すぐよくわかる
リンパ腫のやさしい講義
定価 4,620円(税込) (本体4,200円+税)
- A5判 184ページ オールカラー
- 2015年7月13日刊行
- ISBN978-4-7583-0390-3
電子版
序文
リンパ腫は,診断や治療が多岐にわたり専門家でも判断に迷うことのある疾患です。
病理組織分類が難しく,病理診断のレポートは最終診断名しか読まない,というそこのあなた,リンパ腫の診断を病理医任せにしていませんか? また,治療法の進歩になかなかついていけず,診療ガイドライン片手に日夜奮闘していませんか?
リンパ腫の診断は,病理診断のみならず,免疫学や遺伝子学などを総合した診断が重要です。近年臨床医も臨床病態のみならず,細胞表面形質,染色体検査や遺伝子検査などを総合的に判断し,病理医と相互のコミュニケーションをとることにより,より早く,より正確な病理組織診断を得ることが可能となってきました。治療方法も多岐にわたり新薬がつぎつぎと開発され,予後は改善されていますが,日常診療においても治療方法の選択の判断に迷うことも少なくありません。
また,リンパ腫は全身のいたるところに発生しますので,血液内科以外の診療科との連携が非常に重要であり,節外性リンパ腫のなかには発生部位に特異的な検査や治療を行う必要がある場合があります。
本書は,これだけは知っていておいてほしいという内容を講義形式でまとめ,代表的な疾患単位については各疾患の臨床所見,治療のエビデンス,などを中心に記載し,臨床医にも知っておいていただきたい最低限の病理組織診断のポイントも述べました。また,ワンポイントレッスンでは必ず知っておいていただきたい基本事項,スキルアップレッスンでは最近のトピックスを中心にお話し,最低限知っておきたい最新の診断や治療方法についても網羅したつもりです。
これからリンパ腫診療をはじめる研修医,若手医師,看護師,薬剤師のみならず,血液内科医,病理医,腫瘍内科医などが,気軽にお読みいただける一冊となっていると思います。
本書をお読みいただくことにより,よりリンパ腫診療や研究に興味を持っていただけると幸いです。
2015年7月
新津 望
病理組織分類が難しく,病理診断のレポートは最終診断名しか読まない,というそこのあなた,リンパ腫の診断を病理医任せにしていませんか? また,治療法の進歩になかなかついていけず,診療ガイドライン片手に日夜奮闘していませんか?
リンパ腫の診断は,病理診断のみならず,免疫学や遺伝子学などを総合した診断が重要です。近年臨床医も臨床病態のみならず,細胞表面形質,染色体検査や遺伝子検査などを総合的に判断し,病理医と相互のコミュニケーションをとることにより,より早く,より正確な病理組織診断を得ることが可能となってきました。治療方法も多岐にわたり新薬がつぎつぎと開発され,予後は改善されていますが,日常診療においても治療方法の選択の判断に迷うことも少なくありません。
また,リンパ腫は全身のいたるところに発生しますので,血液内科以外の診療科との連携が非常に重要であり,節外性リンパ腫のなかには発生部位に特異的な検査や治療を行う必要がある場合があります。
本書は,これだけは知っていておいてほしいという内容を講義形式でまとめ,代表的な疾患単位については各疾患の臨床所見,治療のエビデンス,などを中心に記載し,臨床医にも知っておいていただきたい最低限の病理組織診断のポイントも述べました。また,ワンポイントレッスンでは必ず知っておいていただきたい基本事項,スキルアップレッスンでは最近のトピックスを中心にお話し,最低限知っておきたい最新の診断や治療方法についても網羅したつもりです。
これからリンパ腫診療をはじめる研修医,若手医師,看護師,薬剤師のみならず,血液内科医,病理医,腫瘍内科医などが,気軽にお読みいただける一冊となっていると思います。
本書をお読みいただくことにより,よりリンパ腫診療や研究に興味を持っていただけると幸いです。
2015年7月
新津 望
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目次
1 悪性リンパ腫を正確に診断するために
悪性リンパ腫の定義、疫学、分類
悪性リンパ腫の発生要因
2 リンパ節が腫れる疾患を鑑別するために
リンパ節腫大を診たときの診察上の留意点、対応
リンパ節生検のタイミング
3 リンパ腫を治療する前に知っておきたいこと
リンパ腫の正確な病理組織分類(病型分類)を得るために
臨床病期分類(Ann Arbor分類);病変の広がりを正確に把握するために
4 知っておくと便利;リンパ腫の予後因子について学びましょう
よく使われるアグレッシブリンパ腫に対する国際予後指標(IPI)を知っておきましょう
これも知っておくと便利 進行期ホジキンリンパ腫の国際予後スコア(IPS)
5 リンパ腫といえば;ホジキンリンパ腫
HLの疾患概念について
HLの臨床所見について
6 臨床医が知っておきたいホジキンリンパ腫の診断
知っておきたいHLの病理組織所見
本当に診断はHLでよいでしょうか?
7 古典的ホジキンリンパ腫の治療方針を決定するために
HLの限局期とは?
