神経内科外来シリーズ 4
てんかん外来
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定価 7,700円(税込) (本体7,000円+税)
- B5変型判 232ページ 2色(一部カラー),写真100点
- 2016年1月18日刊行
- ISBN978-4-7583-0385-9
電子版
序文
てんかんの有病率は人口の約1%といわれており,決して稀な疾患ではない。最近の統計では世界で7,000万人の患者数といわれており,神経疾患としてはcommon diseaseであり,神経内科医に限らず,一般のクリニックでも診療する機会の多い疾患といえる。
現在では,70%の患者さんが適切な抗てんかん薬内服治療により発作を抑えるこができ,普通の日常・社会生活を送ることができている。更に,2年以上発作がなければ自動車運転免許も取得できる。このことは外来でのてんかん治療および管理が非常に大切であることを意味している。また,新規抗てんかん薬も次々と開発されてきており,てんかんは決して治療困難な疾患ではないことを強調したい。
薬物療法でも治療困難な難治(薬物抵抗性)てんかんに対しては,適応を見極めたてんかん外科治療が行われる。その結果,難治性内側側頭葉てんかんでは60〜90%以上の患者さんが完治している。患者さんにとってより侵襲の少ない迷走神経刺激療法といった新しい外科的補充療法も開発され,かつその有効性も確認されており,難治てんかん治療法の選択肢として,外科治療を説明する知識も医師には欠かすことのできない現況である。
本書は,3章で構成されており,第Ⅰ章は「てんかんについての基礎知識」として,疫学,分類および遺伝について理解できるようになっている。第Ⅱ章では「外来診療の基本的な流れ」として,診察から診断,および治療について簡潔に,分かり易く纏めてもらっている。てんかん患者さんは発作を抑えながら日常および社会生活を送っており,社会的な支援を欠かすことはできない。この章では,医療助成に必要な法律や行政支援,および改正道路交通法についても解説している。第Ⅲ章では,Case Studyとして症例から具体的なてんかんの診断と治療を学べるようにしている。
本書は,一般の先生方にもてんかんがより分かり易い内容になるように執筆の先生方にはお願いいたしました。外来で診療する可能性の高いてんかんについて,本書はてんかんを専門としない先生方にとっても日常の診療に即活かせるものであると確信しています。
最後に,執筆いただきました先生方ならびに編集いただいたメジカルビュー社の安原範生氏および編集部の皆様に深謝いたします。
2015年12月
国際医療福祉大学福岡保健医療学部学部長
産業医科大学名誉教授
辻 貞俊
現在では,70%の患者さんが適切な抗てんかん薬内服治療により発作を抑えるこができ,普通の日常・社会生活を送ることができている。更に,2年以上発作がなければ自動車運転免許も取得できる。このことは外来でのてんかん治療および管理が非常に大切であることを意味している。また,新規抗てんかん薬も次々と開発されてきており,てんかんは決して治療困難な疾患ではないことを強調したい。
薬物療法でも治療困難な難治(薬物抵抗性)てんかんに対しては,適応を見極めたてんかん外科治療が行われる。その結果,難治性内側側頭葉てんかんでは60〜90%以上の患者さんが完治している。患者さんにとってより侵襲の少ない迷走神経刺激療法といった新しい外科的補充療法も開発され,かつその有効性も確認されており,難治てんかん治療法の選択肢として,外科治療を説明する知識も医師には欠かすことのできない現況である。
本書は,3章で構成されており,第Ⅰ章は「てんかんについての基礎知識」として,疫学,分類および遺伝について理解できるようになっている。第Ⅱ章では「外来診療の基本的な流れ」として,診察から診断,および治療について簡潔に,分かり易く纏めてもらっている。てんかん患者さんは発作を抑えながら日常および社会生活を送っており,社会的な支援を欠かすことはできない。この章では,医療助成に必要な法律や行政支援,および改正道路交通法についても解説している。第Ⅲ章では,Case Studyとして症例から具体的なてんかんの診断と治療を学べるようにしている。
