前眼部画像診断A to Z
OCT・角膜形状・波面収差の読み方
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定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
- B5変型判 400ページ オールカラー,写真550点
- 2016年2月29日刊行
- ISBN978-4-7583-1099-4
電子版
序文
前眼部疾患の診断における主役は,言うまでもなく細隙灯顕微鏡検査である。たしかにこれさえあれば多くの疾患の診断が可能であり,長い間細隙灯顕微鏡以外の前眼部画像診断は日常臨床であまり必要とされていなかった。
ところが,近年の眼科医療のめざましい進歩に伴って,細隙灯顕微鏡の限界が明らかになり,これを補完できる前眼部画像診断が必要となってきた。
そのひとつは,角膜形状解析および波面収差解析である。角膜形状解析装置は1980年台後半に登場したが,一部の専門家に注目されただけであった。しかし屈折矯正手術の普及によって,細隙灯顕微鏡ではわからない円錐角膜の検出や術後合併症としての角膜不正乱視を診断する必要性が生じ,1990年代に一般化した。さらにwavefront-guided LASIKの登場は,屈折矯正のパラダイムシフトを起こし,2000年代には屈折矯正手術の分野に波面センサーが導入された。これらの装置で得られる検査結果の解釈は容易ではなかったことから,本書の前書である「角膜トポグラファーと波面センサー -解読のポイント」が2002年に刊行された。
その後の眼科領域におけるイメージング技術の発展は驚異的である。特に光干渉断層計(OCT)の進化は網膜や緑内障外来の治療や診療スタイルを一変させたといっても過言ではない。前眼部においてもOCTを用いれば,混濁部位の観察,高倍率の観察,前眼部の測量といった細隙灯顕微鏡では困難なことが容易に可能となった。さらに,広視野スペキュラーマイクロスコープによる角膜内皮の観察,レーザー共焦点顕微鏡によるin vivo biopsy,非侵襲マイボグラフィー,涙液油層の動態観察,角膜生体力学特性の測定等が登場し,今後前眼部診療も劇的に変貌するのではと予感させられる。
そこで,前眼部OCT,角膜形状解析,波面収差解析,および現在注目される前眼部画像解析を日常臨床で活用するためのガイドブックとして,「前眼部画像診断A to Z OCT・角膜形状・波面収差の読み方」を今回企画した。
本書では,前書と同様に臨床診断でキーとなる画像を示し,その画像を解読する上で重要なポイントを図示し,ビジュアルに解説するよう心がけた。
本書が,前眼部疾患の診療で少しでもお役に立てれば望外の喜びである。
末尾ながら,多忙にも関わらず快く執筆して頂いた先生方,ならびに企画,編集でお世話になっメジカルビュー社の榊原優子氏に,この場を借りて感謝申し上げる。
2016年1月
前田 直之
大鹿 哲郎
不二門 尚
ところが,近年の眼科医療のめざましい進歩に伴って,細隙灯顕微鏡の限界が明らかになり,これを補完できる前眼部画像診断が必要となってきた。
そのひとつは,角膜形状解析および波面収差解析である。角膜形状解析装置は1980年台後半に登場したが,一部の専門家に注目されただけであった。しかし屈折矯正手術の普及によって,細隙灯顕微鏡ではわからない円錐角膜の検出や術後合併症としての角膜不正乱視を診断する必要性が生じ,1990年代に一般化した。さらにwavefront-guided LASIKの登場は,屈折矯正のパラダイムシフトを起こし,2000年代には屈折矯正手術の分野に波面センサーが導入された。これらの装置で得られる検査結果の解釈は容易ではなかったことから,本書の前書である「角膜トポグラファーと波面センサー -解読のポイント」が2002年に刊行された。
その後の眼科領域におけるイメージング技術の発展は驚異的である。特に光干渉断層計(OCT)の進化は網膜や緑内障外来の治療や診療スタイルを一変させたといっても過言ではない。前眼部においてもOCTを用いれば,混濁部位の観察,高倍率の観察,前眼部の測量といった細隙灯顕微鏡では困難なことが容易に可能となった。さらに,広視野スペキュラーマイクロスコープによる角膜内皮の観察,レーザー共焦点顕微鏡によるin vivo biopsy,非侵襲マイボグラフィー,涙液油層の動態観察,角膜生体力学特性の測定等が登場し,今後前眼部診療も劇的に変貌するのではと予感させられる。
そこで,前眼部OCT,角膜形状解析,波面収差解析,および現在注目される前眼部画像解析を日常臨床で活用するためのガイドブックとして,「前眼部画像診断A to Z OCT・角膜形状・波面収差の読み方」を今回企画した。
本書では,前書と同様に臨床診断でキーとなる画像を示し,その画像を解読する上で重要なポイントを図示し,ビジュアルに解説するよう心がけた。
