動画で見る
骨盤臓器脱の腹腔鏡手術
仙骨腟固定術を中心に
- サンプルページ
どなたでもご覧いただけます
定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
- B5判 180ページ オールカラー,イラスト30点,写真300点,DVD-Video付き
- 2015年11月30日刊行
- ISBN978-4-7583-0464-1
序文
我が国における骨盤臓器脱・尿失禁の頻度は,健康成人女性の4人に1人,出産経験者の4割とも言われているように非常に高く,その治療は女性のヘルスケアにおいて大きな意義をもっている。近年,メッシュを用いた骨盤臓器脱治療の登場によって,骨盤臓器脱に対する治療概念が大きく変化してきた。加えて骨盤臓器脱の成因や診断法に関する研究の進歩もあり,骨盤臓器脱の手術は今まさに新しく体系化が行われようとしているといえよう。
腹腔鏡手術では,腹腔や後腹膜腔を対象に接近して拡大された視野のもと,低侵襲に手術が可能である。このメリットは,深くて血管や神経・靱帯が複雑に入り組んでいる骨盤深部で最も発揮される。骨盤臓器脱の再建手術の目指すところは,損傷された靱帯,筋膜の修復またはメッシュによる補強であり,それらの筋膜や靱帯を直視下にみることができる腹腔鏡手術のメリットは大きい。
また,腹腔鏡手術はモニターを介して手術室にいるスタッフ,さらには回線で繋がった遠隔地での視聴者にも術野を共有できるという特徴を持つ。これは触覚に頼らざるを得ない部分の多い経腟手術では決して得られない大きな特長で,技の伝承や手術室スタッフの教育にも極めて有用なメリットである。
さらに,尿管や直腸の可視化による合併症の回避,子宮筋腫や卵巣嚢腫の合併例,子宮内膜症や炎症による予期しない骨盤内癒着症例など,腹腔内を直接目で観察しつつ併施手術が可能であるという腹腔鏡手術の特徴は,骨盤臓器脱手術の安全性と適応を大きく拡げ,この領域の腹腔鏡手術は今後ますます普及していくと思われる。2014年秋の腹腔鏡下膀胱脱手術の保険収載は,この傾向に更に拍車をかけることが予想される。
しかし,腹腔鏡手術には開腹手術にはないデメリットも存在することを忘れてはならない。腹腔鏡スコープの限られた視野のもとで行う手技は,時にブラインド操作から思わぬ他臓器損傷などの合併症を招き,止血操作や結紮・縫合操作がやや困難なことから,重大な転帰をもたらすことがある。その意味からも,腹腔鏡手術の基本操作の習熟,鏡視下における骨盤解剖の深い理解は,安全・確実な腹腔鏡下骨盤臓器脱手術には必要不可欠なものといえよう。
本書では,このような流れを受け,腹腔鏡手術の基本ともいうべき機器類,手術解剖学,トレーニング法にまず焦点をあて,次いで代表的な術式である仙骨腟固定術と仙骨子宮靱帯固定術の腹腔鏡下手術につき,我が国の第一人者に分担執筆を依頼した。そして動画や写真を中心にできるだけ具体的な記述をお願いした。これから骨盤臓器脱手術を始めようとする医師,よりレベルの高い腹腔鏡下手術を目指す医師双方にとって,大いに参考になる内容であると自負している。本書が我が国における骨盤臓器脱治療の発展の一助となり,一人でも多くの女性のQOL改善と輝いた老後に寄与できれば,望外の幸せである。
2015年10月吉日
明樂重夫
腹腔鏡手術では,腹腔や後腹膜腔を対象に接近して拡大された視野のもと,低侵襲に手術が可能である。このメリットは,深くて血管や神経・靱帯が複雑に入り組んでいる骨盤深部で最も発揮される。骨盤臓器脱の再建手術の目指すところは,損傷された靱帯,筋膜の修復またはメッシュによる補強であり,それらの筋膜や靱帯を直視下にみることができる腹腔鏡手術のメリットは大きい。