限局期HLの予後良好群と予後不良群
8 限局期古典的ホジキンリンパ腫の治療方針
限局期CHLに対する初回治療
予後良好限局期CHLの治療方針
予後不良限局期CHLの治療方針
9 進行期古典的ホジキンリンパ腫の治療方針
進行期CHLに対する初回治療
進行期CHLにおいてBEACOPP療法はABVD療法より有効か?
晩期障害のモニタリングについて
10 再発または難治性古典的ホジキンリンパ腫の治療方針;期待の新薬も登場
若年者再発CHLに対して自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は有用か?
期待の新薬;ブレンツキシマブベドチン登場
結節性リンパ球優位型HLの治療について
11 非ホジキンリンパ腫は、なぜ多くの病型に分けることが必要か
多くの病理組織型に分けることがなぜ必要か?
NHLの治療を行ううえで大切なことは?
12 非ホジキンリンパ腫を治療するために知っておきたいポイント;薬物有害事象とその対策を中心に
まず、化学療法開始前にどのような検査を行わないといけないか
化学療法薬の有害事象について復習しておきましょう
13 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療を開始する前に知っておきたいこと
DLBCLの臨床的特徴について
臨床医が知っておきたいDLBCLの病理組織診断のポイント
14 限局期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針
DLBCLの治療方針はどのように決定するか
B細胞リンパ腫の治療にはかかせないリツキシマブについて
それでは限局期DLBCLに対する治療方針を説明します
15 進行期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針
進行期DLBCLに対する標準治療は、なぜCHOP療法なのか?
リツキシマブの登場により進行期DLBCLの治療成績は向上したか?
進行期DLBCLに対する治療方針
地固め療法としての自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は推奨されるか?
16 再発または難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針
まずは、PARMA試験を知っておきましょう
救援化学療法にリツキシマブを併用することが有用か?
CORAL試験についても知っておきましょう
17 最近話題の中間型リンパ腫
BCLUとはどのような病型でしょうか
BCLUの組織学的所見について
BCLU、特にDHLの治療について
18 血液内科医以外が診断することの多い節外性リンパ腫の基本知識
節外性リンパ腫の特徴を知っておきましょう
節外性リンパ腫は、発生する場所と病理組織型で予後が異なる
消化器内科の先生が診断、治療を行うことの多い胃MALTリンパ腫について
19 知っておきたい消化管B細胞リンパ腫について
消化管原発リンパ腫について
胃原発DLBCLの病期分類;Lugano分類を知っておきましょう
胃原発DLBCLの治療について
20 代表的な節外性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
PCNSLの臨床的特徴と画像診断
PCNSLの治療は節性DLBCLとどこが異なるのか?
精巣原発DLBCLの臨床的特徴と治療方針について
21 不明熱の鑑別で重要な血管内大細胞型B細胞リンパ腫
IVLBCLを知っていますか
IVLBCLはどのような臨床的特徴があるのでしょうか
それではどうやってIVLBCL診断をするのでしょうか
IVLBCLの治療方針について
22 知っておきたい濾胞性リンパ腫の基礎知識
FLの臨床的特徴について
FLの病理組織所見、染色体所見
FLの予後予測因子
23 濾胞性リンパ腫の治療方針
FLの治療方針
進行期低腫瘍量FLの治療方針
進行期高腫瘍量FLの治療方針
リツキシマブ維持療法
24 R-CHOP 療法では予後不良なマントル細胞リンパ腫
MCLの臨床病理学的特徴
MCLの治療方針
MCLに対する新薬
25 再発あるいは治療抵抗性低悪性度リンパ腫の治療
まずは、現在も使用可能な2つの薬剤について
今後期待される新薬について
26 急速に進行するバーキットリンパ腫
まず初めにBLの臨床的特徴について
次にBLの病理学的特徴について
BLの治療方針
27 T細胞リンパ腫を代表する末梢性T細胞リンパ腫, 非特異群
PTCL-NOSの臨床的特徴について
PTCL-NOSの治療方針
28 T 細胞リンパ腫のなかでは予後が良好な未分化大細胞型リンパ腫
ALCLの臨床的特徴について
ALCLの治療方針
29 臨床的にも病理学的にも鑑別の難しい血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
AITLの臨床的特徴について
AITLの治療方針
30 日本人に多い成人T 細胞白血病・リンパ腫
ATLの臨床的特徴について
ATLの治療方針
31 特殊な病型でアジアに多い節外性NK/T細胞リンパ腫, 鼻型
ENKLの臨床的特徴について
ENKLの治療方針
悪性リンパ腫の定義、疫学、分類
悪性リンパ腫の発生要因
2 リンパ節が腫れる疾患を鑑別するために
リンパ節腫大を診たときの診察上の留意点、対応
リンパ節生検のタイミング
3 リンパ腫を治療する前に知っておきたいこと
リンパ腫の正確な病理組織分類(病型分類)を得るために
臨床病期分類(Ann Arbor分類);病変の広がりを正確に把握するために
4 知っておくと便利;リンパ腫の予後因子について学びましょう
よく使われるアグレッシブリンパ腫に対する国際予後指標(IPI)を知っておきましょう
これも知っておくと便利 進行期ホジキンリンパ腫の国際予後スコア(IPS)
5 リンパ腫といえば;ホジキンリンパ腫
HLの疾患概念について
HLの臨床所見について
6 臨床医が知っておきたいホジキンリンパ腫の診断
知っておきたいHLの病理組織所見
本当に診断はHLでよいでしょうか?