本書が,前眼部疾患の診療で少しでもお役に立てれば望外の喜びである。
末尾ながら,多忙にも関わらず快く執筆して頂いた先生方,ならびに企画,編集でお世話になっメジカルビュー社の榊原優子氏に,この場を借りて感謝申し上げる。
2016年1月
前田 直之
大鹿 哲郎
不二門 尚
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目次
Ⅰ 前眼部OCT を知る
検査目的
測定原理
装置別測定法
タイムドメインOCT(Visante™)
スペクトラルドメインOCT
スウェプトソースOCT(CASIA)
対象別結果の読み方
涙液
ドライアイ
結膜
角膜
角膜疾患
円錐角膜
角膜移植
屈折矯正手術
前房・隅角
閉塞隅角症・閉塞隅角緑内障
phakic IOL(ICL)
濾過胞
水晶体・白内障手術後
Ⅱ 角膜形状解析を知る
測定原理
検査目的
装置別測定法
ケラトメータ
サージカルガイダンス
PR-8000(サンコンタクトレンズ)
TMS-5(トーメーコーポレーション)
Pentacam®HR(OCULUS)
Galilei™(Zeimer)
CASIA(トーメーコーポレーション)
対象別結果の読み方
角膜
角膜疾患
角膜移植後
白内障手術
眼内レンズの適応と選択
屈折矯正手術後眼内レンズ度数計算
角膜混濁眼における眼内レンズ度数計算
トーリック眼内レンズ乱視軸決定
屈折矯正手術
術前評価
術後評価
涙液
ドライアイ
翼状片
コンタクトレンズ
コンタクトレンズによる角膜変形
オルソケラトロジー
ハードコンタクトレンズの自動処方
Ⅲ 波面収差解析を知る
波面収差とは
測定原理
検査目的
装置別測定法
オートレフ
KR-1W
OPD
iDesign®
iTrace™
Optical Quality Analysis System(OQAS)
対象別結果の読み方
角膜の収差解析
円錐角膜
ペルーシド角膜変性
水晶体
白内障
調節異常
偽水晶体眼(球面,非球面)
偽水晶体眼(トーリック)
屈折矯正手術
wavefront-guided LASIK 術前
LASIK 術後
phakic IOL 術後
涙液(連続測定)
ドライアイ
流涙症
点眼
Ⅳ 注目の前眼部画像解析
スペキュラーマイクロスコープ
レーザー共焦点顕微鏡
非侵襲的マイボグラフィー
DR-1 α
Corvis®ST
検査目的
測定原理
装置別測定法
タイムドメインOCT(Visante™)
スペクトラルドメインOCT
スウェプトソースOCT(CASIA)
対象別結果の読み方
涙液
ドライアイ
結膜
角膜
角膜疾患
円錐角膜
角膜移植
屈折矯正手術
前房・隅角
閉塞隅角症・閉塞隅角緑内障
phakic IOL(ICL)
濾過胞
水晶体・白内障手術後
Ⅱ 角膜形状解析を知る
測定原理
検査目的
装置別測定法
ケラトメータ
サージカルガイダンス
PR-8000(サンコンタクトレンズ)
TMS-5(トーメーコーポレーション)
Pentacam®HR(OCULUS)
Galilei™(Zeimer)
CASIA(トーメーコーポレーション)
対象別結果の読み方
角膜
角膜疾患
角膜移植後
白内障手術
眼内レンズの適応と選択
屈折矯正手術後眼内レンズ度数計算
角膜混濁眼における眼内レンズ度数計算
トーリック眼内レンズ乱視軸決定
屈折矯正手術
術前評価
術後評価
涙液
ドライアイ
翼状片
コンタクトレンズ
コンタクトレンズによる角膜変形
オルソケラトロジー
ハードコンタクトレンズの自動処方
Ⅲ 波面収差解析を知る
波面収差とは
測定原理
検査目的
装置別測定法
オートレフ
KR-1W
OPD
iDesign®
iTrace™
Optical Quality Analysis System(OQAS)
対象別結果の読み方
角膜の収差解析
円錐角膜
ペルーシド角膜変性
水晶体
白内障
調節異常
偽水晶体眼(球面,非球面)
偽水晶体眼(トーリック)
屈折矯正手術
wavefront-guided LASIK 術前
LASIK 術後
phakic IOL 術後
涙液(連続測定)
ドライアイ
流涙症
点眼
Ⅳ 注目の前眼部画像解析
スペキュラーマイクロスコープ
レーザー共焦点顕微鏡
非侵襲的マイボグラフィー
DR-1 α
Corvis®ST
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前眼部OCT,角膜トポグラフィー,波面センサーの基本から検査結果の解読までの知識が満載の1冊
前眼部OCT,角膜形状解析,波面収差解析についての基礎知識(概念,測定原理,検査目的,測定法)から,疾患別の検査結果の見方までを,図を中心とした紙面構成でコンパクトにわかりやすく解説。1つ1つの画像の解読は大事なポイントを検査結果画像に直接指し示しながら,理解しやすいよう簡潔にまとめて掲載。スペキュラーマイクロスコープや非侵襲的マイボグラフィーなど,最新の前眼部画像検査も紹介。