また,腹腔鏡手術はモニターを介して手術室にいるスタッフ,さらには回線で繋がった遠隔地での視聴者にも術野を共有できるという特徴を持つ。これは触覚に頼らざるを得ない部分の多い経腟手術では決して得られない大きな特長で,技の伝承や手術室スタッフの教育にも極めて有用なメリットである。
さらに,尿管や直腸の可視化による合併症の回避,子宮筋腫や卵巣嚢腫の合併例,子宮内膜症や炎症による予期しない骨盤内癒着症例など,腹腔内を直接目で観察しつつ併施手術が可能であるという腹腔鏡手術の特徴は,骨盤臓器脱手術の安全性と適応を大きく拡げ,この領域の腹腔鏡手術は今後ますます普及していくと思われる。2014年秋の腹腔鏡下膀胱脱手術の保険収載は,この傾向に更に拍車をかけることが予想される。
しかし,腹腔鏡手術には開腹手術にはないデメリットも存在することを忘れてはならない。腹腔鏡スコープの限られた視野のもとで行う手技は,時にブラインド操作から思わぬ他臓器損傷などの合併症を招き,止血操作や結紮・縫合操作がやや困難なことから,重大な転帰をもたらすことがある。その意味からも,腹腔鏡手術の基本操作の習熟,鏡視下における骨盤解剖の深い理解は,安全・確実な腹腔鏡下骨盤臓器脱手術には必要不可欠なものといえよう。
本書では,このような流れを受け,腹腔鏡手術の基本ともいうべき機器類,手術解剖学,トレーニング法にまず焦点をあて,次いで代表的な術式である仙骨腟固定術と仙骨子宮靱帯固定術の腹腔鏡下手術につき,我が国の第一人者に分担執筆を依頼した。そして動画や写真を中心にできるだけ具体的な記述をお願いした。これから骨盤臓器脱手術を始めようとする医師,よりレベルの高い腹腔鏡下手術を目指す医師双方にとって,大いに参考になる内容であると自負している。本書が我が国における骨盤臓器脱治療の発展の一助となり,一人でも多くの女性のQOL改善と輝いた老後に寄与できれば,望外の幸せである。
2015年10月吉日
明樂重夫
全文表示する
閉じる
目次
1 腹腔鏡手術の意義と必要物品
骨盤臓器脱手術における腹腔鏡の意義とは
腹腔鏡手術の発展の歴史
腹腔鏡手術の現状
骨盤臓器脱手術における腹腔鏡手術のメリット
腹腔鏡手術におけるLSCの位置づけ
骨盤臓器脱に対する腹腔鏡手術における必要物品
光学システム
腹腔鏡スコープ/腹腔鏡ユニット
電気メス
モノポーラ電気メス/バイポーラ電気メス
鉗子類
把持鉗子,剥離鉗子,開窓鉗子,クロー鉗子,挟鉗子/持針器/体外結紮用糸送り器
臓器展開のための器機類
自在鉤(スパーテル)/直腸プローブ/ヘガール子宮頸管拡張器/セクレア/モルセレーター
メッシュ
結紮用糸
リトラクターホルダー
2 骨盤臓器脱手術に必要な解剖—腹腔鏡視野による術野解剖—
骨盤腔
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)に必要な解剖
椎体前面
L5からL5/S1椎間板上/仙骨前面
神経の走行
直腸右側
直腸の剥離
膀胱の剥離
LSCの解剖のまとめ
腹腔鏡下仙骨子宮靱帯縫縮術(LULS)に必要な解剖
仙骨子宮靱帯の変化
仙骨子宮靱帯の解剖(縫合可能な範囲)
内外側/腹背側/頭尾側
腟式手技における仙骨子宮靱帯
LULSの解剖のまとめ
おわりに
3 LSCの歴史と適応
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)の歴史
ASCの登場と発展
ASCからLSCへ
ダブルメッシュ法への進化
子宮脱への対応
ロボット支援手術の登場とLSCの今後
LSCの適応
LSCの比較的禁忌
LSCの成績
LSCの周術期成績
LSCの長期フォローアップ成績
4 LSCの基本手技① TVMとの比較を意識して
日本式LSC
LSCとTVMの比較
フランス式LSCとTVM手術との類似
メッシュ留置の層と,そのための剥離法
液性剥離とCO2剥離
アンカリングについて
