が難しい症例や,進行が比較的早く迅速な対応が要求される症例がある。また,良性腫瘍と判断された症例にも,実は悪性腫瘍であった症例が含まれていることがある。
このように,整形外科医の最初の見立てにより,骨腫瘍患者の予後は左右される。初期対応を行う整形外科医の責任が大きいことを常に意識するべきである。今回,メジカルビュー社より「そのX線正常ですか? 骨腫瘍の画像診断 疑う目を養う・鍛える」を出版することとなった。本書では,第一線の整形外科の先生方が触れる機会の多い骨腫瘍症例の単純X線像を中心に,多くの症例を提示し,画像の解説を加え,適宜MRIなどの追加の画像を取り入れた。読者としては,初期対応を最も要求されることになる研修医や一般整形外科医を想定して編集した。本書により,日本の整形外科医の骨腫瘍の診断技術が向上し,治療成績の改善につながることを祈念している。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科整形外科教授
尾﨑 敏文
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目次
CHAPTER 1 骨腫瘍診断の基本
骨腫瘍の好発年齢・好発部位・骨膜反応 尾﨑 敏文
はじめに
発症機転
好発年齢
好発部位
骨内での局在
画像診断(単純X線)
臨床症状
特殊検査
組織診断(生検)
分子生物学的診断
CHAPTER 2 疑う目を養う 良性骨腫瘍
単発性骨嚢腫 中田 英二
基礎Data
症例01[15歳男子]
症例02[6歳男子]
症例03[17歳男子]
軟骨芽細胞腫 中田 英二
基礎Data
症例01[15歳男子]
症例02[17歳男子]
骨軟骨腫 藤原 智洋
基礎Data
症例01[10歳男子]
症例02[7歳女子]
症例03[11歳男子]
内軟骨腫 藤原 智洋
基礎Data
症例01[18歳男性]
症例02[38歳女性]
症例03[47歳女性]
症例04[69歳男性]
類骨骨腫 藤原智洋
基礎Data
症例01[12歳女子]
症例02[11歳女子]
症例03[13歳男性]
骨巨細胞腫 武田 健
基礎Data
症例01[23歳男性]
症例02[33歳男性]
症例03[27歳女性]
症例04[41歳男性]
症例05[30歳男性]
症例06[56歳女性]
症例07[21歳女性]
骨内ガングリオン 武田 健
基礎Data
症例01[57歳男性]
症例02[67歳女性]
傍骨性骨軟骨異形増生 武田 健
基礎Data
症例01[35歳男性]
線維性骨異形成 大森 敏規
基礎Data
症例01[18歳女子]
症例02[6歳男児]
非骨化性線維腫 杉生 和久
基礎Data
症例01[11歳男子]
症例02[9歳男子]
症例03[9歳男子]
骨線維性異形成 沼本 邦彦
基礎Data
症例01[15歳女子]
片肢性骨端異形成症 沼本 邦彦
基礎Data
症例01[5歳男児]
動脈瘤様骨嚢腫 沼本 邦彦
基礎Data
症例01[37歳女性]
症例02[16歳男子]
骨芽細胞腫 荒瀧 慎也
基礎Data
症例01[17歳男子]
CHAPTER 3 疑う目を養う 悪性骨腫瘍
骨肉腫—通常型とその他,放射線照射後肉腫— 国定 俊之
基礎Data
症例01[13歳男子]
症例02[10歳女子]
症例03[16歳女子]
症例04[62歳女性]
症例05[53歳女性]
症例06[69歳女性]
軟骨肉腫 薛 宇孝,川井 章
基礎Data
症例01[70歳代後半女性]
症例02[50歳代後半男性]
症例03[60歳代後半女性]
症例04[30歳代後半女性]
症例05[70歳代前半女性]
症例06[60歳代前半男性]
症例07[40歳代後半男性]
症例08[30歳代前半女性]
Ewing肉腫 薛 宇孝,川井 章
基礎Data
症例01[10 歳代前半女子]
症例02[幼児女児]
症例03[10歳代前半女子]
症例04[10歳代前半男子]
症例05[10歳代前半女子]
転移性骨腫瘍 杉原 進介
基礎Data
症例01[69歳男性]
症例02[69歳男性]
症例03[79歳女性]
症例04[68歳男性]
症例05[48歳女性]
症例06[57歳女性]
症例07[77歳男性]
症例08[76歳男性]
症例09[41歳女性]
血液腫瘍 杉原 進介
基礎Data
症例01[66歳男性]
症例02[76歳男性]
アダマンチノーマ 国定 俊之
基礎Data
症例01[48歳女性]
脊索腫 武田 健
基礎Data
症例01[75歳男性]
CHAPTER 4 疑う目を鍛える 鑑別すべき疾患
Van Neck病 遠藤 裕介,藤原 智洋
基礎Data
症例01[5歳男児]
骨髄炎 山川 泰明
基礎Data
症例01[11歳女子]
症例02[5歳女児]
症例03[12歳男子]
症例04[64歳女性]
脆弱性骨折 杉本 佳久
基礎Data
症例01[65歳女性]
症例02[70歳女性]
疲労骨折 宮澤 慎一
基礎Data
症例01[8歳男子]
症例02[15歳女子]
骨Paget病 上原 健敬
基礎Data
症例01[52歳男性]
症例02[40歳男性]
Gorham病 檀浦 智幸,尾﨑 敏文
基礎Data
症例01[42歳女性]
メロレオストーシス(流蝋骨症) 魚谷 弘二
基礎Data
症例01[43歳男性]
SAPHO症候群 瀧川 朋亨
基礎Data
症例01[55歳女性]