7 古典的ホジキンリンパ腫の治療方針を決定するために
HLの限局期とは?
限局期HLの予後良好群と予後不良群
8 限局期古典的ホジキンリンパ腫の治療方針
限局期CHLに対する初回治療
予後良好限局期CHLの治療方針
予後不良限局期CHLの治療方針
9 進行期古典的ホジキンリンパ腫の治療方針
進行期CHLに対する初回治療
進行期CHLにおいてBEACOPP療法はABVD療法より有効か?
晩期障害のモニタリングについて
10 再発または難治性古典的ホジキンリンパ腫の治療方針;期待の新薬も登場
若年者再発CHLに対して自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は有用か?
期待の新薬;ブレンツキシマブベドチン登場
結節性リンパ球優位型HLの治療について
11 非ホジキンリンパ腫は、なぜ多くの病型に分けることが必要か
多くの病理組織型に分けることがなぜ必要か?
NHLの治療を行ううえで大切なことは?
12 非ホジキンリンパ腫を治療するために知っておきたいポイント;薬物有害事象とその対策を中心に
まず、化学療法開始前にどのような検査を行わないといけないか
化学療法薬の有害事象について復習しておきましょう
13 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療を開始する前に知っておきたいこと
DLBCLの臨床的特徴について
臨床医が知っておきたいDLBCLの病理組織診断のポイント
14 限局期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針
DLBCLの治療方針はどのように決定するか
B細胞リンパ腫の治療にはかかせないリツキシマブについて
それでは限局期DLBCLに対する治療方針を説明します
15 進行期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針
進行期DLBCLに対する標準治療は、なぜCHOP療法なのか?
リツキシマブの登場により進行期DLBCLの治療成績は向上したか?
進行期DLBCLに対する治療方針
地固め療法としての自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は推奨されるか?
16 再発または難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針
まずは、PARMA試験を知っておきましょう
救援化学療法にリツキシマブを併用することが有用か?
CORAL試験についても知っておきましょう
17 最近話題の中間型リンパ腫
BCLUとはどのような病型でしょうか
BCLUの組織学的所見について
BCLU、特にDHLの治療について
18 血液内科医以外が診断することの多い節外性リンパ腫の基本知識
節外性リンパ腫の特徴を知っておきましょう
節外性リンパ腫は、発生する場所と病理組織型で予後が異なる
消化器内科の先生が診断、治療を行うことの多い胃MALTリンパ腫について
19 知っておきたい消化管B細胞リンパ腫について
消化管原発リンパ腫について
胃原発DLBCLの病期分類;Lugano分類を知っておきましょう
胃原発DLBCLの治療について
20 代表的な節外性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
PCNSLの臨床的特徴と画像診断
PCNSLの治療は節性DLBCLとどこが異なるのか?
精巣原発DLBCLの臨床的特徴と治療方針について
21 不明熱の鑑別で重要な血管内大細胞型B細胞リンパ腫
IVLBCLを知っていますか
IVLBCLはどのような臨床的特徴があるのでしょうか
それではどうやってIVLBCL診断をするのでしょうか
IVLBCLの治療方針について
22 知っておきたい濾胞性リンパ腫の基礎知識
FLの臨床的特徴について
FLの病理組織所見、染色体所見
FLの予後予測因子
23 濾胞性リンパ腫の治療方針
FLの治療方針
進行期低腫瘍量FLの治療方針
進行期高腫瘍量FLの治療方針
リツキシマブ維持療法
24 R-CHOP 療法では予後不良なマントル細胞リンパ腫
MCLの臨床病理学的特徴
MCLの治療方針
MCLに対する新薬
25 再発あるいは治療抵抗性低悪性度リンパ腫の治療
まずは、現在も使用可能な2つの薬剤について
今後期待される新薬について
26 急速に進行するバーキットリンパ腫
まず初めにBLの臨床的特徴について
次にBLの病理学的特徴について
BLの治療方針
27 T細胞リンパ腫を代表する末梢性T細胞リンパ腫, 非特異群
PTCL-NOSの臨床的特徴について
PTCL-NOSの治療方針
28 T 細胞リンパ腫のなかでは予後が良好な未分化大細胞型リンパ腫
ALCLの臨床的特徴について
ALCLの治療方針
29 臨床的にも病理学的にも鑑別の難しい血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
AITLの臨床的特徴について
AITLの治療方針
30 日本人に多い成人T 細胞白血病・リンパ腫
ATLの臨床的特徴について
ATLの治療方針
31 特殊な病型でアジアに多い節外性NK/T細胞リンパ腫, 鼻型
ENKLの臨床的特徴について
ENKLの治療方針
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