アンカリングの実際
望ましい剥離法
LSCの基本手技の実際
器具,材料
使用するメッシュの形/光学システム/基本的な器具と材料
体位とポート位置
手術手技
“手術の場”の作成/後腹膜腔での手術手技
子宮の取り出しと閉創
稿を終えるにあたって
5 LSCの基本手技② 病態に応じた術式最適化プロトコル:LSC-Fit
背景
骨盤臓器脱治療のゴールドスタンダードであるLSCとは
メッシュ手術への社会的関心とLSCの関係
未来志向のLSC
術式最適化プロトコル:LSC-Fit
LSC-Fitとは
V-Loc式後腟壁形成術/フラップ式会陰形成術/ハイブリッド型LSC
LSC-Fitに必要な術前検査法
POP全体像を把握/前腟壁のLevelⅡ損傷を把握/後腟壁:LevelⅡ,Ⅲ(直腸腟筋膜〜会陰帯)損傷を把握
LSC-Fitの実際
基本的な器具と材料
光学システム/器具と材料/メッシュ/縫合糸
体位とポート位置
良好な術野の確保
頭低位の調整/癒着剥離/S状結腸の吊り上げ/子宮・腟管・直腸のマニピュレーション
メソッド1:a-LSC(anterior mesh)
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド2:a-LSC+V-Loc式後腟壁形成術:barbed suture method(ab-LSC)
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド3:d-LSC(double mesh)
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド4:a-LSC+フラップ式会陰形成術(af-LSC)
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド5:a-LSC+paravaginal repair
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド6:hybrid d-LSC
適応/特徴/実際の手順(ステップ)
おわりに
6 LSCの応用:子宮温存術式
適応
手技の実際
メッシュの型
体位とトロカー挿入
展開
S状結腸の吊り上げ/岬角からの腹膜切開/後壁剥離/後壁メッシュの仙骨子宮靱帯への固定/広間膜の開窓/前壁剥離(近位部)/前壁剥離(遠位部)/前壁メッシュの固定/前壁メッシュの子宮頸部への固定/前壁メッシュアームを広間膜に通す/骨盤腹膜の縫合/岬角露出と前壁メッシュアームの固定/後壁メッシュアームの岬角固定/腹膜縫合(後腹膜・膀胱子宮窩)/閉創
おわりに
7 LSCの合併症とTOTの実際
術中合併症
角仙骨前面からの出血
後腟壁・直腸損傷
膀胱・前腟壁損傷
術後合併症
メッシュ露出
脊椎炎
膀胱仙骨瘻・膀胱腟瘻
尿管狭窄
肛門痛
機能的合併症(腹圧性尿失禁)とTOT手術
TOT手術手技
術前処置,麻酔,体位
手術手技
中部尿道スリング手術の適切なテープ位置/腟壁の切開/膀胱鏡とニードルの挿入/テープの誘導/膀胱鏡検査/テープのテンション調整/余剰テープの切断,創の洗浄
術後管理
排尿困難と尿禁制が不十分な時の対応
おわりに
8 腹腔鏡下腟断端仙骨子宮靱帯固定術の手技と適応
NTR(仙骨子宮靱帯固定法)の適応
経腟手術か腹腔鏡下手術か
腟断端固定術
仙棘靱帯固定法(sacrospinous ligament fixation;SSLF)/仙骨子宮靱帯固定法(uterosacral ligament suspension;USLS)
腹腔鏡下仙骨子宮靱帯固定法(Shull法)の手順
トロカー配置
仙骨子宮靱帯・尿管・子宮動脈・骨盤神経叢の同定
腟断端仙骨子宮靱帯固定
後腹膜の連続縫合・閉鎖
膀胱鏡検査