マイクロジオディック病 魚谷 弘二,藤原 智洋
基礎Data
症例01[6歳女児]
遠位大腿骨骨皮質不整像 杉生 和久
基礎Data
症例01[13歳男子]
症例02[9歳男子]
骨腫瘍の好発年齢・好発部位・骨膜反応 尾﨑 敏文
はじめに
発症機転
好発年齢
好発部位
骨内での局在
画像診断(単純X線)
臨床症状
特殊検査
組織診断(生検)
分子生物学的診断
CHAPTER 2 疑う目を養う 良性骨腫瘍
単発性骨嚢腫 中田 英二
基礎Data
症例01[15歳男子]
症例02[6歳男子]
症例03[17歳男子]
軟骨芽細胞腫 中田 英二
基礎Data
症例01[15歳男子]
症例02[17歳男子]
骨軟骨腫 藤原 智洋
基礎Data
症例01[10歳男子]
症例02[7歳女子]
症例03[11歳男子]
内軟骨腫 藤原 智洋
基礎Data
症例01[18歳男性]
症例02[38歳女性]
症例03[47歳女性]
症例04[69歳男性]
類骨骨腫 藤原智洋
基礎Data
症例01[12歳女子]
症例02[11歳女子]
症例03[13歳男性]
骨巨細胞腫 武田 健
基礎Data
症例01[23歳男性]
症例02[33歳男性]
症例03[27歳女性]
症例04[41歳男性]
症例05[30歳男性]
症例06[56歳女性]
症例07[21歳女性]
骨内ガングリオン 武田 健
基礎Data
症例01[57歳男性]
症例02[67歳女性]
傍骨性骨軟骨異形増生 武田 健
基礎Data
症例01[35歳男性]
線維性骨異形成 大森 敏規
基礎Data
症例01[18歳女子]
症例02[6歳男児]
非骨化性線維腫 杉生 和久
基礎Data
症例01[11歳男子]
症例02[9歳男子]
症例03[9歳男子]
骨線維性異形成 沼本 邦彦
基礎Data
症例01[15歳女子]
片肢性骨端異形成症 沼本 邦彦
基礎Data
症例01[5歳男児]
動脈瘤様骨嚢腫 沼本 邦彦
基礎Data
症例01[37歳女性]
症例02[16歳男子]
骨芽細胞腫 荒瀧 慎也
基礎Data
症例01[17歳男子]
CHAPTER 3 疑う目を養う 悪性骨腫瘍
骨肉腫—通常型とその他,放射線照射後肉腫— 国定 俊之
基礎Data
症例01[13歳男子]
症例02[10歳女子]
症例03[16歳女子]
症例04[62歳女性]
症例05[53歳女性]
症例06[69歳女性]
軟骨肉腫 薛 宇孝,川井 章
基礎Data
症例01[70歳代後半女性]
症例02[50歳代後半男性]
症例03[60歳代後半女性]
症例04[30歳代後半女性]
症例05[70歳代前半女性]
症例06[60歳代前半男性]
症例07[40歳代後半男性]
症例08[30歳代前半女性]
Ewing肉腫 薛 宇孝,川井 章
基礎Data
症例01[10 歳代前半女子]
症例02[幼児女児]
症例03[10歳代前半女子]
症例04[10歳代前半男子]
症例05[10歳代前半女子]
転移性骨腫瘍 杉原 進介
基礎Data
症例01[69歳男性]
症例02[69歳男性]
症例03[79歳女性]
症例04[68歳男性]
症例05[48歳女性]
症例06[57歳女性]
症例07[77歳男性]
症例08[76歳男性]
症例09[41歳女性]
血液腫瘍 杉原 進介
基礎Data
症例01[66歳男性]
症例02[76歳男性]
アダマンチノーマ 国定 俊之
基礎Data
症例01[48歳女性]
脊索腫 武田 健
基礎Data
症例01[75歳男性]
CHAPTER 4 疑う目を鍛える 鑑別すべき疾患
Van Neck病 遠藤 裕介,藤原 智洋
基礎Data
症例01[5歳男児]
骨髄炎 山川 泰明
基礎Data
症例01[11歳女子]
症例02[5歳女児]
症例03[12歳男子]
症例04[64歳女性]
脆弱性骨折 杉本 佳久
基礎Data
症例01[65歳女性]
症例02[70歳女性]
疲労骨折 宮澤 慎一
基礎Data
症例01[8歳男子]
症例02[15歳女子]
骨Paget病 上原 健敬
基礎Data
症例01[52歳男性]
症例02[40歳男性]
Gorham病 檀浦 智幸,尾﨑 敏文
基礎Data
症例01[42歳女性]
メロレオストーシス(流蝋骨症) 魚谷 弘二
基礎Data
症例01[43歳男性]
SAPHO症候群 瀧川 朋亨
基礎Data
症例01[55歳女性]
マイクロジオディック病 魚谷 弘二,藤原 智洋
基礎Data
症例01[6歳女児]
遠位大腿骨骨皮質不整像 杉生 和久
基礎Data
症例01[13歳男子]
症例02[9歳男子]
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「なにか変だぞ?」を解決します。X線,最初の一枚で見逃さない!
整形外科領域における致死性の疾患である骨腫瘍は,専門医でないとその診断が難しい。骨や関節の痛みなどで患者が受診した際に,最初に撮影する単純X線で怪しいと感じ取れないと,腫瘍は見逃され,取り返しがつかなくなる。
本書は,骨腫瘍治療の最大のポイントである「最初のX線で見逃さない」ことに重点をおき,主要な骨腫瘍それぞれの好発部位の典型画像を網羅し,どこに注目し,どのように所見をとるべきかを詳しく解説。Q&A形式の紙面構成で,良性腫瘍から悪性腫瘍,難易度の高い鑑別疾患までを取り上げ,段階的に骨腫瘍の読影トレーニングができる1冊。