本書は,一般の先生方にもてんかんがより分かり易い内容になるように執筆の先生方にはお願いいたしました。外来で診療する可能性の高いてんかんについて,本書はてんかんを専門としない先生方にとっても日常の診療に即活かせるものであると確信しています。
最後に,執筆いただきました先生方ならびに編集いただいたメジカルビュー社の安原範生氏および編集部の皆様に深謝いたします。
2015年12月
国際医療福祉大学福岡保健医療学部学部長
産業医科大学名誉教授
辻 貞俊
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目次
Ⅰ てんかんについての基礎知識
てんかんとは 辻 貞俊
てんかんの疫学
てんかんの定義
てんかんの消失とは
実用的臨床定義の提案への対応の動き
てんかんと鑑別すべきけいれん発作
てんかんの分類 飛松省三
はじめに
てんかん発作なのか
てんかん分類のとらえ方
1981年発作分類と1989年てんかん分類の特徴
2010年報告の概要
外来診療での留意点
てんかんの疫学 赤松直樹ほか
はじめに
疫学調査研究におけるてんかんの概念・定義
てんかんの疫学における用語
てんかんの疫学調査方法
有病率と発病率
てんかん発作型・症候群分類の疫学
てんかんの予後
てんかんでの遺伝子異常 石井敦士ほか
はじめに
進行性ミオクローヌスてんかん
素因性てんかん
おわり
Ⅱ 外来診察の基本的な流れ
診察・診断の流れ 赤松直樹ほか
てんかんの診断には病歴が重要
目撃者からの病歴
患者本人からの発作の病歴
既往歴
家族歴
発作型別病歴聴取のポイント
診断に必要な検査 吉村 元ほか
はじめに
てんかんの診断に必要な検査
脳波検査
頭部MRI
SPECT、PET
神経心理検査
鑑別診断 井上岳司ほか
はじめに
てんかんの診断フローチャート
詳細な問診(情報収集)
免疫学的異常が示唆される疾患
最後に
●基本的な治療の進め方
薬物療法:成人てんかん 中野 仁ほか
診断
抗てんかん薬の選択
抗てんかん薬の開始・増量・変更の方法
薬物療法:小児てんかん 伊藤 進ほか
はじめに
抗てんかん薬の開始
抗てんかん薬の選択
抗てんかん薬の処方
おわりに
薬物療法:難治てんかん 須貝研司
難治てんかんとは
真の難治てんかんと見せかけの難治てんかん
難治てんかんへの対応と基本的検討
見せかけの難治性の鑑別と見せかけの難治性への対応
真の難治てんかんへの対応
外科的治療 稲次基希ほか
はじめに
外科治療が可能なてんかん
外科治療を考慮するタイミング
外科手術の各論
治療の終結 高田こずえほか
はじめに
治療終結を検討する際に考慮すべき項目
妊娠可能年齢の女性における投薬調整
具体的な減量方法と注意点
治療終結後のフォローと予後
まとめ
予後、治療成績 表 芳夫ほか
薬物治療による発作の転帰
外科治療の転帰
認知および社会的予後
予期せぬ突然死
女性(妊娠)への対応 平田幸一ほか
はじめに
妊娠前に必要なこと
妊娠中に必要な知識
出産後の注意
おわりに
改正道路交通法・処罰法への対応 松浦雅人
はじめに
新しい道路交通法
任意通報制度は不正運転を減らすか
新しい刑事特別法
運転禁止/注意薬物に関する厚生労働省課長通達
日本てんかん学会と警察庁による実態調査
医療・福祉制度 渡邊さつきほか
はじめに
医療費の支援
生活費の支援
日常生活の支援
Ⅲ Case Study:症例を通しててんかんを学ぶ
側頭葉てんかん 赤松直樹ほか
前頭葉てんかん 重藤寛史
頭頂葉てんかん 藤井正美
後頭葉てんかん 坂口友理ほか
笑い発作 亀山茂樹
全般強直間代発作のみを示すてんかん 神 一敬
若年ミオクロニーてんかん(JME) 千葉 茂
欠神てんかん 竹田加奈子ほか
Lennox-Gastaut症候群 白石秀明
West症候群 小川 厚
脱力発作 川合謙介
高齢者てんかん 山野光彦ほか
てんかん重積状態:けいれん性 溝渕雅広
てんかん重積状態:非けいれん性 永山正雄