当科の腹腔鏡下NTRのまとめ
まとめ
9 カダバーを用いた腹腔鏡トレーニングの実際
Cadaver trainingの目的
カダバーの種類と特徴
準備
実施計画書の提出
解剖前の講義と遺体に対する敬意
手術の準備
カダバーによるLSCの実際
トロカーの挿入と腸管挙上
付属器切除と腟上部切断術
直腸腟中隔の開放と後方メッシュの固定
膀胱腟中隔の開放と前方メッシュの固定
前方,後方メッシュの子宮頸部への固定
メッシュの前縦靱帯への固定
腹膜縫合
マクロ解剖と子宮の摘出
後片付けと実施報告書の提出
おわりに
骨盤臓器脱手術における腹腔鏡の意義とは
腹腔鏡手術の発展の歴史
腹腔鏡手術の現状
骨盤臓器脱手術における腹腔鏡手術のメリット
腹腔鏡手術におけるLSCの位置づけ
骨盤臓器脱に対する腹腔鏡手術における必要物品
光学システム
腹腔鏡スコープ/腹腔鏡ユニット
電気メス
モノポーラ電気メス/バイポーラ電気メス
鉗子類
把持鉗子,剥離鉗子,開窓鉗子,クロー鉗子,挟鉗子/持針器/体外結紮用糸送り器
臓器展開のための器機類
自在鉤(スパーテル)/直腸プローブ/ヘガール子宮頸管拡張器/セクレア/モルセレーター
メッシュ
結紮用糸
リトラクターホルダー
2 骨盤臓器脱手術に必要な解剖—腹腔鏡視野による術野解剖—
骨盤腔
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)に必要な解剖
椎体前面
L5からL5/S1椎間板上/仙骨前面
神経の走行
直腸右側
直腸の剥離
膀胱の剥離
LSCの解剖のまとめ
腹腔鏡下仙骨子宮靱帯縫縮術(LULS)に必要な解剖
仙骨子宮靱帯の変化
仙骨子宮靱帯の解剖(縫合可能な範囲)
内外側/腹背側/頭尾側
腟式手技における仙骨子宮靱帯
LULSの解剖のまとめ
おわりに
3 LSCの歴史と適応
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)の歴史
ASCの登場と発展
ASCからLSCへ
ダブルメッシュ法への進化
子宮脱への対応
ロボット支援手術の登場とLSCの今後
LSCの適応
LSCの比較的禁忌
LSCの成績
LSCの周術期成績
LSCの長期フォローアップ成績
4 LSCの基本手技① TVMとの比較を意識して
日本式LSC
LSCとTVMの比較
フランス式LSCとTVM手術との類似
メッシュ留置の層と,そのための剥離法
液性剥離とCO2剥離
アンカリングについて
アンカリングの実際
望ましい剥離法
LSCの基本手技の実際
器具,材料
使用するメッシュの形/光学システム/基本的な器具と材料
体位とポート位置
手術手技
“手術の場”の作成/後腹膜腔での手術手技
子宮の取り出しと閉創
稿を終えるにあたって
5 LSCの基本手技② 病態に応じた術式最適化プロトコル:LSC-Fit
背景
骨盤臓器脱治療のゴールドスタンダードであるLSCとは
メッシュ手術への社会的関心とLSCの関係
未来志向のLSC
術式最適化プロトコル:LSC-Fit
LSC-Fitとは
V-Loc式後腟壁形成術/フラップ式会陰形成術/ハイブリッド型LSC
LSC-Fitに必要な術前検査法
POP全体像を把握/前腟壁のLevelⅡ損傷を把握/後腟壁:LevelⅡ,Ⅲ(直腸腟筋膜〜会陰帯)損傷を把握
LSC-Fitの実際
基本的な器具と材料
光学システム/器具と材料/メッシュ/縫合糸
体位とポート位置
良好な術野の確保
頭低位の調整/癒着剥離/S状結腸の吊り上げ/子宮・腟管・直腸のマニピュレーション
メソッド1:a-LSC(anterior mesh)
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド2:a-LSC+V-Loc式後腟壁形成術:barbed suture method(ab-LSC)
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド3:d-LSC(double mesh)
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド4:a-LSC+フラップ式会陰形成術(af-LSC)
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド5:a-LSC+paravaginal repair
適応と術式/特徴/実際の手順(ステップ)
メソッド6:hybrid d-LSC
適応/特徴/実際の手順(ステップ)
おわりに
6 LSCの応用:子宮温存術式
適応
手技の実際
メッシュの型
体位とトロカー挿入
展開
S状結腸の吊り上げ/岬角からの腹膜切開/後壁剥離/後壁メッシュの仙骨子宮靱帯への固定/広間膜の開窓/前壁剥離(近位部)/前壁剥離(遠位部)/前壁メッシュの固定/前壁メッシュの子宮頸部への固定/前壁メッシュアームを広間膜に通す/骨盤腹膜の縫合/岬角露出と前壁メッシュアームの固定/後壁メッシュアームの岬角固定/腹膜縫合(後腹膜・膀胱子宮窩)/閉創
おわりに
7 LSCの合併症とTOTの実際
術中合併症
角仙骨前面からの出血
後腟壁・直腸損傷
膀胱・前腟壁損傷
術後合併症
メッシュ露出
脊椎炎
膀胱仙骨瘻・膀胱腟瘻
尿管狭窄
肛門痛
機能的合併症(腹圧性尿失禁)とTOT手術
TOT手術手技
術前処置,麻酔,体位
手術手技
中部尿道スリング手術の適切なテープ位置/腟壁の切開/膀胱鏡とニードルの挿入/テープの誘導/膀胱鏡検査/テープのテンション調整/余剰テープの切断,創の洗浄
術後管理
排尿困難と尿禁制が不十分な時の対応
おわりに
8 腹腔鏡下腟断端仙骨子宮靱帯固定術の手技と適応
NTR(仙骨子宮靱帯固定法)の適応
経腟手術か腹腔鏡下手術か
腟断端固定術
仙棘靱帯固定法(sacrospinous ligament fixation;SSLF)/仙骨子宮靱帯固定法(uterosacral ligament suspension;USLS)
腹腔鏡下仙骨子宮靱帯固定法(Shull法)の手順
トロカー配置
仙骨子宮靱帯・尿管・子宮動脈・骨盤神経叢の同定
腟断端仙骨子宮靱帯固定
後腹膜の連続縫合・閉鎖
膀胱鏡検査
当科の腹腔鏡下NTRのまとめ
まとめ
9 カダバーを用いた腹腔鏡トレーニングの実際
Cadaver trainingの目的
カダバーの種類と特徴
準備
実施計画書の提出
解剖前の講義と遺体に対する敬意
手術の準備
カダバーによるLSCの実際
トロカーの挿入と腸管挙上
付属器切除と腟上部切断術
直腸腟中隔の開放と後方メッシュの固定
膀胱腟中隔の開放と前方メッシュの固定
前方,後方メッシュの子宮頸部への固定
メッシュの前縦靱帯への固定
腹膜縫合
マクロ解剖と子宮の摘出
後片付けと実施報告書の提出
おわりに
全文表示する
閉じる
次世代のスタンダード骨盤臓器脱に対する“腹腔鏡下手術”
わが国において骨盤臓器脱・尿失禁は,成人女性の4人に1人,出産経験者では4割の発症頻度といわれ,産婦人科医,泌尿器科医が克服しなければならない重要疾患のひとつである。この骨盤臓器脱の再建手術のなかで,腹腔鏡手術の進歩に伴って近年注目を集めているのが「腹腔鏡下仙骨腟固定術」である。腹腔鏡手術の大きなメリットである低侵襲と,拡大視野の下での安全で正確な手術が骨盤臓器脱に対しても可能となり,今後ますます普及していくと思われる。
この手術手技を,豊富な図版とDVD収載の動画によってエキスパートが解説したのが本書である。MaCall法の腹腔鏡下手術の項を加え,骨盤臓器脱に対する腹腔鏡手術を安全・確実に行うためのノウ・ハウを学んで頂きたい。