心因性非てんかん性発作 兼本浩祐
てんかんとは 辻 貞俊
てんかんの疫学
てんかんの定義
てんかんの消失とは
実用的臨床定義の提案への対応の動き
てんかんと鑑別すべきけいれん発作
てんかんの分類 飛松省三
はじめに
てんかん発作なのか
てんかん分類のとらえ方
1981年発作分類と1989年てんかん分類の特徴
2010年報告の概要
外来診療での留意点
てんかんの疫学 赤松直樹ほか
はじめに
疫学調査研究におけるてんかんの概念・定義
てんかんの疫学における用語
てんかんの疫学調査方法
有病率と発病率
てんかん発作型・症候群分類の疫学
てんかんの予後
てんかんでの遺伝子異常 石井敦士ほか
はじめに
進行性ミオクローヌスてんかん
素因性てんかん
おわり
Ⅱ 外来診察の基本的な流れ
診察・診断の流れ 赤松直樹ほか
てんかんの診断には病歴が重要
目撃者からの病歴
患者本人からの発作の病歴
既往歴
家族歴
発作型別病歴聴取のポイント
診断に必要な検査 吉村 元ほか
はじめに
てんかんの診断に必要な検査
脳波検査
頭部MRI
SPECT、PET
神経心理検査
鑑別診断 井上岳司ほか
はじめに
てんかんの診断フローチャート
詳細な問診(情報収集)
免疫学的異常が示唆される疾患
最後に
●基本的な治療の進め方
薬物療法:成人てんかん 中野 仁ほか
診断
抗てんかん薬の選択
抗てんかん薬の開始・増量・変更の方法
薬物療法:小児てんかん 伊藤 進ほか
はじめに
抗てんかん薬の開始
抗てんかん薬の選択
抗てんかん薬の処方
おわりに
薬物療法:難治てんかん 須貝研司
難治てんかんとは
真の難治てんかんと見せかけの難治てんかん
難治てんかんへの対応と基本的検討
見せかけの難治性の鑑別と見せかけの難治性への対応
真の難治てんかんへの対応
外科的治療 稲次基希ほか
はじめに
外科治療が可能なてんかん
外科治療を考慮するタイミング
外科手術の各論
治療の終結 高田こずえほか
はじめに
治療終結を検討する際に考慮すべき項目
妊娠可能年齢の女性における投薬調整
具体的な減量方法と注意点
治療終結後のフォローと予後
まとめ
予後、治療成績 表 芳夫ほか
薬物治療による発作の転帰
外科治療の転帰
認知および社会的予後
予期せぬ突然死
女性(妊娠)への対応 平田幸一ほか
はじめに
妊娠前に必要なこと
妊娠中に必要な知識
出産後の注意
おわりに
改正道路交通法・処罰法への対応 松浦雅人
はじめに
新しい道路交通法
任意通報制度は不正運転を減らすか
新しい刑事特別法
運転禁止/注意薬物に関する厚生労働省課長通達
日本てんかん学会と警察庁による実態調査
医療・福祉制度 渡邊さつきほか
はじめに
医療費の支援
生活費の支援
日常生活の支援
Ⅲ Case Study:症例を通しててんかんを学ぶ
側頭葉てんかん 赤松直樹ほか
前頭葉てんかん 重藤寛史
頭頂葉てんかん 藤井正美
後頭葉てんかん 坂口友理ほか
笑い発作 亀山茂樹
全般強直間代発作のみを示すてんかん 神 一敬
若年ミオクロニーてんかん(JME) 千葉 茂
欠神てんかん 竹田加奈子ほか
Lennox-Gastaut症候群 白石秀明
West症候群 小川 厚
脱力発作 川合謙介
高齢者てんかん 山野光彦ほか
てんかん重積状態:けいれん性 溝渕雅広
てんかん重積状態:非けいれん性 永山正雄
心因性非てんかん性発作 兼本浩祐
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ガイドラインに基づくてんかん治療を,Case Studyをとおして学べる1冊
神経内科医が接する機会の多い神経疾患(頭痛,認知症,パーキンソン病,てんかん,脳卒中)の外来診察に必要なノウハウを,シェーマ,フローチャートなどを多用しコンパクトにまとめて解説しているシリーズ。
今回は,100人に1人の発症率ともいわれる「てんかん」を取り上げる。外来で必要な基本的知識,外来の基本的な流れを解説した後,さまざまなてんかんを取り上げ,それぞれCase Studyをとおしてガイドラインに基づく治療を学べるようにした。
てんかん外来の基本が身につく1冊である。